実際の治療例【朝の吐き気と胃のむかつきが続く…原因は機能性ディスペプシア?】
「朝起きると気持ち悪い」「昼になると少し落ち着くけれど、なんとなく胃が重い」――
そんな症状が続くと、胃の病気ではないかと不安になる方も多いでしょう。
今回ご紹介するのは、朝の吐き気と胃の不快感が1か月続いた50代女性の症例です。
胃カメラで異常がなくても、実は治療が必要な病気が隠れていることがあります。
池袋上田胃腸クリニックではWEB予約・電話予約を受け付けています。同様の症状でお悩みの方はぜひご相談ください。
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実際の治療例|50代女性「朝の吐き気があり胃がすっきりしない」
【症状】
「1か月ほど前から朝起きると気持ち悪く、吐き気が出る」とのことで来院されました。
昼ごろには少し落ち着くものの、一日中胃がすっきりしないとのことでした。
【診察】考えられる病気を幅広く鑑別
問診と触診の結果から、以下のような病気を鑑別として挙げました。
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逆流性食道炎
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胃潰瘍・十二指腸潰瘍
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胃がん
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機能性ディスペプシア
これらを区別するために、胃カメラ(胃内視鏡検査)を行うことにしました。
【検査】胃カメラで異常なし
胃カメラを施行したところ、粘膜にびらんや潰瘍・腫瘍などの異常所見は認められませんでした。
また血液検査・腹部エコーでも明らかな異常がなく、
最終的に「機能性ディスペプシア」と診断しました。
■実際の胃カメラの画像■
【機能性ディスペプシアとは】
機能性ディスペプシア(FD)は、胃カメラなどの検査で異常がないにもかかわらず、胃もたれ・吐き気・胃痛などが慢性的に続く病気です。
原因は明確ではありませんが、以下のような要因が関係していると考えられています。
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胃の動き(蠕動運動)の低下
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胃酸分泌の異常
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自律神経の乱れ
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ストレスや不眠
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過敏な胃の感覚(知覚過敏)
日本人の約10〜20%が経験するとされ、特に女性やストレスの多い年代に多く見られます【1】【2】。
▶関連ページ:
機能性ディスペプシア|原因や治療について専門医の院長がさらに詳しく解説
【治療】薬物療法と生活改善で症状が改善
胃の動きを整える消化管運動改善薬と、胃酸を抑える酸分泌抑制薬を処方しました。
治療開始後2週間ほどで朝の吐き気は軽くなり、1か月後にはほぼ症状が消失しました。
生活面では、
- 朝食を抜かない
- コーヒー・アルコール・辛い食べ物を控える
- 睡眠をしっかりとる
といった再発予防のためのアドバイスも行い、一旦治療終了となりました
院長からのコメント
朝の吐き気や胃の不快感は「疲れ」「更年期」「ストレスのせい」と考えて放置されがちですが、機能性ディスペプシアはれっきとした病気です。
検査で異常がなくても治療により改善が見込めます。
特に朝の吐き気や胃の症状がが1週間以上続く場合は、機能性ディスペプシアや胃がんなどの他の病気も可能性もあります。
当院ではWEB予約・電話予約を受け付けていますので、お気軽にご相談ください。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 朝だけ胃がムカムカするのはなぜですか?
A1. 朝は胃の動きが落ちやすい時間帯であることや、自律神経の乱れで胃酸分泌が不安定になっている可能性があります【3】。
Q2. 機能性ディスペプシアはストレスで悪化しますか?
A2. はい。ストレスが胃の感覚を過敏にし、症状を強めることがあります【4】。
Q3. 胃カメラで異常がなければ安心ですか?
A3. 胃カメラで器質的異常がない場合でも、機能の異常による不快感は残ります。治療で改善可能です。
Q4. 機能性ディスペプシアは治る病気ですか?
A4. 再発を繰り返すこともありますが、薬物療法と生活習慣の改善で多くの方が軽快します【2】。
Q5. どのくらい治療すればよくなりますか?
A5. 個人差はありますが、2〜4週間で症状の改善が見られる方が多いです。
まとめ
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朝の吐き気や胃のムカムカは「機能性ディスペプシア」のことがある
- 胃がんや胃潰瘍などでも同様の症状を来すことがあるため胃カメラは必要
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胃カメラで異常がなくても治療が必要
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ストレス・自律神経の乱れが関係
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薬と生活改善で多くは改善可能
「朝だけ胃が気持ち悪い」「胃がすっきりしない」などの症状が続く場合は、早めの受診をおすすめします。
当院の胃カメラの特徴
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ご自身に合わせた鎮静剤やスコープ調整で苦しくない無痛内視鏡検査
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高解像度スコープで小さな病変も発見
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土日対応、事前診察は原則不要
- 池袋駅徒歩5分でアクセス良好
当院ではWEB予約・電話予約を受け付けています。池袋周辺での検査をご希望の方はぜひご相談ください。
関連ページ
参考文献
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Tack J, et al. Functional dyspepsia. N Engl J Med. 2006;355(14):1380–1389.
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Miwa H. Epidemiology and clinical characteristics of functional dyspepsia in Japan. J Gastroenterol. 2012;47(9):830–839.
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大島博, 他. 「機能性ディスペプシアの診断と治療」消化器内科, 2019.
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川野洋, 他. 「自律神経と胃機能の関係」日本消化器病学会誌, 2020.
