血便が続く原因は潰瘍性大腸炎?痔だと思っていた20代女性の実際の治療例
血便が続く場合は単なる「痔」ではないことも
「便に血が混じる」「血便が何度も続く」という症状があると、多くの方がまず「痔かもしれない」と考えます。
もちろん、血便の原因として痔は多い病気のひとつです。しかし、血便に加えて、粘液が混じる、下痢や軟便が続く、腹痛を伴う、何週間も繰り返すといった場合には、痔だけでなく大腸の炎症や大腸ポリープ、大腸がんなども考える必要があります。
今回は、8か月ほど血便を繰り返し、「痔」と言われて治療を受けていたものの改善せず、当院での検査により潰瘍性大腸炎と診断された20代女性の実際の治療例を専門医の院長がご紹介します。
繰り返す血便でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
血便・粘液便が続く方へ
血便が続く場合は、痔だけでなく潰瘍性大腸炎、大腸ポリープ、大腸がんなどの確認が必要です。当院では、腹部エコーや大腸カメラを組み合わせて、症状の原因を丁寧に確認しています。
WEB予約はこちら 03-5953-5903血便が続くときに考える主な原因
血便は、肛門に近い部分からの出血で起こることもあれば、大腸の炎症や腫瘍から起こることもあります。特に血便が一度きりではなく繰り返す場合や、便通異常を伴う場合には注意が必要です。
- 痔:排便時に鮮やかな血が紙につく、便器にポタポタ落ちることがあります。
- 潰瘍性大腸炎:血便に粘液便、下痢、軟便、腹痛などを伴うことがあります。
- 感染性腸炎:発熱、腹痛、下痢、血便を伴うことがあります。
- 大腸ポリープ:目立つ症状がないまま便潜血検査で見つかることもあります。
- 大腸がん:血便、便が細い、便秘や下痢を繰り返す、腹痛などで見つかることがあります。
血便全体の原因について詳しく知りたい方は、以下のページも参考にしてください。
潰瘍性大腸炎とは?
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こる病気です。大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができ、血便、粘血便、下痢、腹痛などの症状を起こします【1】。
病変は直腸から連続的に広がることが多く、直腸炎型、左側大腸炎型、全大腸炎型などに分類されます【1】。
症状が強い時期を「活動期」、症状が落ち着いている時期を「寛解期」といいます。潰瘍性大腸炎は、症状がいったん落ち着いても再燃することがあるため、寛解を維持する治療が重要です。
痔と潰瘍性大腸炎の血便の違い
痔による血便と潰瘍性大腸炎による血便は、見た目だけでは判断が難しいことがあります。ただし、粘液が混じる、下痢や軟便を伴う、数週間以上続く場合には、大腸の炎症を考える必要があります。
| 比較項目 | 痔で多い血便 | 潰瘍性大腸炎で注意したい血便 |
|---|---|---|
| 血の出方 | 紙につく、便器に落ちることが多い | 便に血や粘液が混じることがある |
| 便の状態 | 通常の便のことも多い | 下痢・軟便を伴うことがある |
| 続き方 | 一時的なこともある | 数週間以上続くことがある |
| 必要な検査 | 肛門の診察で分かることがある | 大腸カメラや病理検査が重要 |
実際の治療例|20代女性「血便が続く」
【症状】
8か月ほど前から時々便に赤い血が混じるような血便があり、近くの肛門科を受診。
「痔」と診断され薬を出されて様子をみていましたが、改善なく度々血便を繰り返す状況が続き、
ここ最近、血便の頻度が増え、粘液も交じってきたため不安になり当院を受診されました。
【診察】
血便に加え、軟便や粘液のような便だったりと便通異常を伴っている状態でとのことで、
「痔」というよりも、「何らかの腸炎」を考えました。(「痔」の場合は便通異常は伴わないことが多いです。)
【検査】
食事を摂らずに来院されたので、当日すぐに腹部エコーを行い状態を確認しました。
エコー検査ではS状結腸に腸管の炎症像を認め、経過と合わせて「潰瘍性大腸炎」という病気を疑いました。
状態を説明し、大腸内視鏡(大腸カメラ)を行いました。

内視鏡の所見と病理検査結果から「潰瘍性大腸炎」の確定診断となりました。
【治療】
潰瘍性大腸炎の治療では、炎症を抑えて症状を落ち着かせる「寛解導入」と、その状態を維持する「寛解維持」が大切です。
軽症から中等症の潰瘍性大腸炎では、5-ASA製剤が治療の中心となることが多く、直腸炎型や左側大腸炎型では注腸製剤などの局所治療を組み合わせることもあります【3】【4】。
この方も、まず5-ASA製剤の内服を開始しました。
治療開始後、血便は1週間ほどで改善し、粘液のような便も2週間ほどで消失しました。
ただし、便の形はまだ軟便傾向が続いていたため、腹部エコーで炎症の状態を確認しました。炎症像は軽減していたものの、まだ一部残っていたため、内服薬に加えてスプレー式の注腸製剤を併用しました。
その後、2週間ほどで便の形も普通便に戻りました。
現在は注腸製剤を中止し、内服薬のみで寛解維持療法を継続しています。
血便があるときの受診の目安
血便が一度だけで、その後まったく出ない場合でも、原因がはっきりしない場合は一度相談をおすすめします。特に、以下に当てはまる場合は早めに消化器内科を受診してください。
- 血便が何度も続く
- 便に粘液が混じる
- 下痢や軟便を伴う
- 腹痛や発熱がある
- 体重減少がある
- 貧血を指摘された
- 便が細くなった
- 便秘と下痢を繰り返す
- 便潜血検査で陽性を指摘された
- 痔の治療をしても改善しない
潰瘍性大腸炎では、血便、粘血便、下痢、腹痛などが主な症状として知られています【1】【2】。血便が続く場合は、「若いから大丈夫」「痔だと思う」と自己判断せず、必要な検査で原因を確認することが大切です。
血便が続く方はご相談ください
池袋上田胃腸クリニックでは、血便・下痢・粘液便などの症状に対して、腹部エコーや大腸カメラを用いて原因を丁寧に確認しています。
📞 お電話でのお問い合わせ:03-5953-5903
院長コメント
血便が続くと、「痔だろう」と考えて様子をみてしまう方は少なくありません。
しかし、今回のように血便に粘液便や軟便を伴う場合、肛門の病気だけでなく、大腸の炎症が隠れていることがあります。
潰瘍性大腸炎は若い方にもみられる病気で、早めに診断し、適切な治療を始めることで症状の改善が期待できます。
また、潰瘍性大腸炎は症状が落ち着いた後も再燃することがあるため、「血便が止まったから治療終了」と自己判断せず、状態に合わせて治療を継続することが大切です。
血便が続く方、痔の治療をしても改善しない方、便に粘液が混じる方は、一度大腸内視鏡で確認することをおすすめします。
池袋上田胃腸クリニックでは、鎮静剤による無痛大腸カメラにも対応しております。
是非ご相談ください。
📞 お電話でのお問い合わせ:03-5953-5903
当院の大腸カメラの特徴
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鎮静剤や独自の低痛挿入法による苦しくない内視鏡検査
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高解像度スコープで小さな病変も発見
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土日対応、事前診察は原則不要
よくある質問
Q. 血便が続く場合、痔ではないことがありますか?
はい、あります。血便の原因として痔は多いですが、潰瘍性大腸炎、感染性腸炎、大腸ポリープ、大腸がんなどが原因になることもあります。特に、血便が繰り返す場合や、粘液便・下痢・軟便を伴う場合は大腸の検査を検討します。
Q. 若い人でも潰瘍性大腸炎になりますか?
はい、若い方でも潰瘍性大腸炎になることがあります。血便、粘血便、下痢、腹痛などが続く場合は、年齢に関係なく消化器内科で相談することが大切です。
Q. 潰瘍性大腸炎の血便にはどのような特徴がありますか?
潰瘍性大腸炎では、便に血液だけでなく粘液が混じることがあります。また、下痢や軟便、腹痛を伴うこともあります。血便が数週間以上続く場合や、繰り返す場合は注意が必要です。
Q. 粘液が混じる血便は危険ですか?
粘液が混じる血便は、大腸の粘膜に炎症が起きているサインのことがあります。潰瘍性大腸炎や感染性腸炎などが原因になることがあるため、症状が続く場合は検査をおすすめします。
Q. 潰瘍性大腸炎は大腸カメラで分かりますか?
大腸カメラでは、大腸粘膜の炎症、びらん、潰瘍、出血の状態を直接確認できます。潰瘍性大腸炎が疑われる場合は、内視鏡所見に加えて病理検査を行い、総合的に診断します。
Q. 腹部エコーで潰瘍性大腸炎は分かりますか?
腹部エコーでは、腸管の壁の厚みや炎症を疑う所見を確認できることがあります。ただし、確定診断には大腸カメラや病理検査が重要です。エコーは、炎症の有無や経過をみる補助的な検査として役立つことがあります。
Q. 潰瘍性大腸炎は治りますか?
潰瘍性大腸炎は、症状が落ち着いた状態である「寛解」を目指して治療します。症状が改善しても再燃することがあるため、寛解を維持するための継続治療が大切です。
Q. 5-ASA製剤とは何ですか?
5-ASA製剤は、潰瘍性大腸炎の炎症を抑えるために使われる代表的な薬です。内服薬のほか、炎症の部位によっては坐剤や注腸製剤を組み合わせることがあります。
Q. 血便がなくなったら薬をやめてもいいですか?
自己判断で薬を中止することはおすすめできません。潰瘍性大腸炎は症状が落ち着いた後も再燃することがあるため、医師と相談しながら寛解維持療法を続けることが大切です。
Q. 血便がある場合、いつ受診すべきですか?
血便が繰り返す場合、粘液便や下痢を伴う場合、腹痛や発熱がある場合、痔の治療をしても改善しない場合は早めに受診してください。また、便潜血陽性を指摘された場合も大腸カメラでの確認が重要です。
まとめ
血便が続く場合、原因は痔だけとは限りません。特に、便に粘液が混じる、下痢や軟便を伴う、血便を何度も繰り返す場合は、潰瘍性大腸炎などの大腸の炎症を考える必要があります。
- 血便が続く場合は、痔だけでなく大腸の病気も考えます。
- 潰瘍性大腸炎では、血便・粘血便・下痢・腹痛などがみられます。
- 診断には、大腸カメラと病理検査が重要です。
- 5-ASA製剤や注腸製剤などで炎症を抑え、症状の改善を目指します。
- 症状が落ち着いた後も、再燃予防のため寛解維持療法が大切です。
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医師紹介
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「検査はつらい、怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、“苦痛の少ない胃カメラ・大腸カメラ” を心がけています。
初めての方や検査に不安がある方でも、「ここで受けてよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、お気軽にご相談ください。
アクセス
〒1710014
東京都豊島区池袋2丁目66-10
上田胃腸クリニック
JR 池袋駅 北口の地上出口より徒歩5分。
(北改札口を出たら左へ、突き当たり右側の階段20bから地上へ)
お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903
WEB予約は【こちら】
文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
参考文献
- 難病情報センター:潰瘍性大腸炎(指定難病97) https://www.nanbyou.or.jp/entry/62
- 難病情報センター:潰瘍性大腸炎(指定難病97)概要 https://www.nanbyou.or.jp/entry/218
- 日本消化器病学会:炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン https://www.jsge.or.jp/guideline/guideline/ibd.html
- American College of Gastroenterology. ACG Clinical Guideline Update: Ulcerative Colitis in Adults. 2025. https://gi.org/journals-publications/ebgi/alkazzi_aug2025/
