授業中にお腹が鳴って困っている…原因は?|17歳男性の実例で過敏性腸症候群(IBS)を解説
「静かな授業の時間に限ってお腹が鳴ってしまう」
「緊張すると必ず音が出てしまう」
こうしたご相談は10代でも非常に多く、恥ずかしさから誰にも相談できず1人で悩んでしまうこともあります。
空腹でお腹が鳴ること自体は自然な反応ですが、授業中・試験中・静かな場面などで強く出て、生活に支障が出ている場合は、過敏性腸症候群(IBS)や腸のガス、便秘、食物不耐症、腸の炎症などが関係していることがあります。
今回は、授業中のお腹の音がつらくて受診された17歳男性の実際の治療例をもとに、原因・検査・治療・受診の目安を専門医の院長わかりやすく解説します。
お腹の音でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
池袋上田胃腸クリニックでは、腹鳴、お腹の張り、ガス、下痢、便秘、腹痛などの胃腸症状について、消化器内科専門医が診察を行っています。
症状の経過を確認したうえで、必要に応じて血液検査、腹部エコー、大腸カメラなどを組み合わせ、IBSだけでなく大腸炎や炎症性腸疾患なども含めて確認します。
お腹の音・腹鳴の原因
授業中のお腹の音は、単純な空腹だけでなく、腸の動き・ガス・便通・ストレスが関係して起こることがあります。
1. 空腹による自然な腸の動き
空腹時には、胃や腸が内容物を先へ送ろうとして動きます。そのときに空気や液体が移動すると、グーッという音が出ることがあります。 これは生理的な反応で、多くの場合は心配ありません。
2. 過敏性腸症候群(IBS)
IBSは、検査で明らかな炎症や腫瘍がないにもかかわらず、腹痛、下痢、便秘、お腹の張り、ガス、腹鳴などが続く病気です。 特に、緊張する場面、学校、試験、電車、会議などで症状が悪化することがあります[1][2]。
3. 便秘・ガスだまり
便が腸にたまると、ガスも抜けにくくなり、腸の中で空気が移動しやすくなります。 その結果、ゴロゴロ、ポコポコといった音が出やすくなります。
4. 食物不耐症・食事の影響
牛乳でお腹がゴロゴロする乳糖不耐症、小麦や玉ねぎ、豆類、人工甘味料などでガスが増える体質など、食事が腹鳴の原因になることがあります。 IBSでは、FODMAPと呼ばれる発酵しやすい糖質が症状に関係することがあります[4]。
5. 腸内細菌バランスの乱れ
腸内細菌のバランスが乱れると、ガスが増えたり、腸の動きが過敏になったりすることがあります。 食生活、睡眠不足、ストレス、感染性腸炎のあとなどに症状が続くこともあります。
6. 大腸炎・炎症性腸疾患など
まれに、潰瘍性大腸炎、クローン病、感染性腸炎などの大腸炎が背景にあることもあります。 血便、発熱、体重減少、夜間の下痢、強い腹痛がある場合は、IBSだけで考えず、早めに消化器内科を受診しましょう。
過敏性腸症候群(IBS)とは?腹鳴の関係は?
過敏性腸症候群(IBS)は、腸に明らかな炎症や腫瘍がないにもかかわらず、腸の動きや感覚が過敏になり、腹痛、下痢、便秘、お腹の張り、ガス、腹鳴などが続く病気です。
ただし、「お腹が鳴るだけ」でIBSと決めつけることはできません。 IBSは本来、腹痛や便通異常との関係を確認しながら診断します[2]。 そのため、症状の出方、便の状態、体重変化、血便の有無、発熱の有無などを確認することが大切です。
IBSでは、ストレスや緊張によって自律神経が乱れ、腸の動きが過敏になります。 さらに、ガスがたまりやすい食事や便秘が重なると、腸の中で空気が移動しやすくなり、授業中や静かな場面で腹鳴が気になりやすくなります。
実際の治療例:17歳 男性「授業中にお腹が鳴って困っている」
【症状:緊張すると悪化する“腹鳴(ふくめい)”】
数年前から緊張や不安が強い場面で腹鳴が出ることがあったそうです。
最近になり、
-
授業中の静かな時間に「グ〜」「ゴロゴロ」と鳴る
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周りに聞こえていないか気になって集中できない
-
不安が強く、悪循環でさらに腹鳴が増える
という状態で来院されました。
【診察】
腹鳴にはさまざまな原因が考えられます。
代表的な鑑別疾患は以下の通りです:
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過敏性腸症候群(IBS)
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便秘症
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食物不耐症(乳糖不耐症・小麦関連など)
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腸内細菌バランスの乱れ
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大腸炎・感染性腸炎
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炎症性腸疾患(IBD:潰瘍性大腸炎・クローン病)【1】
- 甲状腺機能異常などの代謝疾患
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消化管の運動異常
これらを除外しないと「ただの緊張」で済ませてはいけないケースもあるため、保護者の方と相談のうえ、精査を行いました。
【検査】
腹鳴の背景に器質的な病気がないか調べるため、以下を行いました。
-
血液検査:炎症反応・貧血・甲状腺機能
-
腹部エコー:腸管の炎症・腫大・ガスの状態
-
大腸内視鏡検査:炎症性腸疾患や腫瘍の除外
いずれも異常なし。
➡ 「過敏性腸症候群(IBS)」と診断しました。
■実際の内視鏡画像■
大腸内には炎症や腫瘍などの病変は認めず正常の状態でした
【治療:薬+漢方+低FODMAP食で改善】
治療は以下の3本柱で行いました。
① 腸の動きを整える薬(消化管運動改善薬)
腸の過敏な動きを落ち着かせ、ガスや腹鳴を改善。
② 漢方薬
特に緊張やストレスで症状が悪化する方に有効。腸の働きを改善します。
③食事療法(低FODMAP療法)【4】
ガスを出しやすい食品FODMAP(フォドマップ)を減らすことで、腹鳴を大きく減少させることが出来ます。
治療後開始後2週間ほど経過すると、腹鳴は低下し、授業中もほとんど腹鳴が気にならなくなり、現在は漢方と食事療法で良い状態を維持しています。
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受診の目安
次のような場合は、消化器内科での相談をおすすめします。
- 授業中・試験中・外出中のお腹の音が気になり、生活に支障がある
- 腹鳴に加えて、お腹の張りやガスが強い
- 下痢や便秘を繰り返している
- 腹痛を伴う
- 症状が数週間以上続いている
- 市販薬や食事の工夫で改善しない
- 血便がある
- 発熱、体重減少、夜間の下痢がある
- 家族に炎症性腸疾患や大腸がんの方がいる
特に、血便、体重減少、発熱、強い腹痛がある場合は、IBSだけで考えず、大腸炎や炎症性腸疾患なども含めて確認する必要があります。
院長からのコメント
授業中のお腹の音は、周囲から見ると小さな悩みに思われることがあります。 しかし、本人にとっては「また鳴ったらどうしよう」という不安が強くなり、授業に集中できなくなったり、学校に行きづらくなったりすることもあります。
腹鳴は、空腹や体質だけで起こることもありますが、IBS、便秘、ガス、食事の影響、腸の炎症などが関係していることもあります。 大切なのは、恥ずかしい症状だからと我慢し続けるのではなく、必要な確認を行い、原因に合わせて対策することです。
池袋上田胃腸クリニックでは、10代の方の胃腸症状についても、保護者の方と相談しながら診療を行っています。 授業中のお腹の音、下痢、便秘、お腹の張りなどでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
池袋上田胃腸クリニックではWEB予約・電話予約を受け付けています。
お腹の音、ガス、お腹の張り、下痢、便秘、腹痛、血便など、胃腸の症状が続く場合はご相談ください。
お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903
💡当院は池袋駅から徒歩5分程度でアクセス可能です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 授業中にお腹が鳴るのは病気ですか?
お腹が鳴ること自体は自然な反応で、必ずしも病気ではありません。ただし、音が強く生活に支障がある、腹痛・下痢・便秘・お腹の張りを伴う場合は、IBSや便秘、ガス、腸の炎症などを確認する必要があります。
Q2. 静かな授業中だけお腹が鳴るのはなぜですか?
静かな場面では音が気になりやすく、緊張によって自律神経が乱れると腸の動きが過敏になることがあります。その結果、ガスや腸の内容物が動いて腹鳴が出やすくなります。
Q3. お腹の音はIBSの症状ですか?
IBSではお腹の張り、ガス、腹鳴がみられることがあります。ただし、IBSは腹痛や便通異常との関係も確認して診断するため、「お腹が鳴るだけ」でIBSと決めつけることはできません。
Q4. 高校生でもIBSになりますか?
はい。IBSは10代でもみられます。通学、授業、試験、部活動、人間関係などの緊張やストレスが症状に関係することがあります。
Q5. 腹鳴で大腸カメラは必要ですか?
腹鳴だけで全員に大腸カメラが必要なわけではありません。血便、体重減少、発熱、強い腹痛、下痢の持続、家族歴などがある場合は、医師が必要性を判断します。
Q6. 低FODMAP食は腹鳴に効果がありますか?
IBSやガスが多いタイプでは、低FODMAP食が腹部膨満やガス症状の軽減に役立つことがあります。ただし、自己判断で長期間続けると栄養バランスが崩れることがあるため、医師や管理栄養士と相談して行うことをおすすめします。
Q7. 市販薬で様子を見てもいいですか?
一時的な腹鳴で、腹痛や血便などがなければ様子を見ることもあります。ただし、症状が続く、学校生活に支障がある、市販薬で改善しない場合は受診をおすすめします。
Q8. 朝食を抜くとお腹の音は減りますか?
朝食を抜くと空腹による胃腸の動きで、かえって音が出やすくなることがあります。少量でも消化のよいものをとる、ガスが出やすい食品を避けるなど、体質に合わせた調整が大切です。
Q9. お腹の音が気になって学校に行きづらい場合も相談できますか?
はい、相談できます。腹鳴は身体症状であると同時に、不安や緊張と関係することもあります。胃腸の状態を確認しながら、学校生活で困らないための対策を一緒に考えます。
Q10. どのくらいで改善しますか?
原因や体質によって異なりますが、IBSやガス症状では、薬・漢方・食事調整・生活リズムの見直しで1〜2週間ほどで変化を感じる方もいます。症状が長い場合は、焦らず段階的に整えることが大切です。
まとめ
-
授業中にお腹が鳴る悩みは10代でも多い
-
腹鳴にはIBSや腸の炎症など複数の原因がある
-
血液検査・エコー・大腸内視鏡でしっかり除外診断
-
IBSは薬・漢方・低FODMAPで改善できる
-
恥ずかしい症状でも治療すればコントロール可能
授業中の腹鳴で悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。
📞 お電話でのお問い合わせ:03-5953-5903
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
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医師紹介
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、お気軽にご相談ください。
アクセス
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東京都豊島区池袋2丁目66-10
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参考文献
- 日本消化器病学会. 機能性消化管疾患診療ガイドライン2020―過敏性腸症候群(IBS)改訂第2版.
- Rome Foundation. Rome IV Criteria: Irritable Bowel Syndrome.
- Lacy BE, et al. ACG Clinical Guideline: Management of Irritable Bowel Syndrome. Am J Gastroenterol. 2021.
- Staudacher HM, et al. A Diet Low in FODMAPs Reduces Symptoms in Patients With Irritable Bowel Syndrome. Gastroenterology. 2017.
- Fond G, et al. Anxiety and depression comorbidities in irritable bowel syndrome: a systematic review and meta-analysis. Eur Arch Psychiatry Clin Neurosci. 2014.
文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
