実際の治療例【食後しばらくしてからのみぞおちに激痛|原因は胃ではなく胆石だった】
「みぞおちが突然、差し込むように痛くなる」
「食後しばらくしてから強い痛みがくる」
「胃薬がまったく効かない」
こうしたケースでは、実は胃ではなく「胆のう」や「胆石」が原因であることが少なくありません。
今回ご紹介する40代男性も、食後2時間ほどしてみぞおちの激痛が出現。救急外来で胃痙攣と言われ胃薬を出されましたが改善せず、当院を受診されました。
みぞおち痛の原因は多岐にわたりますが、その中でも胆石による胆のう炎は見逃すと重症化する疾患です。
このページでは、実際の診療の流れとともに「どんな痛みが胆石なのか」「どんな検査を受けるべきか」をわかりやすく解説します。
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実際の治療例|40代男性「夕食後しばらくしてのみぞおちの激痛」
【症状】
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夕食後2時間くらいして、突然みぞおちに差し込むような激痛
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救急外来では胃痙攣と診断され胃薬が処方
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しかし改善せず、一睡もできないほどの痛み
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翌朝、当院を受診
【診察】
みぞおち痛の原因として考える病気は多く、主に以下を鑑別します。
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胃炎・急性胃粘膜障害
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胃潰瘍・十二指腸潰瘍(穿孔含む)
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胃痙攣(機能性)
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急性膵炎
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胆石発作や胆石胆のう炎
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急性胆管炎
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食中毒・感染性胃腸炎
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心筋梗塞(上腹部痛として出ることあり)【※重要】
「以前にも食後に似た痛みが数回あったが、その時はしばらくして落ち着いた」というエピソードがあったことから、
胆石や胆嚢炎を念頭に血液検査・腹部エコーを行いました。
【検査】
当院で以下の検査を実施:
● 腹部エコー(超音波)
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胆のう内に複数の胆石を確認
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胆のう壁の肥厚
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周囲の炎症性変化
● 血液検査
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炎症反応(CRP)上昇
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肝胆道系酵素の上昇
以上より、 胆石胆のう炎と診断しました
■実際のエコー画像①■
■実際のエコー画像②■
【胆石・胆のう炎とは?(原因・症状・危険性)】
胆石とは、胆のうの中にできる石のことです。
コレステロールやビリルビンなどの成分が固まって発生します【1】。
一過性の強い痛み(胆石発作)や胆嚢炎を起こすと持続的な痛みが起こります。
主な症状
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みぞおち〜右上腹部の痛み
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食後数時間で痛みが出やすい
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差し込む/締め付けるような激痛
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吐き気、背中への放散痛(右肩に響くことも)
なぜ胃の痛みと間違われるのか?
みぞおち(心窩部)-右肋骨下あたりに痛みが出るため、患者さんも医療者も「胃の病気かな?」と誤解しやすいのが特徴です。
放置の危険性
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急性胆のう炎
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急性胆管炎(重症化すると致死的)
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膵炎
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敗血症
治療について
胆石は自然に治らず、繰り返すことが多いため手術治療(胆のう摘出)が標準治療【2】です。
【今回の治療】
胆石で胆のう炎を起こしている場合、72時間以内は手術治療が第一選択となります。
今回はご本人も手術を希望されたため、当院から高次医療機関へ速やかに紹介。
同院で腹腔鏡下胆のう摘出術が行われ、術後の経過も良好でした。
※抗生剤と絶食で治療するケースもあります。
院長からのコメント
みぞおちの痛みは「胃の不調」と思われがちですが、実際には胆石による痛みも少なくありません。
食後数時間で強い痛みが起き、胃薬では全く改善しない場合は特に注意が必要です。
腹部エコーは胆石の診断に非常に有用で、当院ではその場で確認できます。
「夜に激痛 → 救急で胃薬 → 改善しない」というケースは本当に多いため、心当たりのある方はいつでもご相談ください。
お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903
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よくある質問(FAQ)
Q1. 胃薬で治らないみぞおち痛は胆石の可能性がありますか?
A1. はい。特に食後数時間で強い痛みが出る場合は胆石が疑われます【1】。
Q2. 胆石の痛みはどれくらい続きますか?
A2. 数十分〜数時間続くことが多く、夜間の発作が典型的です。炎症を起こして胆のう炎になると痛みが持続します
Q3. みぞおちと右上腹部のどちらが痛む?
A3. どちらもあります。みぞおちだけの痛みで胃と誤診されることもあります。
Q4. 背中や肩に痛みが響くこともありますか?
A4. はい。右肩や背部に放散痛が出るのが特徴です。
Q5. 救急で「胃痙攣」と言われるのはよくある?
A5. 胆石発作は胃痛に似ており、誤診されることは少なくありません。
Q6. エコーだけで胆石はわかりますか?
A6. ほとんどの例でわかります。第一選択の検査です【2】。
Q7. CTは必要?
A7. 重症例や胆管結石疑いのときに追加します。
Q8. 胆石は薬で溶かせますか?
A8. 一部は可能ですが、多くのケースで効果は限定的です。
Q9. 手術は必ず必要?
A9. 発作を繰り返す場合や胆嚢炎を併発している場合は手術が標準治療です。
Q10. 放置するとどうなる?
A10. 重症胆のう炎や膵炎、敗血症など命に関わる状態に進行することがあります。
まとめ
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食後数時間後のみぞおち痛は胆石の典型例
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胃薬で治らない強い痛みは要注意
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腹部エコーが最も有用な検査
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胆のう炎を起こすと手術が必要
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当院では即日エコー・血液検査が可能
💡当院は池袋駅から徒歩5分程度でアクセス可能です。お気軽にご相談ください。
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医師紹介
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、お気軽にご相談ください。
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参考文献
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Japanese Society of Gastroenterology. 胆石症診療ガイドライン.
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Tokyo Guidelines 2018. 急性胆管炎・急性胆のう炎診療ガイドライン.
文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
