実際の治療例【朝から腹痛が起こり仕事に行けず困っている|原因は過敏性腸症候群?検査と治療について】
「朝になるとお腹が痛くなる」
「会社に行く直前に腹痛で動けない」
20〜30代に特に多い相談のひとつが、“朝の腹痛と下痢”です。
今回紹介する20代男性は、数週間にわたり朝の腹痛が続き、遅刻や欠勤が増えたため職場の産業医から受診を勧められて来院されました。
内視鏡やエコーでは異常がなかったものの、腹痛と下痢の原因として多い過敏性腸症候群(IBS)と診断されました。
今回は実際の診療の流れを、患者さんにも分かりやすい形でご紹介します。
▶池袋上田胃腸クリニックではWEB予約・電話予約を受け付けています。同様の症状でお悩みの方はぜひご相談ください。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
実際の治療例|20代男性「朝から腹痛が起こり仕事に行けず困っている」
【症状】朝に強く出る腹痛と下痢
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朝起きてしばらくすると腹痛が出現
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強い日は会社へ向かう途中で痛みが悪化
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下痢になる日もあり、通勤が不安
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痛みが強く遅刻・欠勤が増えてきた、産業医から受診を勧められ来院。
【診察】考えられる鑑別疾患
症状からは以下の疾患などが考えられました。
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過敏性腸症候群
- 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)
- 感染性腸炎(細菌・ウイルス)
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大腸ポリープ・がん
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胆嚢・膵臓の病気
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甲状腺ホルモン異常
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薬剤性の腹痛
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機能性ディスペプシア(胃の機能異常)
正しい診断をつけて、治療方針を立てるため、血液疾患、腹部エコー、内視鏡検査(胃・大腸カメラ)を行いました
【検査】
今回の患者さんは以下を実施しました。
- 血液検査:炎症反応・貧血・甲状腺疾患なし
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腹部エコー:胆のう・膵臓に異常なし
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胃カメラ:ピロリ菌や胃炎、潰瘍などなし
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大腸内視鏡検査:炎症・腫瘍なく正常
精査の結果、明らかな器質的疾患はなく、腸の機能の異常や知覚過敏に酔って起こる過敏性腸症候群と診断しました
■実際の大腸カメラの画像■
【過敏性腸症候群とは(原因疾患の解説)】
過敏性腸症候群(IBS)は、腸に構造的な異常がなくても、ストレスや自律神経の乱れで腸が過敏に反応してしまう病気です。
原因として多いもの
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ストレス・緊張
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朝の自律神経の変化
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通勤・仕事への不安
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腸内細菌バランスの乱れ
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睡眠不足
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食事の乱れ
特に今回のように「朝だけ腹痛・下痢が出る」というパターンは非常に典型的です。
▶関連ページ:専門医の院長による過敏性腸症候群の詳細な解説はこちら
【治療】
今回の男性には以下の治療を行いました。
治療内容
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腸の動きを整える薬
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整腸剤
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必要に応じて頓服薬
治療開始後、数日で症状が改善。
腹痛が減ったことで「また痛くなるのでは…」という不安が消え、症状自体が出にくくなりました。
過敏性腸症候群では“症状への不安が、新しい腹痛を呼ぶ”という悪循環がよくみられます。
今回はその負のスパイラルを断ち切れたことで、その後も安定しました。
院長からのコメント
朝の腹痛と下痢は、20〜40代で非常に多い相談です。
内視鏡で異常がないと「気のせいですか?」と聞かれることもありますが、決して気のせいではありません。
腸はストレスに弱い臓器で、脳の影響を大きく受けることが分かっています。
適切な治療を行うことで多くの方が改善します。
💡当院ではWEB予約・電話予約を受け付けていますので、朝の腹痛が続く方は、我慢せず一度ご相談ください。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 朝だけ腹痛があるのは過敏性腸症候群の特徴ですか?
A1. はい。自律神経の影響が大きく、朝に症状が出やすいのも特徴です【1】。
Q2. 仕事のストレスで悪化しますか?
A2. 大きく関連します。ストレスは腸の運動や知覚を敏感にします【2】。
Q3. 内視鏡検査は必要ですか?
A3. 初診時は器質的疾患を除外するために推奨されます。
Q4. 市販薬で治りますか?
A4. 一時的に楽になることはありますが、根本改善には医療機関での治療が有効です。
Q5. ストレスがなくてもIBSになりますか?
A5. はい。腸内環境の乱れや生活習慣から発症する場合もあります。
Q6. 下痢が続く時は大腸カメラが必要?
A6. 血便・体重減少・夜間の下痢がある場合は特に必要です。
Q7. 食事で注意すべきものは?
A7. 脂っこい食事、カフェイン、アルコールは悪化させることがあります。
Q8. 完治しますか?
A8. 多くの患者さんで薬と生活改善で症状は安定します。
Q9. 心療内科での治療が必要ですか?
A9. 重度の不安が背景にある場合は併用で効果が出ることがあります。
Q10. 若い世代に多いのはなぜ?
A10. 仕事・学校などの環境ストレスが影響しやすいためと考えられています【3】。
まとめ
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朝だけ腹痛が続く場合、IBSの可能性が高い
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内視鏡やエコーで異常がなくても病気として治療が必要
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ストレス・不安と強く関連
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適切な投薬で改善し、その後も安定しやすい
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我慢せず早めの受診が大切
お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903
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医師紹介
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、お気軽にご相談ください。
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東京都豊島区池袋2丁目66-10
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参考文献
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Longstreth GF, et al. Functional Bowel Disorders. Gastroenterology.
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Mayer EA. Gut–brain axis and stress. Nat Rev Gastroenterol Hepatol.
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IBS治療ガイドライン(日本消化器病学会)
文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
