実際の治療例 “数年前から胸やけを繰り返している(逆流性食道炎)”
当院や本院を受診された患者さんの実際の治療経過です。
40代 男性 数年前から胸やけを繰り返している
【症状】
数年前から度々胸やけを繰り返しておられ、近所の内科で胃薬をもらって様子をみていました。
ここ半年ほどは胸やけの頻度も増え、薬を飲んでも改善しないこともあり、内科の医師からは胃カメラを受けるように勧められていましたが、恐怖心もあり躊躇していました。
会社の同僚から、当院で無痛内視鏡で楽に検査を受けることが出来たとの話を聞き、当院を受診されました。
【診察】
症状からは逆流性食道炎を考える状態であり、経過も長いため、やはりまずは胃カメラでの状態評価が望ましいと考えました。
ご本人は、「胃カメラは今まで一度も受けたことがないものの、 “えづき”が強い体質なのでかなり恐怖心が強い」とのことで、鎮静剤を使って無痛状態で行うこととしました。
【検査】
実際に胃カメラで観察をを行ったところ、やはり逆流性食道炎の所見を認めました。
※検査自体は本人が眠った間に終了し、苦痛は全くない状態で施行できました。
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・胃カメラ
【治療】
逆流性食道炎は胃酸の分泌過多や、胃の動きの低下などで生じることが多く、酸分泌過多を抑える制酸剤や胃の動きを改善する運動機能改善薬を組み合わせて治療することとしました。
また合わせて胃酸の分泌過多・逆流を抑えるための生活習慣の改善を指導しました。
<治療内容>
1.制酸薬
胃酸の分泌過多を抑える薬です。胃酸分泌過多を適正化してくれることで逆流を抑えてくれます
今回はプロトンポンプ阻害薬(PPI)という薬を処方しました。
2.運動機能改善薬
胃の動きを改善する薬です。胃から十二指腸への排出機能を改善させることで胃酸の逆流を防ぎます。
3.生活習慣指導
・夕食から就寝までは2時間以上開ける
仕事が忙しく夜寝る前に食べてしまうことが多いとのことであり、何とか早めに食事を摂り、就寝までの間は最低でも2時間以上あけるようにしました。
座位の姿勢であれば、食べ物は重力で胃の先の腸に流れ易くなりますが、食べてからすぐに就寝すると、胃内に食事がうっ滞したり、逆流しやすくなります。
・早食いせずにゆっくりよく噛んで食べる
また、忙しく時間がないせいで早食いになりがちとのことで、ゆっくりよく噛んで食べてもらうことも心掛けるようにしました。
早食いしてしまい、食べ物が大きい形のまま胃内に入ってくると消化に時間がかかり、胃内に滞留してしまい逆流性食道炎の一因となるためです。
【経過】
2週間後の再診の際に状態を伺うと、投与開始後、3日目あたりから胸やけの頻度が減り、再院時にはかなり良くなっている状態でした。
ご本人と相談し、薬は徐々に減らしつつ、1か月後の再診の際には一旦中止してみました。
ごくたまにに胸やけはあるものの、全体としてはほとんど問題ない状態とのことで、症状があるときだけ薬を服用する方針としました。
もともと胸やけはあったものの、夜遅くに食事を摂るようになったころから胸やけの頻度が増加し始めたとのことで、その習慣の改善が逆流性食道炎がよくなった要因の一つと考え、今後も生活習慣には十分注意して頂くこととしております
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