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【実際の診療例】歩くとズキンと響く腹痛――それは大腸憩室炎かもしれません

[2025.04.03]

歩くとズキンと響く腹痛――それは大腸憩室炎かもしれません

今回は、大腸憩室炎という病気の患者さんの実際の診療例を紹介します。

症状の経過、診断の流れ、治療法、そしてその後の経過について、当院でどのように対応したかを詳しくご紹介いたします。

腹痛でお困りの方は、早めの受診が安心につながります

当院ではWEB予約・電話予約を受け付けていますので、お気軽にご相談ください。

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症例【50代男性|歩くとズキンと響く腹痛】

【症状】

前日の夕方頃から左下腹部に鈍痛を自覚。

一晩寝れば治るかと思っていましたが、朝になっても痛みは引かず、昼食後しばらくしてから一気に増悪。

歩くだけでも振動で痛みがズキンと響くようになってきたため夕方に当院を受診されました。

【診察】

触診では左下腹部を押すと強い痛みがあり、離すと痛みが周りに広がるような状態で腹膜炎を伴った強い炎症を疑いました。

左下腹部の痛みの原因としては、

  • 憩室炎や感染性腸炎などの大腸炎
  • 尿管結石
  • 腹膜垂炎などの腹膜の炎症

などが考えられ、まずは腹部レントゲン腹部エコー血液検査を行い状態を評価することとしました。

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【検査】

腹部エコーを行うと、左下の痛む場所に一致してS状結腸の憩室(黄色部分)と周囲の大腸の壁の肥厚(図:青部分)が描出されました。

大腸憩室炎|エコー診断|池袋上田胃腸クリニック

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血液検査でも強い炎症反応が認められたことから、大腸憩室炎と診断しました。

【治療】

憩室炎は重症の場合は入院して様子を見ることもありますが、今回はご本人の希望もあり外来で治療を行うこととしました。

①抗生剤

外来にて抗生剤の点滴を行い、内服薬の抗生剤を飲んで頂きました。

②食事制限

腸管を安静にし憩室部分に便による圧がかからないように、食事は水分やスポーツドリンク、ゼリーなどの流動形のものの摂取にとどめてもらいました。

【経過】

翌日の再診では痛みはあるものの改善傾向で、血液検査での炎症反応もやや低下しており、このままの治療方針で憩室炎の改善が見込める状態と判断し、抗生剤の点滴・内服継続としました。

翌々時の再診時にはさらに痛みも炎症反応も改善し、食事は2-3日おかゆやうどんなどの柔らかいものを食べて頂くようにし、4日後に再診としたところみぞおちの痛みはなくなっており、血液検査・エコーの所見とも改善しており、憩室炎の治療は終了となりました。

大腸憩室炎について

大腸憩室とは、大腸内の腸管内圧が上昇することにより、大腸の一部が袋状に腸管外に突出した状態です。

大腸憩室炎|大腸内視鏡診断|池袋上田胃腸クリニック

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先天性の憩室と後天性の憩室がありますが、後天性がほとんどで年齢を重ねるごとに腸管の筋肉が萎縮してくることで起こます。

憩室はそれだけでは特に症状がないことがほとんどですが、憩室に便がはまり込むことにより細菌が繁殖して今回のように憩室炎を起こすことがあります。

症状としては、腹痛・発熱などの症状が出ます。

特に憩室は上行結腸とS状結腸に出来やすいため、左右の下腹部に痛みを来しやすく、炎症がひどくなると穿孔(腸に穴があく)し緊急手術や長期入院になることもあるため、下記のような腹痛がある際には医療機関への受診が重要です

  • 6時間以上続く腹痛
  • 歩くと響く腹痛
  • どんどん増強する痛み
  • 発熱を伴う場合

また、このような痛みは憩室炎以外にも虫垂炎や腹膜炎などの重篤な炎症の可能性があり、腹部エコーレントゲン血液検査などで状態を評価し、適切な治療方針を決めていきます。

症状でお困りの方、ご心配な方はお力になれますので当院にご相談ください!

お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903

大腸憩室炎Q&A

Q;憩室があると言われましたが、必ず憩室炎や出血を起こすのでしょうか?

A:必ず起こすわけではありません。

大腸憩室保有者の出血のリスクは期間とともに増加し、 0.2%/年・3%/5 年・10%/10 年程度と言われています。【1】

また、憩室炎の発症は憩室出血の3倍程度との報告がありますが【2】、憩室の数によっても変わってきます。(憩室の数が多いほど増加します。)

 

Q:大腸憩室炎と盲腸(虫垂炎)はどう違うのですか?

A:右下腹部の痛みは虫垂炎、左下腹部の痛みは大腸憩室炎であることが多いですが、症状が似ているため自己判断は危険です。

診断にはエコーやCTなどの画像検査が必要です。

 

Q:憩室炎を起こすリスクはなんですか?

A:肥満喫煙がリスクになると言われています

肥満の方は憩室炎の発症リスクが3割ほど高まり、穿孔などの合併症のリスクも2倍になるという報告があります。【3】

また喫煙者の方は重症化・死亡のリスクが高まるというデータもあります。【4】

 

Q:大腸憩室炎は再発しますか?

A:再発率は20~40%と報告されており、食生活の改善や便通の調整が予防に役立ちます。

 

Q:憩室炎の治療は入院が必要ですか?

A:軽症の場合は外来での食事制限・抗生剤治療が可能です【5】。ただし、発熱を伴う場合や血液検査での炎症反応が高い時などの重症時や悪化時は入院や手術が必要になります。

ですので、重症化する前に外来を受診し治療を開始することが重要です。腹部の痛みがある際には早めに医療機関を受診しましょう。

 

Q:手術になることもありますか?

A:あります。

憩室穿孔」といって炎症が強くなり腸に穴が開いた場合には緊急手術になることもあります。また、慢性的に炎症を繰り返す方は予防的に手術を検討したり、狭窄を伴う場合などにも手術を検討します【6】

 

Q:大腸内視鏡は必要ですか?

A:憩室炎の際には逆に悪化させることがあるので、急性期の炎症がある際に基本的には行いません。ただし、炎症が落ち着いた後には大腸内視鏡を行い、憩室の状態を評価することが望ましいと考えます【7】

また下血を起こす憩室出血の場合には止血のため緊急内視鏡を行います。

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Q:憩室炎になりやすい方は?

A:以下に当てはまる方は憩室炎のリスクがあります。

  • 食物繊維の摂取が少ない方:便の流れが滞りやすく憩室にはまり込みやすくなります。。
  • 肥満の方:憩室が出来やすく、炎症が起こった際にも重症化しやすいです。
  • 消炎鎮痛剤を使っている方
  • 喫煙者:憩室炎起こした際に悪化しやすいという報告があります。

また、男性の方が女性よりも頻度は高めです。

 

Q:憩室炎の食事制限は?

A:炎症が強い際には絶食となります。

抗生剤を使用しながら、絶食・安静にしてまずは腸管の炎症を鎮静化させます。

炎症が落ち着いてきて痛みが引いてきたら徐々に食事を開始します。

まずはゼリーなどの半固形物から開始し、おかゆ・うどんなどの消化しやすい炭水化物、卵や柔らかな魚の煮物などとゆっくりと食事形態をあげていきます。

ただし、脂肪分の高いものや繊維質などの消化がわるいものやアルコールは炎症を増悪させるため完全に改善するまでは避けていただきます。

 

Q:憩室炎を放置するとどうなりますか?

A:自然治癒することもありますが、悪化すると穿孔(腸に穴が開くこと)や腹膜炎などの重症化してしまい緊急手術や長期入院、場合によっては命に関わることもあります。

また憩室から出血を来す憩室出血の場合も、出血が止まらないと出血性ショック状態となるため、内視鏡で止血をする必要があります。

腹痛や下血がある場合は放置せずに医療機関を受診し適切な診断と治療を受けることが大切です。

 

Q:憩室は治りますか?また治療期間はどのくらいですか?

A: 治療期間は、軽症であれば外来で3-5日程度で改善することが多いですが、悪化することもありこまめに通院してもらいながら慎重に経過を見ます。

悪化の兆候があった場合は、入院に切り替え1週間~10日くらい治療を行います。前述のように穿孔し手術になった場合は、2週間~1カ月程度の入院のケースもあります。

 

Q:大腸憩室炎の原因はストレスですか?

A:ストレスは原因にはなりません。

大腸憩室に便がはまり込み細菌が繁殖して炎症を起こすことが大腸憩室炎の原因となります

 

Q:憩室炎を繰り返すと大腸がんになりますか?

A:がんになることはありません。

憩室炎を繰り返しても大腸がんになるということはありませんが、炎症を繰り返すことで大腸が線維化・狭窄(腸が細くなってしまうこと)し、便の通過障害・腹部の張りなどの症状が出やすくなったり、さらに憩室炎をおこしやすくなっていきます。

 

Q:憩室炎の前兆はありますか?

A:発症初期にはチクチクするような腹痛や違和感を炎症部分に限局性に感じることが多いです。

最初は軽い痛みが周期的に起こり、だんだん炎症が強くなってくると持続的な強い腹痛となっていきます。

※ただし、初期から鋭く強い痛みが出ることもあります。

炎症に伴う発熱や、痛みによる吐き気・嘔吐、下痢や便秘などの便通異常が出ることもあります。

 

Q:便潜血検査で陽性の場合、大腸憩室炎と関係がありますか?

A:憩室炎で出血すると便潜血が陽性になることもあります。

ただし大腸がんやポリープでも陽性になるため、大腸カメラでの確認が必要です。

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医師紹介

東海林英典(しょうじ ひでのり)院長

📍経歴

国立東北大学医学部卒業。

消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。

胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行

令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。

内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。

  • 日本内科学会認定医
  • 日本消化器病学会専門医

🩺 診療にあたっての想い

「症状がつらい、病気は怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、

初めての方や検査に不安がある方でも、「ここで受けてよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。

胃や腸のことで不安がある方は、お気軽にご相談ください。

アクセス

1710014
東京都豊島区池袋2丁目66-10  

上田胃腸クリニック(池袋駅 北口から徒歩5分)

  • JR「池袋」北改札 → 左へ → 20b出口から地上へ
  • 文化通りを直進、「スーパーホテル」「まいばすけっと」を左手に通過
  • その先の十字路を越え、左手4軒目が当院です(迷ったら 03-5953-5903

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関連ページ

参考文献

  1. Niikura R, Nagata N, Shimbo T, et al. Aliment Pharmacol Ther. 2015;41:888-894.

  2. Wheat CL, Strate LL. Clin Gastroenterol Hepatol. 2016;14:96-103.

  3. Hjern F, Wolk A, Håkansson N. Am J Gastroenterol. 2012;107:296-302.

  4. Rose J, Parina RP, Faiz O, et al. Ann Surg. 2015;262:1046-1053.

  5. Weizman AV, Nguyen GC. Can J Gastroenterol. 2011;25:385-389.

  6. Klarenbeek BR, Samuels M, van der Wal MA, et al. Ann Surg. 2010;251:670-674.

  7. 日本消化管学会雑誌 第1巻 Supplement(2017)p42-43

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