実際の治療例【その症状本当に逆流性食道炎?実は「好酸球性食道炎」だった40代女性】
「食べ物がつかえる」
「胸の奥で止まる感じがする」。
こうした “食道の通りの悪さ” は逆流性食道炎でも起こるため、症状だけでは判断が難しいことがあります。
今回ご紹介する40代女性も、かかりつけで逆流性食道炎と診断され薬を飲んだものの改善せず、むしろ食後のつかえ感が悪化したことで当院を受診されました。
精査のために胃カメラを行ったところ、原因は好酸球性食道炎という全く別の病気で、正しい診断により治療方針が変わり、投薬で症状は改善しました。
この記事では、食べ物がつかえる症状で考える病気、好酸球性食道炎とはどのような病気か、胃カメラで何を確認するのかを、専門医の院長が患者さんにもわかりやすく解説します。
池袋上田胃腸クリニックでは、食べ物のつかえ感・飲み込みにくさ・逆流性食道炎の薬で改善しない症状の診察を行っています。
胃カメラでは、食道・胃・十二指腸の状態を詳しく確認し、必要に応じて生検を行います。
逆流性食道炎の治療をしているにも関わらず改善せずに困りの方がいらっしゃれば、ぜひご相談ください。
食べ物がつかえる症状を起こす主な原因
食べ物がつかえる、胸の奥で止まる、胃に降りていかない感じがする場合、原因はひとつではありません。
代表的には、以下のような病気を考えます。
- 逆流性食道炎:胃酸が食道に逆流し、炎症や違和感を起こす病気
- 好酸球性食道炎:アレルギー性の炎症により、食道の通りが悪くなる病気
- 食道アカラシア:食道の運動機能が低下し、食べ物が胃へ流れにくくなる病気
- 食道がん:食道の内側にがんができ、進行すると通過障害を起こす病気
- 食道カンジダ症:カンジダという真菌によって食道に炎症が起こる病気
- 薬剤性食道炎・食道狭窄:薬や慢性的な炎症によって食道が傷ついたり狭くなったりする状態
特に、「胸やけは強くないのに食べ物がつかえる」「薬を飲んでも改善しない」「食後に症状が強い」という場合には、逆流性食道炎以外の病気も考える必要があります。
関連ページ:
食べ物がつかえる原因のひとつに、食道の運動障害である食道アカラシアもあります。詳しくは以下をご覧ください。
好酸球性食道炎とは?
好酸球性食道炎とは、白血球の一種である好酸球が食道の粘膜に集まり、慢性的な炎症を起こす病気です【1】【2】。
好酸球は、アレルギー反応に関係する細胞です。そのため、好酸球性食道炎は、食物アレルゲンやアレルギー体質などが関係して起こると考えられています。
炎症が続くと、食道の粘膜が硬くなったり、食道の動きが悪くなったりして、食べ物がスムーズに胃へ降りていきにくくなります。
好酸球性食道炎で起こりやすい症状
- 食べ物がつかえる
- 胸の奥で食べ物が止まる感じがする
- 食道から胃に降りていかない感じがする
- 飲み込みにくい
- 胸の違和感や痛み
- 食べ物が引っかかって吐いてしまう
💡なぜ診断が難しい?
症状が逆流性食道炎と似ているため、症状だけで判断すると誤診しやすく、症状だけで見分けることは難しい病気です。
関連ページ:
好酸球性食道炎について、症状・原因・治療法をより詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
実際の治療例|40代女性「食事が詰まった感じがして食道から胃に降りていかない感じ」
【症状】
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数年前から続く「食事が詰まるような感じ」
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食道から胃にスムーズに降りていかない
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食後のつかえ感が徐々に悪化
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胸やけは軽度〜ほとんどなし
-
かかりつけで逆流性食道炎ではないかと言われ、薬を飲んだが効果なし
【診察(考えられる鑑別疾患)】
食べ物のつかえ感がある場合、以下のような疾患を考えます:
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逆流性食道炎
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食道アカラシア
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好酸球性食道炎(EoE)
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食道がん
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食道カンジダ症
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食道炎(薬剤性・感染性)
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食道狭窄(慢性炎症後)
もちろん「逆流性食道炎」の可能性も否定はできませんが、
症状だけでの鑑別が非常に難しく、正しく状態を把握し、治療方針を立てるため胃カメラ(内視鏡検査)を行いました。
【胃カメラ(内視鏡検査)】
胃カメラでは以下の所見を確認:
-
食道に多数の縦に走る溝;縦走溝
- 段々と円を描くような同心円構造
所見からはアレルギーによって起こる「好酸球性食道炎」を疑い、生検を施行。
好酸球の増多が確認され、好酸球性食道炎の確定診断となりました。
■実際の胃カメラ画像■
好酸球性食道炎に特徴的な①線状溝(青矢印)②同心円構造(黄色矢印)を認めています。
生検結果は好酸球の出現を多数認め、好酸球性食道炎の確定診断となりました。
【治療】
今回の女性には、
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抗アレルギー剤
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食道粘膜の炎症を抑える薬
- 漢方
などを組み合わせて治療を行い、治療開始後、2週間ほどでつかえ感は改善。
現在は
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症状の再燃予防
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粘膜の改善確認
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食事内容調整のアドバイス
を含めて、定期フォロー中です。
好酸球性食道炎は再発しやすいため、専門医での定期的な経過観察が重要です。
受診の目安
以下のような症状がある場合は、早めに消化器内科で相談することをおすすめします。
- 食べ物が胸や食道でつかえる
- 食道から胃に降りていかない感じが続く
- 逆流性食道炎の薬を飲んでも改善しない
- 胸やけよりも、飲み込みにくさ・つかえ感が目立つ
- 食事中にむせる、吐いてしまうことがある
- 体重が減ってきた
- 食べられる量が減ってきた
- 症状が徐々に悪化している
特に、食べ物がつかえる症状では、好酸球性食道炎だけでなく、食道がんや食道アカラシアなどの病気が見つかることもあります。
「逆流性食道炎だと思っていたけれど、なかなか良くならない」という場合は、一度診断を見直すことが重要です。
院長からのコメント
食事のつかえ感は、逆流性食道炎、食道の運動機能の低下、アレルギー性の炎症、腫瘍など、幅広い原因で起こります。
特に好酸球性食道炎は、近年増えているにもかかわらず、症状だけでは逆流性食道炎と区別しにくい病気です。
今回のように、
- 「薬を飲んでも良くならない」
- 「症状がむしろ悪化している」
という場合は、我慢せずに一度ご相談ください。
当院では、症状だけで決めつけず、食道・胃・十二指腸の状態を丁寧に確認し、必要に応じて生検を行いながら診断を進めています。
池袋上田胃腸クリニックでは、鎮静剤による無痛胃カメラにも対応し、最短で当日中に胃カメラをお受け頂ける体制を整えています。
お困りの方は是非ご相談ください。
📞 お電話でのお問い合わせ:03-5953-5903
※受診時間や当日の状況によっては翌日以降の検査となる場合もあります
当院の胃カメラの特徴
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ご自身に合わせた鎮静剤やスコープ調整で苦しくない内視鏡検査
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オリンパス製最新システム+高解像度スコープで小さな病変も早期発見
- 土日対応、事前診察は原則不要
よくある質問(FAQ)
Q1. 食べ物がつかえる原因は逆流性食道炎ですか?
逆流性食道炎でも食べ物のつかえ感が出ることはあります。ただし、好酸球性食道炎、食道アカラシア、食道がん、食道狭窄などでも同じような症状が起こるため、症状だけで判断することはできません。
Q2. 好酸球性食道炎とはどのような病気ですか?
好酸球性食道炎は、アレルギー反応に関係する好酸球という細胞が食道粘膜に集まり、慢性的な炎症を起こす病気です。食べ物がつかえる、飲み込みにくい、胸の違和感があるなどの症状が出ることがあります。
Q3. 逆流性食道炎の薬が効かない場合、好酸球性食道炎の可能性はありますか?
可能性はあります。逆流性食道炎の薬で改善しない場合、診断が違っている、別の病気が隠れている、複数の病気が重なっているなどの可能性があります。胃カメラと必要に応じた生検で確認することが大切です。
Q4. 好酸球性食道炎は胃カメラでわかりますか?
胃カメラで縦走溝、輪っか状の構造、白い付着物、食道の狭さなどを確認することで疑うことができます。ただし、確定診断には食道粘膜の生検が必要です。
Q5. 生検は必要ですか?
好酸球性食道炎の診断では、生検が重要です。胃カメラで見た目に特徴があっても、食道粘膜に好酸球が増えているかを病理検査で確認する必要があります。
Q6. 好酸球性食道炎は自然に治りますか?
症状が軽い場合もありますが、炎症が続くと食道が狭くなり、食べ物が通りにくくなることがあります。症状がある場合は、自己判断で放置せず、専門医に相談することをおすすめします。
Q7. 好酸球性食道炎の治療にはどのような方法がありますか?
症状や内視鏡所見に応じて、胃酸を抑える薬、食道粘膜の炎症を抑える薬、抗アレルギー薬、食事療法などを検討します。症状や体質に合わせて治療を組み合わせることがあります。
Q8. 食物アレルギーがある人は好酸球性食道炎になりやすいですか?
アレルギー体質、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などがある方では関連がみられることがあります。ただし、明確なアレルゲンが特定できないケースもあります。
Q9. 好酸球性食道炎は再発しますか?
再発することがあります。症状が改善しても炎症が残っている場合や、治療を中断すると再燃する場合があるため、必要に応じて定期的な経過観察が大切です。
Q10. どのような場合に早めに受診した方がよいですか?
食べ物がつかえる、飲み込みにくい、逆流性食道炎の薬で改善しない、症状が悪化している、体重が減っている、吐いてしまうなどの場合は、早めに消化器内科で相談してください。
まとめ
-
「食事のつかえ感」は原因が多く、誤診されやすい
-
逆流性食道炎の薬で改善しない場合は要注意
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胃カメラ+生検で好酸球性食道炎が診断される
-
治療で改善し、再発予防には定期フォローが大切
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症状だけに頼らず、専門医で検査を受けることが重要」
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医師紹介
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「検査はつらい、怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、“苦痛の少ない内視鏡検査(無痛胃カメラ・無痛大腸カメラ)” を心がけています。
初めての方や検査に不安がある方でも、「ここで受けてよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、池袋上田胃腸クリニックまでお気軽にご相談ください。
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参考文献
【1】Dellon ES. Epidemiology of eosinophilic esophagitis.
【2】Lucendo AJ. Guidelines on eosinophilic esophagitis: diagnosis and treatment.
文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
