実際の治療例 【ピロリ菌を除菌してから胸焼けが起こる】
「ピロリ菌を除菌したら胸やけが出るようになった…」
実は、このような症状で「薬が合わなかったのでは」「除菌に失敗したのでは」と不安になり当院を受診される方は少なくありません。
ピロリ菌の除菌自体は胃がん予防のために推奨されますが、除菌後しばらくは胃酸分泌が変化し、一時的に逆流性食道炎が起こることがあります。
多くは適切な内服治療や生活習慣の見直しで改善が期待できますが、症状が長引く場合や、飲み込みにくさ・体重減少・黒い便などを伴う場合は、ほかの病気が隠れていないか胃カメラで確認することが大切です。
この記事では、当院を受診された60代女性の症例をもとに、
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なぜ除菌後に胸やけが起こるのか
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どのような検査で診断できるのか
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どんな治療法が有効なのか
- 受診の目安
を、消化器専門医の東海林院長がわかりやすくお伝えします。
ピロリ菌除菌後の胸やけでお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
▶池袋上田胃腸クリニックではWEB予約・電話予約を受け付けています。
ぜひご相談ください。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
実際の治療例|60代 女性「ピロリ菌を除菌してから胸焼けが起こる」
【症状】
人間ドックの胃カメラで萎縮性胃炎とピロリ菌陽性を指摘され、かかりつけ医でピロリ菌除菌。
除菌成功してから2週間ほど経過して胸やけが起こるようになりました。
かかりつけ医に相談し胃薬を処方されましたが、改善なく当院にご相談に来られました。
【診察・検査】
症状からは「逆流性食道炎」が考えられ、程度を評価し治療方針を決定するためご本人と相談し、再度胃カメラを行いました。
胃カメラでは軽度の逆流性食道炎の所見を認め症状の原因と考えました。
【治療】
逆流性食道炎の治療は
①胃酸分泌過多を抑える制酸剤
②胃の動きを改善させ逆流しないようにする運動機能改善薬 などを用いて行います。
前医で処方されていた制酸剤は効果が弱く症状の改善が得られなかったため逆流性食道炎に適した制酸剤への切り替えを行い、
併せて胃の動きを改善する漢方の処方を行いました。
制酸剤はどれも同じわけではなく効果に差があるため、胃カメラで逆流性食道炎の状態を見極め、状態に合わせた適切な薬を選択することが重要です。
【経過】
投薬開始後、3日ほどで胸やけの頻度は低下してきて、2週間ほどで症状は消失し薬は終了としました。
その後も症状の再発はなく、診療自体も終了となりました。
▶胸やけの原因や治療をさらに詳しく知りたい方は、逆流性食道炎(胸やけ)の症状・治療法 もあわせてご覧ください。
ピロリ菌と胃酸について
ピロリ菌がいると胃がん・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃のリンパ腫などのリスクとなるため、基本的には薬による除菌を行います。
胃酸がしっかりと出ている胃の中では菌は生息しづらいのですが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素で胃酸を中和し胃の中に住み着きます。
ピロリ菌を除菌するとウレアーゼによる胃酸の中和がなくなるため、胃の中の胃酸の濃度は濃くなります。
ただしこれはもともとの正常な胃酸の分泌環境に戻っただけなのですが、
除菌後すぐは胃が正常な胃酸の状態に適応しきらずに一時的な胃酸分泌過多状態になってしまい、
そこにストレスや疲れなどによる胃の動きの低下が加わると逆流性食道炎が発症します。
- ピロリ菌の検査方法や除菌の流れ、除菌後の注意点については、▶ ピロリ菌外来の詳しい解説ページ でまとめています。
ピロリ菌除菌後の胸やけはいつまで続く?受診の目安
ピロリ菌除菌後の胸やけは、胃酸分泌の変化に体が慣れるまでの間に一時的に起こることがあります。
実際、除菌後に胃酸が逆流して胸やけが出ることはあるものの、多くは一時的で重い経過になることは多くないとされています。
ただし、症状が何週間も続く場合、薬を飲んでも改善しない場合、あるいは飲み込みにくさ、体重減少、吐血・黒色便などを伴う場合は、逆流性食道炎以外の病気が隠れていないか確認することが重要です。
こうした場合、胃カメラは食道炎の有無だけでなく、狭窄や腫瘍などの除外にも役立ちます。
また、ピロリ菌を除菌したあとも胃がんリスクがゼロになるわけではありません。胸やけの治療だけで終わりにせず、胃粘膜の状態に応じて定期的な胃カメラを続けることが大切です。
院長からのコメント
ピロリ菌除菌後に胃が正常な胃酸分泌に適応するのには個人差はありますが、3-12か月程度と言われており、その間に逆流性食道炎などの症状が出る方は今回のように投薬などを行い治療を行います。
胸やけなどの症状以外にも、胃痛・胃もたれ・ゲップ・吐き気などの症状が出る場合もありますのでお困りの方はご相談ください。
池袋上田胃腸クリニックでは、最短で当日中に胃カメラをお受け頂ける体制を整えています。
また鎮静剤による無痛胃カメラにも対応しております。是非ご相談ください。
※受診時間や当日の状況によっては翌日以降の検査となる場合もあります
当院の胃カメラの特徴
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ご自身に合わせた鎮静剤やスコープ調整で苦しくない内視鏡検査
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オリンパス製最新システム+高解像度スコープで小さな病変も早期発見
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土日対応、事前診察は原則不要
よくある質問FAQ
Q. ピロリ菌を除菌したあとに胸やけが起こることはありますか?
A. はい。除菌が成功したあとに、胃の酸が食道へ逆流して胸やけが起こることがあります。逆流性食道炎としてみられることがあり、一時的なものが多いとされています。【1】
Q. 除菌後の胸やけはどれくらい続くことがありますか?
A. 個人差はありますが、一時的に症状が出て、治療や経過観察で落ち着くことが多いです。ただし、数週間以上続く場合や悪化する場合、再発を繰り返す場合は再評価をおすすめします。【1】【2】
Q. 除菌後の胸やけで、すぐに胃カメラは必要ですか?
A. 軽い症状で短期間であれば、まず薬で経過をみることもあります。一方で、症状が続く場合、薬で十分に改善しない場合、診断をはっきりさせたい場合は、胃カメラが役立ちます。【2】【3】
Q. どんな症状があると早めに受診したほうがよいですか?
A. 飲み込みづらさ、体重減少、吐血や黒い便、胸やけが薬で改善しない場合は、早めに受診して胃カメラを含めた評価を受けることが大切です。【2】【3】
Q. 胃カメラで異常がなくても逆流症状はありますか?
A. あります。胸やけなどの症状があっても、内視鏡で明らかな粘膜障害を認めないタイプの逆流症状は珍しくありません。必要に応じて追加検査を検討します。【2】【4】
Q. 市販薬で様子を見てもよいですか?
A. 軽い症状が一時的であれば市販薬で楽になることもありますが、症状が長引く場合、何度も繰り返す場合、強くなっていく場合は自己判断を続けず受診をおすすめします。【2】【3】
Q. 生活習慣で気をつけることはありますか?
A. 体重管理、就寝前2〜3時間の飲食を避けること、夜間症状がある場合に頭側を高くして寝ることが勧められます。【2】【5】
Q. 胸やけ以外にどんな症状が出ることがありますか?
A. 胸やけのほかに、呑酸、胸の不快感、逆流感などを伴うことがあります。症状が多彩なため、長引く場合は消化器内科で相談するのが安心です。【2】【3】
Q. 薬を飲んでもよくならないときはどうしますか?
A. 薬の種類や飲み方の見直し、生活習慣の調整、必要に応じた胃カメラや追加評価を行います。胸やけと思っていても別の病気が隠れていることがあるため、治りにくい場合は再評価が重要です。【2】【3】
Q. ピロリ菌を除菌したあとも胃カメラは必要ですか?
A. はい。除菌によって胃がんのリスクは下がりますが、ゼロにはなりません。除菌成功後も、定期的に胃の内視鏡検査や胃がん検診を受けることが大切です。【1】
まとめ
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ピロリ菌除菌後は一時的に胃酸分泌が増え、逆流性食道炎が出やすくなります
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適切な制酸剤や運動機能改善薬で治療可能です
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胸やけ以外にも胃痛・胃もたれ・吐き気・咳など多彩な症状が出ることがあります
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生活習慣の改善(禁煙・減酒・体重コントロール)も効果的です
胸やけや胃の不調が続く方は、早めにご相談ください。
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医師紹介
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、お気軽にご相談ください。
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参考文献
- 日本ヘリコバクター学会. ピロリ菌に関するQ&A.
- Katz PO, Dunbar KB, Schnoll-Sussman FH, et al. ACG Clinical Guideline for the Diagnosis and Management of Gastroesophageal Reflux Disease. Am J Gastroenterol. 2022;117:27-56.
- American College of Gastroenterology. Acid Reflux/GERD.
- Okamoto K, Iwakiri R, Mori M, et al. Clinical symptoms in endoscopic reflux esophagitis: evaluation in 8031 adult subjects. Dig Dis Sci. 2003;48:2237-2241.
- Kaltenbach T, Crockett S, Gerson LB. Are lifestyle measures effective in patients with gastroesophageal reflux disease? An evidence-based approach. Arch Intern Med. 2006;166:965-971.
文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
