【実際の治療例】食べ物が飲み込みにくい…原因は食道カンジダ?|リスクある方は要注意
この記事でわかること
- 食べ物が飲み込みにくくなる主な原因
- 食道カンジダ症とはどのような病気か
- 吸入ステロイドと食道カンジダ症の関係
- 胃カメラでどのように診断するのか
- 実際に食道カンジダ症が見つかった40代女性の診療経過
- どのような症状があれば消化器内科を受診すべきか
「最近、食べ物が飲み込みにくい」
「固形物を食べると胸の途中で引っかかる感じがする」
「のどがおかしいのに、耳鼻科では異常なしと言われた」
このような症状が続く場合、原因が「のど」ではなく、その先にある食道に隠れていることがあります。
食べ物のつかえや飲み込みにくさは、逆流性食道炎、好酸球性食道炎、食道狭窄、食道がん、アカラシアなどさまざまな病気で起こります。食道カンジダ症という真菌感染症でも起こるため、症状だけで原因を判断することは困難です。【1】
今回は、2か月ほど続く「食事が飲み込みにくい・引っかかる」という症状で受診され、胃カメラで食道カンジダ症が見つかった40代女性の実例を専門医の東海林院長が分かりやすく解説します。
食べ物の引っかかりでお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
池袋上田胃腸クリニックでは、食べ物のつかえ・飲み込みにくさ・胸の違和感などの診療を行っています。
症状が続いている場合は、自己判断で様子を見続けずご相談ください。必要に応じて胃カメラで食道まで詳しく確認します。ぜひご相談ください。
食べ物が飲み込みにくくなる主な原因
「食べ物がつかえる」「飲み込みにくい」という症状を医学的には嚥下障害と呼びます。
食道性の嚥下障害では、炎症、感染、食道が狭くなる病気、腫瘍、食道の動きの異常などを考える必要があります。【1】
1.逆流性食道炎
胃酸の逆流によって食道粘膜に炎症が起こり、胸やけだけでなく、胸のつかえや飲み込みにくさを感じることがあります。
2.好酸球性食道炎
アレルギー反応に関わる「好酸球」が食道に集まって炎症を起こす病気です。特に「固形物がつかえる」「食事が途中で止まる」という症状の原因になります。
3.食道カンジダ症
カンジダという真菌が食道粘膜で増殖して炎症を起こします。飲み込みにくさや飲み込むときの痛み、胸の違和感などを起こすことがあります。【2】【3】
4.食道狭窄・食道がん
食道の通り道が物理的に狭くなると、最初は肉やパン、ごはんなどの固形物が通りにくくなり、進行すると水分も飲み込みにくくなることがあります。【1】
5.食道アカラシアなど食道運動の異常
食道の動きや胃とのつなぎ目が開く機能に異常が起こる病気です。固形物だけでなく、水分も飲み込みにくくなることがあります。【1】
症状の出方も診断のヒントになります
固形物だけがつかえる場合は、食道狭窄や腫瘍など食道が狭くなる病気を考えます。
一方、固形物も水分も飲み込みにくい場合には、アカラシアなど食道運動の異常も考える必要があります。【1】
ただし症状だけで病名を決めることはできません。症状が続く場合には胃カメラなどで原因を確認することが大切です。
食道カンジダ症とは?
食道カンジダ症は、カンジダという真菌(カビの仲間)が食道粘膜で増殖して炎症を起こす病気です。
カンジダはもともと口腔や消化管などにも存在する菌ですが、体全体または食道粘膜の防御機能が低下すると増殖し、感染症を起こすことがあります。【2】【4】
飲み込みにくさや飲み込むときの痛み、胸の違和感などを起こすことがあります。
食道カンジダ症の主なリスク要因
- ステロイド薬・免疫抑制薬の使用
- 吸入ステロイドの使用
- 糖尿病
- 抗菌薬の使用
- がん治療などによる免疫機能の低下
- 高齢
- PPIなど胃酸を抑える薬の使用
- 胃切除後など
日本国内の内視鏡症例を調べた研究でも、糖尿病、PPI使用、萎縮性胃炎、進行胃がん、胃切除後などと食道カンジダ症との関連が報告されています。【3】
吸入ステロイドは喘息治療に非常に重要な薬であり、自己判断で中止する薬ではありません。一方、口腔・咽頭のカンジダ感染を起こしやすくすることが知られているため、吸入後には水ですすいで吐き出すことが推奨されています。【5】
実際の治療例:40代女性「食事が飲み込みにくい、引っかかる感じ」
【症状】
2か月前から食事が飲み込みにくい感覚が続き、特に固形物で引っかかるような違和感が出現。
耳鼻科では異常なしといわれたため、食道の病気を心配して当院を受診されました。
【診察・検査】
問診で、患者さんは喘息で吸入ステロイドを使用していることが判明。
食道の病気として、以下のような鑑別疾患を考えました。
-
食道カンジダ症
-
食道炎(逆流性食道炎、薬剤性食道炎)
-
食道狭窄
-
食道がん
症状の原因を明らかにするため、胃カメラ検査(上部消化管内視鏡)を行いました。
【胃カメラ】
胃カメラにて、食道粘膜に白い斑点状の付着物を多数認め、カンジダ性食道炎と診断。
症状の原因と考えられました。
■実際の胃カメラの画像■
【治療と経過】
抗真菌薬(フルコナゾール)を投与したところ、約1週間で飲み込みづらさが改善。
その後の胃カメラでも病変は消失しました。
また、再発予防のために吸入後はうがいを徹底するよう指導しました。
今回の治療例からわかること
1.「耳鼻科で異常なし」でも食道に原因があることがあります
「のどに何か引っかかる」「飲み込みにくい」という症状があっても、耳鼻咽喉科で観察できる範囲に病変がなければ異常が見つからないことがあります。
食道の病気が疑われる場合には、胃カメラで食道を直接確認することが重要です。
2.吸入ステロイドを使っている方にも食道カンジダ症は起こります
食道カンジダ症は重い免疫低下がある方だけの病気ではありません。
吸入ステロイド、糖尿病、PPI、抗菌薬などがリスク要因となることがあり、明らかな免疫不全がない方にも認められます。【3】【4】
3.食べ物のつかえは「逆流性食道炎」と決めつけないことが大切です
食べ物がつかえる症状は、逆流性食道炎だけでなく、好酸球性食道炎、食道狭窄、食道がん、アカラシア、感染性食道炎などでも起こります。【1】
症状が続いている場合には、薬だけを続けるのではなく原因を確認することが重要です。
受診の目安|食べ物の飲み込みにくさを様子見しない方がよいケース
次のような場合は、自己判断で様子を見続けずご相談ください。
- 食べ物のつかえ・飲み込みにくさが繰り返す
- 症状が2~4週間以上続いている
- 以前よりつかえ方が強くなっている
- 固形物が通りにくい
- 水分も飲みにくくなってきた
- 飲み込むときに痛みがある
- 食事量が減ってきた
- 耳鼻科で異常なしと言われたが症状が続いている
特に症状が急速に悪化する、体重が減る、出血を伴う場合には、食道がんなどを含めた評価が必要です。【1】
池袋で「食べ物がつかえる」「飲み込みにくい」とお悩みの方へ
胃カメラでは胃だけでなく、のどから食道・胃・十二指腸まで観察できます。
池袋上田胃腸クリニックでは、患者さんの状態やご希望に合わせて鎮静剤やスコープを調整し、苦痛を抑えた検査を行っています。
WEB予約・電話予約に対応していますので、お困りの際はご相談ください。
WEB予約はこちら 03-5953-5903東海林院長からのコメント
「食べ物が飲み込みにくい」「胸で止まる感じがする」という症状は、患者さん自身では原因を判断することが難しい症状の一つです。
逆流性食道炎など比較的よくある病気の場合もありますが、好酸球性食道炎、食道カンジダ症、アカラシア、食道がんなど、治療方法がまったく異なる病気が隠れていることもあります。
今回の患者さんも、耳鼻咽喉科では原因が分かりませんでしたが、胃カメラで食道を確認したことで食道カンジダ症を診断し、適切な治療につなげることができました。
症状が長引いている場合には「そのうち治るだろう」と我慢しすぎず、一度原因を確認してみてください。
お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903
よくある質問(FAQ)
Q1.食べ物が飲み込みにくいのに耳鼻科で異常なしと言われました。何科を受診すればよいですか?
食べ物が胸の途中でつかえる、飲み込んだ後に止まる感じがする場合は、食道の病気が原因の可能性があります。消化器内科で相談し、必要に応じて胃カメラで食道を確認します。
Q2.食道カンジダ症とはどのような病気ですか?
カンジダという真菌が食道粘膜で増殖して炎症を起こす病気です。飲み込みにくさ、飲み込むときの痛み、胸の違和感などを起こすことがあります。
Q3.食道カンジダ症は人にうつりますか?
通常、一般的な風邪のように人から人へうつって発症する病気ではありません。もともと体内に存在するカンジダが、体や粘膜の防御機能が低下した際に増殖して発症することが多い病気です。
Q4.吸入ステロイドを使うと必ず食道カンジダ症になりますか?
いいえ。吸入ステロイドを使用している方すべてに起こるわけではありません。ただしカンジダ感染のリスク要因の一つと考えられているため、吸入後は処方時の指示に従い、口をすすぐことが大切です。
Q5.食道カンジダ症は胃カメラで分かりますか?
胃カメラでは食道粘膜に付着する特徴的な白色病変を直接確認できます。診断がはっきりしない場合には、生検や擦過検査などを追加することがあります。
Q6.食道カンジダ症はどのくらいで治りますか?
抗真菌薬による治療で症状が比較的早く改善することがあり、治療開始から1週間程度で症状が軽くなるケースもあります。ただし必要な治療期間は患者さんの状態によって異なるため、医師の指示どおり治療を続けてください。
Q7.食べ物がつかえると食道がんの可能性がありますか?
食道がんでも食べ物のつかえや飲み込みにくさが起こることがあります。ただし逆流性食道炎、好酸球性食道炎、食道狭窄、アカラシア、食道カンジダ症など良性疾患でも起こります。症状だけでは区別できないため、持続する場合は胃カメラなどで確認します。
Q8.固形物だけ飲み込みにくい場合は何が考えられますか?
固形物を中心につかえる場合には、食道の炎症や狭窄、腫瘍など食道の通り道が狭くなる病気を考えます。症状が続く場合には消化器内科で相談してください。
Q9.水や飲み物まで飲み込みにくい場合は何が考えられますか?
固形物だけでなく水分も飲みにくい場合には、食道アカラシアなど食道の動きに関係する病気も考えます。胃カメラで明らかな異常がなくても症状が続く場合は、食道内圧検査など追加検査が必要になることがあります。
Q10.食べ物が完全につまってしまった場合はどうすればよいですか?
食べ物が完全につまり、唾液や水分も飲み込めない場合は緊急の内視鏡処置が必要になることがあります。無理に水で流し込もうとせず、救急医療機関へ相談してください。
まとめ
- 食べ物の飲み込みにくさは、のどではなく食道の病気が原因のことがあります
- 原因には逆流性食道炎、好酸球性食道炎、食道カンジダ症、食道狭窄、食道がん、アカラシアなどがあります
- 食道カンジダ症は免疫低下がある方だけでなく、吸入ステロイドやPPIなどを使用している方にも起こることがあります
- 今回の40代女性では胃カメラで特徴的な白色病変が見つかり、抗真菌薬による治療で症状が改善しました
- 食べ物のつかえや飲み込みにくさが続く場合には、胃カメラで原因を確認することが大切です
当院の胃カメラの特徴
-
お一人お一人に合わせた鎮静剤やスコープ調整
-
次世代システム+高解像度スコープで小さな病変も早期発見
- 土日対応、事前診察は原則不要
池袋上田胃腸クリニックでは、鎮静剤による胃カメラにも対応し、最短で当日中に胃カメラをお受け頂ける体制を整えています。
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東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、池袋上田胃腸クリニックまでお気軽にご相談ください。
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文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
参考文献
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- Nassar Y, Eljabbour T, Lee H, Batool A. Possible Risk Factors for Candida Esophagitis in Immunocompetent Individuals. Gastroenterol Res. 2018;11:195-199.
- Global Initiative for Asthma. Global Strategy for Asthma Management and Prevention. 2026.
- Mohamed AA, Lu XL, Mounmin FA. Diagnosis and Treatment of Esophageal Candidiasis: Current Updates. Can J Gastroenterol Hepatol. 2019;2019:3585136.
