実際の治療例 “発見しづらい扁平な大腸ポリープ”
当院や本院を受診された患者さんの実際の治療経過です。
40代男性 便潜血検査陽性
【症状】
半年ほど前に人間ドックで大腸内視鏡検査を受け異常なしとのことでしたが、区の大腸がん検診の便潜血検査で陽性反応が出たとのことで来院されました。
【診察】
便潜血検査陽性の方には大腸がんのリスクがある状態ですが、半年前に大腸内視鏡を受けており見落としがなければガンの可能性は低いと考えられました。
ただ、ご本人が見落としのご心配をされており、また便潜血検査の陽性反応の原因も気になるとのことであり、当院で再度大腸内視鏡を行うことにしました。
【内視鏡検査】
大腸内視鏡検査を行うと深部大腸にに15㎜大の扁平なポリープを認めました
このタイプのポリープは鋸歯状腺腫と呼ばれるタイプで、扁平で丈がないのでなかなか視認しづらく、かつ多発しやすいという嫌な特徴があります。
大腸ポリープは短期間でいきなり出来るということはまずなく、今回のポリープも半年でいきなりできたのではなく、前医で指摘できなかったと考えられます。
便潜血検査陽性の要因としては直腸の出口付近に内痔核を認めそちら由来と診断しました
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【治療】
内視鏡では良性の診断であり、内視鏡で切除し治癒切除となりました。
今回のように鋸歯状腺腫は見逃されやすく、定期的に大腸内視鏡を受けていたにも関わらず大腸がんになったなどどいうお話もしばしば伺います。
当院ではこのような見逃しを減らすため、丁寧な観察を行うのはもちろんのこと、内視鏡の設備も最新のものをそろえ、襞に隠れているものを見つけるためのフードの装着など「見つけづらいポリープ」対策を行っております。
便潜血検査陽性の方に大腸内視鏡を行ってみると3%程度の方に大腸がんが見つかるとのデータがあり、便潜血陽性反応後に大腸内視鏡を施行しなかった方は施行した方に比べ、直腸ガン・大腸ガンによる死亡率が2倍以上になったとの報告(※1)もあり、便潜血陽性の方は自覚症状がなくても大腸内視鏡を受けることが大切です。
大腸内視鏡と聞くと、「痛い」「苦しい」といったイメージを持たれている方もおられると思いますが、当院は鎮静剤やスコープの調整などの様々な工夫で苦しくない無痛状態で大腸内視鏡をお受けいただけます。
※1 参考文献;Zorzi M et al Gut 2022;71(3):561-567
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