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実際の治療例 【腹痛と下痢が5日以上続く…整腸剤では治らなかった原因とは?】

[2024.11.22]

「腹痛や下痢が治らないけど、整腸剤で様子見と言われたけど治らなくて不安…」

そんなお悩みを抱えて当院に来院された患者さんの症例をご紹介します。

特に感染性腸炎は、ウイルスや細菌の種類によって症状や治療法が異なります。

「何日も治らない」「下痢の回数が多い」「発熱がある」などの症状がある場合は、放置せずに早めの精密検査をおすすめします。

 

40代 女性 腹痛・下痢が治らない

【症状】

5日前から急な腹痛と水のような下痢が始まり、翌日には発熱も出現。

近くの内科で整腸剤を処方されましたが改善せず、当院を受診されました。

【診察】

触診では下腹部に痛みがあり、水下痢はまだ1日10回以上続いている状態でした。

発熱を伴っていたこと・症状が長引いていることなどから細菌性の感染性腸炎疑いました。

前医では特に検査をしておらず、腹部エコーレントゲン血液検査で状態を評価してみることとしました。

【検査】

腹部エコーで右大腸中心に炎症像および血液検査にて炎症反応の上昇があり、中等度の大腸炎と診断しました。

上行結腸の画像です。 水色矢印の範囲で腸管が浮腫み 粘膜下層が炎症で白く見えます (黄色矢印)

右中心に起こる急性の大腸炎はカンピロバクター病原性大腸菌による細菌感染が多く、主に食中毒が原因となります。

食中毒の場合は潜伏期間があり、食べてすぐ発症することもあれば1週間くらいたってから発症する場合もあります。

今回も問診で確認すると、最初に症状がでた日の4日前に鶏の刺身を食べたとのことで、カンピロバクター腸炎を考え治療を行いました。

治療内容

①内服治療;整腸剤 漢方薬

下痢・腹痛といった胃腸炎症状を和らげます。

②抗生剤

菌を倒すために使用します。細菌性の腸炎に対して、炎症反応や症状が強い場合に用います

③食事指導

大腸炎の場合は水分が吸収できずに激しい水下痢を起こしてしまいます。

そのため水分摂取はOS1やポカリスエットなどの体に吸収されやすいもの、食事はおかゆなどの消化しやすいものを召し上がっていただきました。

【経過】

受診後2日ほど症状が続きましたが、3日目くらいから次第に和らぎ5日後に再診頂いた際にはほぼ改善している状態で、整腸剤を数日間継続していただく形で終診となりました。

ご本人も「最初の整腸剤だけでは治らなかったけれど、しっかり検査してもらって安心できた」とお話しくださいました。

【まとめ】

細菌性の腸炎は症状も激しく長引くことが多く、また激しい胃腸炎後は過敏性腸症候群になるリスクがあることが分かっており1)発症初期段階でしっかりと診断し適切な治療を行うことが大切です。

また症状が長引く場合薬が効かない場合血便を伴う場合は、感染性腸炎の他に潰瘍性大腸炎大腸がんなどの病気も考えられるため、大腸内視鏡(大腸カメラ)を行い実際に大腸の状態を確認することもあります。

このような症状は早めの受診を

  • 5日以上、腹痛や水下痢が治らない

  • 食事をとれない・体力が落ちてきた

  • 発熱や血便がある

  • 他院で「様子見」と言われたが改善しない

当院では、内視鏡専門医が腹部エコーや血液検査、大腸カメラなどを組み合わせて、原因を丁寧に見極めます。

症状の改善がなくお困りの方はお力になれますのでご相談ください!

お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903

医師紹介

東海林英典(しょうじ ひでのり)院長

📍経歴

国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行

令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。

内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。

  • 日本内科学会認定医
  • 日本消化器病学会専門医

🩺 診療にあたっての想い

「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、お気軽にご相談ください。

アクセス

1710014
東京都豊島区池袋2丁目66-10  

上田胃腸クリニック

JR 池袋駅 北口の地上出口より徒歩5分。

(北改札口を出たら左へ、突き当たり右側の階段20bから地上へ)

お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903

文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)

■関連ページ■

参考文献:

1)Barbara G, Grover M, Bercik P, et al. Rome Foundation working team report on post-infection irritablebowel syndrome. Gastroenterology 2019; 156: 46-58.e7 , 過敏性腸症候群ガイドライン2020:p5-6

一般社団法人日本感染症学会,公益社団法人日本化学療法学会 JAID/JSC感染症治療ガイド・ガイドライン作成委員会 腸管感染症ワーキンググループ:JAID/JSC感染症治療ガイドライン2015 ―腸管感染症―.感染症誌2015;90:31-65

 

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