実際の治療例【黒い便が出たら要注意!痛みがなくても見つかった十二指腸潰瘍】
「黒い便が出ていて心配…」
そんな症状が続いて受診される方が少なくありません。
黒色便は、胃や十二指腸など上部消化管からの出血が原因で起こることが多く、放置すると命に関わることもあります。
今回は、腹痛などの強い症状はなかったものの、黒い便が続いたため受診され、胃カメラで十二指腸潰瘍が見つかった50代男性の実際の治療例を専門医の院長が分かりやすくご紹介します。
黒い便でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
黒い便・タール便が続く方へ
池袋上田胃腸クリニックでは、胃カメラ検査・血液検査・腹部エコーなどを組み合わせて、黒色便の原因を確認しています。
黒い便が続く、貧血を指摘された、胃や十二指腸からの出血が心配という方は、自己判断せずご相談ください。
黒い便を起こす主な原因
黒い便には、出血によるものと、食べ物・薬による一時的なものがあります。
特に注意が必要なのは、胃や十二指腸から出血した血液が消化管を通るうちに黒く変化し、タール状の便として出てくるケースです【1】。
黒い便で考える主な原因
- 十二指腸潰瘍
- 胃潰瘍
- 胃がん
- 食道炎・食道潰瘍
- 痛み止めや抗血栓薬による薬剤性胃粘膜障害
- 小腸からの出血
- 鉄剤・イカ墨・レバーなどによる一時的な便色変化
食べ物や薬が原因で黒く見えるだけの場合もありますが、タールのように黒く、においが強く、数日続く場合は出血の可能性を考えます。
関連記事:血便の原因と治療について
赤い血便だけでなく、黒色便も消化管出血のサインになることがあります。
十二指腸潰瘍とは?便が黒くなる仕組みは?
十二指腸潰瘍とは、胃の出口の先にある十二指腸の粘膜が、胃酸や炎症などの影響で深く傷ついた状態です。
代表的な原因には、ピロリ菌感染、痛み止めであるNSAIDs、喫煙、強いストレス、体調不良などがあります。特にピロリ菌感染は、十二指腸潰瘍の発症や再発に関わる重要な要因です【2】【3】。
十二指腸潰瘍では、みぞおちの痛み、空腹時の痛み、背中の痛み、吐き気などが出ることがあります。一方で、今回のように痛みがほとんどなく、黒色便や貧血をきっかけに見つかることもあります。
潰瘍から出血すると黒い便が出ることがあり、出血量が多い場合にはふらつき、動悸、冷や汗、血圧低下などを起こすこともあります。重症化すると、内視鏡での止血処置や入院治療が必要になる場合もあります【1】【4】。
関連記事:十二指腸潰瘍とは?原因・症状・治療法
十二指腸潰瘍の原因や治療について詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
実際の治療例|50代男性「黒い便が続いている」
【症状】
数日前から黒い便が続いており、一向に改善しないため心配になって当院を受診された
【診察】
診察では腹痛などの自覚症状はなく、体調も普段通りでしたが、黒色便(タール便)が続いているとのことで、
食道・胃・十二指腸や小腸などの上部消化管からの出血の可能性があり、血液検査と胃カメラ(内視鏡検査)を行いました。
【検査・診断】
血液検査:軽度の貧血(Hb低下)
胃カメラを実施したところ、ピロリ菌による萎縮性胃炎と十二指腸球部に浅い潰瘍性病変を確認。
潰瘍には出血を来したと思われる血液の付着も認め、黒色便の原因と考えました。
■実際の胃カメラの画像■
黄色部分が潰瘍です。粘膜の表面が炎症によってえぐれて白く見えます。一部に出血の形跡が見られます(矢印部分)
関連記事:池袋で胃カメラ検査をご希望の方へ
黒色便がある場合、胃・食道・十二指腸を直接確認できる胃カメラが重要です。
【治療】
プロトンポンプ阻害薬(PPI)を使用し、胃酸の分泌を抑えて潰瘍の治癒を促進。
内服開始後2週間で黒色便は消失し、1か月後の再検で潰瘍はほぼ治癒していました。
その後、潰瘍の再発予防のためピロリ菌の除菌を行い診療終了となりました。
黒い便で受診すべき目安
黒い便が1回だけで、イカ墨・鉄剤・レバーなど明らかな原因がある場合は、便色の変化だけで緊急性が高いとは限りません。
ただし、次のような場合は、消化管出血の可能性があるため早めの受診をおすすめします。
- 黒い便が2日以上続く
- タールのように黒くベタッとしている
- 便のにおいがいつもより強い
- ふらつき・動悸・息切れがある
- 貧血を指摘された
- 吐き気や吐血がある
- 痛み止めや血液をサラサラにする薬を飲んでいる
- 過去に胃潰瘍・十二指腸潰瘍・ピロリ菌を指摘されたことがある
特に、ふらつき、冷や汗、吐血、強い腹痛、意識がぼんやりするなどの症状がある場合は、早急な対応が必要になることがあります。
院長からのコメント
黒い便は、「痛みがないから大丈夫」と判断しにくい症状です。
十二指腸潰瘍は、みぞおちの痛みや背中の痛みを伴うこともありますが、今回のように痛みが目立たず、黒色便や貧血をきっかけに見つかることもあります。
胃や十二指腸からの出血は、放置すると貧血が進んだり、出血量が増えて入院や緊急内視鏡が必要になる場合もあります。
池袋上田胃腸クリニックでは、鎮静剤による無痛胃カメラにも対応し、最短で当日中に胃カメラをお受け頂ける体制を整えています。
黒い便が続く方、過去にピロリ菌や潰瘍を指摘された方は、早めにご相談ください。
📞 お電話でのお問い合わせ:03-5953-5903
※受診時間や当日の状況によっては翌日以降の検査となる場合もあります
当院の胃カメラの特徴
-
ご自身に合わせた鎮静剤やスコープ調整で苦しくない内視鏡検査
-
オリンパス製最新システム+高解像度スコープで小さな病変も早期発見
- 土日対応、事前診察は原則不要
よくある質問
Q1. 黒い便が出たら必ず病気ですか?
必ず病気とは限りません。鉄剤、イカ墨、レバーなどで便が黒くなることもあります。ただし、タール状で黒くベタッとした便が続く場合は、胃や十二指腸からの出血の可能性があるため受診をおすすめします。
Q2. 黒い便と血便は違いますか?
血便は赤い血が混じる便を指すことが多く、大腸や肛門からの出血で見られます。一方、黒い便は胃や十二指腸など上部消化管からの出血で起こることがあります。
Q3. 痛みがなくても十二指腸潰瘍のことはありますか?
あります。十二指腸潰瘍ではみぞおちの痛みや背中の痛みが出ることがありますが、痛みが目立たず、黒色便や貧血で見つかることもあります。
Q4. 黒い便が1回だけなら様子を見てもよいですか?
食事や鉄剤など明らかな原因があり、すぐに通常の便色に戻る場合は緊急性が低いこともあります。ただし、黒い便が続く、ふらつきがある、貧血を指摘された場合は早めに受診してください。
Q5. 黒い便が出たときは胃カメラが必要ですか?
胃や十二指腸からの出血が疑われる場合、胃カメラで出血源を確認することが重要です。状態によっては血液検査や腹部エコーなども組み合わせて判断します。
Q6. 十二指腸潰瘍は薬で治りますか?
多くの場合、胃酸を抑える薬などで改善が期待できます。ただし、出血が多い場合や穿孔が疑われる場合は、内視鏡治療や入院治療が必要になることがあります。
Q7. 十二指腸潰瘍とピロリ菌は関係ありますか?
関係があります。ピロリ菌は十二指腸潰瘍の重要な原因の一つです。ピロリ菌が確認された場合は、潰瘍治療後に除菌治療を行うことで再発予防につながります。
Q8. 市販の胃薬で様子を見てもよいですか?
黒い便が続いている場合、市販薬で一時的に症状が軽くなっても出血の原因が残っている可能性があります。自己判断で長く様子を見ず、医療機関で相談してください。
Q9. 黒い便が出たときに救急受診が必要な症状はありますか?
吐血、強いふらつき、冷や汗、動悸、息切れ、意識がぼんやりする、強い腹痛がある場合は、出血量が多い可能性があるため早急な受診が必要です。
Q10. ピロリ菌を除菌すれば胃カメラは不要になりますか?
除菌後も、萎縮性胃炎がある方では胃がんリスクが完全になくなるわけではありません。医師の判断に応じて、定期的な胃カメラを受けることが大切です。
まとめ
黒い便は、食事や薬による一時的な変化のこともありますが、胃や十二指腸からの出血を示す重要なサインのことがあります。
- タール状の黒い便は、上部消化管出血で起こることがあります。
- 十二指腸潰瘍は、痛みがなくても黒色便や貧血で見つかることがあります。
- 黒い便が続く場合は、胃カメラで原因を確認することが大切です。
- ピロリ菌が原因の場合は、潰瘍治療後の除菌が再発予防につながります。
- ふらつき・吐血・冷や汗・強い腹痛がある場合は早急な受診が必要です。
関連ページ
医師紹介
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「検査はつらい、怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、“苦痛の少ない胃カメラ・大腸カメラ” を心がけています。
初めての方や検査に不安がある方でも、「ここで受けてよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、お気軽にご相談ください。
アクセス
〒1710014
東京都豊島区池袋2丁目66-10
上田胃腸クリニック(池袋駅 北口から徒歩5分)
- JR「池袋」北改札 → 左へ → 20b出口から地上へ
- 文化通りを直進、「スーパーホテル」「まいばすけっと」を左手に通過
- その先の十字路を越え、左手4軒目が当院です(迷ったら 03-5953-5903)
▶お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903
▶WEB予約は【こちら】
参考文献
- NICE. Acute upper gastrointestinal bleeding in over 16s: management. Clinical guideline CG141.
- 日本消化器病学会. 消化性潰瘍診療ガイドライン2020 改訂第3版.
- 日本ヘリコバクター学会. H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2024改訂版.
- Laine L, et al. ACG Clinical Guideline: Upper Gastrointestinal and Ulcer Bleeding. Am J Gastroenterol. 2021.
文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
