食後の胃痛が2週間以上つづく…「いつものこと」と放置しないで|腹部エコー+胃カメラで胃潰瘍を早期発見した40代男性の実例
「食後に胃が痛いけど、しばらくすると落ち着くから大丈夫」
——そう思って様子見していませんか?胃痛はよくある症状の一方で、胃潰瘍のはじまりや、まれに胃がんなど“見逃したくない病気”のサインになっていることもあります。
今回は、2〜3週間つづいた食後の胃痛が急に強くなり受診された40代男性の実例を消化器専門医の東海林院長がわかりやすくお伝えします。
食後の胃痛でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
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※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
実際の治療例|40代男性「食後の胃痛が悪化した」
症状
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2〜3週間前から、食後にみぞおち周辺の痛み
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痛みは時間とともに落ち着くため様子見
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前日から痛みが強くなり受診
※「痛みが増える」「頻度が増える」「食べられない」などは、検査で原因確認を急ぐサインです。
診察
食後の胃痛は、胃だけが原因とは限りません。問診・診察では次のような病気を幅広く考えます。
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胃潰瘍/十二指腸潰瘍(ピロリ菌、NSAIDsなど)【1】
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急性胃炎・びらん
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機能性ディスペプシア(FD)(内視鏡で異常がないのに症状が続くタイプ)
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胆石症・胆のう炎(食後の右上腹部痛・背部痛がヒント)
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急性膵炎・慢性膵炎の増悪(背中の痛み、飲酒歴など)
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(まれに)胃がんなど腫瘍性病変:内視鏡での確認が重要
こんな症状があれば早めの受診を
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黒い便(タール便)/吐血
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貧血、体重減少、食欲低下
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強い痛みが続く、夜間に目が覚める
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38℃以上の発熱、嘔吐が止まらない
今回は、胃だけでなく胆のう・膵臓などの可能性もあるため、腹部エコーと胃カメラを行い状態を確認することとしました。
検査(腹部エコー+胃カメラ)
① 腹部エコー(超音波)
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胆石、胆のう炎、膵臓の異常などを確認
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今回は 胆のう・膵臓に明らかな異常なし
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一方で、胃潰瘍を疑う所見(胃壁の腫れなど)を認め、胃カメラへ

胃の一部に潰瘍と思われる領域を認め(丸で囲まれた部位)、周囲の胃壁が潰瘍による炎症によって腫れている状態でした(矢印部分)。
② 胃内視鏡(胃カメラ)
- 胃の出口付近に胃潰瘍を確認

胃の出口付近にえぐれて窪んだ部分があります(青丸部分)。
ここが胃潰瘍部分で、内視鏡で見ると中心が白みがかった窪みとして認識されます。表面の粘膜が炎症により欠損した状態です。
💡当院では最短当日に胃カメラがお受け頂けます。
また鎮静剤による無痛胃カメラにも対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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関連ページ
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胃潰瘍とは
胃潰瘍は、胃酸などの影響で胃粘膜が深く傷つき、えぐれた状態です。
主な原因は以下が代表的です【1】。
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ピロリ菌感染(潰瘍の大きな原因の一つ)
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痛み止め(NSAIDs)や低用量アスピリン
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喫煙、過度の飲酒、強いストレスなど(悪化要因)
放置すると、出血や穿孔(胃に穴が開く)などの合併症につながることがあり、適切な治療が大切です【1】。
治療
今回は潰瘍が軽度で出血もなく、内服治療で進めました(ガイドラインでもPPI等が基本治療です)【1】。
① 制酸薬(胃酸を抑える:PPI)
胃酸分泌を抑えて、粘膜が治る環境を整えます【1】。
※症状は先に軽くなることが多いですが、潰瘍自体の治癒には一定期間が必要です【1】。
② 粘膜保護薬
粘膜の防御を助け、痛みの改善を後押しします【1】。
③ 食事指導(短期間)
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刺激物、脂っこいもの、アルコールを控える
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消化の良い食事(おかゆ・うどん・和食中心)を短期間
経過
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投薬開始翌日:痛みがかなり軽快
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1週間後の再診:痛みはほぼ消失
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1か月後の再診:通常食に戻しても問題なく経過
予防(ピロリ菌が陽性だったため“再発予防”へ)
今回、ピロリ菌(H. pylori)が陽性だったため、除菌治療を行い、潰瘍の再発リスクを下げる方針としました【1】。
実際、除菌成功後は潰瘍再発が大きく減ることが報告されています【2】。
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除菌治療:内服を規定期間しっかり継続
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その後:呼気検査などで除菌成功を確認
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検査の精度を上げるため、PPI等の休薬が必要になる場合があります【4】
また、除菌は胃がんリスクを下げますがゼロにはしません。年齢や胃粘膜の状態に応じて、定期的な胃カメラでの確認をおすすめします【3】。
院長からのコメント
胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、悪化すると出血や穿孔など緊急対応が必要になることがあります【1】。
「胃痛が続く」「急に痛みが強くなった」「背中まで痛い」などのときは、早めの受診が安全です。
また、症状がある方全員に“いきなり胃カメラ”が最適とは限りません。
今回のように、腹部エコーで胆のう・膵臓も含めて評価し、胃カメラの適切なタイミングを逃さないことが有用なケースも多いと感じています。
💡当院は池袋駅から徒歩5分程度でアクセス可能です。お気軽にご相談ください。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 食後の胃痛が2週間以上つづく場合、受診した方がいいですか?
A1. いつもと違う痛みが2週間以上つづく・悪化する場合は、胃潰瘍などの可能性があるため受診がおすすめです。必要に応じて腹部エコーや胃カメラで原因を確認します【1】。
Q2. 胃痛の原因は「胃」だけですか?
A2. いいえ。胆石症や膵炎など、胃以外が原因のこともあります。食後痛では腹部エコーで胆のう・膵臓を評価し、必要に応じて胃カメラで確定診断します【1】。
Q3. 胃潰瘍は何が原因で起こりますか?
A3. 代表的なのはピロリ菌感染と痛み止め(NSAIDs)です。喫煙や飲酒なども悪化要因になります【1】。
Q4. 胃潰瘍を放置するとどうなりますか?
A4. 出血(黒い便・吐血)や穿孔(胃に穴が開く)などの合併症につながることがあります。強い痛みや悪化があれば早めの受診が安全です【1】。
Q5. 胃潰瘍はどのくらいで治りますか?
A5. 症状は先に改善することが多い一方、潰瘍自体の治癒には一定期間が必要です。基本治療はPPI等で、医師の指示通り継続することが大切です【1】。
Q6. 痛み止め(NSAIDs)を飲んでいます。胃痛が出たら中止すべき?
A6. NSAIDsは潰瘍の原因になり得ます。自己判断で中止・継続せず、必要性や代替薬も含め医師に相談してください。潰瘍が疑われる場合はPPI等で治療します【1】。
Q7. ピロリ菌を除菌すると、胃潰瘍は再発しにくくなりますか?
A7. はい。除菌成功後は潰瘍再発が大きく減ることが報告されています【2】。再発予防のため、除菌の確認検査まで行うことが重要です【4】。
Q8. 除菌後、胃がんの心配はなくなりますか?
A8. 除菌は胃がんリスクを下げますが、ゼロにはなりません。年齢や胃粘膜の状態に応じて定期的な胃カメラを検討します【3】。
Q9. 胃カメラが怖いのですが、苦しくない方法はありますか?
A9. 鎮静剤の使用や、スコープの選択で無痛でお受けいただくことも可能です。既往歴や体質により適した方法が異なるため、事前にご相談ください【1】。
Q10. すぐ救急受診した方がいい症状は?
A10. 吐血、黒い便、立てないほどの強い腹痛、冷や汗、繰り返す嘔吐、意識が遠のく感じがある場合は、消化管出血や穿孔などの可能性があるため、救急受診を検討してください【1】。
まとめ
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食後の胃痛が2週間以上つづく/悪化するなら、放置せず受診を
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胃痛は胃だけでなく、胆石・膵臓などが原因のこともある
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腹部エコー+胃カメラで、原因を早期に特定しやすい
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胃潰瘍はPPI等の内服で改善が期待できるが、自己中断はNG【1】
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ピロリ菌陽性なら除菌で再発予防、除菌後も定期胃カメラが安心【2】【3】
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関連ページ
参考文献(本文の【番号】と対応)
【1】日本消化器病学会(JSGE). Evidence-based clinical practice guidelines for peptic ulcer disease 2020(英語版). J Gastroenterol. 2021.
【2】Miwa H, Sakaki N, Sugano K, et al. Recurrent peptic ulcers in patients following successful Helicobacter pylori eradication: a multicenter study of 4940 patients. Helicobacter. 2004.
【3】Sugano K. Effect of Helicobacter pylori eradication on the incidence of gastric cancer: a systematic review and meta-analysis. Gastric Cancer. 2019.
【4】Chey WD, Howden CW, Moss SF, et al. ACG Clinical Guideline: Treatment of Helicobacter pylori Infection. Am J Gastroenterol. 2024.
医師紹介
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
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文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
