食後に胃がキリキリ…それ「胃炎」だけじゃないかも|原因・検査・治療・受診目安を専門医が解説
「食後になると胃が痛い」「食べるのが怖くなってきた」——
このタイプの胃痛は、よくある一方で原因の幅がとても広い症状です。
胃炎や胃潰瘍のこともあれば、逆流性食道炎、胆のう(胆石)や膵臓、そして“検査で異常がないのに症状が続く”機能性ディスペプシア(FD)のこともあります。
この記事では、食後の胃痛の「原因」「必要な検査」「治療」「受診の目安」を、消化器専門医の東海林院長がわかりやすくお伝えします。
食後の胃痛でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
▶池袋上田胃腸クリニックではWEB予約・電話予約を受け付けています。お悩みの方はぜひご相談ください。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
食後の「胃痛」とは?
食後の胃痛とは、食事のあと(数分〜数時間以内)に、みぞおち周辺を中心に痛み・重さ・焼ける感じが出る状態です。
ポイントは次の3つです。
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いつ痛む?(食後すぐ/1〜2時間後/夜間もある)
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どこが痛む?(みぞおち/右上腹部/胸のあたり)
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何を伴う?(吐き気、胸やけ、体重減少、黒い便 など)
これで疑う病気がかなり絞れます。
原因と鑑別疾患
1) 胃炎・胃潰瘍/十二指腸潰瘍(ピロリ菌・NSAIDsが鍵)
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みぞおちがキリキリ、食後〜空腹時に痛む
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市販薬で一時的に良くなっても再燃しやすい
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背景にピロリ菌や、痛み止め(NSAIDs)・解熱鎮痛薬使用が関連することがほとんど
2) 逆流性食道炎(GERD)
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みぞおちの上の方から胸部の痛み、胸やけ・呑酸(酸っぱいものが上がる)を伴うことが多い
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食後・前かがみ・寝る前に悪化しやすい
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咳・のどの違和感として出ることもある
3) 機能性ディスペプシア(FD)
胃カメラなどで大きな異常がないのに、
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食後のもたれ(膨満感)
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早期膨満感(少しで満腹)
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みぞおちの痛み・灼熱感が続く状態です。
4) 胆石・胆のう炎/胆道系の痛み
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脂っこい食事の後、1-2時間して発症することが多い
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痛む場所が右上腹部〜みぞおち
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吐き気、背中の痛み、発熱を伴うことも
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腹部エコーが有用
5) 膵炎など膵臓の病気
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みぞおち〜背中に抜ける強い痛み
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嘔吐、発熱、飲酒との関連→ 血液検査(膵酵素)+エコー・CTなどの画像検査が必要
必要な検査
💡まずは問診・診察でここを確認
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痛みのタイミング(食後すぐ/数時間後/夜間)
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併存症状(胸やけ、嘔吐、発熱、黒色便、体重減少)
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服薬(NSAIDs、ステロイド、骨粗鬆症薬など)
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飲酒・喫煙、ストレス、睡眠、食習慣
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家族歴(胃がんなど)
胃カメラ(上部内視鏡)
次に当てはまる場合は胃カメラを検討します
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50歳以上で新規発症
- ピロリ菌陽性を指摘されている
- 痛み止めや鎮痛剤を飲んでいる
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黒い便・吐血・貧血
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体重減少、飲み込みにくさ、持続する嘔吐 など
■実際の胃カメラで指摘された胃潰瘍
胃の出口付近に胃潰瘍(黄色部分)を認めました。
血液検査
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貧血(出血のサイン)
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炎症反応
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肝胆道系・膵酵素(胆石・胆のう炎・膵炎の鑑別)
腹部エコー
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胆石・胆のう・膵臓由来の痛みが疑わしいときは腹部エコーが第一選択になります。
■実際の腹部エコーで指摘された胆のう炎

胆のうの短径が50㎜大と腫大し(青矢印)、壁が3㎜大と肥厚し(赤矢印)白く見えています。
👉当院では最短当日に胃カメラがお受け頂けますので、お気軽にお問い合わせください。
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▶ WEB予約/▶ 電話相談:03-5953-5903
- 関連ページ:無痛胃カメラ|実際の検査の流れや鎮静剤・スコープ選択による無痛胃カメラの詳細がご確認いただけます
- 関連ページ:エコー検査|実際の流れや検査で分かる病気の詳細がご確認いただけます
治療・予防
治療は「原因別」が原則です。自己判断で長引かせないのがコツです。
胃炎・胃潰瘍/十二指腸潰瘍
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胃酸分泌抑制薬(PPIなど)
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NSAIDsが関与していれば中止・変更を検討
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ピロリ菌陽性なら除菌(将来の胃がんや潰瘍のリスク低下も期待)
逆流性食道炎(GERD)
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PPIなどで酸を抑える
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生活:就寝前の食事を避ける、体重管理、刺激物・脂肪食の調整(生活指導やPPI治療について言及があります)
機能性ディスペプシア(FD)
FDは“気のせい”ではなく、治療選択肢があります。
日本のガイドラインでは、第一選択に酸分泌抑制薬、アコチアミド、六君子湯などが挙げられ、反応が乏しい場合は抗不安薬/抗うつ薬、他の消化管運動改善薬、他の漢方などを検討します。
胆石・膵炎などが疑われる場合
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痛みが強い・発熱・嘔吐がある場合は、早めに医療機関で評価(点滴・入院や外科紹介が必要なことも)
ご自宅でできる「悪化させないコツ」(受診までのつなぎ)
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刺激物・脂っこい食事・アルコールを控える
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1回量を減らして回数を分ける(胃の負担を減らす)
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痛み止め(NSAIDs)を自己判断で増やさない
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黒い便、吐血、強い嘔吐が出たら様子見しない
実際の治療例|60代女性「胃薬を飲んでいるが胃の痛みが治まらない」
【症状】
1か月ほど前から食後に胃の痛みが出る状態が続いていました
かかりつけの内科で相談し、胃薬を処方されて様子を見ていましたが、痛みが改善せず来院。
【診察】
胃薬を飲んでも改善しない場合、診察では以下のような疾患を鑑別に挙げます。
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胃潰瘍・十二指腸潰瘍
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胃がん
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機能性ディスペプシア
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胆のう・膵臓・大腸炎など胃以外の病気
症状だけでの鑑別が非常に難しく、正しく状態を把握し、治療方針を立てるため腹部エコーと血液検査・胃カメラ(内視鏡検査)を行いました。
【検査】
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血液検査:炎症や胆のう・膵臓などの数値の確認➡異常なし
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腹部エコー:胆のう・膵臓な・腸炎の評価➡異常なし
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胃カメラ(上部消化管内視鏡):胃の粘膜を直接観察➡胃潰瘍を認め、痛みの原因と診断しました。
<実際の内視鏡画像>
胃の出口付近の粘膜が炎症によりえぐれて潰瘍となっていました
【治療】
今回かかりつけ医で胃薬を処方されたにもかかわらず胃痛が改善しなかった理由は、「胃薬の種類・強さが十分でなかった」ことが原因でした。
治療内容
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胃酸分泌をしっかり抑える適切な胃薬へ変更
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潰瘍治癒後にピロリ菌除菌治療を実施
治療により、胃の痛みは徐々に改善。胃カメラで潰瘍の治癒を確認し、ピロリ菌除菌を行い、無事に終診となりました。
院長からのコメント
食後の胃痛は、「胃炎」「ストレス」と片付けられがちですが、胃潰瘍・逆流性食道炎・FD・胆石・膵炎など、治療方針がまったく変わる病気が混ざっています。
特に、年齢が上がってからの新規発症、黒い便・吐血・体重減少・貧血などがある場合は、先延ばしにせず早めに胃カメラで確認するのが安全です。
一方で、検査で大きな病気が否定できたあとも症状が続く方は多く、FDのようにきちんと治療の選択肢がある疾患として整理すると、改善の道筋が見えてきます。
💡当院ではWEB予約・電話予約を受け付けていますので、お気軽にご相談ください。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
よくある質問FAQ
Q1. 食後だけ胃が痛いのは、胃潰瘍ですか?
A. 胃潰瘍のこともありますが、逆流性食道炎・胆石・機能性ディスペプシア(FD)などでも起こります。続く場合は原因確認が大切です。
▶関連ページ:胃潰瘍について
Q2. 何日くらい続いたら受診すべきですか?
A. 目安として1週間前後続く、頻度が増える、市販薬で改善しない場合は受診をおすすめします。
Q3. 黒い便が出ました。様子見でいいですか?
A. 上部消化管出血の可能性があるため、基本は早e早め(当日〜至急)に受診してください。
Q4. 吐き気もあるのですが、胃腸炎ですか?
A. 胃腸炎のこともありますが、潰瘍・胆のう・膵臓の病気でも吐き気は出ます。特に痛みを伴う場合は受診をおすすめします。
Q7. 食後の右上腹部痛は何が多い?
A. 胆石など胆のう由来が多いパターンです。脂っこい食事で悪化しやすく、腹部エコーが役立ちます。
Q8. ストレスで食後の胃痛は起こりますか?
A. 起こります。機能性ディスペプシア(FD)では睡眠・運動不足・食習慣なども関与し得ます。
Q9. 市販の胃薬で良くなれば放置していい?
A. 一時的に改善しても、潰瘍やピロリ菌が背景にあると再燃することがあります。繰り返すなら評価がおすすめです。
Q10. 受診前にやってはいけないことは?
A. 痛み止め(NSAIDs)の自己増量、飲酒、暴飲暴食は避けてください。黒い便・吐血・強い嘔吐がある場合は様子見せず、なるべく早く受診してください。
まとめ
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食後の胃痛は、胃炎だけでなく潰瘍・逆流・胆石・FDなど原因が幅広い
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50歳以上の新規発症、黒い便・吐血・体重減少・貧血・持続嘔吐は早めに評価
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検査は胃カメラ+ピロリ菌検査が軸。胆石が疑わしければ腹部エコー
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FDは“異常なし”で終わりではなく、治療の選択肢がある
お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903
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関連ページ
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▶ 無痛胃カメラ|実際の検査の流れや鎮静剤・スコープ選択による無痛胃カメラの詳細がご確認いただけます
参考文献
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ASGE Standards of Practice Committee. The role of endoscopy in dyspepsia. Gastrointest Endosc. 2015.
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Moayyedi P, et al. ACG and CAG Clinical Guideline: Management of Dyspepsia. Am J Gastroenterol. 2017.
-
NICE. Gastro-oesophageal reflux disease and dyspepsia in adults: investigation and management (CG184). Updated 2019.
-
Miwa H, et al. Evidence-based clinical practice guidelines for functional dyspepsia 2021. J Gastroenterol. 2022.
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Malfertheiner P, et al. Maastricht VI/Florence consensus report on Helicobacter pylori management. Gut. 2022.
医師紹介
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、池袋上田胃腸クリニックまでお気軽にご相談ください。
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文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
