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風邪じゃないのに咳が3か月…呼吸器で異常なしでも見つかった逆流性食道炎【40代男性の治療例】

[2026.03.09]

「風邪はもう治っているはずなのに、咳だけがずっと残る」

「呼吸器科でレントゲンや呼吸機能検査をしても異常なしと言われた」

そんなとき、原因が肺ではなく食道にあることがあります。

一般に8週間を超えて続く咳は慢性咳嗽とされ、原因は咳喘息や後鼻漏だけでなく、胃食道逆流症(GERD)も鑑別に入ります【1】【5】【6】。

また、逆流性食道炎は胸やけだけの病気ではなく、咳・のどの違和感・声がれなど、いわゆる食道外症状として見つかることもあります【1】【2】。

今回は、呼吸器科で大きな異常がないと言われたあとに、食後に悪化する咳を手がかりとして胃カメラを行い、逆流性食道炎が見つかった40代男性の実例をご紹介します。

 

長引く咳でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。

▶池袋上田胃腸クリニックではWEB予約・電話予約を受け付けています。同様の症状でお悩みの方はぜひご相談ください。

WEB予約はこちら 03-5953-5903

※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。

 

実際の治療例|40代男性「風邪ではない咳が3か月続く」

症状

3か月前から咳が続いており、まず呼吸器科を受診されました。

胸部レントゲンや呼吸機能検査では明らかな異常を認めず、咳止めで経過をみていましたが改善しませんでした。

その後、別の呼吸器科で

逆流性食道炎でも咳が続くことがある

と説明され、消化器内科での精査目的に当院を受診されました。

 

診察|長引く咳でまず考えるべき鑑別疾患

慢性咳嗽では、いきなり「逆流が原因」と決めつけるのではなく、まずは原因を整理することが大切です。

ガイドラインでも、咳・のど症状などの食道外症状は逆流性食道炎だけで説明できないこともあり、他の原因の評価を先に行うことが推奨されています【1】【2】。

長引く咳で鑑別に挙げる代表的な病気は、次のようなものです【1】【5】【6】。

  • 咳喘息・気管支喘息

  • 後鼻漏(鼻水がのどに落ちる状態)や副鼻腔炎

  • 感染後咳嗽

  • 薬剤性の咳(ACE阻害薬など)

  • 胃食道逆流症(逆流性食道炎)

  • まれに肺腫瘍、間質性肺炎、結核など

この方は、呼吸器科で胸部レントゲン・呼吸機能検査に大きな異常がなく、さらに「食後は咳が出ることが非常に多い」という特徴がありました。

この時間的な関連から、胃酸や胃内容物の逆流が咳を誘発している可能性を考え、胃カメラ(上部内視鏡検査)を行いました。

 

検査|胃カメラで下部食道の炎症を確認

胃カメラを行ったところ、下部食道に縦走する炎症所見(黄色部分)を認め、逆流性食道炎と診断しました。

 

逆流性食道炎とは?

逆流性食道炎は、胃酸や胃内容物が食道へ逆流し、食道粘膜に炎症を起こす病気です【1】【4】。

通常は、胃と食道の境目にある仕組みや重力、食道の動きが逆流を防いでいますが、それらのバランスが崩れると逆流しやすくなります【1】【4】。

典型症状は胸やけ酸っぱいものが上がってくる感じ(呑酸)ですが、それだけではありません。

特に、咳や喉の違和感、痰がらみなど上気道症状として現れるタイプ(咽喉頭逆流症:LPRD)もあります【1】。

逆流性食道炎でみられる症状一覧

胸やけ以外にも、以下のような多彩な症状がみられます。

症状の部位 主な症状
胸・みぞおち 胸やけ、胸の痛み、胃の不快感
のど・口 のどの違和感、声のかすれ、咳、痰がらみ
呼吸器系 慢性咳嗽(長引く咳)、夜間の咳、喘息様症状
消化器系 吐き気、げっぷ、食後の胃もたれ
睡眠時 寝ているときの咳、逆流感による目覚め

治療|胃酸を抑える治療で咳は軽快

この方には、症状と胃カメラ所見から逆流性食道炎との関与が強いと考えられたため、

  • 胃酸の分泌を抑える薬

  • 粘膜を保護する薬

  • 胃の動きを補助して逆流しにくくする治療

を組み合わせて開始しました。

その結果、治療開始から約2週間で咳は軽くなり、1か月ほどでほぼ消失しました。

GERD治療では、胃酸分泌を抑える薬が中心になります【1】【4】。

ただし、慢性咳嗽ではPPIだけで全例が改善するわけではなく、生活調整や他原因の見直しも重要です【2】【3】。

あわせて大切な生活習慣
  • 食べ過ぎを避ける

  • 就寝前の食事を控える

  • 高脂肪食・アルコール・コーヒーなどで悪化しないか確認する

  • 体重管理を行う

  • 夜間症状がある場合は頭側を少し高くして寝る

これらは日本消化器病学会でも、逆流性食道炎対策として挙げられています【1】【4】。とくに体重管理頭側挙上は改善効果が比較的期待しやすい生活調整です【1】【4】。

院長からのコメント

長引く咳で悩まれている方の中には、

「レントゲンで異常なしだから大丈夫」「胸やけがないから胃酸逆流ではない」

と思ってしまう方が少なくありません。

ですが実際には、慢性咳嗽の背景に逆流が関与していることはあります

「咳が長い」「食後に出やすい」「夜に悪化する」「呼吸器で異常なしと言われた」このような場合は、一度消化器内科の視点でも確認してみる価値があります。

池袋上田胃腸クリニックでは、こうした胸やけのない逆流関連症状についてもご相談を受けています。

気になる方は、WEB予約またはお電話でご相談ください。

お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903

 

よくある質問(FAQ)

Q:咳が3か月続いています。これは「慢性咳嗽」ですか?

A:はい。一般に8週間を超えて続く咳は慢性咳嗽とされます。風邪の延長だけでなく、咳喘息、後鼻漏、逆流性食道炎など複数の原因を考えていく必要があります【5】【6】。

 

Q:胸やけがなくても逆流性食道炎の可能性はありますか?

A:あります。逆流性食道炎は胸やけや呑酸が典型ですが、咳、のどの違和感、声がれなどの食道外症状だけが前面に出ることもあります【1】【2】。

 

Q:食後に必ず咳が出るのですが、逆流性食道炎を疑った方がいいですか?

A:食後の悪化は逆流を疑う手がかりのひとつです。ただし、咳だけで原因を断定することはできません。症状の出方、他科での検査結果、胃カメラや必要に応じた検査を総合して判断します【1】【2】。

 

Q:呼吸器科で異常なしなら、次は消化器内科を受診してもよいですか?

A:はい。慢性咳嗽は呼吸器だけが原因とは限らず、逆流性食道炎が関与することもあります。とくに食後や夜間に悪化する場合、胸やけ以外の逆流症状がある場合は、消化器内科での評価が役立つことがあります【1】【3】。

 

Q:胃カメラをすれば、咳の原因がすべて分かりますか?

A:胃カメラは食道炎や他の食道・胃の病気を確認するうえで重要ですが、咳の原因をそれだけで100%決める検査ではありません。現在は、症状、他科評価、内視鏡所見、治療反応、必要時の逆流検査を合わせて判断します【1】【2】。

 

Q:逆流性食道炎による咳は、夜にも悪化しますか?

A:はい。横になることで逆流しやすくなり、夜間や就寝中に咳が出やすくなることがあります。夜間症状がある方では、就寝前の食事を避ける、頭側を少し高くして寝るといった工夫が勧められます【1】【4】。

 

Q:胃酸を抑える薬を飲めば、すぐに咳は止まりますか?

A:改善までの速さには個人差があります。逆流性食道の治療では胃酸分泌抑制薬が基本ですが、慢性咳嗽では制酸剤だけで十分でないこともあり、生活調整や他原因の再評価も大切です【2】【3】【4】。

 

Q:咳止めが効かなかったのですが、逆流性食道炎が原因のことはありますか?

A:あります。逆流が関与する咳では、一般的な咳止めだけでは十分に改善しないことがあります。食後に悪化する、夜間に出る、のどの違和感を伴う場合は逆流の関与も考えます【1】【2】。

 

Q:再発を防ぐには、どんなことに気をつければよいですか?

A:食べ過ぎを避ける、就寝前の食事を控える、体重管理を行う、症状が悪化しやすい飲食物を把握することが大切です。夜間症状がある方では頭側挙上も役立ちます【1】【4】。

 

Q:どんな咳なら早めに受診した方がいいですか?

A:8週間以上続く咳、血痰、体重減少、息苦しさ、発熱の持続、飲み込みにくさ、夜間に眠れないほどの咳がある場合は、早めの受診が勧められます。慢性咳嗽では呼吸器疾患だけでなく、逆流性食道も含めて原因を整理することが重要です【1】【5】【6】。

まとめ

  • 3か月以上続く咳は、風邪の延長ではなく慢性咳嗽として原因検索が必要です【5】【6】。

  • 長引く咳の原因は呼吸器だけではなく、逆流性食道炎(GERD)が関与することもあります【1】【2】。

  • ただし、咳だけで逆流と決めつけることはできず、他の原因との鑑別がとても重要です【1】【2】【3】。

  • 食後に悪化する、夜に出やすい、胸やけはないがのど症状を伴う、呼吸器で異常なしと言われた――このような場合は、消化器内科での評価が役立つことがあります。

  • 胃カメラで食道炎や他疾患の有無を確認し、症状や治療反応をあわせて判断することで、改善につながるケースがあります【1】【2】【4】。

 

池袋上田胃腸クリニックでは、長引く咳・胸やけのない逆流症状に対して最短当日中に検査・診断できる体制を整えています。

また鎮静剤による無痛胃カメラにも対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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※来院時間や当日の状況によっては翌日以降の検査となる場合もあります

関連ページ

参考文献

    1. Katz PO, Dunbar KB, Schnoll-Sussman FH, et al. ACG Clinical Guideline: Guidelines for the Diagnosis and Management of Gastroesophageal Reflux Disease. Am J Gastroenterol. 2022.

    2. Chen JW, Vela MF, Peterson KA, et al. AGA Clinical Practice Update on the Diagnosis and Management of Extraesophageal Gastroesophageal Reflux Disease: Expert Review. Clin Gastroenterol Hepatol. 2023.

    3. Kahrilas PJ, Altman KW, Chang AB, et al. Chronic Cough Due to Gastroesophageal Reflux in Adults: CHEST Guideline and Expert Panel Report. Chest. 2016.

    4. 日本消化器病学会. 患者さんとご家族のための胃食道逆流症(GERD)ガイド 2023.

    5. British Thoracic Society. Clinical Statement on chronic cough in adults. Thorax. 2023.

    6. 一般社団法人日本呼吸器学会. 咳嗽・喀痰の診療ガイドライン第2版2025.

医師紹介

東海林英典(しょうじ ひでのり)院長

📍経歴

国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。

胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。

令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。

内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。

  • 日本内科学会認定医
  • 日本消化器病学会専門医

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「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、池袋上田胃腸クリニックまでお気軽にご相談ください。

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文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)

 

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