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薬を増やしても治らない「胸のつかえ」|逆流性食道炎と思ったら食道がん狭窄だった60代女性の治療例

[2026.09.15]
💡この記事はこのような方におすすめです

✅ 逆流性食道炎の薬を飲んでいるのに、胸のつかえが改善しない

✅ 最近、食べ物が胸で止まるように感じる

✅ 固形物を水分で流し込むことが増えた

✅ 以前より食べ物が飲み込みにくくなってきた

✅ 逆流性食道炎と診断されたことがあり、「今回も同じ症状」と考えている

✅ 飲酒・喫煙の習慣があり、食道がんが心配

この記事でわかること

  • 薬を飲んでも治らない胸のつかえで考える病気
  • 逆流性食道炎と食道がんによる「つかえ」の違い
  • 胸のつかえに胃カメラが必要な理由
  • 実際に食道がん狭窄が見つかった60代女性の経過
  • 早めに消化器内科を受診した方がよい症状

「以前、逆流性食道炎と言われたから今回も同じはず」

「薬を増やせば落ち着くと思ったのに、つかえ感が良くならない…」

胸のつかえ(食べ物が通りにくい感じ)は、逆流性食道炎の再燃でも起こります。

ただし、“つかえ”は食道が狭くなる病気(狭窄)のサインのこともあり、原因の確認がとても重要です【1】【4】。

今回は、逆流性食道炎で治療中だった方が、胃カメラの再検査で食道の進行がん(狭窄)が見つかった実例を消化器専門医の東海林院長がわかりやすくお伝えします。

のどや胸のつかえ感でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。

池袋上田胃腸クリニックでは、胸のつかえ・飲み込みにくさなどの食道症状について診察しています。

胃カメラは患者さんの状態やご希望に合わせ、経鼻・経口内視鏡や鎮静剤を組み合わせて行っています。

WEB予約・電話予約を受け付けています。ぜひご相談ください。

WEB予約はこちら 03-5953-5903

胸のつかえを起こす主な原因

胸のつかえや食べ物の飲み込みにくさを起こす病気は、逆流性食道炎だけではありません。

1.逆流性食道炎

胃酸が食道へ逆流して食道粘膜に炎症を起こす病気です。胸やけだけでなく、胸の違和感やつかえ感を感じることがあります。

▶ 逆流性食道炎・胸やけについて詳しくはこちら

2.食道狭窄

逆流性食道炎などによる炎症が長期間続くと、食道が狭くなることがあります。食べ物、とくに固形物が通りにくくなるのが特徴です。

3.食道がん

食道がんが大きくなると、食べ物が通る食道の内腔が徐々に狭くなります。

そのため、はじめは「何となく胸で引っかかる」と感じる程度でも、進行すると固形物が通りにくい→やわらかい物も通りにくい→水分も飲みにくいという経過をとることがあります。

4.好酸球性食道炎

アレルギーに関連して食道に慢性的な炎症が起こる病気で、食べ物のつかえや飲み込みにくさを起こします。

▶ 好酸球性食道炎の治療例はこちら

5.食道アカラシア

食道から胃へ食べ物を送り込む働きがうまくいかなくなる病気です。固形物だけでなく水分も飲みにくくなることがあります。

▶ 食道アカラシアについて詳しくはこちら

食道がんとは(原因・リスク・なぜ“つかえ”が出る?)

食道がんは、食道の粘膜から発生するがんです。日本では60〜70代に多いことが知られています【3】。

食道がんの主なリスク

  • 飲酒

  • 喫煙

体内でアルコールが代謝される際に生じるアセトアルデヒドが関係し、このアセトアルデヒドの分解酵素の活性が弱い体質(お酒で顔が赤くなる人)では危険性が高まることが報告されています【2】【3】

飲酒+喫煙が重なると、危険性はさらに高まるとされています【2】【3】

食道がんで「胸のつかえ」が起こるしくみ

食道は、のどから胃へ食べ物を運ぶ管状の臓器です。

食道がんが大きくなると、食道の内側が狭くなり、食べ物の通り道が細くなります。

正常な食道 → 腫瘍が大きくなる → 食道が狭くなる → 食べ物が引っかかる

という流れで、胸のつかえや飲み込みにくさが起こります。【2】【3】

食道がんは初期には症状がほとんどない場合もあり、進行すると胸の違和感、食べ物のつかえ、体重減少、胸や背中の痛みなどが現れることがあります。【3】

実際の治療例|60代女性「胸のつまりが悪化した」

症状

  • 4年前:胸のつまりがあり、逆流性食道炎と診断。胃カメラを受け、PPI(胃酸を抑える薬)で改善

  • その後も内服を継続

  • 1か月前から「胸のつかえ」が再燃

  • 薬の量を増やしても改善せず当院に相談

  • 背景:定期的な飲酒歴あり

 

診察

「胸のつかえ」「飲み込みにくさ」の原因は、ひとつではありません。診察では次のような病気を幅広く考えます。

  • 逆流性食道炎の再燃/食道炎

  • 逆流に伴う食道の狭窄(良性狭窄)

  • 食道がん(腫瘍による狭窄)

  • アカラシアなど食道運動障害

  • 好酸球性食道炎(EoE)など

特に、薬を増やしても“つかえ”が続く場合は、単なる逆流性食道炎ではなく食道がんなども潜んでいる可能性があり【1】【4】、正しく状態を把握し、治療方針を立てるため胃カメラ(内視鏡検査)を行いました。

 

胃カメラ

  • 食道に隆起性の腫瘍(青矢印)を認め、生検にて進行がんと診断

  • この食道がんにより食道が狭くなり(狭窄し)、通過障害が起こって胸のつかえが生じていました。

ちなみに通常の食道は下図のように開大し管状になっています。

正常の食道の画像です。

 

💡池袋上田胃腸クリニックでは最短当日に胃カメラがお受け頂けます。

また鎮静剤による無痛胃カメラにも対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

  • ▶ WEB予約/▶ 電話相談:03-5953-5903

  • 関連ページ:無痛胃カメラ|実際の検査の流れや鎮静剤・スコープ選択による無痛胃カメラの詳細がご確認いただけます

※来院時間や当日の状況によっては翌日以降の検査となる場合もあります

今回の治療

今回の方は狭窄が強く、外来での対応は難しい状態でした。

  • 通過障害が強く入院が必要

  • 高次医療機関へ紹介

  • 栄養確保のため一時的な胃ろう(胃瘻)を造設

  • その後、化学放射線療法を受けていただき、経口摂取が可能になるまで改善しました。

※進行度や全身状態により治療は変わりますが、食道がんでは「手術」「放射線」「抗がん剤(化学療法)」を組み合わせた治療が選択されます【5】。

関連ページ

▶食道がんについて詳しく知りたい方は、食道がんの原因・初期症状・検査・治療法もあわせてご覧ください。

▶また、同じように「飲み込みにくい」「胸で止まる感じ」が出る病気として、食道アカラシアや、好酸球性食道炎の症例も参考になります。

今回の治療例からわかること

1.「以前も逆流性食道炎だった」だけでは判断できません

以前に逆流性食道炎と診断されていても、数年後に起こった症状まで同じ原因とは限りません。

症状が変化した・悪化した・薬が効かなくなった場合には、改めて原因を調べることが重要です。

2.薬を増やしても治らない胸のつかえは再評価が必要です

胸のつかえの原因が食道の狭窄や腫瘍であれば、胃酸を抑える薬を増やしても根本的には改善しません。

薬が効かないこと自体が、診断を見直すきっかけになります。

3.「固形物がつかえる」は重要なサインです

食道が物理的に狭くなる病気では、まず肉・ご飯・パンなどの固形物が通りにくくなり、進行するとやわらかい食事や水分も通りにくくなることがあります。【3】

症状が進行している場合は、長期間様子を見ないことが大切です。

4.飲酒・喫煙歴がある方では食道がんも考えます

日本で多い食道扁平上皮がんでは、飲酒と喫煙が主要な危険因子です。

特に飲酒すると顔が赤くなりやすい体質では、アルコールから生じるアセトアルデヒドを分解する能力が低い場合があり、飲酒による食道がんリスクとの関連が報告されています。

こんな胸のつかえは、早めの胃カメラをご検討ください

胸のつかえがあるからといって、すべてが緊急性の高い病気とは限りません。

ただし、次のような症状がある場合は、単なる逆流性食道炎として様子を見るのではなく、早めに胃カメラで原因を確認した方が安心です。

  • 胃酸を抑える薬を飲んでも胸のつかえが改善しない
  • 以前より食べ物が通りにくくなってきた
  • 固形物を水分で流し込んでいる
  • 食事の途中で食べ物が胸で止まる感じがする
  • 食事量が減ってきた
  • 体重が減ってきた
  • 飲み込むと胸が痛い・しみる
  • 水分まで飲みにくくなってきた

「前にも逆流性食道炎と言われたから今回も同じだろう」と考えてしまうことは少なくありません。しかし、症状の変化があるときほど、再評価が大切です。

院長からのコメント

逆流性食道炎と診断されていると、「今回も同じだろう」と思ってしまいがちです。

しかし、“胸のつかえ”が再燃し、薬を増やしても改善しないときは、漫然と薬だけで様子を見るのではなく、胃カメラで状態を再評価することが大切です【1】【4】。

また、食道がんの大きなリスクは飲酒と喫煙です【2】【3】。

飲酒習慣がある方、喫煙歴がある方、(飲酒で顔が赤くなりやすい方)は、症状が軽くても「一度胃カメラできちんと確認する」意識が食道がんの予防・早期発見につながります。

胸のつかえ・食べ物の飲み込みにくさでお困りの方へ

池袋上田胃腸クリニックでは、消化器内科診察と胃カメラによる食道の評価を行っています。

症状の変化がある場合は、薬だけで長期間様子を見ず一度ご相談ください。

お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903

当院の胃カメラの特徴
  • お一人お一人に合わせた鎮静剤やスコープ調整

  • 次世代システム+高解像度スコープで小さな病変も早期発見

  • 土日対応、事前診察は原則不要

よくある質問(FAQ)

Q. 逆流性食道炎の薬(PPI)を増やしても、胸のつかえが治りません。受診した方がいいですか?

A. “つかえ”は食道が狭くなる病気(狭窄)のサインのことがあり、薬で改善しない場合は内視鏡で原因確認が推奨されます【1】【4】。早めの受診が安全です。

 

Q. 胸焼けが少ないのに、食道の病気はありえますか?

A. あります。食道がんや食道運動障害などでは、胸焼けが目立たず「つかえ」だけが前面に出ることがあります【4】。

 

Q. “胸のつかえ”があるとき、まず胃カメラでいいですか?

A. はい。嚥下困難(つかえ)は重要なアラーム症状で、上部内視鏡で原因(炎症・狭窄・腫瘍など)を確認することが推奨されます【1】【4】。

 

Q. 逆流性食道炎があると、食道がんになりやすいですか?

A. 食道がんにはタイプがあり、日本で多い扁平上皮がんは主に飲酒・喫煙と関連します【2】【3】。一方、逆流が関係しやすい腺がん(バレット食道由来)も知られています【3】。リスクや症状に応じて医師と検査方針を相談しましょう。

 

Q. お酒を飲むと顔が赤くなる体質は、食道がんのリスクになりますか?

A. 飲酒で生じるアセトアルデヒドは発がん性があり、分解酵素の活性が弱い体質では危険性が高まることが報告されています【2】【3】。心当たりがあれば、禁酒・節酒や定期的な確認をおすすめします。

 

Q. 食道がんは女性でも起こりますか?

A. 起こります。男女比では男性に多いものの、60〜70代を中心に発症します【3】。症状(つかえ等)があれば性別に関わらず評価が必要です【1】【4】。

 

Q. 食道がんの“検診”はありますか?

A. 国の指針としての食道がん検診は現時点で定められていません【2】。ただし、胃がん同様に胃カメラでの早期発見は可能ですので飲酒や喫煙などのリスクがある方は定期的な胃カメラをお勧めします。

 

Q. 食道がんで通過障害が強い場合、どうやって栄養を取りますか?

A. 状態により、点滴・経管栄養・胃ろうなどで栄養を確保しながら治療に進むことがあります【5】。

 

Q. 胸のつかえがあるのに、食事は何とか入ります。様子見でいい?

A. “何とか入る”段階でも、原因が狭窄(腫瘍や炎症)だと進行することがあります。嚥下困難は内視鏡で原因確認が推奨されます【1】【4】。

 

Q. 受診前に気をつけるべき危険サインは?

A. つかえの進行、体重減少、吐血・黒色便、貧血、嘔吐などがあれば早急な評価が必要です【1】。

まとめ

  • 胸のつかえ(嚥下困難)は“食道が狭くなる病気”のサインのことがある

  • 逆流性食道炎の既往があっても、薬で改善しない/再燃する“つかえ”は再検査が重要【1】【4】

  • 食道がんの主なリスクは飲酒・喫煙。アセトアルデヒドを分解しにくい体質(お酒で顔が赤くなる人)では危険性が高まる報告がある【2】【3】

  • 食道がんは進行度により治療が変わり、通過障害が強い場合は栄養確保(胃ろう等)を行いながら治療に進むことがある【5】

池袋上田胃腸クリニックではWEB予約・電話予約を受け付けています。

池袋駅から徒歩5分程度でアクセス可能ですので、お困りの方はお気軽にご相談ください。

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関連ページ

参考文献(本文中【番号】と対応)

【1】Katz PO, et al. ACG Clinical Guideline: Guidelines for the Diagnosis and Management of Gastroesophageal Reflux Disease. 2022.
【2】国立がん研究センター がん情報サービス「食道がん 予防・検診」更新日:2025-03-25.
【3】日本食道学会(一般の方向け)「食道がんの疫学・現状・危険因子」.
【4】ASGE Standards of Practice Committee. The role of endoscopy in the evaluation and management of dysphagia. Gastrointest Endosc. 2014.
【5】NCCN Guidelines for Patients: Esophageal Cancer.
【6】日本癌治療学会(診療ガイドライン一覧ページ:食道がん).

医師紹介・アクセス・診療時間

東海林英典(しょうじ ひでのり)院長

📍経歴

国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。

胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。

令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。

内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。

  • 日本内科学会認定医
  • 日本消化器病学会専門医

🩺 診療にあたっての想い

「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、池袋上田胃腸クリニックまでお気軽にご相談ください。

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診療は完全予約制です。

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文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)

 

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