薬を増やしても治らない「胸のつかえ」…逆流性食道炎と思っていたら“食道がん狭窄”だった|60代女性の実例
「以前、逆流性食道炎と言われたから今回も同じはず」
「薬を増やせば落ち着くと思ったのに、つかえ感が良くならない…」
胸のつかえ(食べ物が通りにくい感じ)は、逆流性食道炎の再燃でも起こります。
ただし、“つかえ”は食道が狭くなる病気(狭窄)のサインのこともあり、原因の確認がとても重要です【1】【4】。
今回は、逆流性食道炎で治療中だった方が、胃カメラの再検査で食道の進行がん(狭窄)が見つかった実例を消化器専門医の東海林院長がわかりやすくお伝えします。
のどや胸のつかえ感でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
▶池袋上田胃腸クリニックではWEB予約・電話予約を受け付けています。お悩みの方はぜひご相談ください。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
実際の治療例|60代女性「胸のつまりが悪化した」
症状
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4年前:胸のつまりがあり、逆流性食道炎と診断。胃カメラを受け、PPI(胃酸を抑える薬)で改善
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その後も内服を継続
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1か月前から「胸のつかえ」が再燃
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薬の量を増やしても改善せず当院に相談
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背景:定期的な飲酒歴あり
診察
「胸のつかえ」「飲み込みにくさ」の原因は、ひとつではありません。診察では次のような病気を幅広く考えます。
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逆流性食道炎の再燃/食道炎
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逆流に伴う食道の狭窄(良性狭窄)
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食道がん(腫瘍による狭窄)
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アカラシアなど食道運動障害
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好酸球性食道炎(EoE)など
特に、薬を増やしても“つかえ”が続く場合は、単なる逆流性食道炎ではなく食道がんなども潜んでいる可能性があり【1】【4】、正しく状態を把握し、治療方針を立てるため胃カメラ(内視鏡検査)を行いました。
胃カメラ
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食道に隆起性の腫瘍(青矢印)を認め、生検にて進行がんと診断
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この食道がんにより食道が狭くなり(狭窄)し、通過障害がおこり胸のつかえが発生していた状態でした。
ちなみに通常の食道は下図のように開大し管状になっています。
💡池袋上田胃腸クリニックでは最短当日に胃カメラがお受け頂けます。
また鎮静剤による無痛胃カメラにも対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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▶ WEB予約/▶ 電話相談:03-5953-5903
- 関連ページ:無痛胃カメラ|実際の検査の流れや鎮静剤・スコープ選択による無痛胃カメラの詳細がご確認いただけます
※来院時間や当日の状況によっては翌日以降の検査となる場合もあります
食道がんとは(原因・リスク・なぜ“つかえ”が出る?)
食道がんは、食道の粘膜から発生するがんです。日本では60〜70代に多いことが知られています【3】。
食道がんの主なリスク
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飲酒
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喫煙
体内でアルコールが代謝される際に生じるアセトアルデヒドが関係し、このアセトアルデヒドの分解酵素の活性が弱い体質(お酒で顔が赤くなる人)では危険性が高まることが報告されています【2】【3】
飲酒+喫煙が重なると、危険性はさらに高まるとされています【2】【3】
なぜ“胸のつかえ”が起こる?
がんが大きくなると食道の内側が狭くなり、食べ物の通り道が物理的に細くなる(狭窄)ことで、つかえ感が出ます。
嚥下困難・胸のつかえは、内視鏡で原因を確認すべき“重要な症状(アラーム症状)”として扱われます【1】【4】。
今回の治療
今回の方は狭窄が強く、外来での対応は難しい状態でした。
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通過障害が強く入院が必要
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高次医療機関へ紹介
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栄養確保のため一時的な胃ろう(胃瘻)を造設
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その後、化学放射線療法を受けて頂き、経口摂取が可能なまで改善されました
※進行度や全身状態により治療は変わりますが、食道がんでは「手術」「放射線」「抗がん剤(化学療法)」を組み合わせた治療が選択されます【5】。
院長からのコメント
逆流性食道炎と診断されていると、「今回も同じだろう」と思ってしまいがちです。
しかし、“胸のつかえ”が再燃し、薬を増やしても改善しないときは、漫然と薬だけで様子を見るのではなく、胃カメラで状態を再評価することが大切です【1】【4】。
また、食道がんの大きなリスクは飲酒と喫煙です【2】【3】。
飲酒習慣がある方、喫煙歴がある方、(飲酒で顔が赤くなりやすい方)は、症状が軽くても「一度胃カメラできちんと確認する」意識が食道がんの予防・早期発見につながります。
💡胃カメラ(上部内視鏡)では食道までしっかりと確認できます。
症状でお悩みの方・食道がんのリスクのある方はぜひご相談ください。
📞 お電話でのお問い合わせ:03-5953-5903
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
よくある質問(FAQ)
Q. 逆流性食道炎の薬(PPI)を増やしても、胸のつかえが治りません。受診した方がいいですか?
A. “つかえ”は食道が狭くなる病気(狭窄)のサインのことがあり、薬で改善しない場合は内視鏡で原因確認が推奨されます【1】【4】。早めの受診が安全です。
Q. 胸焼けが少ないのに、食道の病気はありえますか?
A. あります。食道がんや食道運動障害などでは、胸焼けが目立たず「つかえ」だけが前面に出ることがあります【4】。
Q. “胸のつかえ”があるとき、まず胃カメラでいいですか?
A. はい。嚥下困難(つかえ)は重要なアラーム症状で、上部内視鏡で原因(炎症・狭窄・腫瘍など)を確認することが推奨されます【1】【4】。
Q. 逆流性食道炎があると、食道がんになりやすいですか?
A. 食道がんにはタイプがあり、日本で多い扁平上皮がんは主に飲酒・喫煙と関連します【2】【3】。一方、逆流が関係しやすい腺がん(バレット食道由来)も知られています【3】。リスクや症状に応じて医師と検査方針を相談しましょう。
Q. お酒を飲むと顔が赤くなる体質は、食道がんのリスクになりますか?
A. 飲酒で生じるアセトアルデヒドは発がん性があり、分解酵素の活性が弱い体質では危険性が高まることが報告されています【2】【3】。心当たりがあれば、禁酒・節酒や定期的な確認をおすすめします。
Q. 食道がんは女性でも起こりますか?
A. 起こります。男女比では男性に多いものの、60〜70代を中心に発症します【3】。症状(つかえ等)があれば性別に関わらず評価が必要です【1】【4】。
Q. 食道がんの“検診”はありますか?
A. 国の指針としての食道がん検診は現時点で定められていません【2】。ただし、胃がん同様に胃カメラでの早期発見は可能ですので飲酒や喫煙などのリスクがある方は定期的な胃カメラをお勧めします。
Q. 食道がんで通過障害が強い場合、どうやって栄養を取りますか?
A. 状態により、点滴・経管栄養・胃ろうなどで栄養を確保しながら治療に進むことがあります【5】。
Q. 胸のつかえがあるのに、食事は何とか入ります。様子見でいい?
A. “何とか入る”段階でも、原因が狭窄(腫瘍や炎症)だと進行することがあります。嚥下困難は内視鏡で原因確認が推奨されます【1】【4】。
Q. 受診前に気をつけるべき危険サインは?
A. つかえの進行、体重減少、吐血・黒色便、貧血、嘔吐などがあれば早急な評価が必要です【1】。
まとめ
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胸のつかえ(嚥下困難)は“食道が狭くなる病気”のサインのことがある
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逆流性食道炎の既往があっても、薬で改善しない/再燃する“つかえ”は再検査が重要【1】【4】
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食道がんの主なリスクは飲酒・喫煙。アセトアルデヒドを分解しにくい体質(お酒で顔が赤くなる人)では危険性が高まる報告がある【2】【3】
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食道がんは進行度により治療が変わり、通過障害が強い場合は栄養確保(胃ろう等)を行いながら治療に進むことがある【5】
💡当院は池袋駅から徒歩5分程度でアクセス可能です。お気軽にご相談ください。
📞 お電話でのお問い合わせ:03-5953-5903
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
関連ページ
参考文献(本文中【番号】と対応)
【1】Katz PO, et al. ACG Clinical Guideline: Guidelines for the Diagnosis and Management of Gastroesophageal Reflux Disease. 2022.
【2】国立がん研究センター がん情報サービス「食道がん 予防・検診」更新日:2025-03-25.
【3】日本食道学会(一般の方向け)「食道がんの疫学・現状・危険因子」.
【4】ASGE Standards of Practice Committee. The role of endoscopy in the evaluation and management of dysphagia. Gastrointest Endosc. 2014.
【5】NCCN Guidelines for Patients: Esophageal Cancer.
【6】日本癌治療学会(診療ガイドライン一覧ページ:食道がん).
医師紹介
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、池袋上田胃腸クリニックまでお気軽にご相談ください。
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文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
