朝の腹痛に困っている方へ|原因と必要な検査・見逃してはいけない病気を専門医が解説
「朝起きるとお腹が痛くなる」
「出勤前になると腹痛が起こる」
このような症状で悩んでいる方は、実は少なくありません。
ストレスや生活リズムの影響と思われがちですが、中には検査が必要な病気が隠れていることもあります
本記事では朝の腹痛と関係する可能性のある疾患や、受診のタイミングについて、消化器専門医の東海林院長がわかりやすくお伝えします。
朝の腹痛でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
▶池袋上田胃腸クリニックではWEB予約・電話予約を受け付けています。同様の症状でお悩みの方はぜひご相談ください。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
朝の腹痛は「自律神経」と「腸の動き」が関係
朝の腹痛は、
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起床による自律神経の切り替え
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腸のぜん動運動が活発になる
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空腹・ホルモン変化
といった影響で起こりやすい症状です。
一方で、毎朝繰り返す・悪化している・他の症状を伴う場合は注意が必要です。
朝の腹痛を「起床直後・朝食前・朝食後・排便前」で見分ける
朝の腹痛といっても、症状が出るタイミングによって考えやすい病気は少しずつ異なります。
起床直後からお腹が痛い場合
起床に伴う自律神経の切り替えや腸の動きの変化が関係していることがあり、過敏性腸症候群(IBS)でみられることがあります【1】【3】。
朝食前や空腹時に痛みが強い場合
胃酸の影響を受けやすい胃炎・胃潰瘍などの胃の病気が隠れていないか確認が必要です【5】【6】。
朝食後に痛みや胃もたれが出る場合
機能性ディスペプシアや胃の運動機能低下など、胃由来の症状が疑われます【2】【6】。
排便前に痛く、排便すると少し楽になる場合
IBSにみられるパターンです【1】【3】。一方で、血便、体重減少、発熱を伴う場合は、炎症性腸疾患など別の病気も考える必要があります【4】。
原因と鑑別疾患|朝の腹痛で考えられる主な病気
① 過敏性腸症候群(IBS)
最も多い原因のひとつです。
特徴
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朝や外出前に腹痛が起こる
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排便後に痛みが軽くなる
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下痢や便秘を繰り返す
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ストレスで悪化しやすい
命に係わる病気ではありませんが、生活の質(QOL)を大きく下げる病気です【1】。
② 機能性ディスペプシア
胃の機能異常による腹痛・不快感です。
特徴
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朝食前や起床時の腹部不快感
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胃もたれ・膨満感・吐き気
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検査では異常が見つからない
③ 感染性胃腸炎
夜間や明け方に症状が目立つことがあります。
特徴
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腹痛+下痢
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吐き気・発熱を伴うことも
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数日以内に改善することが多い
④ 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)
見逃してはいけない原因です。
特徴
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朝の腹痛が続く
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下痢・血便
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体重減少・貧血
特に若年層でも発症します【2】。
⑤ 便秘・ガス貯留
夜間にたまったガスや便が、朝の腸の動きで痛みを引き起こします。
朝の腹痛で早めに受診した方がよい症状
朝の腹痛はよくある症状ですが、次のような場合は早めの受診をおすすめします。
1週間以上続く、最近悪化している、夜間や明け方にも痛みで目が覚める、血便がある、下痢が長引く、体重が減ってきた、発熱や貧血を指摘された、市販薬で改善しない といった場合は、単なる一時的な不調ではなく、検査が必要な病気が隠れている可能性があります【4】【5】【6】。
特に、血便・体重減少・貧血・発熱 を伴う場合は、炎症性腸疾患や消化管の出血性病変なども鑑別に入るため、自己判断で様子を見すぎないことが大切です【4】【5】
必要な検査
朝の腹痛は、問診だけで判断できる場合もあれば、検査を行わないと区別がつかない病気が隠れていることもあります。
当院では、症状の経過・年齢・随伴症状を踏まえて、適切な検査を行います。
① 血液検査
まず行うことが多い基本検査です。
わかること
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炎症の有無(CRP・白血球)
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貧血の有無(慢性的な出血や炎症性腸疾患のサイン)
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感染や全身状態の確認
▶過敏性腸症候群では血液検査はほぼ正常であることが多く、異常があれば「別の病気」を疑う重要な手がかりになります。
② 腹部エコー(超音波検査)
体への負担が少なく、短時間で行える検査です。
わかること
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腸の炎症やむくみ
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胆のう・膵臓・肝臓の異常
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腸管外の原因(胆石・尿路結石など)
▶朝の腹痛=腸の病気とは限らないため、腹部全体を確認できるエコーは重要です。
③ 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
以下の場合に特に検討します。
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腹痛が長期間続いている
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下痢・血便を伴う
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薬で改善しない
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20〜40代でも症状が強い
わかること
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潰瘍性大腸炎・クローン病
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大腸ポリープ・大腸がん
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感染性腸炎後の変化
▶朝の腹痛だけが初発症状の炎症性腸疾患もあり、内視鏡で初めて診断がつくことも少なくありません。
④ 胃内視鏡検査(胃カメラ)
腹痛の部位や症状によっては胃カメラも検討します。
対象となる症状
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みぞおちの痛み
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朝の吐き気・胃もたれ
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空腹時痛が強い
わかること
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胃炎・胃潰瘍
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逆流性食道炎
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機能性ディスペプシアの除外診断
▶胃の病気が「腹痛」として感じられることもあります。
朝の腹痛で胃カメラ・大腸カメラが必要になるのはどんなとき?
朝の腹痛で必要になる検査は、痛みの場所、食事との関係、便通異常の有無で変わります。
みぞおちの痛み、朝の吐き気、空腹時痛、朝食後の胃痛や胃もたれ が中心なら、胃カメラで胃炎・胃潰瘍・逆流性食道炎などがないか確認します【5】【6】。
一方、下痢を伴う、排便前に痛い、血便がある、腹痛が長く続く、炎症反応や貧血がある 場合は、大腸カメラで潰瘍性大腸炎や大腸ポリープ、大腸がんなどを確認することがあります【1】【4】。
どちらの検査が必要かは、症状だけで決めつけず、問診・診察・血液検査・腹部エコーも合わせて総合的に判断することが重要です
治療・予防|原因に合わせた対応が重要
過敏性腸症候群・機能性疾患
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腸の動きを整える薬
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漢方薬
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生活リズムの調整
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食事指導(FODMAP食など)
炎症・感染が疑われる場合
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原因に応じた薬物治療
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定期的なフォローアップ
実際の治療例
①30代女性「市販薬で改善しない朝の腹痛」
【症状】
毎朝の腹痛と下痢を「ストレスのせい」と考えていた30代女性。
市販薬の整腸剤で様子を見ていましたが改善せず来院。
【検査】
血液検査で炎症反応の上昇を認め、大腸炎の可能性があり大腸内視鏡(大腸カメラ)を施行。
<実際の内視鏡画像>
大腸全体にびらん・浮腫などの炎症を認め、軽症の潰瘍性大腸炎と診断
【治療】
潰瘍性大腸炎に対しての抗炎症剤(5ASA製剤)の投薬を開始。
その後は朝の腹痛は改善し、投薬にて安定しています。
②30代女性「朝食後の胃痛が続いた機能性ディスペプシア」
【症状】
数か月前から、朝食を食べると必ず胃のあたりが痛くなる状態が続いていました。
朝食を抜けば症状は出ないため、「忙しさや胃の弱さのせい」と思い込み様子を見ていましたが、改善なく来院。
【検査】
腹痛が空腹時ではなく食後に出ることから、胃の疾患の可能性も否定できず胃内視鏡検査(胃カメラ)を実施。
<実際の内視鏡画像>
潰瘍や腫瘍はなく、胃酸の分泌過多などの胃の機能の異常で起こる機能性ディスペプシアと診断しました。
【治療】
胃の運動機能を改善する薬と生活指導を行い、2週間ほどで朝食後の胃痛は軽減。
1か月後には、ほぼ症状なく朝食を取れるようになりました。
2つの症例の比較|腸由来と胃由来の違い
| 症例① 腸由来 | 症例② 胃由来 | |
|---|---|---|
| 痛みのタイミング | 起床後・排便前 | 朝食後 |
| 伴う症状 | 下痢・便意 | 胃痛・吐き気 |
| 主な検査 | 大腸内視鏡 | 胃内視鏡 |
| 診断 | 潰瘍性大腸炎 | 機能性ディスペプシア |
| 治療 | 炎症を抑える治療 | 胃運動改善+生活調整 |
朝の腹痛は、
-
腸が原因の場合
-
胃が原因の場合
で、必要な検査も治療もまったく異なります。
「いつもの腹痛」「若いから大丈夫」と思い込まず、症状の出方に合わせて正しく調べることが、早期改善への近道になります。
朝の腹痛でお困りの方へ|池袋上田胃腸クリニックにご相談ください
朝の腹痛は、胃の病気、腸の病気、機能性疾患、胆のう・膵臓など腸管外の病気まで幅広く関係することがあります。
こうした症状は、消化器内科・胃腸内科 での相談が適しています。
当院では、朝の腹痛に対して、症状の出る時間帯、食事との関係、便通異常、体重変化などを確認し、必要に応じて血液検査・腹部エコー・胃カメラ・大腸カメラを組み合わせて原因を調べています。
朝の腹痛は非常に多い相談ですが、「いつものこと」「体質」と片付けられがちな症状でもあります。
しかし、一度きちんと原因を調べることで病気が見つかることもあり、「ストレスだと思っていたけれど長引いている」「朝食後だけ痛む」「排便前に痛くて通勤がつらい」といった方は、お気軽にご相談ください。
お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903
💡当院は池袋駅から徒歩5分程度でアクセス可能です。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 朝だけ腹痛が出るのは病気ですか?
A. 過敏性腸症候群が多いですが、病気が隠れていることもあります。
Q2. ストレスが原因でも検査は必要?
A. 初回や症状が続く場合は検査をおすすめします。
Q3. 下痢を伴わない腹痛も注意が必要?
A. はい。便秘や炎症性疾患の可能性もあります。
Q4. 市販薬で様子を見ていいですか?
A. 一時的なら可ですが、繰り返す場合は受診をお勧めします。
Q5. 朝食を食べると痛くなり困っています
A. 胃の病気や胃腸の動きや機能異常が関係している可能性があります。
Q6. 何日続いたら受診すべき?
A. 1週間以上続く場合は受診を推奨します。
Q7. 血便がなくても大丈夫?
A. 血便がなくても病気が隠れることがあります。
Q8. 20〜30代でも大腸の病気になりますか?
A. なります。特に潰瘍性大腸炎は若年発症も珍しくありません。
Q9. 朝の腹痛と便秘は関係ありますか?
A. 強く関係します。
Q10. 消化器内科や胃腸科に行くべきですか?
A. はい。腹痛の専門診療が可能です。
まとめ|朝の腹痛は「よくある」けれど放置しないで
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朝の腹痛は過敏性腸症候群が多い
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しかし、炎症性腸疾患など重要な病気が隠れることも
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繰り返す・悪化する場合は検査が安心
👉 気になる症状があれば、当院へご相談ください
📞 お電話でのお問い合わせ:03-5953-5903
関連ページ
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- 機能性ディスペプシアとは|症状・原因・治療
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参考文献
【1】Lacy BE, Pimentel M, Brenner DM, et al. ACG Clinical Guideline: Management of Irritable Bowel Syndrome. Am J Gastroenterol. 2021.
【2】Miwa H, Nagahara A, Asakawa A, et al. Evidence-based clinical practice guidelines for functional dyspepsia 2021. J Gastroenterol. 2022.
【3】National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Irritable Bowel Syndrome (IBS).
【4】National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Symptoms & Causes of Ulcerative Colitis.
【5】National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Symptoms & Causes of Peptic Ulcers (Stomach or Duodenal Ulcers).
【6】National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Indigestion (Dyspepsia).
医師紹介:東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、池袋上田胃腸クリニックまでお気軽にご相談ください。
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文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
