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実際の診療例 〖突然の下腹部痛と冷や汗で受診…20代女性に見つかった虚血性腸炎〗

[2025.03.01]

「突然お腹が痛くなって冷や汗が…」

「便秘が続いていたけれど、まさかこんなことになるなんて…」

そんな不安な思いで、突然の下腹部痛に加えて、冷や汗が出るほどの強い痛みで当院を受診された若い女性の患者さんがいらっしゃいました。

日常的な便秘の延長に見えるような症状が、実は「虚血性腸炎」という病気だったのです。

虚血性腸炎は、「高齢の方の病気」と思われがちですが、若い方でも便秘などをきっかけに発症することがあります。

また、こうした症状の背景に虚血性腸炎以外にも早めの診察と検査が必要な病気が隠れていることがあります。

このページでは、突然始まった強い下腹部痛と冷や汗をきっかけに受診し、大腸カメラで虚血性腸炎と診断された実際の経過をもとに、症状の特徴・検査・治療・受診の目安・ほかに考えられる疾患まで専門医の院長がわかりやすく解説します。

 

冷や汗を伴うような腹痛でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。

▶池袋上田胃腸クリニックではWEB予約・電話予約を受け付けています。同様の症状でお悩みの方はぜひご相談ください。

WEB予約はこちら 03-5953-5903

※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。

 

冷や汗を伴う突然の下腹部痛で考える主な病気

冷や汗を伴う突然の下腹部痛があるときは、単なる便秘だけでなく、いくつかの病気を考える必要があります。

消化器内科でまず鑑別に挙がるのは、虚血性腸炎、感染性腸炎、腸閉塞、尿管結石などです。

女性では婦人科の病気が隠れていることもあります。

特に、痛みが強い・急に始まった・血便や下痢を伴う・吐き気や発熱がある場合は、自己判断で様子を見るより、早めに医療機関で相談したほうが安心です。

今回の患者さんも、便秘の延長と思われる状況から急に強い腹痛と冷や汗が出現し、検査で虚血性腸炎が見つかりました。

虚血性腸炎は左側の腹痛で始まることが多く、ほかの腸炎と見分けにくいため、症状の経過と検査を組み合わせて判断することが大切です。

実際の治療例|突然の下腹部痛と冷や汗で受診した20代女性

【症状】夜間に突然、強い腹痛と冷や汗。

もともと便秘気味でしたが、最近は悪化気味で5日ほど排便がない状態でした。

便秘が続く中、夜間にいきなり強い腹痛が出現。便が出れば楽になるだろうとトイレに行き排便をしましたが全く改善せず、痛みで冷や汗も出てきたため近くの救急病院を受診。

腹部CTを施行したところ下腹部に炎症と思われる所見があり、大腸カメラ(大腸内視鏡)を受けるように言われたとのことで当院を受診されました。

 

【診察・検査】一過性の腸炎か?状態把握のため大腸カメラを実施

問診と救急病院でのCTの所見からは虚血性腸炎感染性腸炎などの一過性の腸炎が疑われ、ご本人と相談し実際に大腸カメラを行って状態を把握することとしました。

大腸カメラを行うと下行結腸からS状結腸にかけて区域性のある炎症を認め、虚血性腸炎に合致する所見でした。

■実際の大腸カメラの画像■
無痛大腸カメラ(内視鏡)で診断した虚血性腸炎|池袋上田胃腸クリニック

実際の内視鏡画像です。大腸の奥の方は綺麗にして炎症は見当たりませんでした。

無痛大腸カメラ(内視鏡)で診断した虚血性腸炎|池袋上田胃腸クリニック

下行結腸からS状結腸にかけて、大腸の浮腫・発赤・出血といった強い炎症を区域性に認め虚血性腸炎と診断しました

【治療】

今回のケースでは、便秘を契機に一時的な血流障害が生じて虚血性腸炎を発症したと考えられました。

治療は以下のように行いました。

  • 安静

  • 症状を抑える漢方薬・整腸剤の内服

  • 食事制限(初期は絶食、改善に応じて段階的に食事再開)

【経過】1日で痛みは大きく改善、数日で回復へ

翌日には痛みもかなり改善し、徐々に食事制限も解除。再燃することなく、数日後には無事に治療が終了しました。

虚血性腸炎とは?若い方にも起こる?便秘がきっかけになる理由

「虚血性腸炎」とは、大腸に栄養や酸素を供給するための血管が一時的に詰まってしまうことで、大腸に炎症(粘膜のただれ・潰瘍など)が起こる病気です。

突然起こる腹痛・下痢・血便が特徴的で左側の下行結腸やS状結腸が好発部位といわれています。

 

血管が詰まる原因としては、大腸に血流を送る血管の問題大腸自体の問題があります。

・血管側の問題としては、高血圧症・糖尿病・高脂血症などによる動脈硬化・虚血性心疾患・不整脈などによる血流の低下があり、

・大腸の問題としては便秘,大腸内視鏡検査,浣腸,下剤の服用による大腸の内圧の上昇があります。

基本的には高齢の方や、上記のような基礎疾患としてもつ場合に多くみられますが、若年者の方でも便秘血管の一時的な痙攣でも起こると言われています。

特に便秘の方は虚血性腸炎発症リスクが 2.78 倍上昇するとの報告もあり、「まだ若いから虚血性腸炎ではない」とは言い切れません。

便秘が続いている方が、急な左下腹部痛、下痢、血便、冷や汗などを伴った場合は、早めに消化器内科で相談することが大切です。

こんなときは早めに受診してください

次のような場合は早めの受診をおすすめします。

  • 急に動けないほどの強い腹痛がある
  • 冷や汗を伴うほど痛みが強い
  • 血便が出た、または便に血が混じる
  • 症状が少し軽くなっても翌日まで痛みが残る
  • 発熱、脱水、ふらつきがある
  • 便秘傾向が強い、動脈硬化や高血圧、糖尿病がある

虚血性腸炎は軽症で自然に改善することもありますが、似た症状を示す病気も多く、重症例では入院治療が必要になることもあります。

症状が強いときや血便を伴うときは、様子を見すぎずにご相談ください。

 

池袋上田胃腸クリニックでは、最短で当日中に大腸カメラや腹部エコーをお受け頂ける体制を整えています。

また鎮静剤による無痛大腸カメラにも対応しております。是非ご相談ください。

WEB予約はこちら 03-5953-5903

※受診時間や当日の状況によっては翌日以降の検査となる場合もあります

当院の大腸カメラの特徴
  • 鎮静剤や独自の低痛挿入法による苦しくない内視鏡検査

  • オリンパス製最新システム+高解像度スコープで小さな病変も早期発見
  • 土日対応、事前診察は原則不要

よくある質問(FAQ)

Q. 突然の強い下腹部痛と冷や汗があるとき、どんな病気が考えられますか?

A. 強い下腹部痛に冷や汗を伴う場合、体が強い痛みに反応しているサインです。原因としては、虚血性腸炎、感染性腸炎、尿管結石、腸閉塞、婦人科疾患などが考えられます。特に虚血性腸炎は急な腹痛、下痢、血便で発症することがあり、症状が強いときは自己判断せず、早めの受診が大切です。【1】【2】

Q. 虚血性腸炎は高齢者だけの病気ではないのですか?

A. 虚血性腸炎は中高年に多い病気ですが、若い方でも起こることがあります。特に便秘が続いて腸の内圧が高くなったときや、一時的に血流が低下したときには、20代でも発症する可能性があります。【1】【4】【5】

Q. 便秘が続くと、なぜ虚血性腸炎になりやすいのですか?

A. 便秘が続くと腸の中の圧が高くなり、腸の壁の血流が一時的に悪くなることがあります。その結果、粘膜が傷ついて炎症が起こり、虚血性腸炎につながることがあります。便秘は若年〜中年の虚血性腸炎の関連因子の一つとされており、便通を整えることが大切です。【1】【4】【5】

Q. 虚血性腸炎の典型的な症状は何ですか?

A. 代表的な症状は、突然の腹痛下痢血便です。特に左下腹部から左わき腹あたりの痛みとして出ることが多いですが、初期は腹痛だけで始まることもあります。【1】【2】

Q. 血便がなくても虚血性腸炎の可能性はありますか?

A. はい、あります。血便は虚血性腸炎の82%にみられる症状ですが、初期は腹痛のみで始まったり、少量で気づかないこともあります。血便がないから大丈夫とは言い切れないため、急な強い腹痛がある場合は早めの受診がおすすめです。【1】【2】

Q. CTで「腸に炎症があるかもしれない」と言われました。大腸カメラは必要ですか?

A. CTは大きな異常や炎症の存在を把握するのに役立ちますが、炎症の範囲や原因を詳しく判断するには大腸カメラが有用です。虚血性腸炎では、炎症が起きている場所や範囲を直接確認できるため、診断の助けになります。【1】【2】【3】

Q. 大腸カメラでは、どのような所見が虚血性腸炎の決め手になりますか?

A. 虚血性腸炎では、下行結腸からS状結腸にかけて、区域性に浮腫、発赤、出血、びらん、潰瘍などがみられることがあります。一方で、炎症のない部分の腸粘膜は比較的きれいに保たれていることが多く、このような限局した炎症所見が診断のポイントになります。【1】【2】【3】

Q. 虚血性腸炎の治療は入院が必要ですか?

A. 軽症から中等症であれば、安静、食事制限、整腸剤や症状を抑える薬の内服で改善することが多く、外来で治療できる場合もあります。ただし、痛みが非常に強い、血便が多い、脱水がある、全身状態が悪いなどの場合には入院が必要になることがあります。【1】【3】

Q. どのくらいで良くなりますか?再発することはありますか?

A. 軽症から中等症では、早ければ1日ほどで痛みが和らぎ、数日かけて回復していくことが多いです。虚血性腸炎の再発率は 6.8~16% と報告があり【1】、実際に当院でも再発した方もおられます。便秘などの背景が改善していないと再発することもあるため、症状が落ち着いた後も便通管理を意識することが大切です。【1】【3】

Q. 自宅で様子を見てもよい症状と、すぐ受診したほうがよい症状の違いはありますか?

A. 強い腹痛や冷や汗がある時点で、自己判断で様子を見るのはおすすめできません。特に、痛みがどんどん強くなる、吐き気や嘔吐がある、血便が増える、発熱やふらつきがある、お腹が張って便やガスが出ないといった症状があれば、早めの受診が必要です。【1】【2】【3】

まとめ:虚血性腸炎は「突然の腹痛」の原因のひとつです

虚血性腸炎の特徴的な症状は以下の3つです。

  • 腹痛(特に左側の側腹部~下腹部)

  • 血便

  • 下痢

しかし今回のように、腹痛のみで始まるケースもあります

まさか自分が?と思われるかもしれませんが、若い方でも便秘をきっかけに発症することがあります

虚血性腸炎は自然に回復することが多いですが、放置すると腸閉塞や腸管壊死に至ることもあり、自己判断せず、医療機関の受診が重要です。

今回のケースでは大腸カメラで診断しましたが、症状によっては腹部エコーで診断がつくことも多く、症状でお困りの方はお力になれますので一度当院にご相談ください。

お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903

※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。

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医師紹介

東海林英典(しょうじ ひでのり)院長

📍経歴

国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行

令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。

内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。

  • 日本内科学会認定医
  • 日本消化器病学会専門医

🩺 診療にあたっての想い

「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、お気軽にご相談ください。

アクセス

1710014
東京都豊島区池袋2丁目66-10  

上田胃腸クリニック

JR 池袋駅 北口の地上出口より徒歩5分。

(北改札口を出たら左へ、突き当たり右側の階段20bから地上へ)

お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903

参考文献

【1】Brandt LJ, Feuerstadt P, Longstreth GF, Boley SJ. ACG Clinical Guideline: Epidemiology, Risk Factors, Patterns of Presentation, Diagnosis, and Management of Colon Ischemia (CI). Am J Gastroenterol. 2015;110(1):18-44. doi:10.1038/ajg.2014.395

【2】Theodoropoulou A, Koutroubakis IE. Ischemic colitis: clinical practice in diagnosis and treatment. World J Gastroenterol. 2008;14(48):7302-7308.

【3】Hung A, Calderbank T, Samaan MA, et al. Ischaemic colitis: practical challenges and evidence-based recommendations for management. Frontline Gastroenterol. 2021;12(1):44-52. doi:10.1136/flgastro-2019-101204

【4】Preventza OA, Lazarides K, Sawyer MD. Ischemic colitis in young adults: a single-institution experience. J Gastrointest Surg. 2001;5(4):388-392. doi:10.1016/S1091-255X(01)80067-6

【5】Cai W, Zhu M, Su H, et al. Clinical features and risk factors for ischemic colitis in young and middle-aged adults. Acta Gastro-Enterologica Belgica. 2022;85(2):285-290.

文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)

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