実際の治療例 【黒い便が出た(十二指腸潰瘍)】
「便が黒っぽい…」そんな症状が出たことはありませんか?
黒い便は単なる食事の影響と思われがちですが、実際には 胃潰瘍や十二指腸潰瘍、さらには胃がんなどの深刻な病気のサイン である可能性があります。
今回は、実際に当院を受診された50代男性の症例をもとに、黒い便の原因と治療について専門医が詳しく解説します。
当院ではWEB予約・電話予約を受け付けています。同様の症状でお悩みの方はぜひご相談ください。
症例紹介|50代男性「黒い便が出た」
【症状】
2日前から黒い便が3回続き、当院を受診されました。
【診察】
黒い便の原因としては上部消化管からの出血から起こることが多く、血液中の鉄分が吸収され便が黒色になります。
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍
- 胃がん
- 小腸出血
などの疾患が原因として考えられるため、胃内視鏡(胃カメラ)にて状態をチェックすることにしました。
【検査】
胃内視鏡(胃カメラ)を施行したところ、十二指腸潰瘍を認め、今回の黒い便の原因と診断しました

青丸で囲まれた領域が十二指腸潰瘍になります。 観察時には出血は止まっていましたが、矢印部分の黒ずんだ部分が出血をした後にみられる変化です。
また胃にはピロリ菌による萎縮性胃炎を認め、今回の潰瘍の原因と考えました。

実際のピロリ菌による萎縮性胃炎の画像所見です
十二指腸潰瘍とは
十二指腸潰瘍はピロリ菌や薬剤性で発症する粘膜障害で、粘膜が炎症を起こして表面がえぐれてしまう状態です。
粘膜は常に胃酸にさらされていますが、健康な状態では粘膜の防御機能によって胃酸により粘膜が傷つかないようになっています。
ただ、ピロリ菌や痛み止めの薬などによりこの防御機能がうまく機能しなくなり、粘膜が傷つきただれてしまい、ついには一部が欠損し潰瘍になってしまいます。
十二指腸潰瘍は食後に胃痛や背部痛が出たり、悪化すると今回のように潰瘍から出血し黒色便が出たり、穿孔(胃に穴が開くこと)し、緊急内視鏡や緊急手術になることもあります。
【治療】
今回は幸いにも潰瘍の程度はひどくなく、出血も止まっていたことから薬で治療することとしました。
①制酸薬
胃酸の分泌過多を抑える薬です。胃酸分泌を抑えることで、粘膜の再生力で潰瘍は治癒していきます。今回はプロトンポンプ阻害薬(PPI)という薬を処方しました。
②粘膜保護薬
胃の粘膜の防御機能を高め改善をより早めます。
③食事指導
食事についてはしばらくの間は刺激の少ない粥食や消化のよい和食系のものを召し上がっていくこととしました。
【経過】
再診時には症状は消失。
十二指腸潰瘍は90%近くがピロリ菌が原因となっており、今回もピロリ菌が陽性であったため除菌も行うこととしました。
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抗生剤+制酸薬を1週間内服
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1か月後の呼気検査で除菌成功を確認
ピロリ菌除菌により潰瘍の再発率は1~2%に低下します【1】。
ただし、除菌後も胃がんリスクは残るため【2】、定期的な胃カメラが重要 です。
まとめ
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黒い便=消化管出血のサイン
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放置すると胃がん・潰瘍穿孔のリスクあり
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ピロリ菌除菌で再発予防が可能
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除菌後も胃カメラでの経過観察が必要
👉 黒い便や胃痛などの症状がある方は、自己判断せず早めに当院にご相談ください。
📞 お電話でのお問い合わせ:03-5953-5903
よくある質問FAQ
Q1:黒い便が1回だけ出た場合も受診すべきですか?
A1:1回でも消化管出血の可能性があるため受診を推奨します。
Q2:市販の胃薬で様子をみても大丈夫ですか?
A2:一時的に症状が軽快しても出血や腫瘍のリスクを否定できません。必ず内視鏡で確認しましょう。
Q3:ピロリ菌を除菌すれば胃がんになりませんか?
A3:リスクは下がりますがゼロにはなりません。除菌後も定期的な胃カメラが必要です。
Q4:黒い便と赤い血便はどう違いますか?
A4:黒い便は上部消化管(胃・十二指腸)からの出血で起こり、赤い血便は大腸や肛門の出血が多いです。出血部位の違いを反映しています。
Q5:黒い便が出ても元気なら様子をみても大丈夫ですか?
A5:出血は一時的に止まっていても再出血することがあり危険です。症状が軽くても早めの内視鏡検査をおすすめします。
Q6:鉄剤やサプリメントで便が黒くなることはありますか?
A6:鉄剤や一部サプリメントで黒色便になることがあります。ただし出血との区別がつかないため、自己判断せず医療機関で相談してください。
Q7:ピロリ菌除菌後も胃カメラを続ける必要がありますか?
A7:はい。除菌後も胃がんのリスクは残るため、年1回程度の胃カメラを推奨します。
医師紹介
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、お気軽にご相談ください。
アクセス
〒1710014
東京都豊島区池袋2丁目66-10
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参考文献
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Miwa H, Sakaki N, Sugano K, et al. Recurrent peptic ulcers in patients following successful Helicobacter pylori eradication: a multicenter study of 4940 patients. Helicobacter. 2004; 9: 9-16.
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Sugano K. Effect of Helicobacter pylori eradication on the incidence of gastric cancer: a systematic review and meta-analysis. Gastric Cancer. 2019.
関連ページ
文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
