実際の治療例【放置したら危険?食後の胃痛が悪化、原因は胃潰瘍】
「食後の胃痛はよくあることだから」
と思って放置していませんか?
実は胃痛は胃潰瘍や胃がんの初期症状であることも少なくありません。
今回は、2〜3週間続いた胃痛が悪化してしまい、当院を受診された40代男性の実例をご紹介します。
腹部エコーと胃カメラで早期に原因を特定し、薬による治療で改善した経過をお伝えします。
✅ 胃痛が続く方は、自己判断せず早めに検査を受けましょう。
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40代男性 食後の胃痛の悪化
【症状】
2-3週間ほど前から食後に胃痛を感じていたものの、しばらくすると落ち着くので様子をみていましたが、
昨日から痛みが強くなったとのことで当院を受診されました
【診察】
食後に感じる痛みは
- 胃潰瘍
- 胃酸分泌過多などの胃の機能異常
- 胆石症などの胆のう疾患
- 膵炎などの膵疾患
などの患が原因として考えられるため、腹部エコーと胃内視鏡(胃カメラ)にて状態をチェックすることにしました。
【検査】
腹部エコーでは胆のうや膵臓に異常は認めませんでしたが、胃潰瘍を疑う所見がありました。
※下の写真は実際のエコー画像です。胃の一部に潰瘍と思われる領域を認め(丸で囲まれた部位)、
周囲の胃壁が潰瘍による炎症によって腫れている状態でした(矢印部分)。

胃内視鏡(胃カメラ)を施行したところ、胃の出口付近に胃潰瘍を認めました
※下の写真は実際の胃カメラの画像です。胃の出口付近にえぐれて窪んだ部分があります(青丸部分)。
ここが胃潰瘍部分で、内視鏡で見ると中心が白みがかった窪みとして認識されます。表面の粘膜が炎症により欠損した状態です。

📍 詳しくはこちら → 胃カメラについて | エコー検査について
【胃潰瘍とは】
胃潰瘍は、胃の粘膜が炎症で傷つき、えぐれてしまった状態です。
主な原因は以下です。
-
ピロリ菌感染
-
痛み止め(NSAIDs)の使用
-
ストレスや生活習慣
放置すると出血や穿孔(胃に穴が開く)を起こし緊急内視鏡や緊急手術になることもあり、
早期治療が重要です。
【治療】
今回は潰瘍の程度はひどくなく出血もないことから薬で治療することとしました。
①制酸薬
胃酸の分泌過多を抑える薬です。胃酸分泌を抑えることで、胃の粘膜の再生力で潰瘍は治癒していきます。
今回はプロトンポンプ阻害薬(PPI)という薬を処方しました。
②粘膜保護薬
胃の粘膜の防御機能を高め、潰瘍による胃痛を抑え改善をより早めます。
③食事指導
しばらくの間は刺激の少ない粥食や消化のよい和食系のものとしました。
【経過】
投薬開始翌日には痛みは取れ、1週間後の再診時には痛みはほぼ消失。
食事は通常食に戻し内服を続け、1か月後の再診時もほぼ問題ない状態でした。
【予防】
胃潰瘍の原因の約90%はピロリ菌であり、今回もピロリ菌が陽性であったため除菌も行うこととしました。
(実際にピロリ菌除菌後の潰瘍の再発率は 1~2%と極めて低いことが報告されています※1。
詳しくは、ピロリ菌と潰瘍の関係を参照ください。)
薬を1週間飲んでもらい、1か月後に再診をして頂き、呼気検査にてピロリ菌の除菌成功を確認しました。
ただ、ピロリ菌除菌後も胃がんのリスクがあるため※2、胃カメラは定期的に行っていく方針としています。
【院長からのコメント】
十二指腸潰瘍や胃潰瘍は悪化すると出血したり、十二指腸・胃に穴が開いたり(穿孔)することもあるため、
慢性的な痛みやその増悪、または強い胃痛背部痛がある場合は腹部エコーや胃カメラの検査を行うことが大切です。
また、症状がある場合にすぐに胃カメラを行う必要があるかどうかの判断には、今回のように腹部エコーが有用な場合も多く、
当院では積極的に腹部エコーも行い、胃カメラの適切なタイミングを逃さないようにしております。
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胃潰瘍のQ&A
Q:胃潰瘍の原因は何ですか?
A:ピロリ菌を初めてとして下記のようなものが原因となります。
ピロリ菌
痛み止めの薬(NSAIDs)
ストレス
刺激物や辛い物の過剰摂取
細菌やウイルス感染
過労
タバコ、アルコール、コーヒーなどの嗜好品 など
Q:胃潰瘍はどのくらいで治りますか?
A:適切な薬を飲めば通常は6-8週間程度で改善します。
PPIと呼ばれる薬を飲むと症状自体は1週間程度で落ち着きますが、潰瘍自体が治るのには6-8週間ほどかかるため、その後も薬を継続する必要があります。
また、ピロリ菌が陽性の場合は除菌(薬を1週間服用)を行い再発を予防していきます。
Q:胃潰瘍を放置するとどうなりますか?
A:自然治癒することもありますが、重症化する場合もあります。
軽い胃潰瘍であれば2か月程度で自然治癒することもありますが、途中で悪化して吐血を起こしたり。潰瘍がガンだった場合はどんどん進行してく可能性があります。
ですので、胃痛などがあれば速やかに医療機関を受診し、胃カメラを行い潰瘍だった場合はしっかりとした内服治療を行うことが望ましいと考えます。
医師紹介
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、お気軽にご相談ください。
アクセス
〒1710014
東京都豊島区池袋2丁目66-10
上田胃腸クリニック
JR 池袋駅 北口の地上出口より徒歩5分。
(北改札口を出たら左へ、突き当たり右側の階段20bから地上へ)
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WEB予約は【こちら】
文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
参考文献:※1Miwa H, Sakaki N, Sugano K, et al. Recurrent peptic ulcers in patients following successful Helicobacterpylori eradication: a multicenter study of 4940 patients. Helicobacter 2004; 9: 9-16
※2Sugano K. Effect of Helicobacter pylori eradication on the incidence of gastric cancer: a systematic review and meta-analysis. Gastric Cancer 2019;
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