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食後の胃痛が悪化…原因は胃潰瘍|腹部エコーと胃カメラで早期発見した治療例

[2026.05.06]

「食後に胃が痛いけれど、少し休むと落ち着くから大丈夫」

「胃薬を飲めば一時的によくなるので、様子を見ている」

このように、食後の胃痛を一時的な胃もたれやストレスのせいと考えて、受診を先延ばしにしている方は少なくありません。

しかし、食後の胃痛が続く・だんだん強くなる・吐き気や食欲低下を伴う場合には、胃潰瘍、胃炎、胃がん、胆石症、膵炎などが隠れていることがあります。

今回は、2〜3週間続いた胃痛が悪化してしまい、当院を受診された40代男性の実例をご紹介します。

腹部エコーと胃カメラで早期に原因を特定し、薬による治療で改善した経過を専門医の院長が分かりやすくお伝えします。

食後の胃痛でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。

💡本記事でお伝えしたいポイント

✅ 食後の胃痛が続く場合、胃潰瘍・胃炎・胃がん・胆石症・膵炎などの確認が必要です。

✅ 胃潰瘍は、ピロリ菌感染や痛み止めなどが関係して起こることがあります[1][2]

✅ 今回の症例では、腹部エコーで胃潰瘍を疑い、胃カメラで診断しました。

✅ 胃潰瘍は薬で改善することが多いですが、ピロリ菌陽性の場合は除菌による再発予防も重要です[1][3]

✅ 黒色便、吐血、体重減少、貧血、強い痛みがある場合は早めの受診が必要です。

食後の胃痛が続く方へ

池袋上田胃腸クリニックでは、胃痛・みぞおちの痛み・胃もたれなどの症状に対して、診察、腹部エコー、胃カメラなどを組み合わせて原因を確認しています。

WEB予約・電話予約を受け付けています。お気軽にご相談ください。

WEB予約はこちら 03-5953-5903

食後の胃痛を起こす主な原因

食後の胃痛は、胃だけでなく胆のうや膵臓の病気でも起こることがあります。そのため、「食後に痛い=胃薬で様子を見る」と決めつけず、症状の出方や持続期間、痛みの場所、随伴症状を確認することが大切です。

胃潰瘍

胃潰瘍は、胃の粘膜が深く傷つき、えぐれたような状態になる病気です。食後にみぞおちが痛む、胃もたれ、吐き気、食欲低下などを伴うことがあります。主な原因として、ピロリ菌感染や痛み止めなどが知られています[1][2]

胃炎

胃炎では、胃の粘膜に炎症が起こり、胃痛、胃もたれ、吐き気、むかつきなどが出ることがあります。食事、飲酒、薬剤、ストレス、ピロリ菌などが関係することがあります。

胃がん

胃がんは初期には症状が乏しいこともありますが、胃痛、食欲低下、体重減少、貧血、黒色便などをきっかけに見つかることがあります。症状だけで胃潰瘍と胃がんを完全に見分けることは難しいため、必要に応じて胃カメラで確認します。

胆石症・胆のう炎

胆石症では、食後、特に脂っこいものを食べた後に右上腹部やみぞおちの痛みが出ることがあります。発熱や吐き気を伴う場合は胆のう炎の可能性もあるため、腹部エコーが有用です。

膵炎

膵炎では、みぞおちから背中にかけて強い痛みが出ることがあります。飲酒、胆石、脂質異常症などが関係することがあり、血液検査や腹部エコー、CTなどで評価します。

機能性ディスペプシア

胃カメラで明らかな潰瘍やがんがないにもかかわらず、胃痛、胃もたれ、早期満腹感、食後の不快感などが続く病気です。ただし、診断の前には、胃潰瘍や胃がんなどの器質的疾患を除外することが重要です。

関連ページ:
食後の胃痛やみぞおちの痛みが続く方は、胃痛・腹痛外来もあわせてご覧ください。

胃潰瘍とは?

胃潰瘍とは、胃の内側を覆っている粘膜が深く傷つき、粘膜の一部が欠損した状態です。

胃の粘膜は、胃酸や消化酵素から胃を守る防御機能を持っていますが、ピロリ菌、痛み止め、胃酸、ストレス、喫煙、飲酒などの影響で防御機能が弱くなると、胃の粘膜が傷つきやすくなります。

胃潰瘍の代表的な原因としては、ヘリコバクター・ピロリ菌感染と、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれる痛み止めが重要です[1][2]

胃潰瘍は、薬で胃酸を抑え、粘膜を保護することで改善することが多い病気です。一方で、原因がピロリ菌の場合には、除菌治療を行うことで再発予防につながります[1][3]

実際の治療例|40代男性「食後の胃痛の悪化」

【症状】

2-3週間ほど前から食後に胃痛を感じていたものの、しばらくすると落ち着くので様子をみていましたが、

昨日から痛みが強くなったとのことで当院を受診されました

【診察】

診察では、痛みの場所、食事との関係、痛みの強さ、吐き気、発熱、黒色便、体重減少、内服薬の有無、過去のピロリ菌検査歴などを確認しました。

食後にみぞおちの痛みが出る場合、鑑別として以下のような病気を考えます。

  • 胃潰瘍
  • 胃炎
  • 胃がん
  • 十二指腸潰瘍
  • 胆石症・胆のう炎
  • 膵炎
  • 逆流性食道炎
  • 機能性ディスペプシア

今回は、食後の胃痛が続いて悪化していることから、腹部エコーと胃カメラで原因を確認する方針としました。

【検査】

腹部エコー

胆のうや膵臓に異常は認めませんでしたが、胃潰瘍を疑う所見がありました

食後の胃痛で受診した患者さんの腹部エコーで胃潰瘍を疑う所見を認めた画像

実際のエコー画像です。胃の一部に潰瘍と思われる領域を認め(丸で囲まれた部位)、周囲の胃壁が潰瘍による炎症によって腫れている状態でした(矢印部分)。

胃内視鏡(胃カメラ)

施行したところ、胃の出口付近に胃潰瘍を認めました。

胃カメラで胃の出口付近に白色調のくぼみを伴う胃潰瘍を認めた内視鏡画像

実際の胃カメラの画像です。胃の出口付近にえぐれて窪んだ部分があります(青丸部分)。

ここが胃潰瘍部分で、内視鏡で見ると中心が白みがかった窪みとして認識されます。表面の粘膜が炎症により欠損した状態です。

関連ページ:
胃カメラについて詳しく知りたい方は、池袋上田胃腸クリニックの胃カメラ検査をご覧ください。
腹部エコーについては、エコー検査のページも参考にしてください。

【治療】

今回は潰瘍の程度はひどくなく出血もないことから薬で治療することとしました。

①制酸薬

胃酸の分泌過多を抑える薬です。胃酸分泌を抑えることで、胃の粘膜の再生力で潰瘍は治癒していきます。

今回はプロトンポンプ阻害薬(PPI)という薬を処方しました。

②粘膜保護薬

胃の粘膜の防御機能を高め、潰瘍による胃痛を抑え改善をより早めます。

 ③食事指導

しばらくの間は刺激の少ない粥食や消化のよい和食系のものとしました。

経過

投薬開始翌日には痛みは取れ、1週間後の再診時には痛みはほぼ消失。

食事は通常食に戻し内服を続け、1か月後の再診時もほぼ問題ない状態でした。

【予防】

胃潰瘍の原因の約90%はピロリ菌であり、今回もピロリ菌が陽性であったため除菌も行うこととしました。

(実際にピロリ菌除菌後の潰瘍の再発率は 1~2%と極めて低いことが報告されています※1。詳しくは、ピロリ菌と潰瘍の関係を参照ください。)

薬を1週間飲んでもらい、1か月後に再診をして頂き、呼気検査にてピロリ菌の除菌成功を確認しました。

ただ、ピロリ菌除菌後も胃がんのリスクがあるため※2、胃カメラは定期的に行っていく方針としています。

食後の胃痛で受診した方がよい症状

以下のような症状がある場合は、胃潰瘍、胃がん、胆石症、膵炎などの可能性も考えて、早めに医療機関で相談してください。

  • 食後の胃痛が2週間以上続いている
  • 胃痛がだんだん強くなっている
  • 市販薬を飲んでも繰り返す
  • 黒い便が出る
  • 吐血した、または血の混じったものを吐いた
  • 吐き気や食欲低下が続く
  • 体重が減ってきた
  • 貧血やふらつきがある
  • 背中まで痛む
  • 痛み止めをよく飲んでいる

院長コメント

食後の胃痛は、胃炎や胃もたれのような比較的軽い症状として自覚されることもありますが、今回のように胃潰瘍が隠れていることがあります。

胃潰瘍は、悪化すると出血や黒色便、まれに胃や十二指腸に穴が開く穿孔を起こすことがあります。そのため、慢性的な胃痛や、急に強くなった胃痛を自己判断で放置しないことが大切です。

また、胃痛の原因は胃だけとは限りません。胆石症や膵炎などでもみぞおちの痛みが出ることがあるため、当院では症状に応じて胃カメラと腹部エコーを組み合わせ、できるだけ原因を見逃さないように診療しています。

「胃薬で少し良くなるから大丈夫」と思っていても、症状が続く場合や悪化する場合は、一度検査で確認しておくことをおすすめします。

食後の胃痛・みぞおちの痛みでお困りの方へ

池袋上田胃腸クリニックでは、食後の胃痛に対して当日中に検査・診断できる体制を整えています。同様の症状でお悩みの方はぜひご相談ください。

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📞 お電話でのお問い合わせ:03-5953-5903

※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。

※来院時間や当日の状況によっては翌日以降の検査となる場合もあります

よくある質問

Q. 食後に胃が痛くなるのは胃潰瘍ですか?

食後の胃痛があるからといって、必ず胃潰瘍とは限りません。胃炎、胃がん、胆石症、膵炎、機能性ディスペプシアなどでも食後の胃痛が起こることがあります。特に痛みが続く、悪化する、吐き気や黒色便を伴う場合は、胃カメラや腹部エコーで原因を確認することが大切です。

 

Q. 胃潰瘍の痛みはどのような痛みですか?

胃潰瘍では、みぞおちの痛み、食後の痛み、胃もたれ、吐き気、食欲低下などが出ることがあります。ただし、症状だけで胃潰瘍と胃がん、胆石症、膵炎などを見分けることは難しいため、症状が続く場合は検査が必要です。

 

Q. 胃潰瘍の原因は何ですか?

代表的な原因は、ヘリコバクター・ピロリ菌感染と、NSAIDsと呼ばれる痛み止めです。そのほか、喫煙、飲酒、ストレス、生活習慣などが症状の悪化に関係することがあります。ピロリ菌が陽性の場合は、除菌治療による再発予防が重要です。

 

Q. 胃潰瘍は胃カメラをしないと分かりませんか?

胃潰瘍の診断には、胃カメラが非常に重要です。腹部エコーで胃潰瘍を疑う所見が見えることもありますが、胃の粘膜を直接確認し、胃がんとの鑑別や必要な組織検査を行うには胃カメラが必要です。胃カメラについては、当院の胃カメラ検査ページもご覧ください。

 

Q. 腹部エコーで胃潰瘍は分かりますか?

腹部エコーで胃潰瘍を疑う所見が見えることはありますが、すべての胃潰瘍をエコーだけで診断できるわけではありません。腹部エコーは、胆石症や膵炎など胃痛に似た症状を起こす病気の確認にも役立ちます。最終的な確認には、胃カメラが必要になることが多いです。

 

Q. 胃潰瘍は薬で治りますか?どのくらいで治りますか?

多くの胃潰瘍は、胃酸を抑える薬や胃粘膜を保護する薬を使用し、通常は6-8週間程度で改善します。ただし、潰瘍の大きさ、出血の有無、原因、年齢、内服薬の状況によって治療方針は異なります。自己判断で薬を中断せず、医師の指示に沿って治療を続けることが大切です。

 

Q. 胃潰瘍を放置するとどうなりますか?

胃潰瘍を放置すると、出血、黒色便、貧血、吐血、まれに胃や十二指腸に穴が開く穿孔を起こすことがあります。また、胃潰瘍のように見える病変の中に胃がんが隠れていることもあるため、症状が続く場合は胃カメラで確認することが大切です。

 

Q. ピロリ菌を除菌すると胃潰瘍は再発しにくくなりますか?

ピロリ菌が原因となっている胃潰瘍では、除菌治療により再発予防が期待できます。ただし、除菌後も胃がんリスクが完全にゼロになるわけではないため、胃粘膜の状態や年齢、家族歴などに応じて定期的な胃カメラを検討します。

 

Q. 市販の胃薬でよくなれば受診しなくても大丈夫ですか?

一時的な胃もたれや軽い胃炎であれば、市販薬で症状が落ち着くこともあります。しかし、胃潰瘍や胃がんなどでも一時的に症状が軽くなることがあります。2週間以上続く、繰り返す、悪化する、黒色便や体重減少を伴う場合は、受診して原因を確認してください。

 

Q. 食後の胃痛で早めに受診した方がよいサインはありますか?

痛みが強くなる、黒色便が出る、吐血する、吐き気や食欲低下が続く、体重が減る、貧血やふらつきがある、背中まで痛む場合は早めの受診が必要です。胃潰瘍、胃がん、胆石症、膵炎などを見分けるため、胃カメラや腹部エコーが役立ちます。

まとめ

食後の胃痛はよくある症状ですが、長引く場合や悪化する場合には、胃潰瘍などの病気が隠れていることがあります。今回の症例では、腹部エコーで胃潰瘍を疑い、胃カメラで診断し、薬物治療とピロリ菌除菌を行うことで症状は改善しました。

 ✔ 食後の胃痛が続く場合は、胃潰瘍・胃炎・胃がん・胆石症・膵炎などを考えます。

 ✔ 胃潰瘍の主な原因には、ピロリ菌感染や痛み止めがあります。

 ✔ 腹部エコーは胆のう・膵臓の病気を確認するのに役立ちます。

 ✔ 胃潰瘍の診断や胃がんとの鑑別には胃カメラが重要です。

 ✔ ピロリ菌陽性の場合は、除菌治療による再発予防が大切です。

 ✔ 黒色便、吐血、体重減少、貧血、強い痛みがある場合は早めに受診しましょう。

食後の胃痛が続く方へ

食後の胃痛が続く場合、胃薬で一時的に様子を見るだけでは原因が分からないことがあります。胃潰瘍、胃がん、胆石症、膵炎などを見逃さないためにも、症状が続く・悪化する場合は早めにご相談ください。

💡当院は池袋駅から徒歩5分程度でアクセス可能です。お気軽にご相談ください。

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関連ページ

参考文献

  1. 日本消化器病学会. 消化性潰瘍診療ガイドライン2020(改訂第3版). https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/syoukasei2020_2.pdf
  2. National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases. Symptoms & Causes of Peptic Ulcers. https://www.niddk.nih.gov/health-information/digestive-diseases/peptic-ulcers-stomach-ulcers/symptoms-causes
  3. Chey WD, et al. ACG Clinical Guideline: Treatment of Helicobacter pylori Infection. Am J Gastroenterol. 2024. https://journals.lww.com/ajg/fulltext/2024/09000/acg_clinical_guideline__treatment_of_helicobacter.13.aspx
  4. Kamada T, et al. Evidence-based clinical practice guidelines for peptic ulcer disease 2020. J Gastroenterol. 2021;56:303-322. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33620586/胃潰瘍のQ&A

医師紹介

東海林英典(しょうじ ひでのり)院長

📍経歴

国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行

令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。

内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。

  • 日本内科学会認定医
  • 日本消化器病学会専門医

🩺 診療にあたっての想い

「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、お気軽にご相談ください。

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文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)

 

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