実際の治療例 【血便が断続的に続いている(アメーバ腸炎)】
「血便=痔だろう」と思って放置していませんか?
実は、血便の原因は痔だけでなく、大腸がんや炎症性腸疾患、寄生虫感染などさまざまです。
今回ご紹介するのは、断続的に血便が続いていた50代男性のケース。
大腸カメラで調べた結果、なんと“アメーバ腸炎”という感染症が見つかりました。専門医による診断と治療の実際をご紹介します。
当院ではWEB予約・電話予約を受け付けています。同様の症状でお困りの方はお気軽にご相談ください。
症例|50代男性「血便が断続的に続く」
【症状】
数年前から時々血便が出てしばらくすると止まるということを繰り返していました。
「痔かな」と思い様子を見ていましたが、ここ最近は血便の頻度が多くなってきたとのことで来院されました。
【診察】
断続的な血便の原因として
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内痔核
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潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患
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大腸がん
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アメーバ腸炎
などを考え、正確な診断のため、大腸カメラを行いました。
【検査】
大腸カメラでは深部大腸と直腸に炎症があり、生検を行い顕微鏡検査でアメーバを認め、アメーバ腸炎と診断しました。

実際の内視鏡画像です。黄色の部分に浅い潰瘍を伴った炎症を認めます。
【アメーバ腸炎とは?】
・アメーバ腸炎は 汚染水の摂取や性交渉 によりアメーバが大腸内に侵入して感染します【1】。
・アメーバ腸炎は感染すると、年単位で慢性的な炎症を起こし断続的に血便や下痢・腹痛を引き起こします。
・今回の患者さんは渡航歴があり、途上国で感染した可能性が高いと考えられました。
【治療】【経過】
アメーバに有効な内服薬にて治療を行い、今回も服用していただき症状は速やかに消失しました。
ただ、アメーバ腸炎は再燃することもあるため血便の再発に注意して経過を見ています。
まとめ
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血便=痔とは限らず、大腸がんや感染症のサインのこともある
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大腸カメラは原因を直接確認できるため診断に不可欠
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アメーバ腸炎は再燃リスクもあるため、継続的な経過観察が必要
👉 血便や下痢が続く方は、早めの大腸カメラをおすすめします。。
📞 お電話でのお問い合わせ:03-5953-5903
よくある質問(FAQ)
Q1:血便が出たらすぐに受診すべきですか?
A:繰り返す場合や鮮血が混じる場合は、痔だけでなく大腸の病気の可能性があります。早めの大腸カメラをおすすめします。
Q2:アメーバ腸炎はうつりますか?
A:経口感染(汚染水や食事)、性的接触で感染することがあります。海外渡航歴がある方は特に注意が必要です【1】。
Q3:大腸カメラは痛いですか?
A:鎮静剤を使用することで、ほとんどの方が「眠っている間に終わった」と感じられます。
Q4:アメーバ腸炎は再発しますか?
A:適切な治療で多くは治癒しますが、再燃することもあり、再度の血便が出た場合は受診が必要です。
Q5:アメーバ腸炎はどんな症状が出ますか?
A:断続的な血便や下痢、腹痛が主症状です。慢性化すると体重減少や貧血につながることもあります【2】。
Q6:アメーバ腸炎は日本でも多い病気ですか?
A:以前はまれでしたが、近年は海外渡航者や性的接触による感染で増加傾向にあります【3】。
Q7:血便の原因が痔か大腸の病気か、自分で見分けられますか?
A:痔の場合は排便時に鮮やかな赤い血が付着することが多いですが、大腸の病気では便に混ざったり暗い赤色になることがあります。正確には大腸カメラでの確認が必要です。
Q8:大腸カメラはどのくらいの時間がかかりますか?
A:検査自体は20〜30分程度で終了します。前処置(下剤)を含めると半日ほどのスケジュールです。
Q9:大腸カメラでポリープが見つかった場合、その場で切除できますか?
A:多くの場合は同時に切除可能です。ただし大きさや形によっては後日の専門処置が必要なこともあります。
Q10:血便が止まったら受診しなくても大丈夫ですか?
A:一時的に止まっても、見えない場所で病気が進んでいることがあります。繰り返す場合は必ず検査を受けてください。
医師紹介
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「検査はつらい、怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、“苦痛の少ない胃カメラ・大腸カメラ” を心がけています。
初めての方や検査に不安がある方でも、「ここで受けてよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、お気軽にご相談ください。
アクセス
〒1710014
東京都豊島区池袋2丁目66-10
上田胃腸クリニック(池袋駅 北口から徒歩5分)
- JR「池袋」北改札 → 左へ → 20b出口から地上へ
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関連ページ
参考文献
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世界保健機関(WHO). Entamoeba histolytica infection and amoebiasis.
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厚生労働省. 寄生虫症:アメーバ赤痢に関する解説.
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日本消化器病学会ガイドライン「腸管感染症」2021年版.
文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
