実際の治療例 “若年者の方に見つかった早期大腸ガン”
当院や本院を受診された患者さんの実際の治療経過です。
30代 男性 父親が大腸ガンになり自分も大腸ガンが心配
【症状】
特に自覚症状はありませんでしたが、父親が大腸がんで手術を受け、自分も大腸がんが心配になり大腸内視鏡検査を受けたいとのことで来院されました
【内視鏡検査】
大腸内視鏡を行うと、S状結腸に25㎜大のポリープを認めました(青矢印部分)。


病変部の拡大NBIモードでの観察です。青丸部分が陥凹して構造が不明瞭化し、異常な血管像もあり、早期大腸がんと診断しました。

比較的大きなポリープでしたがその場で内視鏡で切除しました。切除直後は少量の出血がありましたが、内視鏡で止血して、その後は出血や合併症もありませんでした。
【経過】
切除したポリープを顕微鏡検査(病理診断)で確認するとやはりガンの状態でした。
ただ幸いにも転移の心配のない早期ガンでしたので、内視鏡治療で治癒切除となりました。
大腸ガンはポリープから発生することがほとんどで、サイズが大きくなると今回のようにガン化し、最終的に進行がんになって転移を来していきます。
(例外的に小さなポリープでもガン化することがあります。)
基本的には40代以上の方に発生することが多いのですが、20代や30代の方にもサイズの大きなポリープやガンが見つかることがあります。
大腸がんのリスク要因としては、遺伝的な要素に加え飲酒・肥満・喫煙・赤身肉や加工肉(ベーコン・ソーセージなど)の摂取などの生活習慣があげられ、また逆に運動や食物繊維の摂取が大腸がんのリスクを下げることがわかっています。
大腸内視鏡検査を受けることで、将来的なガン化のリスクのあるポリープを発見・切除することで大腸がんの予防をすることができ、
また今回のように早期ガンであれば内視鏡で治療完了となるため、20代・30代の若い方でもご家族に大腸がんの方がおられる方やリスク因子がある方は大腸内視鏡を受けることをお勧めします。
今回は家族歴があり、かつ早期ガンという状況でしたので、今後も定期的に大腸カメラを行い状態をチェックしていくこととしています。
大腸がんやポリープについて気になる方・ご不安な方はお力になれますのでご相談ください!
文責:神谷雄介院長(消化器内科・内視鏡専門医)
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