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【実際の治療例】急に始まったみぞおちの痛み…実は「急性虫垂炎」だった|見逃されやすい症状と治療法

[2026.04.29]

「みぞおちが急に痛くなった」

「胃炎かと思って放置していたらどんどん痛みが強くなり右下に移動してきた」

──そんな経験はありませんか?

実は、胃の病気ではなく急性虫垂炎(いわゆる盲腸)が原因だった、ということも少なくありません。

今回は当院で診断・治療を行った20代女性の実例をもとに、症状・検査・治療の流れを専門医の院長が分かりやすくご紹介します。

強いみぞおちの痛み・移動する痛みでお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。

 

💡本記事でお伝えしたいポイント

✅ 急なみぞおちの痛みは、胃炎だけでなく急性虫垂炎の初期症状として起こることがあります。

✅ 虫垂炎では、時間とともに痛みが右下腹部へ移動してくることがあります。

✅ 発熱・吐き気・右下腹部の強い痛みを伴う場合は、早めの受診が大切です。

✅ 腹部エコーや血液検査により、虫垂の腫れや炎症の程度を確認できることがあります。

✅ 軽症であれば抗菌薬で改善することもありますが、再燃や手術が必要になる場合もあります。

 

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みぞおちの痛みから右下腹部痛へ移動する場合に考える病気

急に発症したみぞおちの痛みや、右下腹部へ移動する腹痛では、以下のような病気が原因になることがあります。

  • 急性虫垂炎:最初はみぞおちやおへそ周りが痛み、その後、右下腹部へ痛みが移動することがあります。発熱、吐き気、食欲低下を伴うこともあります。
  • 急性胃炎・胃十二指腸潰瘍:みぞおちの痛み、胃もたれ、吐き気、食事との関連がみられることがあります。
  • 急性胃腸炎:腹痛に加えて、下痢、吐き気、嘔吐、発熱などを伴うことがあります。
  • 胆のう炎・胆石発作:右上腹部からみぞおちにかけて痛みが出ることがあり、脂っこい食事の後に悪化する場合もあります。
  • 尿管結石:脇腹から下腹部にかけて強い痛みが出ることがあり、血尿や吐き気を伴うことがあります。
  • 婦人科疾患:女性では、卵巣出血、卵巣嚢腫茎捻転、骨盤内炎症などが右下腹部痛の原因になることがあります。

このように、みぞおちの痛みや右下腹部痛の原因は一つではありません。症状の出方だけで自己判断するのは難しく、診察、腹部エコー検査、血液検査などを組み合わせて原因を確認することが大切です。

 

急性虫垂炎とは?

急性虫垂炎は、大腸の始まりにある「虫垂」という細い管状の部分に炎症が起こる病気です。一般的には「盲腸」と呼ばれることもあります。

典型的には、最初にみぞおちやおへその周りが痛み、その後、時間の経過とともに右下腹部へ痛みが移動してくることがあります。

初期には胃炎や急性胃腸炎のように感じることもあるため、注意が必要です。

急性虫垂炎が疑われる場合は、診察で痛みの場所や押したときの反応を確認し、必要に応じて血液検査や腹部エコー検査を行います。

炎症が軽い場合は抗菌薬で治療することもありますが、炎症が強い場合や穿孔が疑われる場合は、手術が必要になることがあります。

 

症例|20代女性「急に発症したみぞおちの痛み・右下腹部痛」 

【症状】

前日夜から急にみぞおちの痛みが出現。

改善するかと思い様子を見ていましたが、どんどん痛みが増強してきたとのことで当院を受診されました。

 

【診察】

診察時にはみぞおちに加え右下腹部にも痛みが出てきており、触診上でも右下腹部にかなり強い痛みがありました。

急激に症状が発症していることと、痛みがみぞおちから右下腹部に移動してきたことから急性虫垂炎(いわゆる盲腸)を疑い、エコー検査を行いました。

 

【検査】

エコー検査では、虫垂が8.8㎜大に腫大し(黄色矢印部分)、急性虫垂炎と診断しました。 ※正常は6㎜以下です。

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【治療】

エコー検査では虫垂の穿孔(穴が開くこと)はなく、血液検査でも炎症は軽症であり、抗生剤の点滴で炎症を散らすこととしました。

翌日の再診時には痛みはかなり落ち着いており、炎症は改善傾向であり、3日ほど抗生剤を続け、最終的に痛みの改善、エコーや血液検査でも炎症の鎮静化を確認し、いったん治療終了としました。

 

院長からのコメント

虫垂炎は発症初期は上腹部やみぞおちの痛みで発生し、右下に痛みが移動してくるという経過をとることが多くの場合に見られます。

みぞおちの痛みを感じるため、発症初期には「胃炎」「急性胃腸炎」などと誤診されてしまうこともありますが、適切な検査をすれば診断がつくことがほとんどなので、

当院では腹部エコーや血液検査などを行い、なるべく早期に正しい診断をつけることに力を入れています

早期に診断をつけることができれば、重症化する前に治療を開始することができ、今回のように抗生剤で散らすことでほとんどの場合が改善します。

ただし、散らした場合は15~30%程度の再燃リスクもあるため※1、落ち着いた後に1~3か月をめどに予防的に虫垂を切除する手術を行うケースもあります※2

(今回は患者さん本人が希望されず、手術までは行いませんでした。)

また、糞石などの重症化のリスクがある場合や痛みが激しい場合、穿孔が疑われる場合などは緊急OPEになる可能性があるため、早期診断・早期治療が非常に重要です。

 

池袋上田胃腸クリニックでは、急性虫垂炎に対して当日中に検査・診断できる体制を整えています。急な腹痛でお困りの方はぜひご相談ください。

📞 お電話でのお問い合わせ:03-5953-5903

※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。

※来院時間や当日の状況によっては翌日以降の検査となる場合もあります

よくある質問

Q. みぞおちの痛みから急性虫垂炎が始まることはありますか?

はい、あります。急性虫垂炎というと右下腹部の痛みをイメージされる方が多いですが、発症初期には、みぞおちやおへそ周りの痛みとして始まることがあります。その後、時間の経過とともに右下腹部へ痛みが移動してくる場合があります。

「胃が痛い」と感じていても、痛みの場所が変わる、右下腹部が強く痛む、発熱や吐き気を伴う場合は、急性虫垂炎の可能性も考えて早めに医療機関を受診することが大切です。

Q. 右下腹部が痛いと、必ず急性虫垂炎ですか?

いいえ、右下腹部痛の原因は急性虫垂炎だけではありません。急性胃腸炎、便秘、尿管結石、腸炎、憩室炎、女性では卵巣出血や卵巣嚢腫茎捻転、骨盤内炎症などが原因になることもあります。

痛みの場所だけで自己判断するのは難しいため、症状の経過、診察所見、血液検査、腹部エコー検査などを組み合わせて原因を確認する必要があります。

Q. 急性虫垂炎と胃炎はどう違いますか?

急性胃炎では、みぞおちの痛み、胃もたれ、吐き気、食事との関連などがみられることがあります。一方、急性虫垂炎では、最初はみぞおちやおへそ周りの痛みとして始まり、その後、右下腹部へ痛みが移動することがあります。

また、急性虫垂炎では、歩くと響く、咳をすると痛む、右下腹部を押すと強く痛む、発熱や食欲低下を伴うといった症状がみられることがあります。症状だけで区別が難しい場合もあるため、診察や検査で確認することが重要です。

Q. 急性虫垂炎は腹部エコーでわかりますか?

腹部エコー検査で、腫れた虫垂や周囲の炎症を確認できることがあります。特に、右下腹部の痛みがある場合には、腹部エコーで虫垂の腫れ、周囲の脂肪織の炎症、膿瘍の有無などを確認します。

ただし、体格、腸管ガス、虫垂の位置などによってはエコーで見えにくいこともあります。その場合は、症状や血液検査の結果をふまえて、必要に応じてCT検査などを検討することがあります。

Q. 血液検査だけで急性虫垂炎は診断できますか?

血液検査だけで急性虫垂炎を確定することはできません。白血球数やCRPなどの炎症反応が上がることはありますが、これらは急性虫垂炎以外の感染症や炎症でも上昇することがあります。

そのため、診断では、腹痛の場所や移動の仕方、右下腹部の圧痛、発熱、吐き気、血液検査、腹部エコー検査などを総合的に判断します。

Q. 急性虫垂炎は抗生剤だけで治ることがありますか?

炎症が比較的軽い急性虫垂炎では、抗生剤による保存的治療で改善することがあります。いわゆる「薬で散らす」と表現される治療です。

ただし、すべての虫垂炎が抗生剤だけで治るわけではありません。炎症が強い場合、虫垂に穴があいている場合、膿瘍を形成している場合、腹膜炎が疑われる場合などでは、手術が必要になることがあります。

Q. 抗生剤で改善した後に再発することはありますか?

はい、抗生剤でいったん改善しても、急性虫垂炎が再発することがあります。再発のしやすさは、虫垂の状態、糞石の有無、炎症の程度、治療後の経過などによって異なります。

保存的治療を行った場合でも、再び右下腹部痛、発熱、吐き気などが出てきた場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。

Q. 急性虫垂炎で手術が必要になるのはどのような場合ですか?

虫垂の炎症が強い場合、虫垂に穴があいている場合、膿瘍や腹膜炎が疑われる場合、痛みや発熱が強い場合、抗生剤で改善しない場合などでは、手術が必要になることがあります。

また、画像検査で虫垂の腫れが強い、周囲に膿がたまっている、腹水があるといった所見がある場合も、手術を含めた治療方針を検討します。治療方針は、年齢、症状、検査結果、全身状態をふまえて判断されます。

Q. 発熱や吐き気がなくても急性虫垂炎のことはありますか?

はい、あります。急性虫垂炎では、発熱、吐き気、食欲低下を伴うことがありますが、初期には症状がはっきりしないこともあります。

特に、痛みが時間とともに強くなる、みぞおちやおへそ周りの痛みが右下腹部へ移動する、歩くと響く、右下腹部を押すと痛いといった場合には、発熱や吐き気がなくても注意が必要です。

Q. どのような腹痛なら早めに受診した方がよいですか?

急に強い腹痛が出た場合、痛みがどんどん強くなる場合、みぞおちやおへそ周りの痛みが右下腹部へ移動する場合、発熱・吐き気・嘔吐・食欲低下を伴う場合は、早めの受診をおすすめします。

また、右下腹部を押すと強く痛む、歩くとお腹に響く、体を動かすと痛みが増す、冷や汗が出る、顔色が悪いといった場合は、急性虫垂炎を含めた急性腹症の可能性があります。自己判断で様子を見すぎず、医療機関で診察を受けてください。

まとめ

・急性虫垂炎は 初期はみぞおちの痛み から始まり、次第に 右下腹部痛 へ移動するのが特徴です。

・初期には胃炎や胃腸炎と誤診されることもありますが、腹部エコーや血液検査で早期に診断可能 です。

・抗生剤で炎症を抑える保存的治療で改善するケースもありますが、15~30%に再燃リスク があり、場合によっては予防的手術を行うこともあります【1,2】。

・放置すると穿孔・腹膜炎に進展する危険があるため、強い腹痛や痛みの移動がある場合は早めの受診が重要 です。

症状チェックリスト

✅ 急にみぞおちが痛み出した
✅ 胃炎かと思ったが、どんどん痛みが強くなってきた
✅ 痛みが右下腹部に移動してきた
✅ 吐き気や発熱を伴っている

 このような症状がある場合は、急性虫垂炎の可能性があります。放置せず、なるべく早く医療機関を受診してください。

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医師紹介

東海林英典(しょうじ ひでのり)院長

📍経歴

国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。

胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。

令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。

内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。

  • 日本内科学会認定医
  • 日本消化器病学会専門医

🩺 診療にあたっての想い

「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、お気軽にご相談ください。

アクセス

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東京都豊島区池袋2丁目66-10  

上田胃腸クリニック

JR 池袋駅 北口の地上出口より徒歩5分。

(北改札口を出たら左へ、突き当たり右側の階段20bから地上へ)

お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903

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参考文献

【1】Di Saverio S, Podda M, De Simone B, et al. Diagnosis and treatment of acute appendicitis: 2020 update of the WSES Jerusalem guidelines. World J Emerg Surg. 2020;15:27.

【2】Kumar SS, et al. Guideline for the Diagnosis and Treatment of Appendicitis. Society of American Gastrointestinal and Endoscopic Surgeons(SAGES).

【3】Tekin A, Kurtoglu HC, Can I, et al. Routine interval appendectomy is unnecessary after conservative treatment of appendiceal mass. Colorectal Dis. 2008;10:465-468.

【4】前田 大,藤崎真人,高橋孝行ほか:成人の虫垂膿瘍に対する interval appendectomy.日本臨床外科学会雑誌 64(9):2089-2094, 2003.

 

文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)

 

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