実際の治療例【胃カメラで異常なしでも続く「胃もたれ」…若い方にも多い機能性ディスペプシアとは?】
「食後になると胃が重たい」
「胃カメラでは異常なしと言われたのに、胃もたれが続く」
「市販の胃薬を飲んでも、すっきりしない」
このようなお悩みで受診される方は少なくありません。
胃カメラで胃がんや胃潰瘍などの明らかな病気が見つからない場合でも、胃の動きの低下や胃の知覚過敏などによって、胃もたれ・食後の不快感・早期満腹感が続くことがあります。
このような状態の一つに、機能性ディスペプシアがあります【1】【2】。
今回は、数年間続く食後の胃もたれで来院された20代女性の実際の治療例をもとに、胃カメラで異常なしでも胃もたれが続く原因、検査、治療、受診の目安について、消化器専門医がわかりやすく解説します。
慢性的な胃もたれでお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
胃もたれが続く方へ
池袋上田胃腸クリニックでは、胃もたれ・胃痛・吐き気・食欲不振などの胃腸症状に対して、胃カメラ、腹部エコー、血液検査などを組み合わせて原因を確認し、症状に合わせた治療を行っています。
胃カメラで異常なしでも胃もたれが続く主な原因
胃カメラで胃がんや胃潰瘍などの明らかな異常が見つからなくても、胃もたれが続くことがあります。
その場合、次のような原因が関係していることがあります。
- 機能性ディスペプシア
- 胃の動きの低下
- 胃酸分泌のバランス異常
- 胃や十二指腸の知覚過敏
- ストレスや自律神経の乱れ
- 食生活・睡眠リズムの乱れ
- 胆のう・膵臓など胃以外の病気
特に、食後の胃もたれ、少量でお腹がいっぱいになる感じ、みぞおちの不快感が続く場合は、機能性ディスペプシアが疑われます【1】【2】。
機能性ディスペプシアとは?
機能性ディスペプシアとは、胃カメラなどの検査で胃潰瘍や胃がんなどの明らかな病気が見つからないにもかかわらず、胃もたれ、早期満腹感、みぞおちの痛み、みぞおちの灼熱感などが続く病気です【1】【2】。
以前は「神経性胃炎」「胃が弱い」「ストレス性胃炎」などと説明されることもありましたが、現在では、胃の動きの異常、胃の知覚過敏、胃酸分泌のバランス、自律神経の乱れなどが関係する病気として考えられています【1】【3】。
機能性ディスペプシアで起こりやすい症状
- 食後の胃もたれ
- 少量でお腹がいっぱいになる
- みぞおちの痛み
- みぞおちの不快感
- 胃の張り
- 吐き気・むかつき
- 食欲不振
大切なのは、症状だけで「機能性ディスペプシア」と決めつけないことです。胃もたれや食欲不振は、胃潰瘍、胃がん、胆石、膵臓の病気などでも起こることがあります。そのため、必要に応じて胃カメラ、腹部エコー、血液検査などで確認することが重要です。
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▶機能性ディスペプシアのさらに詳しい解説はこちらからもご確認頂けます
実際の治療例|20代女性「食後の胃もたれが続く」
【症状】
数年前から、食事をすると胃が重たくなり、食後にすっきりしない感じが続いていました。
市販の胃薬を試しても十分に改善せず、「検査で異常がないと言われたのに、なぜ胃もたれが続くのだろう」と不安になり、当院を受診されました。
症状としては、特に食後の胃もたれが目立っており、食事量や体調によって症状に波がある状態でした。
【診察】
診察では、胃もたれの出るタイミング、食事との関係、胃痛や吐き気の有無、体重減少、黒い便、貧血症状、内服薬、生活リズム、ストレスの状況などを確認しました。
胃もたれが続く場合、機能性ディスペプシアだけでなく、以下のような病気との鑑別が大切です。
- 胃炎
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
- 胃がん
- 逆流性食道炎
- 胆石・胆のう炎
- 膵炎・膵臓の病気
- 甲状腺など全身疾患の影響
特に、症状が長く続いている場合や、市販薬で改善しない場合は、自己判断せず、検査で危険な病気が隠れていないかを確認することが大切です。
【検査】
今回の患者さんには、もたれの原因精査のため胃カメラ、腹部エコー、血液検査を行いました。
胃カメラ
実際の胃カメラ時の画像です。ピロリ菌感染もなく潰瘍や胃がんなどもない綺麗な胃粘膜でした。
腹部エコー
腹部エコーでは、胆のうや膵臓、肝臓など、胃以外の上腹部の臓器に異常がないかを確認しましたが、異常はありませんでした。
血液検査
血液検査では、炎症反応、貧血、肝胆道系酵素、膵酵素などを確認しました。
こちらも症状を説明する明らかな異常は認めませんでした。
そのため、症状の経過と検査結果を総合して、機能性ディスペプシアによる食後の胃もたれと考え、治療を開始しました。
【治療】
機能性ディスペプシアによる胃もたれの症状は、
- 胃酸分泌過多による粘膜への刺激
- 動きの低下による胃内容のうっ滞
で生じることが多く、今回の患者さんには以下の治療を行いました。
治療内容
①制酸剤:胃酸分泌過多を改善し粘膜への刺激を抑えます
②胃運動改善薬:胃の動きを改善し流れをよくします
③生活習慣の改善指導
-
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食べ過ぎや早食いを避ける
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睡眠リズムを整える
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ストレスコントロール
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治療を続けることで胃もたれは徐々に改善し、1か月ほどで症状はなくなりました。
改善後もよい状態を維持するため、胃の動きを維持し体質改善にも効く漢方を処方し、その後も落ち着いた状態で過ごされています。
胃もたれで受診すべき目安
胃もたれは一時的な食べ過ぎや疲れで起こることもありますが、次のような場合は早めに消化器内科へ相談することをおすすめします。
- 胃もたれが2週間以上続く
- 市販の胃薬を飲んでも改善しない
- 食事量が減っている
- 少し食べただけで満腹になる
- 体重が減ってきた
- 黒い便が出る
- 貧血を指摘された
- 吐き気や嘔吐を伴う
- みぞおちの痛みが続く
- 胃がんや胃潰瘍、ピロリ菌感染の既往がある
特に、体重減少、黒い便、貧血、食欲低下がある場合は、胃がんや胃潰瘍などの病気が隠れている可能性もあるため、放置しないことが大切です。
院長からのコメント
胃カメラで異常がないのに胃もたれが続くと、「気のせいなのでは」「ストレスだけなのでは」と考えてしまう方もいらっしゃいます。
しかし、検査で明らかな異常が見つからなくても、胃の動きや知覚過敏、自律神経の乱れによって、つらい胃もたれが続くことがあります。
一方で、胃もたれの中には、胃潰瘍、胃がん、胆のうや膵臓の病気などが隠れていることもあります。そのため、まずは必要な検査で危険な病気を除外し、そのうえで症状に合わせた治療を行うことが大切です。
池袋上田胃腸クリニックでは、胃カメラ、腹部エコー、血液検査などを組み合わせて、胃もたれの原因を丁寧に確認し、一人ひとりに合った治療をご提案しています。
胃もたれが続いて不安な方、市販薬で改善しない方は、お気軽にご相談ください。
よくある質問
Q. 胃カメラで異常なしでも胃もたれが続くことはありますか?
はい、あります。胃カメラで胃がんや胃潰瘍などの明らかな病気が見つからなくても、胃の動きの低下や知覚過敏、胃酸分泌のバランス異常によって胃もたれが続くことがあります。
Q. 機能性ディスペプシアとはどのような病気ですか?
胃カメラなどの検査で明らかな異常がないにもかかわらず、胃もたれ、早期満腹感、みぞおちの痛みや不快感が続く病気です。胃の動きや知覚過敏、自律神経の乱れなどが関係します。
Q. 20代でも機能性ディスペプシアになりますか?
はい、20代や30代の若い方にもみられます。ストレス、不規則な生活、食生活の乱れ、睡眠不足などがきっかけになることがあります。
Q. 市販の胃薬で治らない胃もたれは受診した方がいいですか?
市販薬を使っても改善しない胃もたれが続く場合は、一度医療機関で相談することをおすすめします。胃がん、胃潰瘍、胆のうや膵臓の病気などが隠れていないか確認することが大切です。
Q. 胃カメラで異常なしなら安心してよいですか?
胃がんや胃潰瘍などの重大な病気が見つからなかったという点では安心材料になります。ただし、症状が続く場合は機能性ディスペプシアなど、胃の働きの異常に対する治療が必要になることがあります。
Q. 機能性ディスペプシアは自然に治りますか?
一時的に軽くなる方もいますが、症状が長引く場合は薬物治療や生活習慣の調整が必要です。食事量の低下や不安感につながることもあるため、つらい症状が続く場合は受診をおすすめします。
Q. 機能性ディスペプシアの治療ではどのような薬を使いますか?
症状に応じて、胃酸を抑える薬、胃の動きを改善する薬、漢方薬などを使い分けます。胃もたれの原因が胃酸なのか、胃の動きの低下なのかによって治療内容は変わります。
Q. 胃もたれが続くときに胃がんの可能性はありますか?
胃もたれだけで胃がんと決まるわけではありませんが、胃がんでも胃もたれや食欲不振が出ることがあります。症状が続く場合や体重減少、貧血、黒い便を伴う場合は早めの検査が大切です。
Q. どのくらい症状が続いたら受診すべきですか?
胃もたれが2週間以上続く場合、市販薬で改善しない場合、食事量が減っている場合、体重減少や貧血を伴う場合は、早めに消化器内科へ相談することをおすすめします。
Q. 池袋で胃もたれや機能性ディスペプシアの相談はできますか?
池袋上田胃腸クリニックでは、胃もたれ、胃痛、吐き気、食欲不振などの胃腸症状に対して、胃カメラや腹部エコー、血液検査などを組み合わせて原因を確認し、症状に合わせた治療を行っています。
まとめ
胃カメラで異常なしと言われても、胃もたれが続くことがあります。その代表的な原因の一つが、胃の働きや知覚過敏が関係する機能性ディスペプシアです。
- 胃カメラで異常なしでも、胃もたれが続くことがあります。
- 食後の胃もたれ、早期満腹感、みぞおちの不快感は機能性ディスペプシアでみられる症状です。
- 胃もたれの中には、胃潰瘍、胃がん、胆のうや膵臓の病気が隠れていることもあります。
- 胃カメラ、腹部エコー、血液検査などで危険な病気を除外することが大切です。
- 薬物治療や生活習慣の調整で改善が期待できます。
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参考文献
- 日本消化器病学会 編. 機能性消化管疾患診療ガイドライン2021-機能性ディスペプシア(FD). 南江堂.
- Talley NJ, Ford AC. Functional Dyspepsia. N Engl J Med. 2015;373:1853-1863.
- Tack J, Talley NJ, Camilleri M, et al. Functional dyspepsia. Gastroenterology. 2006;130(5):1466-1479.
- Moayyedi P, Lacy BE, Andrews CN, Enns RA, Howden CW, Vakil N. ACG and CAG Clinical Guideline: Management of Dyspepsia. Am J Gastroenterol. 2017;112:988-1013.
- 国立がん研究センター がん情報サービス. 胃がんに関する情報.当院の胃カメラの特徴
医師紹介
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
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「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、お気軽にご相談ください。
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文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
