排便後にティッシュに血が付く原因は痔だけ?直腸がんが見つかった実際の治療例
「排便後にティッシュに血が付く」——
多くの方が「痔かな?」と思う症状です。
しかし、出血の原因が“痔ではなく大腸がん”だったというケースも少なくありません。
今回は、排便後にティッシュへ血が付く症状を「痔かもしれない」と思って様子を見ていたものの、検査で直腸がんが見つかった50代男性の実際の治療例をもとに、専門医の院長が診断の経過と注意すべきポイントを解説します。
排便時の出血でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
排便後の出血・血便でお悩みの方へ
池袋上田胃腸クリニックでは、血便・排便後の出血・便潜血陽性・大腸がんが心配な方の診察、大腸カメラに対応しています。
是非ご相談ください。
排便後にティッシュに血が付く主な原因
排便後にティッシュへ鮮やかな血が付くと、「痔」と思われる方が多いです。
もちろん痔はよくある原因ですが、出血の色だけで原因を正確に判断することはできません。肛門に近い直腸やS状結腸から出血している場合も、鮮やかな赤い血として見えることがあります。
特に直腸がんでは、便の表面に血が付く、排便後に血が出る、残便感がある、便が細くなるといった症状が出ることがあります【1】。
| 原因 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 痔核 | 排便時や排便後に鮮血が付くことがあります。 | 痔があっても、大腸の病気がないとは限りません。 |
| 裂肛 | 硬い便のあとに痛みと出血が出やすいです。 | 便秘の改善も重要です。 |
| 直腸ポリープ | 痛みがなく、少量の出血を繰り返すことがあります。 | 大腸カメラで確認が必要です。 |
| 直腸がん・大腸がん | 血便、便が細い、残便感、貧血などを伴うことがあります。 | 早期発見のため、自己判断しないことが大切です。 |
| 大腸炎 | 腹痛、下痢、粘液混じりの血便を伴うことがあります。 | 感染性腸炎・潰瘍性大腸炎などの確認が必要です。 |
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痔と直腸がんは見分けられる?
「血が鮮やかだから痔」「痛みがないから大丈夫」と考えてしまう方もいますが、症状だけで痔と直腸がんを見分けることは困難です。
痔でも鮮血が出ることがありますが、直腸がんでも肛門に近い場所から出血するため、同じように赤い血として見えることがあります。
特に以下のような症状がある場合は、痔と決めつけずに大腸カメラで確認することが重要です。
- 排便後の出血が数日以上続く
- 少量でも出血を繰り返す
- 便が細くなった
- 残便感がある
- 貧血を指摘された
- 体重が減ってきた
- 40歳以上で大腸カメラを受けたことがない
- 便潜血検査で陽性を指摘された
直腸がんとは?
直腸がんは、大腸の中でも肛門に近い「直腸」にできるがんです。
大腸がんは早期では自覚症状がほとんどないこともありますが、進行すると血便、排便習慣の変化、便が細くなる、残便感、貧血、腹痛などが出ることがあります【1】。
直腸は肛門に近いため、がんからの出血が便の表面に付いたり、排便後にティッシュへ血が付いたりする形で気づかれることがあります。
ただし、出血量が少ない場合や痛みがない場合もあるため、「痔だと思っていた」「たまに血が付くだけだった」という症状の中に直腸がんが隠れていることがあります。
実際の症例|50代男性「排便後にティッシュに血が付いた」
【症状】
数週間前から、排便後にティッシュへ鮮やかな血が付くようになりました。
最初は「痔かもしれない」と思い、しばらく様子を見ていました。しかし、出血が続くため心配になり、当院を受診されました。
腹痛や強い肛門痛はありませんでしたが、排便後の出血が繰り返されている状態でした。
【診察】
診察では、出血が出るタイミング、血の色、出血量、痛みの有無、便の太さ、残便感、体重減少などを確認しました。
外見上は肛門周囲に明らかな痔核は見られず、出血の性状から直腸部からの出血を疑いました。
血液検査では軽度の貧血も認められました。
【検査】
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を実施したところ、直腸に約3cm大の潰瘍性腫瘤を認めました。
病変から出血しており、排便後にティッシュへ血が付いていた原因と考えられました。
生検の結果、直腸腺がん(進行がん)と診断。
【診断・治療】
進行がんであり、速やかに高次医療機関へ紹介。であり、。
腹腔鏡下直腸切除術(OPE)を実施し、術後診断もステージ2で根治となり、術後経過は良好です。
今回のように、最初の症状が「排便後に少量の血が付く」だけであっても、直腸がんが見つかることがあります。
受診の目安|排便後の出血で大腸カメラを考えるサイン
排便後の出血が一度だけで、その後まったく再発しない場合は一過性の裂肛などのこともあります。
しかし、以下に当てはまる場合は、痔と決めつけずに受診をおすすめします。
便潜血検査は大腸がん検診として40歳以上を対象に年1回行われていますが、便潜血陽性となった場合の精密検査では、大腸内視鏡検査が一般的に行われます【3】【4】。
血便・排便後の出血が続く方へ
「痔だと思っていた」という症状の中に、直腸がんや大腸ポリープが隠れていることがあります。出血が続く方、便潜血陽性を指摘された方、大腸カメラを受けたことがない方は、一度ご相談ください。
池袋上田胃腸クリニックでは、鎮静剤による無痛大腸カメラにも対応しております。
📞 お電話でのお問い合わせ:03-5953-5903
院長からのコメント
「排便後に血が付く」という症状は、痔でもよくみられます。
しかし、肛門の外側ではなく、内側の直腸や大腸に原因がある場合もあります。
今回の症例でも、患者さんご本人は最初「痔かもしれない」と思っていましたが、実際には直腸がんからの出血でした。
大切なのは、出血の量だけで判断しないことです。少量の出血でも、繰り返す場合や長引く場合、貧血や便の変化を伴う場合は、大腸カメラで原因を確認する必要があります。
大腸がん・直腸がんは、早期に発見できれば治療の選択肢が広がります。排便後の出血を「いつもの痔」と決めつけず、不安がある方は早めにご相談ください。
お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903
当院の大腸カメラの特徴
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鎮静剤や独自の低痛挿入法による苦しくない内視鏡検査
- オリンパス製最新システム+高解像度スコープで小さな病変も早期発見
-
土日対応、事前診察は原則不要
よくある質問(FAQ)
Q. 排便後にティッシュに血が付くのは痔ですか?
痔のことも多いですが、直腸がん、大腸ポリープ、大腸炎などが原因のこともあります。特に出血が続く場合や繰り返す場合は、自己判断せず受診をおすすめします。
Q. 鮮やかな赤い血なら痔と考えて大丈夫ですか?
鮮やかな赤い血は痔や裂肛でみられることがありますが、直腸など肛門に近い大腸からの出血でも同じように見えることがあります。血の色だけで原因を判断することはできません。
Q. 少量の出血なら様子を見てもよいですか?
一度だけの少量出血で自然に治まる場合もありますが、数日以上続く、繰り返す、便が細い、残便感がある、貧血を指摘された場合は受診が必要です。少量でも直腸がんが見つかることがあります。
Q. 痔の薬を使っても血が止まらない場合はどうすればよいですか?
痔以外の原因が隠れている可能性があります。直腸ポリープ、直腸がん、大腸炎などを確認するため、大腸カメラを含めた検査を検討します。
Q. 直腸がんではどのような症状が出ますか?
血便、排便後の出血、便が細くなる、残便感、便秘や下痢などの便通異常、貧血などがみられることがあります。ただし、早期では症状が乏しいこともあります。
Q. 大腸カメラを受けた方がよい出血の目安はありますか?
出血が続く、繰り返す、便が細い、残便感がある、貧血を指摘された、40歳以上で大腸カメラ未経験、便潜血陽性を指摘された場合は、大腸カメラでの確認をおすすめします。
Q. 便潜血検査が陰性なら大腸がんの心配はありませんか?
便潜血検査が陰性でも、大腸がんやポリープが完全に否定できるわけではありません。血便、便が細い、残便感、貧血などの症状がある場合は、検査結果にかかわらず医療機関で相談してください。
Q. 大腸カメラは痛いですか?
当院では、鎮静剤や低痛挿入法を用いて、できるだけ苦痛を抑えた大腸カメラを行っています。検査への不安が強い方もご相談ください。
Q. 直腸がんが見つかった場合、すぐに治療できますか?
病変の進行度や場所によって治療方針は異なります。早期であれば内視鏡治療の対象となることもありますが、進行がんが疑われる場合は高次医療機関と連携して手術などの治療へ進みます。
Q. 家族に大腸がんがいる場合は早めに検査した方がよいですか?
家族に大腸がんの方がいる場合は、大腸がんリスクを考慮して早めの検査を検討することがあります。年齢、症状、検査歴を確認したうえで適切な検査時期をご相談します。
まとめ
排便後にティッシュに血が付く症状は、痔でよくみられる一方で、直腸がんや大腸ポリープ、大腸炎などが原因のこともあります。
- 排便後の出血は痔だけでなく直腸がんのサインのことがあります。
- 鮮やかな赤い血でも、直腸からの出血の可能性があります。
- 出血が続く、繰り返す、便が細い、残便感がある場合は注意が必要です。
- 貧血や体重減少を伴う場合は、早めの受診をおすすめします。
- 便潜血陽性を指摘された場合は、大腸カメラによる精密検査が重要です。
- 今回の症例では、排便後の少量の出血から直腸がんが見つかりました。
関連ページ
参考文献
- 国立がん研究センター中央病院「大腸がんの症状について」
https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/clinic/colorectal_surgery/150/index.html - 国立がん研究センター中央病院「大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けられる方へ」
https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/clinic/gastrointestinal_endoscopy/110/index.html - 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん検診について」
https://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/colon.html - 日本対がん協会「大腸がん検診について」
https://www.jcancer.jp/prevention/colorectal/ - 大腸癌研究会 編「大腸癌治療ガイドライン 医師用 2024年版」金原出版, 2024.
医師紹介
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、お気軽にご相談ください。
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文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
