実際の治療例【冬の時期に悪化した下痢。原因は過敏性腸症候群ではなく、まさかの潰瘍性大腸炎だった】
「寒い季節になると下痢が悪化する」
「ネットで調べると過敏性腸症候群(IBS)っぽい」
そう思って受診される方は非常に多くいらっしゃいます。
しかし、同じ“下痢”でも、中には潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患(IBD)と呼ばれる別の病気が隠れていることもあります。
今回は、20代男性で、冬に下痢が悪化したことをきっかけに受診し、実は潰瘍性大腸炎だった実例をご紹介します。
下痢や腹痛でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
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実際の治療例:20代男性「冬の時期になって下痢が悪化した」
【症状】
20代男性
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以前からやや下痢気味
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冬になり下痢の回数が増えた
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時々腹痛も出現
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下痢や腹痛で仕事や生活に支障が出るレベル
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ネット検索で「過敏性腸症候群かもしれない」と思い当院に相談
【診察】
症状だけを見ると 過敏性腸症候群(IBS) に合致する部分も多くあります。
しかし、以下の鑑別疾患も否定できません。
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潰瘍性大腸炎
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クローン病
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感染性腸炎
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虚血性腸炎
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吸収不良症候群
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大腸がん(若年でもまれに)
冬は自律神経が乱れやすく、過敏性腸症候群が悪化しやすい時期ですが、潰瘍性大腸炎やクローン病のような炎症性腸疾患の悪化も同じように起こるため
症状だけでの診断は誤診につながることもあります。
正しく状態を把握し、治療方針を立てるため大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を行いました。
【検査】
大腸内視鏡
大腸全体に炎症(びらん・発赤)を認め、生検結果と合わせて潰瘍性大腸炎と診断。
■実際の大腸内視鏡画像■
潰瘍性大腸炎とは?
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症とびらん・潰瘍が起こる慢性の炎症性腸疾患です。
特徴
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10〜30代の若い世代に多い【1】
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冬や季節の変わり目、ストレスで悪化しやすい【2】
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下痢・血便・腹痛・腹鳴などが慢性的に起こる
原因
明確な原因は不明ですが免疫の異常・腸内細菌の変化・遺伝素因・環境要因などが組み合わさると考えられています【1】【3】。
過敏性腸症候群との違い
| 過敏性腸症候群 | 潰瘍性大腸炎 | |
|---|---|---|
| 原因 | 機能的(炎症なし) | 炎症性(粘膜に病変) |
| 検査所見 | 異常なし | 内視鏡で炎症あり |
| 症状 | 下痢・腹痛・腹鳴 | 下痢・腹痛・血便 |
| 治療 | 生活習慣+薬物療法 | 免疫調整薬・5-ASA・ステロイドなど |
症状だけで判断すると判別が困難なため、内視鏡検査が重要です。
【治療】
今回は5-ASA製剤と呼ばれる潰瘍性大腸炎に対しての抗炎症剤で治療を開始。
2週間で下痢は改善し、その後も寛解維持のため治療継続中です。
ただし、潰瘍性大腸炎は再燃と寛解を繰り返す病気のため、「良くなったから薬をやめる」のは厳禁 です。
継続しながら経過を見ることが大切です。
院長からのコメント
冬の時期に「下痢が増えた」「お腹が弱くなった」という相談は非常に多く、その多くは過敏性腸症候群で説明できます。
しかし、なかには今回のように本当は“腸に炎症があるタイプの病気”だったというケースもあります。
潰瘍性大腸炎は、早期治療で寛解維持がしやすく、生活の質も保ちやすくなります。
「ずっと下痢が続く」「季節で悪化する」「若いのに頻繁に下痢」などの症状があれば、一度は大腸内視鏡を受けることをおすすめします。
💡当院の大腸カメラの特徴
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鎮静剤や独自の低痛挿入法による苦しくない内視鏡検査
-
高解像度スコープで小さな病変も発見
- 土日対応、事前診察は原則不要
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お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903
よくある質問(FAQ)
Q1. 潰瘍性大腸炎は治りますか?
A. 現在の医学では“完治”は難しいですが、多くの方が薬を継続することで寛解状態を維持できます【1】。
Q2. 下痢だけでも潰瘍性大腸炎の可能性はありますか?
A. あります。初期は血便がない場合もあります。
Q3. 冬に潰瘍性大腸炎が悪化しやすいのはなぜ?
A. 自律神経の乱れ・寒冷刺激・免疫バランスの変化が影響します【2】。
Q4. 過敏性腸症候群とどう違いますか?
A. 下痢や腹痛などの症状は似ていますが過敏性腸症候群は粘膜の炎症がなく、内視鏡で異常が出ません。潰瘍性大腸炎は炎症が確認できます。
Q5. 潰瘍性大腸炎は若い世代にも多い病気ですか?
A. はい。発症のピークは10〜30代です【1】。
Q6. 潰瘍性大腸炎はストレスで悪化しますか?
A. します。精神的ストレスは再燃の誘因になります【3】。この点も過敏性腸症候群の症状と似ており誤診される要因になります。
Q7. 潰瘍性大腸炎は遺伝しますか?
A. 家族内発症がみられることがありますが、必ず遺伝するわけではありません。
Q8. 食事で気をつけることは?
A. 脂質・アルコール・刺激物の摂りすぎは悪化の原因となることがあります。
Q9. どれくらいの頻度で内視鏡が必要ですか?
A. 病状によりますが、当院では1年毎の定期的なフォローを推奨しています。
Q10.潰瘍性大腸炎は 放置するとどうなりますか?
A. 重症化や大腸がんリスクの上昇につながるため、放置せずに治療を継続することが大切です【1】。
まとめ
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冬の時期に下痢が悪化し、過敏性腸症候群だと思って受診した20代男性
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大腸内視鏡で潰瘍性大腸炎と判明
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薬物治療で改善し寛解維持へ
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下痢だけでも過敏性腸症候群の可能性があるため、自己判断は危険
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繰り返す下痢・季節で悪化・腹痛が続く場合は大腸内視鏡検査を強く奨励
💡当院は池袋駅から徒歩5分程度でアクセス可能です。お気軽にご相談ください。
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医師紹介
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、池袋上田胃腸クリニックまでお気軽にご相談ください。
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参考文献
【1】日本消化器病学会 潰瘍性大腸炎診療ガイドライン
【2】J Gastroenterol. Seasonal variation in disease activity of ulcerative colitis.
【3】Gut. Environmental factors in the pathogenesis of ulcerative colitis.
文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
