ピロリ菌陽性と言われたらまず胃カメラを|除菌前に早期胃がんが見つかった実際の治療例
「人間ドックでピロリ菌が陽性と言われたけれど、特に症状もないし大丈夫かな…」
そう感じてそのままにしてしまう方は少なくありません。
しかし、ピロリ菌感染は胃がんの最大のリスク要因であり、特に注意したいのは、胃がんの初期段階では自覚症状がほとんどない点です。
今回ご紹介する方も、胃痛や胃もたれなどの症状はありませんでしたが、除菌前に行った胃カメラで早期胃がんが見つかりました。
この記事では、ピロリ菌陽性を指摘された40代男性の実際の治療例をもとに、「なぜ除菌前に胃カメラが必要なのか」を消化器内科専門医がわかりやすく解説します。
ピロリ菌陽性を指摘されたの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
ピロリ菌陽性を指摘された方へ
池袋上田胃腸クリニックでは、ピロリ菌の検査・除菌治療、除菌前後の胃カメラ検査に対応しています。
人間ドックや健診で「ピロリ菌陽性」「ピロリ抗体陽性」「萎縮性胃炎」と言われた方は、一度ご相談ください。
▶ピロリ菌の検査・除菌治療について詳しく知りたい方は、 ピロリ菌外来のページ もあわせてご覧ください。
ピロリ菌陽性で確認すべき主な病気
ピロリ菌陽性を指摘された場合、「菌がいるかどうか」だけでなく、すでに胃の粘膜にどのような変化が起きているかを確認することが大切です。
ピロリ菌感染で確認すべき主な病気には、次のようなものがあります。
| 病気・状態 | 特徴 |
|---|---|
| 萎縮性胃炎 | ピロリ菌による慢性的な炎症で、胃の粘膜が薄く弱くなった状態です。 |
| 胃潰瘍 | 胃の粘膜が深く傷つき、胃痛・吐き気・黒い便などの原因になることがあります。 |
| 十二指腸潰瘍 | 空腹時の痛みや夜間の痛みの原因になることがあります。 |
| 胃ポリープ・過形成性ポリープ | ピロリ菌による炎症を背景にできることがあります。 |
| 早期胃がん | 初期には症状が乏しいことがあり、胃カメラで初めて見つかることがあります。 |
ピロリ菌感染とは?除菌前に胃カメラが必要な理由
ピロリ菌は、胃の中に住みつき、胃の粘膜に慢性的な炎症を起こす細菌です。長い期間感染が続くと、胃の粘膜が萎縮し、胃がんが発生しやすい土台になることがあります【1】【2】。
ピロリ菌陽性と言われると、「まず除菌すればよい」と考える方も多いと思います。もちろん除菌はとても大切です。
ただし、除菌治療を始める前に確認しておくべきことがあります。
- すでに胃がんが発生していないか
- 胃潰瘍や十二指腸潰瘍がないか
- 萎縮性胃炎がどの程度進んでいるか
- 今後どのくらいの頻度で胃カメラを受けるべきか
これらは、血液検査や尿素呼気試験だけでは十分に判断できません。胃カメラで胃の粘膜を直接観察することで、早期胃がんや胃炎の程度を確認できます。
▶胃カメラ検査の流れや当院の工夫については、 胃カメラ検査のページ もご覧ください。
ピロリ菌から胃がんまでの流れ
ピロリ菌に感染すると、胃の粘膜に慢性的な炎症が起こります。その状態が長く続くと、萎縮性胃炎、腸上皮化生などを経て、一部の方で胃がんが発生すると考えられています。
もちろん、ピロリ菌に感染している方すべてが胃がんになるわけではありません。しかし、ピロリ菌感染が胃がんリスクに深く関係していることは、多くの研究で示されています【1】【2】。
▶胃がんの原因やピロリ菌との関係について詳しく知りたい方は、 胃がんの解説ページ も参考にしてください。
実際の治療例|40歳男性「人間ドックでピロリ菌がいると言われた」
【症状】
特に自覚症状はありませんでしたが、40歳になったことをきっかけに受診した人間ドックの血液検査で「ピロリ抗体陽性」と指摘され、当院を受診されました。
【診察】
ピロリ菌に感染していることで胃がんの高リスクになることをご説明し、胃カメラ(内視鏡検査)を行いました。
【検査】
胃内視鏡(胃カメラ)を実施したところ、ピロリ菌による慢性胃炎(萎縮性胃炎)を認め、
胃の出口付近に粘膜にわずかな凹凸を伴う病変を認め、生検(組織検査)の結果、早期胃がんと診断されました。
■実際の胃カメラの画像①■
ピロリ菌による萎縮性胃炎です。粘膜の色調がまだら状になっているのが特徴的です。
■実際の胃カメラの画像②■
胃の出口付近に凹凸不整な部分を認め(黄色部分)、生検にて胃がんと診断しました。
【治療】
病変は、幸いにも粘膜内にとどまる初期の段階(=早期がん)で、リンパ節転移の可能性も低く、内視鏡治療で無事根治出来ました。
その後、再発や新たながんの発生を防ぐために、ピロリ菌除菌療法(一次除菌)を実施しました。
除菌成功を確認後は、年1回の胃カメラフォローを行っています。
胃カメラを受けた方がよい目安
次のような方は、ピロリ菌の除菌だけでなく、胃カメラで胃の状態を確認することをおすすめします。
- 人間ドックや健診でピロリ菌陽性を指摘された
- ピロリ抗体陽性と言われた
- 萎縮性胃炎を指摘された
- 胃カメラを数年以上受けていない
- 胃がんの家族歴がある
- 胃痛・胃もたれ・食欲不振が続いている
- 黒い便、貧血、体重減少がある
- 除菌治療だけ先に受けてよいか迷っている
院長コメント
ピロリ菌陽性を指摘された方の中には、「症状がないから大丈夫」「除菌だけすればよい」と考えてしまう方もいらっしゃいます。
しかし、ピロリ菌感染による胃の変化は、症状だけでは判断できません。
今回の方のように、胃痛や胃もたれがなくても、胃カメラで萎縮性胃炎や早期胃がんが見つかることがあります。
大切なのは、ピロリ菌を見つけた時点で「今の胃の状態」をきちんと確認することです。
早期胃がんの段階で発見できれば、体への負担が少ない内視鏡治療で根治を目指せる可能性があります。ピロリ菌陽性を指摘された方は、放置せず、まずは胃カメラで胃の状態を確認しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. ピロリ菌が陽性と言われたら、すぐに除菌すればいいですか?
除菌治療は大切ですが、先に胃カメラで胃がんや胃潰瘍がないかを確認することが重要です。すでに病変がある場合、除菌だけでは不十分なことがあります。
Q. ピロリ菌陽性でも症状がないことはありますか?
はい、あります。ピロリ菌に感染していても、胃痛や胃もたれなどの症状が出ない方は少なくありません。ただし、無症状でも萎縮性胃炎や早期胃がんが見つかることがあります。
Q. 除菌前に胃カメラを受ける理由は何ですか?
除菌前に胃カメラを行うことで、胃がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎の程度を確認できます。特に早期胃がんは症状が出にくいため、胃カメラで直接確認することが大切です。
Q. ピロリ菌を除菌すれば胃がんリスクはゼロになりますか?
ゼロにはなりません。除菌によって将来の胃がんリスクを下げることは期待できますが、すでに萎縮性胃炎が進んでいる場合などは、除菌後も定期的な胃カメラが必要です。
Q. ピロリ菌陽性で胃カメラを受けると、どんな病気が見つかりますか?
萎縮性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃ポリープ、早期胃がんなどが見つかることがあります。症状がない場合でも、胃カメラで初めて病変がわかることがあります。
Q. 血液検査でピロリ菌陽性と言われました。胃カメラは必要ですか?
必要性は高いです。血液検査ではピロリ菌感染の可能性はわかりますが、胃の中にがんや潰瘍があるかまでは判断できません。胃の状態を確認するためには胃カメラが有用です。
Q. 胃カメラが怖い場合はどうすればよいですか?
当院では、鎮静剤の使用やスコープの選択など、苦痛をできるだけ抑える工夫を行っています。過去に胃カメラがつらかった方や初めてで不安な方もご相談ください。
Q. ピロリ菌除菌後も胃カメラは必要ですか?
必要です。除菌後も胃がんリスクが完全になくなるわけではありません。萎縮性胃炎の程度や年齢、家族歴などに応じて、定期的な胃カメラをおすすめします。
Q. ピロリ菌陽性を放置するとどうなりますか?
慢性胃炎や萎縮性胃炎が進行し、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんなどのリスクと関係することがあります。陽性を指摘された場合は、放置せず医療機関で相談しましょう。
Q. 池袋でピロリ菌の検査や除菌治療は受けられますか?
池袋上田胃腸クリニックでは、ピロリ菌の検査、除菌治療、除菌前後の胃カメラに対応しています。人間ドックや健診でピロリ菌陽性を指摘された方はご相談ください。
まとめ
ピロリ菌陽性を指摘されたときに大切なのは、「除菌すること」だけではありません。除菌前に胃カメラで、今の胃の状態を確認することがとても重要です。
- ピロリ菌感染は萎縮性胃炎や胃がんリスクと関係します。
- 胃がんの初期段階では症状が出ないことがあります。
- 除菌前に胃カメラを行うことで、早期胃がんや潰瘍の有無を確認できます。
- 早期胃がんで見つかれば、内視鏡治療で根治を目指せる場合があります。
- 除菌後も胃がんリスクが完全にゼロになるわけではないため、定期的な胃カメラが大切です。
関連ページ
- ピロリ菌外来|検査・除菌治療について
- 胃カメラ検査|苦痛を抑えた内視鏡検査
- 胃がん|原因・検査・治療について
- 検診でピロリ菌を指摘されたが放置していたら十二指腸潰瘍になった実例
- 繰り返す胃痛の原因はピロリ菌?萎縮性胃炎と除菌治療で改善した実例
医師紹介
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「検査はつらい、怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、“苦痛の少ない胃カメラ・大腸カメラ” を心がけています。
初めての方や検査に不安がある方でも、「ここで受けてよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、お気軽にご相談ください。
アクセス
〒1710014
東京都豊島区池袋2丁目66-10
上田胃腸クリニック(池袋駅 北口から徒歩5分)
- JR「池袋」北改札 → 左へ → 20b出口から地上へ
- 文化通りを直進、「スーパーホテル」「まいばすけっと」を左手に通過
- その先の十字路を越え、左手4軒目が当院です(迷ったら 03-5953-5903)
▶お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903
▶WEB予約は【こちら】
参考文献
- 日本ヘリコバクター学会:H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2024改訂版. https://www.jshr.jp/citizen/info/guideline.html
- Uemura N, Okamoto S, Yamamoto S, et al. Helicobacter pylori infection and the development of gastric cancer. N Engl J Med. 2001;345(11):784-789.
- Wu Z, et al. The relationship between the eradication of Helicobacter pylori and gastric cancer prevention: a meta-analysis. 2025.
- 日本胃癌学会:胃癌治療ガイドライン 第6版「内視鏡的切除」. https://www.jgca.jp/guideline/sixth/002_02.html
- 日本消化器がん検診学会:対策型検診のための胃内視鏡検診マニュアル2024改訂第2版. https://www.jsgcs.or.jp/news/archives/966
文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
