大腸炎の原因・症状・検査・治療|血便・下痢・腹痛があるときに考える病気
血便が出た、下痢が続く、お腹が痛い。
こうした症状があると、「大腸炎ではないか」と心配になる方は少なくありません。
ただし、大腸炎はひとつの病名ではなく、大腸に炎症が起きている状態の総称です。
原因は感染、血流障害、免疫異常、寄生虫感染、憩室の炎症などさまざまで、同じ「血便」「腹痛」「下痢」でも、必要な検査や治療は異なります。
潰瘍性大腸炎では下痢・血便・腹痛が代表的で、感染性腸炎では急な下痢や発熱が目立ち、虚血性腸炎では突然の腹痛のあとに血便が出ることがあります。
この記事では、大腸炎の主な症状、代表的な病気の違い、検査、治療、受診の目安を専門医の院長がわかりやすく解説します。
血便・下痢・腹痛でお困りの方へ
池袋上田胃腸クリニックでは、血便、下痢、腹痛などの胃腸症状について、診察・血液検査・便検査・腹部エコー・大腸カメラなどを症状に応じて組み合わせて評価しています。
大腸炎とは?
大腸炎とは、大腸に炎症が起きている状態をまとめて表す言葉です。
症状は原因によって異なりますが、下痢、血便、腹痛、発熱、便意が何度もある感じなどがみられます。
たとえば、潰瘍性大腸炎は慢性的な炎症性腸疾患で、血便や下痢が続いたり再燃したりすることがあります。
一方、感染性腸炎は急な下痢や発熱が中心になりやすく、虚血性腸炎は急な腹痛と血便が手がかりになります。
大腸炎でみられやすい症状
大腸炎でよくみられる症状は次のとおりです。
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下痢
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血便
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腹痛
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発熱
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吐き気
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残便感
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便意が何度も起こる感じ
特に、血便がある、下痢が3日以上続く、高熱がある、水分が取れない、立ちくらみや尿量低下など脱水を疑う症状がある場合は、早めの受診が勧められます。
大腸炎と大腸がん・痔はどう見分ける?
血便があると「大腸炎かもしれない」と考える方は多いですが、血便の原因は大腸炎だけではありません。
痔、大腸ポリープ、大腸がん、感染性腸炎、虚血性腸炎、潰瘍性大腸炎など、さまざまな病気で血便が起こります。
たとえば、排便時だけ鮮血が付く場合は痔が関係していることもありますが、血便が繰り返す、便が細くなった、体重が減っている、貧血を指摘された、便潜血検査で陽性だったという場合には、大腸がんや大腸ポリープの確認も重要です。
症状だけで「大腸炎」「痔」「大腸がん」を正確に見分けることは難しいため、必要に応じて大腸カメラで大腸の粘膜を直接確認します。
大腸炎の主な原因と病気
感染性腸炎
感染性腸炎は、細菌やウイルスなどによって起こる腸の炎症です。
急な下痢、腹痛、発熱、吐き気などが目立ち、原因によっては血便を伴うこともあります。
▶関連ページ:急な下痢や発熱、腹痛が目立つ感染性腸炎について
虚血性腸炎
虚血性腸炎は、大腸の血流が一時的に低下することで起こる病気です。典型的には、突然の腹痛のあとに血便が出る形をとります。
症状や経過に応じて画像検査や内視鏡で評価し、軽症では保存的治療が中心になります。
▶関連ページ:突然の腹痛のあとに血便が出る場合に考えたい虚血性腸炎について
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎は、免疫反応の異常などが関与すると考えられている慢性の炎症性腸疾患です。
下痢、血便、腹痛が代表的で、良くなったり悪くなったりを繰り返すことがあります。診断では病歴聴取、診察、検査に加え、内視鏡が重要です。
▶関連ページ:血便や下痢が長引くときに鑑別したい潰瘍性大腸炎について
アメーバ腸炎
アメーバ腸炎は、Entamoeba histolytica による感染症です。多くは無症状ですが、症状が出る場合には下痢、腹痛、血便などを起こし、慢性的に経過することもあります。
熱帯地域や衛生環境が悪い地域への滞在歴などが手がかりになることがあります。
▶関連ページ:血便や下痢が続く場合に見逃したくないアメーバ腸炎について
憩室炎
憩室炎は、大腸の壁にできた憩室に炎症が起こる病気です。代表的な症状は、局所的な腹痛、発熱、吐き気、便秘または下痢です。重症例や合併症がある場合には入院治療が必要になることがあります。
▶関連ページ:左下腹部痛や発熱があるときに考えたい憩室炎について
症状から考える大腸炎の見分け方
症状だけで断定はできませんが、ある程度の傾向はあります。
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急な下痢、発熱、腹痛
→ 感染性腸炎を考えます。 -
突然の腹痛のあとに血便
→ 虚血性腸炎を考えるきっかけになります。 -
血便や下痢が長く続く、再発する
→ 潰瘍性大腸炎など慢性の炎症性腸疾患も鑑別に入ります。 -
局所的な腹痛と発熱が強い
→ 憩室炎も重要な候補です。 -
断続的に長引く粘血便や腹痛、通常の腸炎としては説明しにくい経過
→ アメーバ腸炎なども確認が必要です。
大腸炎の検査
大腸炎が疑われるときは、症状の強さや経過に応じて検査を組み合わせます。
潰瘍性大腸炎の診断では、病歴、診察、医療検査に加え、内視鏡が重要です。
感染性腸炎では脱水や重症度の評価が大切で、必要に応じて便検査が行われます。
問診
いつから症状があるか、下痢の回数、血便の有無、発熱の有無、食事内容、海外渡航歴、薬の使用歴、過去の病気などを確認します。
診察
腹部のどこが痛いか、押したときの痛み、脱水の有無、発熱の程度などを確認します。
血液検査
炎症反応、白血球数、貧血、脱水の程度などを確認します。
便検査
感染性腸炎やアメーバ腸炎などが疑われる場合に、便の中の病原体や炎症の手がかりを確認します。
腹部エコー
腸管の壁の腫れ、炎症の部位、腹水の有無、他の腹部疾患の可能性などを確認します。
大腸カメラ
大腸カメラでは、大腸の粘膜を直接観察し、炎症の範囲、出血の部位、潰瘍、びらん、ポリープ、がんの有無などを確認できます。
潰瘍性大腸炎などの慢性炎症性疾患が疑われる場合や、血便が続く場合、大腸がんや大腸ポリープとの鑑別が必要な場合には、大腸カメラが重要です【2】【6】。
特に、血便が続く、症状を繰り返す、慢性炎症が疑われるといった場合には、大腸カメラが診断に重要になります。
大腸炎の治療
治療は原因に応じて変わります。
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感染性腸炎:水分・電解質の補給が大切で、重症度に応じて追加治療を考えます。
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虚血性腸炎:軽症では保存的治療が中心です。
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潰瘍性大腸炎:炎症を抑え、寛解導入と寛解維持を目指します。
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アメーバ腸炎:治療可能な寄生虫感染症で、適切な治療が必要です。
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憩室炎:軽症は外来治療のこともありますが、重症や合併症があれば入院治療が必要です。
早めに受診した方がよい症状
次のような場合は、早めの受診をおすすめします。
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血便がある
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強い腹痛がある
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高熱がある
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下痢が3日以上続く
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水分が取れない
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尿が少ない、口が乾く、立つとふらつく
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症状を繰り返す
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体重減少がある
院長からのコメント
池袋上田胃腸クリニックでは、血便、下痢、腹痛がある方に対して、症状の経過や出方を丁寧に確認し、必要に応じて血液検査、便検査、腹部エコー、大腸カメラなどを組み合わせて原因を評価します。
「食あたりだと思っていた」「一度よくなったので様子を見ていた」というケースの中にも、潰瘍性大腸炎、虚血性腸炎、憩室炎など、きちんと見極めたい病気が隠れていることがあります。
血便や下痢、腹痛が続く場合は、自己判断で放置せずご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 大腸炎とは何ですか?
A. 大腸炎とは、大腸に炎症が起きている状態の総称です。原因はひとつではなく、感染、血流障害、免疫異常、寄生虫感染、憩室の炎症などさまざまです。症状としては、下痢、血便、腹痛、発熱、残便感、便意が何度も起こる感じなどがみられます。
Q. 血便が出たら、必ず大腸炎ですか?
A. いいえ、必ずしも大腸炎とは限りません。血便は大腸炎でみられることがありますが、痔、大腸ポリープ、大腸がんなどでも起こります。血便は早めに確認した方がよい症状のため、自己判断で様子を見すぎないことが大切です。
Q. 大腸炎と大腸がんは症状だけで見分けられますか?
A. 症状だけで正確に見分けることは難しいです。大腸炎でも血便・下痢・腹痛が起こりますが、大腸がんや大腸ポリープ、痔でも血便がみられることがあります。特に、血便を繰り返す、便が細い、体重減少がある、便潜血検査で陽性だった、貧血を指摘された場合には、大腸カメラで確認することが大切です。
Q. 食あたりと大腸炎はどう違いますか?
A. 食あたりのように急に起こる下痢や腹痛でも、実際には感染性腸炎として評価されることがあります。ただし、血便がある、高熱がある、下痢が長引く、水分が取れないといった場合は、単なる一時的な不調ではなく、詳しい評価が必要です。
Q. 大腸炎は自然に治ることもありますか?
A. 原因によっては自然に軽快することもあります。一部の感染性腸炎は対症療法で改善し、虚血性腸炎も軽症であれば保存的治療で落ち着くことがあります。ただし、潰瘍性大腸炎のように長期的な治療が必要な病気もあるため、症状が続く場合は原因を確認することが重要です。
Q. 下痢だけでも受診した方がいいですか?
A. 軽い下痢が短期間でおさまることはありますが、3日以上続く、血が混じる、発熱を伴う、脱水がある、水分が取れないといった場合は受診をおすすめします。症状が長引く場合は、感染性腸炎以外の病気も含めて確認が必要です。
Q. 大腸炎が疑われるとき、大腸カメラは必ず必要ですか?
A. 必ず全員に必要というわけではありません。症状の出方や重症度によって、まずは問診、診察、血液検査、便検査、腹部エコーなどで評価することがあります。ただし、血便が続く、症状を繰り返す、潰瘍性大腸炎などの慢性炎症が疑われる、大腸がんとの鑑別が必要な場合には、大腸カメラが重要になります。
Q. 虚血性腸炎・感染性腸炎・潰瘍性大腸炎はどう違いますか?
A. 大まかには、急な腹痛のあとに血便が出る場合は虚血性腸炎、急な下痢や発熱が中心の場合は感染性腸炎、血便や下痢が長く続いたり繰り返したりする場合は潰瘍性大腸炎を考える材料になります。ただし、症状だけで断定はできないため、経過や検査を合わせて判断します。
Q. アメーバ腸炎はどんなときに疑いますか?
A. 血便や下痢、腹痛、粘血便が断続的に続くときに疑います。通常の腸炎として治療しても症状が長引く場合や、海外渡航歴などがある場合には、便検査などで確認することがあります。
Q. どんな症状があれば早めに受診した方がいいですか?
A. 血便、強い腹痛、高熱、下痢が続く、水分が取れない、尿が少ない、立つとふらつく、体重減少がある、症状を繰り返す場合は、早めの受診をおすすめします。特に血便がある場合は、大腸炎だけでなく大腸ポリープや大腸がんとの鑑別も大切です。
まとめ
大腸炎は、大腸に炎症が起きている状態をまとめた呼び方で、原因はひとつではありません。
- 大腸炎では、下痢、血便、腹痛、発熱、残便感などがみられます。
- 原因には、感染性腸炎、虚血性腸炎、潰瘍性大腸炎、アメーバ腸炎、憩室炎などがあります。
- 血便は大腸炎だけでなく、痔、大腸ポリープ、大腸がんでも起こることがあります。
- 症状だけで原因を見分けることは難しいため、必要に応じて血液検査、便検査、腹部エコー、大腸カメラを行います。
- 血便、強い腹痛、高熱、下痢が続く、脱水、体重減少がある場合は早めの受診が大切です。
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医師紹介:東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「検査はつらい、怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、“苦痛の少ない内視鏡検査(無痛胃カメラ・無痛大腸カメラ)” を心がけています。
初めての方や検査に不安がある方でも、「ここで受けてよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、池袋上田胃腸クリニックまでお気軽にご相談ください。
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参考文献
- NIDDK. Symptoms & Causes of Ulcerative Colitis.
- NIDDK. Diagnosis of Ulcerative Colitis.
- CDC. Food Poisoning Symptoms.
- CDC. Clinician Brief: Food Safety.
- MSD Manual Professional Edition. Ischemic Colitis.
- NIDDK. Ulcerative Colitis.
- NIDDK. Treatment for Ulcerative Colitis.
- CDC. DPDx - Amebiasis.
- NIDDK. Symptoms & Causes of Diverticular Disease.
- NIDDK. Treatment for Diverticular Disease.
文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
