外出するとお腹が痛くなって下痢…それ、過敏性腸症候群(IBS)かもしれません|体質と思っていた症状が改善した実例
「家にいるときは平気なのに、外出すると急にお腹が痛くなってトイレに駆け込む…」
そんな経験はありませんか?
緊張や環境の変化によって、外出先で突然腹痛や下痢を起こしてしまう――
このような症状は過敏性腸症候群(IBS)によるものかもしれません。
実際に「体質だから仕方ない」とあきらめていた方が、検査と治療によって外出の不安がなくなり、生活の質が大きく改善した例もあります。
この記事では、当院で診断・治療を行った実際の症例をもとに、外出時の腹痛・下痢の原因と、IBSの治療の流れを専門医の院長がわかりやすく解説します。
外出時の腹痛・下痢でお悩みの方へ
池袋上田胃腸クリニックでは、腹痛・下痢・過敏性腸症候群が疑われる症状について、診察、血液検査、大腸カメラ、治療まで一貫して対応しています。通勤、外出、旅行、外食のたびにお腹の不安がある方は、お気軽にご相談ください。
外出時の腹痛・下痢を起こす主な原因
外出時に腹痛や下痢が起こる場合、過敏性腸症候群が代表的ですが、それ以外の病気が隠れていることもあります。
特に、症状が長引く場合、急に悪化した場合、血便や体重減少を伴う場合には、自己判断で「ストレスのせい」と決めつけないことが大切です。
| 主な原因 | 特徴 | 確認したいポイント |
|---|---|---|
| 過敏性腸症候群(IBS) | 外出、通勤、緊張、食事などをきっかけに腹痛・下痢を繰り返す | 血液検査や大腸カメラで大きな異常がないか確認 |
| 感染性腸炎 | 発熱、吐き気、急な下痢、腹痛を伴うことがある | 食事歴、周囲の感染状況、便の状態を確認 |
| 潰瘍性大腸炎・クローン病 | 下痢、血便、腹痛が続くことがある | 血液検査・便検査・大腸カメラで確認 |
| 大腸がん・大腸ポリープ | 血便、便が細い、便通異常、貧血などを伴うことがある | 大腸カメラで確認が必要 |
| 薬剤性下痢 | 抗菌薬、胃薬、糖尿病薬、サプリメントなどが影響することがある | 内服薬・サプリメントの確認 |
▶下痢が続く原因について詳しく知りたい方は、下痢の原因と治療についてもあわせてご覧ください。
過敏性腸症候群(IBS)とは?
過敏性腸症候群(IBS)は、大腸に腫瘍や炎症などの明らかな病気がないにもかかわらず、腹痛や便通異常が数か月以上続く状態です【1】。
最近3か月の間に週1日以上の腹痛が繰り返し起こり、その痛みが「排便に関連する」「排便回数が変わる」「便の形が変わる」といった特徴と関連する場合にIBSを考えます【1】。
IBSの特徴は、腸の見た目に大きな異常がなくても、腸の動きや感覚が過敏になっている点です。脳と腸は自律神経などを通して密接に関係しており、ストレスや緊張によって腸の動きが乱れたり、痛みを感じやすくなったりします【2】。
IBSでよくみられる症状
- 外出するとお腹が痛くなる
- 通勤電車や会議前に急に便意がくる
- 下痢と腹痛を繰り返す
- トイレの場所が気になって外出が不安になる
- 緊張するとお腹がゴロゴロする
- 検査では異常がないと言われたが症状が続く
▶過敏性腸症候群の原因・症状・治療について詳しく知りたい方は、過敏性腸症候群(IBS)とは?もご覧ください。
実際の治療例|20代男性「外出するとお腹が痛くなって下痢をしてしまう」
【症状】
自宅では特に問題ないものの、外出すると急に腹痛と便意が起こり、下痢をしてしまうことが以前から度々ありました。
「体質だから仕方ない」とあきらめていたものの、ここ1年ほどで症状が悪化。外出するのが怖くなり、当院に相談されました。
【診察】
察では、腹痛や下痢が起こるタイミング、食事との関係、外出や緊張との関係、血便、発熱、体重減少、夜間の下痢、家族歴、内服薬などを確認しました。
外出時の腹痛・下痢ではIBSが疑われますが、症状だけで断定することはできません。特に次のような病気を除外することが重要です。
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
- 感染性腸炎
- 大腸がん
- 大腸ポリープ
- 薬剤性下痢
- 甲状腺機能異常などの全身疾患
正しく診断をつけて治療方針を立てるため、血液検査と大腸カメラ(内視鏡検査)を実施しました。
【検査・診断】
血液検査は問題なく、大腸カメラでも明らかな異常を認めず、過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)と診断しました。
■実際の大腸カメラの画像■
【治療】
治療では、腸の動きを整える薬、腸内環境を整える整腸剤、腸の過敏性を抑える漢方薬を組み合わせました。
また、外出時に「また下痢になったらどうしよう」という不安が強くなっていたため、外出時には症状を抑えるための頓服薬も使用しました。
治療開始後、頓服薬の効果もあり、外出時の腹痛・下痢は起こりにくくなりました。
その後、頓服薬を中止しても症状は安定し、「外出しても不安にならずに過ごせるようになった」と話されていました。
この方の場合、症状そのものに加えて「外出先でまた症状が出るかもしれない」という不安が、さらに症状を引き起こす悪循環につながっていたと考えられます。
一時的に頓服薬で症状を抑えることで不安が軽くなり、頓服薬を使わなくても落ち着いた状態の維持につながったと考えます
外出時の腹痛・下痢で受診した方がよい目安
外出時の腹痛や下痢が続く場合、IBSの可能性がありますが、すべてをIBSとして扱ってよいわけではありません。
特に次のような症状がある場合は、早めに消化器内科を受診してください。
- 血便がある
- 便に粘液が混じる
- 体重が減っている
- 発熱を伴う
- 夜間にも下痢で目が覚める
- 貧血を指摘された
- 50歳以降に急に便通異常が始まった
- 大腸がんや炎症性腸疾患の家族歴がある
- 市販薬を使っても改善しない
- 外出・仕事・学校生活に支障が出ている
院長からのコメント
「外出するとお腹が痛くなる」「通勤電車が不安」「食事のあとにトイレが心配」といった症状を、体質として我慢している方は多くいらっしゃいます。
しかし、実際には過敏性腸症候群が関係していることがあり、適切な診断と治療によって症状が軽くなる方も少なくありません。
一方で、腹痛や下痢の原因には、潰瘍性大腸炎、クローン病、大腸がん、感染性腸炎など、検査で確認が必要な病気も含まれます。
池袋上田胃腸クリニックでは、症状の経過を丁寧に伺い、必要に応じて血液検査や大腸カメラを行いながら、患者さんごとの状態に合わせた治療を提案しています。
外出時の腹痛や下痢で日常生活に支障が出ている方は、一度ご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 外出するとお腹が痛くなって下痢をするのは過敏性腸症候群ですか?
外出、通勤、会議、外食、旅行などをきっかけに腹痛や下痢を繰り返す場合、過敏性腸症候群(IBS)の可能性があります。ただし、血便や体重減少などがある場合は、他の病気を除外する検査が必要です。
Q2. 家では大丈夫なのに外出時だけ下痢になるのはなぜですか?
外出時の緊張や不安により、脳と腸のつながりが過敏になり、腸の動きが強くなったり、腹痛や便意を感じやすくなったりすることがあります。IBSではこのような脳腸相関の乱れが関係すると考えられています。
Q3. 通勤電車でお腹が痛くなるのもIBSですか?
通勤電車のようにすぐトイレへ行きにくい状況で腹痛や便意が強くなる場合、IBSの可能性があります。症状が続く場合は、消化器内科で相談することをおすすめします。
Q4. IBSは精神的に弱い人がなる病気ですか?
いいえ。IBSは精神的な弱さだけで起こる病気ではありません。腸の運動異常、知覚過敏、腸内環境、感染性腸炎後の変化、ストレスなどが複雑に関係すると考えられています。
Q5. IBSでも大腸カメラは必要ですか?
すべての方に必ず必要というわけではありません。ただし、血便、体重減少、発熱、貧血、夜間の下痢、家族歴、急な症状の変化がある場合は、大腸がんや炎症性腸疾患を除外するために大腸カメラを検討します。
Q6. 検査で異常がなければ治療しなくてもよいですか?
検査で大きな異常がなくても、腹痛や下痢で生活に支障が出ている場合は治療の対象になります。IBSは命に関わる病気ではありませんが、生活の質を下げやすいため、症状に合わせた治療が大切です。
Q7. 外出時の下痢は薬で改善しますか?
症状のタイプに合わせて、腸の動きを整える薬、整腸剤、漢方薬、下痢を抑える薬、頓服薬などを組み合わせることで改善が期待できます。外出時の不安が強い場合は、頓服薬を上手に使うことが有効な場合もあります。
Q8. 市販の下痢止めで様子を見ても大丈夫ですか?
一時的な下痢であれば市販薬で軽くなることもあります。ただし、下痢が続く、腹痛を繰り返す、血便がある、体重が減る場合は、原因を確認するために医療機関を受診してください。
Q9. 食事で気をつけることはありますか?
脂っこい食事、刺激物、アルコール、カフェイン、冷たい飲み物、食べ過ぎなどで症状が悪化する方がいます。何を食べた後に症状が出やすいかを記録しておくと、治療方針を考えるうえで役立ちます。
Q10. 過敏性腸症候群は完治しますか?
IBSは体調やストレス、生活リズムによって症状が変動するため、再発することもあります。ただし、薬物治療、生活習慣の調整、食事の見直し、頓服薬の活用により、症状をコントロールできる方は多くいらっしゃいます。
まとめ
外出すると腹痛や下痢が起こる症状は、「お腹が弱い体質」だけで片づけられないことがあります。特に、外出・通勤・外食・旅行のたびにトイレの不安が強くなる場合は、過敏性腸症候群(IBS)が関係している可能性があります。
- 外出時の腹痛・下痢は過敏性腸症候群(IBS)の代表的な症状の一つです。
- IBSでは、脳と腸のつながりや腸の知覚過敏が関係します。
- 血便、体重減少、発熱、貧血などがある場合は、大腸がんや炎症性腸疾患の確認が必要です。
- 検査で大きな異常がない場合でも、症状に応じた治療で生活の質が改善することがあります。
- 薬、整腸剤、漢方、頓服薬、生活習慣の見直しを組み合わせることで、外出時の不安が軽くなる方もいます。
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医師紹介
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、お気軽にご相談ください。
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参考文献
-
Longstreth GF, et al. Gastroenterology. 2006;130(5):1480–1491.
-
Enck P, et al. Nat Rev Gastroenterol Hepatol. 2016;13:295–305.
-
日本消化器病学会ガイドライン 2020「過敏性腸症候群診療ガイドライン」
文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
