メニュー

右下腹部の鈍い痛みが1年続く…「過敏性腸症候群」ではなかった|大腸カメラ再検でクローン病が見つかった30代男性の実例

[2025.12.25]

右下腹部が「ズーンと重い」「鈍く痛い」状態が続くと、仕事や生活のストレスもあり、過敏性腸症候群(IBS)と言われることがあります。

ただ、右下腹部は小腸の末端(回腸末端)が近く、ここに炎症が起きるクローン病が“隠れやすい”場所でもあります。

実際に、他院で大腸カメラを受け「異常なし」と言われたものの、症状が改善せず、当院で大腸カメラを再検したことで、回腸末端の炎症→生検でクローン病と診断に至ったケースがありました。

本記事では右下腹部痛と関係する可能性のある疾患や、受診のタイミングについて、消化器専門医の東海林院長がわかりやすくお伝えします。

 

💡本記事でお伝えしたいポイント
  • 右下腹部の鈍痛が続く場合、IBSだけでなくクローン病や回腸末端炎が隠れていることがあります。
  • クローン病は小腸の出口である回腸末端に炎症を起こすことがあり、この場所は右下腹部の痛みとして感じられます【1】【2】。
  • 大腸カメラで「異常なし」と言われても、回腸末端まで十分に観察されていない場合、病変が見逃されることがあります。
  • IBSとして治療しても改善しない腹痛では、血液検査・腹部エコー・大腸カメラ・生検などを組み合わせて確認することが大切です【2】【3】。
  • 発熱、血便、体重減少、貧血、肛門症状を伴う場合は、早めに消化器内科で相談しましょう。

 

右下腹部の鈍痛が続く方へ

「IBSと言われたけれど良くならない」「右下腹部だけ重い痛みが続く」「以前の大腸カメラで異常なしと言われたが症状が残っている」という場合、回腸末端の炎症やクローン病などが隠れていることがあります。

池袋上田胃腸クリニックでは、症状の経過を丁寧に確認し、必要に応じて血液検査・腹部エコー・大腸カメラなどを組み合わせて原因を調べます。

WEB予約はこちら 03-5953-5903

 

右下腹部の鈍痛が続くときに考える主な原因

右下腹部には、大腸の入口である盲腸・上行結腸、小腸の出口である回腸末端、虫垂、尿管、筋肉や神経などが近くにあります。

そのため、右下腹部の鈍い痛みが続く場合には、「ストレス」「IBS」だけで片づけず、腸の炎症や虫垂炎、尿管結石なども含めて考える必要があります。

原因 特徴
過敏性腸症候群(IBS) 腹痛、下痢、便秘、お腹の張りなどを繰り返します。検査では明らかな炎症が見つからないことが多い病気です。
クローン病・回腸末端炎 小腸の出口から大腸の入口に炎症が起こると、右下腹部の鈍痛として感じることがあります【1】【2】。
感染性腸炎 細菌やウイルスなどによる腸炎で、腹痛、下痢、発熱、吐き気などを伴うことがあります。
虫垂炎 いわゆる盲腸です。急な強い痛みが多いですが、慢性的な違和感として出ることもあります。
NSAIDs関連小腸炎 痛み止めを継続している方では、小腸の粘膜が荒れて炎症を起こすことがあります。
尿管結石 背中から下腹部、鼠径部にかけて痛みが出ることがあります。血尿を伴うこともあります。
筋肉・神経由来の痛み 姿勢、運動、腰や骨盤周囲の筋肉の緊張などで右下腹部に痛みを感じることがあります。

このように、右下腹部の痛みにはさまざまな原因があります。特に、症状が数週間以上続く場合や、治療しても改善しない場合には、腹痛の部位だけでなく、便通・体重変化・発熱・血便・服薬歴などを含めて確認することが大切です。

関連ページ:胃痛・腹痛でお悩みの方へ

クローン病とは?

クローン病は、口から肛門までの消化管のどこにでも炎症が起こりうる、慢性的な炎症性腸疾患の一つです【1】【2】。

特に病変が起こりやすい部位の一つが、小腸の末端である回腸末端です。回腸末端は大腸の入口に近く、体の場所としては右下腹部にあたります。そのため、クローン病が右下腹部の鈍痛や違和感として見つかることがあります。

クローン病でみられる症状には、以下のようなものがあります。

  • 腹痛、特に右下腹部の痛み
  • 下痢、軟便
  • 微熱、だるさ
  • 体重減少、食欲低下
  • 貧血
  • 血便
  • 肛門の腫れ、痛み、痔ろう
  • 口内炎、関節痛、皮膚症状など腸以外の症状

ただし、すべての症状がそろうわけではありません。今回のように「右下腹部の鈍痛が続く」という症状が中心で、下痢や血便が目立たないケースもあります。

IBSとクローン病は何が違う?

IBSとクローン病は、どちらも腹痛や下痢などを起こすことがあります。そのため、症状だけでは見分けが難しいことがあります。

しかし、病気の性質は大きく異なります。IBSは腸の動きや知覚過敏、自律神経の影響などが関係する病気で、内視鏡検査では明らかな炎症が見つからないことが多いです。一方、クローン病は腸に実際の炎症や潰瘍が起こる炎症性腸疾患です【1】【2】。

項目 IBS クローン病
病気の性質 腸の動き・知覚過敏・自律神経の乱れなどが関係 腸に炎症や潰瘍が起こる炎症性腸疾患
検査所見 内視鏡で異常がないことが多い 炎症、びらん、潰瘍、生検異常が出ることがある
症状 腹痛、下痢、便秘、お腹の張り、ガスなど 腹痛、下痢、発熱、血便、体重減少、貧血、肛門症状など
注意点 生活リズムやストレスで悪化しやすい 放置すると狭窄や瘻孔などの合併症につながることがある【1】
治療 生活調整、整腸剤、腸の動きを整える薬など 炎症を抑える専門治療、栄養療法、必要時は高次医療機関と連携

「IBSと言われたから大丈夫」と思っていても、発熱・血便・体重減少・貧血・肛門症状・夜間の腹痛や下痢などがある場合には、炎症性腸疾患を含めて再評価が必要です。

 

実際の治療例|30代男性「右下腹部の鈍い痛みが1年続く」

【症状】

  • 右下腹部の鈍痛が約1年続く

  • 他院で大腸内視鏡:異常なし

  • IBSとして投薬も改善なく、当院を受診

 

【診察】

まず「痛みの部位」「便通(下痢/便秘)」「発熱」「体重減少」「血便」「市販の痛み止め(NSAIDs)」「家族歴」「肛門症状(痔ろう等)」を確認し、

以下の病気の可能性を考えました。

  • クローン病(回腸末端〜大腸)

  • 感染性腸炎/回腸末端炎(例:エルシニア等)

  • 虫垂炎(慢性化を含む)

  • NSAIDs関連小腸炎

  • 腸結核、腸型ベーチェット病 など(鑑別が必要)

  • 尿管結石、鼠径ヘルニア、筋肉由来の痛み など

正しく状態を把握し、治療方針を立てるためご本人と相談し再度大腸カメラ(内視鏡検査)を行いました。

 

【大腸カメラ】

大腸の一番奥(回盲部)を越えた先の回腸末端に炎症所見を認めました(矢印部分)。

炎症部位を生検し、結果も踏まえてクローン病と診断。

右下腹部痛がある場合は、大腸カメラの際には大腸の奥の小腸側の回腸末端(小腸の出口)まで観察することが推奨されます。

前医ではこの部分の観察を行っておらず、病変が見逃されてしまった状態でした。

関連ページ

▶無痛大腸カメラ|実際の検査の流れや鎮静剤とオリジナル低痛挿入による無痛大腸カメラの詳細がご確認いただけます

 

 

【治療】

クローン病は小腸に広く病変があることもあるため、小腸造影・MRI/CT(エンテログラフィ)・カプセル内視鏡等で範囲や合併症(狭窄・瘻孔)を確認します。

今回のケースは、小腸型のクローン病のため全小腸検査と専門治療が必要と判断し、対応可能な高次医療機関へご紹介し治療継続となりました。

クローン病は今回のように、痛みが中心で「鈍痛が続く」タイプだと、IBS(過敏性腸症候群)や筋肉痛と見分けがつきにくく、見逃されることがあります。

クローン病の「見逃しやすいポイント」

クローン病は、炎症が「とびとび」に起きたり、腸の奥(小腸)に限局することがあるため、検査の見方が重要です。

  • 大腸カメラで大腸は正常でも、回腸末端に炎症があることがある

  • そのため、疑う場合は回腸末端までの観察+生検が診断の要になります

  • さらに、小腸全体に病変があるケースもあるため、小腸造影やMRI/CT(エンテログラフィ)などの全小腸評価が重要になります

放置するとどうなる?

炎症が長く続くと、腸が狭くなる(狭窄)・腸に穴が開きかける(瘻孔)などの合併症につながることがあるため、早めに診断して治療方針を立てることが大切です。

右下腹部の鈍痛で受診した方がよい目安

右下腹部の鈍痛は、一時的な腸の動きや便秘、筋肉の張りなどで起こることもあります。

しかし、以下のような場合には、IBSだけでなく、腸の炎症やクローン病などが隠れている可能性があります。早めに消化器内科で相談することをおすすめします。

  • 右下腹部の鈍痛が数週間以上続く
  • IBSとして治療しても改善しない
  • 大腸カメラで異常なしと言われたが症状が続く
  • 下痢や軟便が続く
  • 発熱やだるさを伴う
  • 体重が減っている
  • 血便や粘液便がある
  • 貧血を指摘された
  • 肛門の腫れ、痛み、膿が出るなどの症状がある
  • 夜間にも腹痛や下痢で目が覚める

特に、発熱、血便、体重減少、強い腹痛、嘔吐、腹部膨満などを伴う場合は、早めの受診が必要です。

院長コメント

右下腹部の痛みが長引く方で、「一度大腸カメラを受けたから大丈夫」と思っていても、回腸末端まで十分に観察されていない場合、原因にたどり着けないことがあります。

クローン病は、大腸が正常に見えても、小腸の出口である回腸末端に炎症が出ることがあります。そのため、右下腹部痛が続く場合には、大腸の奥、小腸の入口まで確認することが大切です。

「IBSと言われたけれど良くならない」「右下腹部だけずっと重い」「以前の検査で異常なしと言われたが症状が続く」という方は、再検査によって診断につながることがあります。

症状でお困りの方は、お力になれることがありますので、池袋上田胃腸クリニックまでお気軽にご相談ください。

お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903

よくある質問

Q1. 右下腹部の鈍痛が何か月も続くのは普通ですか?

A. 一時的な便秘や腸の動きで痛みが出ることもありますが、何か月も続く場合は通常の一過性症状とは言い切れません。IBSだけでなく、クローン病、回腸末端炎、虫垂炎、尿管結石などが隠れていることもあるため、消化器内科での評価をおすすめします。

 

Q2. IBSと言われたのに治らない場合、何を疑いますか?

A. IBSとして治療しても改善しない場合、炎症性腸疾患、感染性腸炎、クローン病、回腸末端炎、薬剤性腸炎などを考える必要があります。特に右下腹部痛が続く場合は、回腸末端まで確認することが重要です。

 

Q3. 大腸カメラで異常なしならクローン病は否定できますか?

A. 完全には否定できません。大腸が正常でも、小腸の出口である回腸末端に炎症があることがあります。クローン病を疑う場合には、回腸末端までの観察と、必要に応じた生検が重要です【2】【3】。

 

Q4. IBSとクローン病は何が違いますか?

A. IBSは腸の動きや知覚過敏、自律神経の影響などが関係する病気で、内視鏡では明らかな炎症が見つからないことが多いです。一方、クローン病は腸に炎症や潰瘍が起こる病気で、治療方針も異なります。

 

Q5. 下痢がなくてもクローン病の可能性はありますか?

A. あります。クローン病では下痢が目立つ方もいますが、腹痛だけ、右下腹部の鈍痛だけ、体重減少や貧血だけで見つかることもあります。症状の出方には個人差があります。

 

Q6. 右下腹部痛は虫垂炎ではないのですか?

A. 虫垂炎も右下腹部痛の代表的な原因です。ただし、痛みが長期間続く場合や、IBS治療で改善しない場合には、クローン病、回腸末端炎、尿管結石、筋肉や神経由来の痛みなども含めて考える必要があります。

 

Q7. どのような検査が必要ですか?

A. 症状に応じて、診察、血液検査、腹部エコー、大腸カメラ、生検などを行います。クローン病が疑われる場合には、回腸末端までの観察に加えて、小腸造影、CT、MRI、カプセル内視鏡などの全小腸評価が必要になることがあります【3】。

 

Q8. 痛み止めをよく飲んでいます。右下腹部痛と関係しますか?

A. 関係することがあります。NSAIDsと呼ばれる痛み止めは、小腸や大腸の粘膜に炎症を起こすことがあり、腹痛や出血の原因になる場合があります。服薬内容は診察時に必ずお伝えください。

 

Q9. 受診を急いだ方がよい症状はありますか?

A. 発熱、血便、体重減少、強い腹痛、嘔吐、腹部膨満、貧血、肛門の腫れや膿などがある場合は早めに受診してください。炎症性腸疾患や感染症、腸閉塞などの確認が必要になることがあります。

 

Q10. 池袋上田胃腸クリニックでクローン病の治療までできますか?

A. 当院では、診察、血液検査、腹部エコー、大腸カメラなどによる初期評価を行います。クローン病が疑われる場合や専門治療が必要な場合には、小腸検査や専門治療に対応できる高次医療機関へご紹介し、適切な治療につなげます。

 

まとめ

右下腹部の鈍痛が続く場合、IBSやストレスだけが原因とは限りません。特に、IBSとして治療しても改善しない場合や、一度大腸カメラで異常なしと言われても症状が続く場合には、回腸末端の炎症やクローン病を含めて再評価することが大切です。

  • 右下腹部の鈍痛が続く場合、IBSだけでなくクローン病が隠れていることがあります。
  • クローン病は小腸の出口である回腸末端に炎症を起こし、右下腹部痛として見つかることがあります。
  • 大腸カメラで大腸が正常でも、回腸末端に病変があることがあります。
  • 診断には、症状の経過、血液検査、腹部エコー、大腸カメラ、生検などを組み合わせます。
  • 発熱、血便、体重減少、貧血、肛門症状がある場合は早めの受診が必要です。
右下腹部の鈍痛が続く方へ

「IBSと言われたけれど治らない」「右下腹部だけ重い痛みが続く」「以前の大腸カメラで異常なしと言われたが不安」という方は、池袋上田胃腸クリニックまでご相談ください。

症状の経過を丁寧に確認し、必要に応じて大腸の奥から回腸末端まで確認する大腸カメラを行い、原因を調べます。

WEB予約はこちら 03-5953-5903

関連ページ

  1.  

医師紹介

東海林英典(しょうじ ひでのり)院長

📍経歴

国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。

胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。

令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。

内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。

  • 日本内科学会認定医
  • 日本消化器病学会専門医

🩺 診療にあたっての想い

「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、池袋上田胃腸クリニックまでお気軽にご相談ください。

アクセス

〒1710014
東京都豊島区池袋2丁目66-10  

上田胃腸クリニック(池袋駅 北口から徒歩5分)

  • JR「池袋」北改札 → 左へ → 20b出口から地上へ
  • 文化通りを直進、「スーパーホテル」「まいばすけっと」を左手に通過
  • その先の十字路を越え、左手4軒目が当院です(迷ったら 03-5953-5903)

▶お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903

▶WEB予約は【こちら】

参考文献

  1. Lichtenstein GR, et al. ACG Clinical Guideline: Management of Crohn's Disease in Adults. American Journal of Gastroenterology. 2018.
  2. Maaser C, et al. ECCO-ESGAR Guideline for Diagnostic Assessment in IBD Part 1: Initial diagnosis, monitoring of known IBD, detection of complications. Journal of Crohn's and Colitis. 2019.
  3. 難病情報センター. クローン病(指定難病96).
  4. 日本消化器病学会. 炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン.

文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)

 

HOME

ブログカレンダー

2026年10月
月 火 水 木 金 土 日
« 9月    
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  
▲ ページのトップに戻る

Close

HOME