右わき腹の鈍痛が4日続く…「異常なし」と言われても安心できない理由|腹部エコー再検で“腹膜垂炎”が見つかった20代女性の実例
この記事でわかること
- 右わき腹の鈍痛が続くときに考える主な原因
- 腹膜垂炎とはどのような病気か
- 「異常なし」と言われても痛みが続くときに再評価が必要な理由
- 腹部エコーで腹膜垂炎が見つかることがある理由
- 右わき腹の痛みで受診した方がよいサイン
右わき腹の鈍い痛みが続くと、「胆のう?腎臓?それとも虫垂炎?」と不安になりますよね。
実は、血液検査で炎症が少し出ても、一般的な画像検査で見落とされやすい腸の炎症が原因のことがあります。
その代表の一つが腹膜垂炎(ふくまくすいえん)です【1】【2】。
今回は、他院でいったん「異常なし」と言われたあとも症状が続き、当院の腹部エコー再検で腹膜垂炎を診断→投薬で改善した20代女性の実例を、専門医の東海林院長がわかりやすく解説します。
右腹部痛でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
右わき腹の痛みが続く方へ
池袋上田胃腸クリニックでは、腹痛・右腹部痛に対して、診察・血液検査・腹部エコーを組み合わせて原因を評価しています。WEB予約・電話予約を受け付けています。お悩みの方はご相談ください。
右わき腹の鈍痛を起こす主な原因
右わき腹の痛みは、痛む場所だけで原因を決めることはできません。胆のう、腎臓、虫垂、大腸、婦人科の病気など、さまざまな原因が考えられます。
1.胆石発作・急性胆のう炎
胆石や胆のう炎では、右上腹部から右背中、右わき腹に痛みが出ることがあります。食後に悪化する痛み、発熱、吐き気を伴う場合は注意が必要です。
2.尿管結石・腎盂腎炎
腎臓や尿管の病気では、背中からわき腹にかけて痛みが出ることがあります。血尿、排尿時の違和感、発熱を伴う場合は泌尿器系の病気も考えます。
3.虫垂炎
虫垂炎は、みぞおちやおへその周りの痛みから始まり、右下腹部へ移動することがあります。歩くと響く、押すと強く痛む、発熱や吐き気がある場合は早めの評価が必要です。
4.右側結腸憩室炎
大腸の一部にできた小さなくぼみに炎症が起こる病気です。右側の大腸に起こると、虫垂炎に似た右腹部痛を起こすことがあります。
5.腹膜垂炎
腹膜垂炎は、大腸の外側にある小さな脂肪組織に炎症が起こる病気です。ピンポイントの痛みがある一方で、発熱や強い炎症反応は目立たないことがあります1,2。
6.婦人科疾患
20代女性では、卵巣嚢胞、卵巣出血、卵巣捻転、子宮外妊娠なども重要な鑑別になります。腹痛の場所だけで消化器の病気と決めつけないことが大切です。
腹膜垂炎とは?
腹膜垂とは、大腸の外側についている小さな脂肪の突起です。
この腹膜垂がねじれたり、血流が悪くなったりすると、脂肪組織に炎症が起こります。これが腹膜垂炎です。
腹膜垂炎は、虫垂炎や憩室炎と症状が似ることがあります。一方で、多くの場合は保存的治療で改善しやすく、正しく診断できると不要な抗菌薬や手術を避けやすい病気です1,2。
腹膜垂炎の特徴
- 押すと痛い場所が比較的はっきりしている
- 発熱や嘔吐などの全身症状は目立たないことがある
- 血液検査の炎症反応が軽度、または正常のこともある
- 虫垂炎や憩室炎と間違われることがある
- CTや腹部エコーで特徴的な所見が見つかることがある
実際の治療例|20代女性「4日前から右わき腹の鈍痛」
症状
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4日前から右わき腹の鈍痛
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近所の消化器内科を受診
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血液検査:わずかな炎症反応
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レントゲン・腹部エコー:異常なし
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鎮痛剤で様子見
-
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ただしその後も鈍痛が続くため当院を受診
診察
右わき腹(右腹部)の痛みは原因が幅広いため、診察では次のような病気を整理して考えます。
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胆石発作/急性胆のう炎(右上腹部痛、食後に悪化、発熱)
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尿管結石/腎盂腎炎(背部〜わき腹痛、血尿、発熱)
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虫垂炎(右下腹部痛、歩くと響く、発熱)
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大腸憩室炎(右側結腸)(右腹部痛、発熱、炎症反応)
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腹膜垂炎(局所の痛みが強いのに、全身症状は軽いことが多い)【1】【2】
-
婦人科疾患(卵巣嚢胞、卵巣捻転、子宮外妊娠など:20代では重要)
この段階で「軽い炎症がある」「痛みが続く」という情報から、“腸管まわりの局所炎症”も強く疑います。
検査
今回は「見落としがないか」を目的に、次を実施しました。
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血液検査の再検:炎症反応の推移を確認
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腹部エコーの再検:痛みの部位を中心に、腸管・胆のう・腎臓などを再評価
結果
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炎症反応:横ばい
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腹部エコー:
上行結腸付近に30*18mm大卵円形の脂肪織を認め(黄色部分)、腹膜垂炎と診断
画像のように腸管の近くに、圧痛点と一致する楕円形の脂肪性病変が見えるタイプが典型です【3】【4】
腹膜垂炎や憩室炎などの腸管炎症は、エコーでも診断可能ですが、腸管ガスの影響や所見の見極めに技術と経験が必要です【3】【4】。
必要に応じて、より確実な評価のためにCTが選択されることもあります(腹膜垂炎はCTで特徴的所見が知られています)【1】【2】。
💡当院では最短当日に右わき腹の痛みに対しての血液検査・腹部エコー検査がお受け頂けますので、お気軽にお問い合わせください。
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▶ WEB予約/▶ 電話相談:03-5953-5903
- 関連ページ:エコー検査|実際の流れや検査で分かる病気の詳細がご確認いただけます
※受診時間や当日の状況によっては翌日以降の検査となる場合もあります
治療
腹膜垂炎は多くが保存的治療(飲み薬)で改善します。
今回は鎮痛薬(NSAIDsなど)を中心に症状をコントロールし、5日間程度で改善しました。
今回の治療例からわかること
1.「異常なし」と言われても、痛みが続くなら再評価が大切です
腹痛の原因は、検査を受けた時点でははっきりしないことがあります。痛みが続く、悪化する、場所がはっきりしている場合は、再診や専門的な再評価が重要です。
2.右わき腹の痛みは、胆のう・腎臓・虫垂だけではありません
右わき腹の痛みでは、胆石、胆のう炎、尿管結石、虫垂炎を考える方が多いですが、大腸周囲の炎症である憩室炎や腹膜垂炎も原因になります。
3.腹部エコーで見つかる腹痛もあります
腹部エコーは、胆のう・腎臓・肝臓だけでなく、条件が合えば腸管周囲の炎症を確認できることがあります。ただし、見えにくい病気もあるため、必要に応じてCTや内視鏡検査を組み合わせることが大切です。
4.正しく診断できると、不要な抗菌薬や手術を避けやすくなります
腹膜垂炎は虫垂炎や憩室炎に似ますが、治療方針が異なることがあります。画像検査で腹膜垂炎と判断できると、過剰な治療を避けやすくなります1,2。
右わき腹の痛みで早めの受診が必要なサイン
右わき腹の痛みの中には、経過観察で落ち着くものもありますが、早めの受診が必要な病気もあります。
- 痛みが3日以上続いている
- だんだん痛みが強くなっている
- 発熱、吐き気、嘔吐、血便、食欲低下がある
- 歩くと響く、押すと強く痛い場所がはっきりしている
- 鎮痛薬を飲んでも改善しない、または切れるとすぐ再燃する
このような場合は、虫垂炎、胆のう炎、腎盂腎炎、憩室炎など、放置しにくい病気が隠れていることがあります。
今回の痛みの原因となった腹膜垂炎は比較的良性で保存的治療で改善しやすい病気ですが、見た目の症状だけで完全に見分けることは難しく、画像を含めた評価が大切です【1】【2】。
東海林院長からのコメント
「検査で異常なし」と言われても、腹痛が続くなら“再評価”が大切です。
腹膜垂炎や右側結腸憩室炎などは、丁寧な腹部エコーで拾えることがある一方、見逃されることもあります【3】【4】。
右わき腹の痛みが続く方、他院で異常なしと言われても不安が残る方は、無理に我慢せずご相談ください。
池袋上田胃腸クリニックではWEB予約・電話予約を受け付けています。
お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903
よくある質問(FAQ)
Q. 右わき腹の鈍痛は何が原因ですか?
A. 胆石・胆のう炎、尿管結石、虫垂炎、右側結腸憩室炎、腹膜垂炎、婦人科疾患などが考えられます。痛む場所だけで原因を決めることは難しいため、痛みが続く場合は診察と検査で確認することが大切です。
Q. 腹膜垂炎とは何ですか?
A. 大腸の外側についている小さな脂肪組織である腹膜垂に炎症が起こる病気です。虫垂炎や憩室炎に似た腹痛を起こすことがありますが、多くは保存的治療で改善が期待できます。
Q. 腹膜垂炎は危険な病気ですか?
A. 多くの場合は比較的良性で、鎮痛薬などの保存的治療で改善することが多い病気です。ただし、虫垂炎や憩室炎など治療方針が異なる病気と似るため、自己判断せず評価を受けることが大切です。
Q. 「異常なし」と言われたのに痛みが続く場合はどうすればよいですか?
A. 痛みが続く、悪化する、押すと痛い場所がはっきりしている場合は再評価をおすすめします。検査を受けた時点では所見がはっきりしない病気もあり、症状の経過に合わせた再診察が重要です。
Q. 腹部エコーで腹膜垂炎はわかりますか?
A. 条件が合えば、腹部エコーで圧痛点に一致する楕円形の脂肪性病変として確認できることがあります。ただし、腸管ガスや体格の影響で見えにくいこともあり、必要に応じてCTを検討することがあります。
Q. CT検査は必ず必要ですか?
A. 必ず必要とは限りません。診察や腹部エコーで腹膜垂炎が強く疑われ、重症所見がなければ保存的に経過を見ることもあります。一方、虫垂炎・憩室炎・胆のう炎などとの区別が難しい場合はCTが有用です。
Q. 腹膜垂炎に抗生物質は必要ですか?
A. 腹膜垂炎は細菌感染が主体ではないため、典型例では抗生物質を使わず、鎮痛薬を中心に経過を見ることがあります。ただし、憩室炎など別の病気が疑われる場合は抗菌薬が必要になることがあります。
Q. 虫垂炎との違いは何ですか?
A. どちらも右側の腹痛を起こすことがあります。腹膜垂炎では局所の痛みが目立つ一方、発熱や炎症反応が強く出にくいことがあります。ただし症状だけで見分けるのは難しく、診察と画像検査で判断します。
Q. どのくらいで治りますか?
A. 腹膜垂炎は多くの場合、数日から1〜2週間程度で改善していくことが多いとされています。痛みが強くなる、発熱する、嘔吐が続く場合は別の病気の可能性もあるため再診が必要です。
Q. 右わき腹の痛みで救急受診した方がよい症状はありますか?
A. 強い腹痛、歩けないほどの痛み、発熱、嘔吐が止まらない、血便、冷や汗、意識がぼんやりする、妊娠の可能性がある場合は、早めに救急受診を検討してください。
まとめ
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右わき腹の痛みは、胆のう・腎臓・虫垂・大腸・婦人科など原因が幅広い
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腹膜垂炎は“局所の痛みが強いのに全身症状が軽い”ことがある【1】【2】
-
腹部エコーでも診断可能だが、所見の見極めに経験が必要【3】【4】
-
「異常なし」でも痛みが続くなら再評価(再診・専門受診)が大切
池袋で右わき腹の痛みが続く方は池袋上田胃腸クリニックへご相談ください
池袋上田胃腸クリニックでは、消化器内科の視点から診察・血液検査・腹部エコーを組み合わせ、必要に応じて追加検査も検討しながら原因を評価しています。
特に「他院で異常なしと言われたけれど痛みが続く」「食後ではないのに右わき腹が痛む」「ピンポイントで押すと痛い」といった方は、一度ご相談ください。
池袋駅から徒歩5分の立地で、WEB予約・電話予約にも対応しています。症状が続くときは、無理に我慢せず早めの受診をご検討ください。
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医師紹介・アクセス・診療時間
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、池袋上田胃腸クリニックまでお気軽にご相談ください。
アクセス
〒1710014
東京都豊島区池袋2丁目66-10
上田胃腸クリニック(池袋駅 北口から徒歩5分)
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診療は完全予約制です。
▶お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903
▶WEB予約は【こちら】
文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
参考文献
- Giannis D, et al. Epiploic appendagitis: pathogenesis, clinical findings and imaging clues of a misdiagnosed mimicker. 2019.
- Trovato P, et al. Acute epiploic appendagitis: ultrasound and computed tomography findings. 2020.
- Mollà E, et al. Primary epiploic appendagitis: US and CT findings. 1998.
- Rioux M, et al. Primary epiploic appendagitis: clinical, US, and CT findings in 14 cases. 1994.
- Zadeh ES, et al. Clinical Awareness and Acceptance of Sonographically Diagnosed Acute Epiploic Appendagitis. 2021.
