【実際の治療例】便秘と下痢を2年繰り返す…原因はストレスだけじゃなかった|過敏性腸症候群と診断した30代女性
便秘と下痢を交互にくり返すと、「ストレスのせいかな」「体質だから仕方ない」と思って我慢してしまう方が少なくありません。
ただ、同じような症状でも、背景に別の病気が隠れていることがあるため、まずは“きちんと診断する”ことが大切です【1】【2】。
今回ご紹介するのは、転職をきっかけに便秘と下痢を繰り返すようになり、検査で重大な病気を除外したうえで過敏性腸症候群(IBS)と診断し、治療で安定した30代女性の実例です。
「便秘と下痢が続く/腹痛・お腹の張りがつらい」などの症状でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
▶池袋上田胃腸クリニックではWEB予約・電話予約を受け付けています。是非ご相談ください。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
実際の治療例|30代女性「2年ほど前に転職してから便秘と下痢を繰り返すようになった」
症状
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2年ほど前、転職後から 便秘と下痢を繰り返す ようになった
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ストレスや環境変化の影響かと思い様子を見ていたが改善しない
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「治療法があるなら受けたい」と当院を受診
診察
「便秘と下痢の繰り返し」の症状は過敏性腸症候群をはじめ以下のような疾患でよく起こる症状です。
- 過敏性腸症候群(ストレスや疲れで起こる便通異常)
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炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)
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大腸がん/大腸ポリープ(特に血便・体重減少・貧血がある場合)
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感染性腸炎(長引く下痢、発熱、周囲に流行など)
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甲状腺機能異常(便秘・下痢の原因になることがあります)
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セリアック病(下痢優位のIBS症状では鑑別として推奨されます)【2】
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薬剤性(下剤、抗菌薬、鉄剤、サプリ等)
症状だけでは確定診断が難しく正しく状態を把握し、治療方針を立てるため血液検査と大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を行いました。
検査
■血液検査:炎症、貧血、栄養状態などを確認 ➡ 異常所見なし
■大腸カメラ:炎症性腸疾患・腫瘍性病変などを除外
実際の内視鏡の画像:大腸内には炎症や腫瘍などの病変は認めず正常の状態でした
▶関連ページ:
- 無痛大腸カメラ|実際の検査の流れや鎮静剤とオリジナル低痛挿入による無痛大腸カメラの詳細がご確認いただけます
診断
検査ではに大きな異常なし。症状の経過と合わせて、過敏性腸症候群(IBS)と診断しました【1】【2】。
💡「過敏性腸症候群(IBS)」とは
過敏性腸症候群は、内視鏡や血液検査で異常がないにもかかわらず、腹部症状や便通異常(便秘・下痢)が続く病気です。
原因としては、
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自律神経の乱れ
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ストレス
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腸内細菌バランスの偏り
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食事の影響(FODMAP)
などが関係しています。
ただし、IBSと同じような腹痛・便通異常があっても、別の病気の可能性もあるため、次のような場合は「IBSっぽい」で済ませず、早めに大腸カメラでの評価をおすすめします【2】【3】
- 症状が2週間以上続いている
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血便、黒色便がある
- 便が細い
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発熱
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夜間に目が覚める下痢
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体重減少、貧血
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40歳以降の新規発症
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大腸がん家族歴、炎症性腸疾患の家族歴
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腹痛が増悪している
▶関連ページ:
💡当院では最短当日に大腸カメラがお受け頂けますので、お気軽にお問い合わせください。
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▶ WEB予約/▶ 電話相談:03-5953-5903
- 関連ページ:無痛胃カメラ|実際の検査の流れや鎮静剤・スコープ選択による無痛胃カメラの詳細がご確認いただけます
治療
IBSはきちんと診断して、生活・食事・薬を組み合わせることで、症状をコントロール可能です【2】【3】。
1) 生活指導
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睡眠の固定、朝食で腸のリズムを作る
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カフェイン・アルコール・脂質のとり方を調整
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適度な運動(散歩でもOK)
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ストレスを“ゼロ”にするのではなく、波を小さくする工夫
2) 食事
IBSでは、発酵しやすい糖質(FODMAP;フォドマップ)が症状に影響することがあり、低FODMAP食が有効なことがあると報告されています【2】【6】。
※ただし自己流は栄養バランスを崩すことがあるため、症状・体格・食習慣に合わせて調整します。
▶詳細はこちら【過敏性腸症候群に有効な食事療法「低フォドマップ食」とは?】
3) 薬物療法
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整腸剤(プロバイオティクス等)
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漢方(体質・冷え・張り・ストレス反応を見ながら)【3】
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便秘が強い場合:便を整える薬
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下痢が強い場合:腸の過敏を抑える薬、止痢薬(必要時)
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腹痛・張りが強い場合:鎮痙薬など
今回の患者さんには生活習慣指導と低FODMAP食の導入、腸の動きを整える整腸剤と漢方を処方しました。
2週間ほどで便通が改善し始め、徐々に便の状態も安定。
現在は排便のリズムは一定になり落ち着いた生活を送られています。
院長からのコメント
便秘と下痢を繰り返すと、「このまま大きな病気だったら…」という不安が強くなります。
IBSは、検査で“異常がない”ことを確認するプロセスも治療の一部です【2】【3】。
きちんと診断したうえで、あなたの症状タイプに合った治療を組み立てれば、日常生活はぐっとラクになります。
お悩みの方はお力になれますので是非ご相談ください。
お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
よくある質問
Q1. 便秘と下痢を繰り返すのはストレスのせいですか?
A. ストレスは悪化因子になり得ますが、それだけで決めつけず、必要な検査で原因を整理することが大切です【2】【3】。
2. IBS(過敏性腸症候群)は大腸がんと関係ありますか?
A. IBSそのものが大腸がんになるわけではありません。ただし症状が似ることがあるため、必要に応じて大腸カメラで評価します【2】【3】。
Q3. 大腸カメラで異常がなければ安心していい?
A. 多くの場合、重大な病気が否定できるため安心材料になります。そのうえでIBSとして治療を進めるのが基本です【2】【3】。
Q4. どんなときに早めの受診が必要ですか?
A. 血便、体重減少、貧血、夜間症状、発熱、40歳以降の新規症状などがあれば早めの受診をおすすめします【2】【3】。
Q5. 食事で良くなることはありますか?
A. あります。低FODMAP食などが有効な方がいると報告されています【2】【6】。
Q6. 整腸剤はずっと飲み続けても大丈夫?
A. 製剤や体調によります。症状の波が落ち着いたら減量・調整することもあるため、定期的に相談しながらが安心です【3】。
Q7. 漢方はIBSに効きますか?
A. 体質や症状(冷え、張り、ストレス反応など)に合えば有効なことがあり、選択肢になります。ガイドラインでも治療の一つとして扱われます【3】。
Q8. 便秘型と下痢型で治療は違いますか?
A. 違います。便秘・下痢・腹痛・張りのどれが主かで、薬や食事の組み立てを変えます【2】【3】。
Q9. IBSは完治しますか?
A. “波を小さくして、困らない状態を維持する”ことは十分可能です。生活・食事・薬を組み合わせてコントロールを目指します【2】【3】。
まとめ
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便秘と下痢を繰り返すときは、まず鑑別が重要
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血液検査や大腸カメラで重大疾患を除外し、IBSを前向きに診断する【2】【3】
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IBSは“気のせい”ではなく、治療でコントロール可能【2】【3】
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整腸剤・漢方・生活指導・食事(低FODMAPなど)を組み合わせる【2】【3】【6】
関連ページ
参考文献
【1】日本消化器病学会.機能性消化管疾患診療ガイドライン2020―過敏性腸症候群(IBS)改訂第2版.
【2】Lacy BE, et al. ACG Clinical Guideline: Management of Irritable Bowel Syndrome. Am J Gastroenterol. 2021.
【3】Vasant DH, et al. British Society of Gastroenterology guidelines on the management of irritable bowel syndrome. Gut. 2021.
【4】Rome Foundation. Rome IV Criteria: Irritable Bowel Syndrome
【5】Lacy BE, et al. Bowel Disorders (Rome IV). Gastroenterology. 2016.
【6】Gibson PR, et al. The evidence base for efficacy of the low FODMAP diet in IBS. Aliment Pharmacol Ther. 2017.
※本文【番号】と対応
医師紹介
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
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「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。
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文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
