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実際の治療例【お腹の張りは病気のサイン?|腹部エコーで発見された肝硬変】

[2025.11.01]

「最近、お腹がパンパンに張る」

「便秘やガスだと思っていたけれど、なかなか良くならない」

このような症状がある場合、原因は便秘や腸内ガスだけとは限りません。なかには、お腹の中に水がたまる「腹水」や、肝臓が硬くなる「肝硬変」が背景に隠れていることがあります。

今回ご紹介するのは、お腹の張りをきっかけに腹部エコー検査を行い、腹水と肝硬変が見つかった50代男性の実例です。

肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、病気が進んでも初期には自覚症状が出にくいことがあります。

そのため、お腹の張りが続く、急に腹囲が大きくなった、足のむくみを伴う、健診で肝機能異常を指摘されたといった場合は、早めに消化器内科で確認することが大切です。

お腹の張りでお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。

 

💡本記事でお伝えしたいポイント

✅ お腹の張りは、便秘やガスだけでなく、腹水・肝硬変・腸閉塞・腫瘍性疾患などでも起こります。

✅ 肝硬変は初期には症状が乏しく、健診の肝機能異常だけで見つかることもあります。

✅ 腹部エコーでは、肝臓の形や表面の変化、腹水の有無などを体への負担少なく確認できます。

✅ お腹の張りに加えて、足のむくみ、黄疸、体重増加、食欲低下、黒色便などがある場合は早めの受診が必要です。

✅ 健診でAST・ALT・γ-GTP・血小板・アルブミンなどの異常を指摘された方は、症状がなくても一度ご相談ください。

 

お腹の張り・腹部膨満・肝機能異常でお悩みの方へ

池袋上田胃腸クリニックでは、問診・診察・血液検査・腹部エコー検査などを組み合わせて、お腹の張りの原因を確認します。

WEB予約はこちら 03-5953-5903

 

お腹の張りを起こす主な原因

お腹の張りは、医学的には「腹部膨満感」と呼ばれることがあります。原因は非常に幅広く、腸にガスや便がたまる場合もあれば、腹水、腫瘍、腸閉塞、肝臓・胆のう・膵臓の病気が関係していることもあります。

原因の部位 考えられる病気・状態 特徴
消化管 便秘、腸内ガス、過敏性腸症候群、腸閉塞、大腸がんなど 便通異常、腹痛、吐き気、便が細い、ガスが出にくいなどを伴うことがあります。
肝臓・腹腔内 肝硬変、腹水、肝がん、門脈圧亢進症など 腹囲増大、足のむくみ、黄疸、体重増加、倦怠感などを伴うことがあります。
胆のう・膵臓 胆石、胆のう炎、膵炎、膵臓がんなど みぞおちや右上腹部の痛み、背中の痛み、発熱、吐き気を伴うことがあります。
心臓・腎臓 心不全、腎不全、ネフローゼ症候群など 全身のむくみ、息切れ、体重増加、尿量の変化を伴うことがあります。
婦人科疾患 卵巣腫瘍、卵巣嚢腫、子宮筋腫など 下腹部の張り、圧迫感、月経異常などを伴うことがあります。

便秘やガスによるお腹の張りが疑われる場合でも、症状が長引く場合や急に悪化した場合は、自己判断で様子を見すぎないことが大切です。

   

お腹の張りが続くときに注意したい「腹水」とは?

腹水とは、お腹の中に余分な水分がたまった状態です。少量であれば自覚症状が乏しいこともありますが、量が増えるとお腹が張る、腹囲が大きくなる、食事が入りにくい、息苦しい、足がむくむといった症状につながります。

肝硬変では、肝臓の血流やたんぱく質を作る働きが低下し、門脈圧亢進や低アルブミン血症などが関係して腹水がたまりやすくなります【1】【2】。

患者さんの感覚としては「ガスがたまっている」「太っただけかもしれない」と感じることもありますが、実際には腹水が原因であることもあります。

そのため、お腹の張りが続く場合には、腹部エコーで腹水の有無を確認することが重要です。

肝硬変とは?

肝硬変とは、長期間の炎症や障害によって肝臓に線維化が進み、肝臓が硬く変化した状態です【1】。

初期の肝硬変では、肝臓の働きがある程度保たれているため、目立った症状が出ないことがあります。一方で、進行すると腹水、足のむくみ、黄疸、食道・胃静脈瘤、肝性脳症、肝腎症候群など、専門的な管理が必要な合併症を起こすことがあります【1】【2】。

肝硬変の主な原因

  • B型肝炎・C型肝炎などのウイルス性肝炎
  • 長期間の多量飲酒によるアルコール性肝障害
  • 脂肪肝・脂肪肝炎、肥満、糖尿病、脂質異常症などに関連する肝障害
  • 自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎など
  • 薬剤性肝障害や代謝性疾患

近年は、ウイルス性肝炎だけでなく、アルコール性肝障害や脂肪肝・脂肪肝炎に関連した肝硬変も重要です。厚生労働省e-ヘルスネットでも、脂肪肝は多量飲酒や肥満が主な要因となり、放置すると肝炎や肝硬変につながることがあると説明されています【3】。

肝硬変で注意したい症状

  • お腹の張り、腹囲の増大
  • 足のむくみ
  • 皮膚や白目が黄色くなる黄疸
  • 倦怠感、食欲低下
  • 体重増加、または原因不明の体重減少
  • 黒色便、吐血
  • ぼんやりする、意識がもうろうとする

特に、腹水・黄疸・黒色便・吐血・意識障害を伴う場合は、早急な医療機関での評価が必要です。

腹部エコー検査について詳しく知りたい方へ

腹部エコーでは、肝臓・胆のう・膵臓・腎臓・脾臓・腸管・腹水などを体の外から確認します。

エコー検査でわかる病気・検査の流れはこちら

実際の治療例|50代男性「お腹がパンパンに張っている」

【症状】

健康診断で「肝機能異常」を指摘されていたが、特に自覚症状はなし。

最近になって「お腹が張る感じ」が続き、パンパンになってしまうとのことで当院を受診。

 

【診察】

お腹の張りを訴える患者さんでは、まず張りの原因が「腸管内」なのか、「腹腔内」なのか、「肝臓・胆のう・膵臓などの臓器」なのかを考えます。

今回の患者さんでは、以下のような病気を鑑別に挙げました。

  • 便秘・腸内ガスの貯留
  • 腸閉塞
  • 過敏性腸症候群
  • 大腸がんなどによる通過障害
  • 肝硬変による腹水
  • 肝腫瘍・腹膜疾患
  • 心不全・腎不全などによるむくみや腹水

張りの原因となる臓器の異常や腹水の有無を確認するため、腹部エコー検査を行うこととしました。

 

【腹部エコー検査】

エコーで腹水の貯留を認め今回の張りの原因と考えました。

同時に肝臓に肝硬変を疑う表面の凹凸が認められ、血液検査でAST・ALT上昇、アルブミン低下、血小板減少など肝機能障害があり、

肝硬変による腹水貯留と診断しました。

■実際のエコー検査の画像■

肝臓周囲に見える黒い部分が腹水になります。

💡「お腹が張る」症状の背景には多様な原因があるため、エコー検査で臓器の状態を丁寧に確認することが診断の第一歩となります。

▶関連ページ:

  • エコー検査|実際の流れや検査で分かる病気の詳細がご確認いただけます
 

【治療】

もともと長年の飲酒歴があり、今回の肝硬変の原因はアルコール性と考えられました。

肝臓専門科での治療が必要なため、高次医療機関に紹介となりました。

 

健診で肝機能異常を指摘された方へ

今回の症例で重要なのは、お腹の張りが出る前から、健康診断で肝機能異常を指摘されていたという点です。

肝臓の病気は、初期には痛みや強い自覚症状が出にくいことがあります。そのため、AST、ALT、γ-GTP、ALP、ビリルビン、アルブミン、血小板などに異常がある場合は、症状がなくても一度詳しく確認することが大切です。

特に以下に当てはまる方は、腹部エコーや血液検査による評価をおすすめします。

  • 健診で肝機能異常を指摘された
  • γ-GTPが高いと言われた
  • 飲酒量が多い、または飲酒期間が長い
  • 脂肪肝を指摘されたことがある
  • 糖尿病、脂質異常症、肥満がある
  • 血小板が少ないと言われた
  • お腹の張りや足のむくみがある

国立がん研究センターも、肝がんの背景としてウイルス性肝炎だけでなく、アルコール性肝障害やNASHなどが関係すると説明しています【5】。肝硬変は肝がんの重要なリスクにもなるため、早い段階での評価と経過観察が大切です。

池袋周辺で肝機能異常・お腹の張りが気になる方へ

池袋上田胃腸クリニックは、池袋駅北口から徒歩5分の消化器内科・胃腸内科です。お腹の張り、腹部膨満、健診での肝機能異常、脂肪肝、腹部エコー検査の相談に対応しています。

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お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903

受診の目安

次のような場合は、早めに消化器内科を受診してください。

  • お腹の張りが1週間以上続く
  • 急にお腹が大きくなってきた
  • 足のむくみを伴う
  • 体重が短期間で増えた、または減った
  • 皮膚や白目が黄色い
  • 食欲低下や倦怠感が続く
  • 黒い便が出る、吐血した
  • 息苦しさがある
  • 健診で肝機能異常や血小板低下を指摘された
  • 飲酒量が多く、肝臓の状態が心配

お腹の張りはよくある症状ですが、原因は軽いものから重い病気まで幅広くあります。「便秘だろう」「ガスだろう」と決めつけず、続く場合は検査で確認することが大切です。

院長コメント

肝臓は、病気がかなり進むまで症状が出にくい臓器です。今回のように、健診で肝機能異常を指摘されていても、自覚症状がないまま時間が経過し、腹水によるお腹の張りで初めて受診されるケースがあります。

肝硬変まで進行すると、腹水、黄疸、食道・胃静脈瘤、肝性脳症、肝がんなどのリスクが高くなります。そのため、症状が出てからではなく、健診異常の段階で一度確認することがとても重要です。

お腹の張りが続く方、飲酒量が多い方、脂肪肝や肝機能異常を指摘された方は、腹部エコーと血液検査で一度肝臓の状態を確認しておくと安心です。

 

池袋上田胃腸クリニックでは、当日中に腹部エコーや血液検査をお受けいただける体制を整えています。同様の症状でお悩みの方はぜひご相談ください。

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📞 お電話でのお問い合わせ:03-5953-5903

※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。

※来院時間や当日の状況によっては翌日以降の検査となる場合もあります

 

よくある質問(FAQ)

Q. お腹の張りは病気のサインですか?

A. お腹の張りは、便秘やガスなど日常的な原因でも起こりますが、腹水、肝硬変、腸閉塞、大腸がん、膵臓・胆のうの病気などが隠れていることもあります。張りが続く場合や、急に悪化した場合は検査で確認することが大切です。

 

Q. 腹水があるとどのような症状が出ますか?

A. 腹水が増えると、お腹がパンパンに張る、腹囲が大きくなる、食事が入りにくい、息苦しい、足がむくむなどの症状が出ることがあります。少量の腹水では自覚症状が乏しいこともあるため、腹部エコーで確認します。

 

Q. ガスによるお腹の張りと腹水は自分で見分けられますか?

A. 自分だけで正確に見分けることは難しいです。ガスや便秘でもお腹は張りますが、腹水でも似た症状が出ます。特に、急に腹囲が増えた、足のむくみがある、肝機能異常を指摘されたことがある場合は、腹部エコーで確認することをおすすめします。

 

Q. 腹部エコーで肝硬変や腹水はわかりますか?

A. 腹部エコーでは、肝臓の形や表面の変化、腹水の有無、脾臓の腫れ、肝臓内の腫瘍の有無などを確認できます。ただし、診断には血液検査や他の画像検査、専門医による評価も組み合わせて判断します。

 

Q. 肝硬変は治りますか?

A. 進行した肝硬変では、肝臓を完全に元の状態へ戻すことは難しい場合があります。ただし、原因となるウイルス性肝炎、アルコール、脂肪肝などへの対応により、進行を抑えたり合併症を管理したりすることは可能です。早期発見と継続的な管理が重要です。

 

Q. 健診で肝機能異常を指摘されたら受診した方がよいですか?

A. はい。AST、ALT、γ-GTP、ビリルビン、アルブミン、血小板などに異常がある場合、症状がなくても肝臓の病気が進んでいることがあります。健診異常を放置せず、血液検査や腹部エコーで確認することをおすすめします。

 

Q. アルコールを飲む人は肝硬変になりやすいですか?

A. 長期間の多量飲酒は、脂肪肝、アルコール性肝炎、肝線維症、肝硬変へ進行する原因になります。飲酒量や期間が多い方、γ-GTPが高い方、脂肪肝を指摘された方は、一度肝臓の状態を確認しましょう。

 

Q. 脂肪肝から肝硬変になることはありますか?

A. あります。脂肪肝の一部は脂肪肝炎へ進行し、さらに長期間炎症が続くと肝硬変につながることがあります。肥満、糖尿病、脂質異常症、飲酒習慣がある方は、生活習慣の見直しと定期的な検査が大切です。

 

Q. お腹の張りで何科を受診すればよいですか?

A. まずは消化器内科の受診をおすすめします。消化器内科では、便秘や腸内ガスだけでなく、肝臓、胆のう、膵臓、腸管、腹水など幅広い原因を考えて検査できます。

 

Q. どのような症状があれば早めに受診すべきですか?

A. お腹の張りに加えて、足のむくみ、黄疸、黒色便、吐血、息苦しさ、体重の急な変化、食欲低下、強い倦怠感がある場合は早めに受診してください。また、健診で肝機能異常や血小板低下を指摘された方も、症状がなくても一度確認することをおすすめします。

 

まとめ

お腹の張りは、便秘やガスなどの身近な原因で起こることもありますが、今回のように腹水や肝硬変が隠れていることもあります。

 ✔ お腹の張りが続く場合は、便秘・ガスだけでなく腹水や肝臓の病気も考える必要があります。

 ✔ 肝硬変は初期には症状が出にくく、健診の肝機能異常をきっかけに見つかることがあります。

 ✔ 腹部エコーは、腹水や肝臓の変化を体への負担少なく確認できる検査です。

 ✔ 足のむくみ、黄疸、黒色便、吐血、急な腹囲増大がある場合は早めの受診が必要です。

 ✔ 飲酒量が多い方、脂肪肝や肝機能異常を指摘された方は、症状がなくても一度肝臓の状態を確認しましょう。

お腹の張りが続く方へ

お腹の張りは、原因を確認しないまま自己判断で放置すると、病気の発見が遅れることがあります。

池袋上田胃腸クリニックでは、問診・診察・血液検査・腹部エコー検査を組み合わせて、患者さんの症状に合わせた診療を行っています。

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関連ページ

参考文献

  1. 日本消化器病学会・日本肝臓学会:肝硬変診療ガイドライン2020(改訂第3版)
  2. Biggins SW, Angeli P, Garcia-Tsao G, et al. Diagnosis, Evaluation, and Management of Ascites, Spontaneous Bacterial Peritonitis and Hepatorenal Syndrome: 2021 Practice Guidance by the American Association for the Study of Liver Diseases. Hepatology. 2021;74(2):1014-1048.
  3. 厚生労働省 e-ヘルスネット:脂肪肝
  4. 厚生労働省 e-ヘルスネット:アルコールと肝臓病
  5. 国立がん研究センター:肝がんの原因・症状について

文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)

医師紹介

東海林英典(しょうじ ひでのり)院長

📍経歴

国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。

胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。

令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。

内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。

  • 日本内科学会認定医
  • 日本消化器病学会専門医

🩺 診療にあたっての想い

「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、お気軽にご相談ください。

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