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黒い便(タール便)が出たら要注意|十二指腸潰瘍の症例と受診の目安を専門医が解説

[2026.02.12]

「便が黒っぽい…」

そんな変化に気づいても、つい食事のせいかな?と様子を見てしまう方は少なくありません。

ただ、黒い便(タール便)は、胃や十二指腸など“上部消化管”からの出血で起こることがあり、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃がんなどのサインの可能性があります【4】。

一方で、鉄剤、ビスマス製剤、活性炭、黒っぽい食品などによって、出血ではなく便が黒く見えることもあります【5】。

そのため、見た目だけで「大丈夫」「危険」と判断するのは難しく、症状の経過や内服薬、必要に応じた血液検査・胃カメラで確認することが大切です。

今回は、実際に当院を受診された50代男性の十二指腸潰瘍の症例をもとに、黒い便の原因、胃カメラが必要になる目安、検査・治療の流れをわかりやすく解説します。

 

まずお伝えしたいポイント
  • 黒い便・タール便は、胃や十二指腸からの出血で起こることがあります。
  • 原因として、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、出血性胃炎、胃がんなどが考えられます。
  • 鉄剤や一部の胃腸薬、黒い食品で便が黒く見えることもあります。
  • めまい、ふらつき、冷や汗、動悸、吐血を伴う場合は、出血量が多い可能性があります。
  • 黒い便が続く場合は、自己判断せず胃カメラで出血源を確認することが大切です。

池袋上田胃腸クリニックでは、黒い便・タール便、胃痛、みぞおちの痛み、ピロリ菌感染、胃潰瘍・十二指腸潰瘍が心配な方の診療を行っています。

黒い便が続く方、便の色の変化が不安な方は、お気軽にご相談ください。

WEB予約はこちら 03-5953-5903

黒い便を起こす主な原因

黒い便には、大きく分けて「出血による黒い便」と「薬や食べ物で黒く見える便」があります。

出血による黒い便(タール便)

胃や十二指腸など、口に近い側の消化管から出血すると、血液が胃酸や消化液の影響を受けて黒く変化し、黒い便として出てくることがあります。医学的にはタール便と呼ばれ、ねっとりして悪臭を伴うことがあります【5】。

原因 特徴
胃潰瘍・十二指腸潰瘍 ピロリ菌、痛み止め、低用量アスピリンなどが関係することがあります【1】【2】。
出血性胃炎・急性胃粘膜病変 胃粘膜が荒れて出血し、黒い便につながることがあります。
胃がん・食道がん 腫瘍から少量ずつ出血し、黒い便や貧血で見つかることがあります。
食道静脈瘤 肝硬変などが背景にある場合、食道の静脈瘤から出血することがあります。
小腸出血 胃カメラや大腸カメラで原因が見つからない場合に検討します。

薬や食べ物で黒く見える便

出血ではなくても、以下のようなものが原因で便が黒く見えることがあります【5】。

  • 鉄剤
  • ビスマス製剤を含む胃腸薬
  • 活性炭
  • 黒っぽい食品
  • 一部のサプリメントや健康食品

ただし、薬や食べ物に心当たりがあっても、実際には出血が重なっていることもあります。黒い便が続く場合や、めまい・ふらつき・動悸などを伴う場合は、医療機関で確認しましょう。

 

黒い便と赤い血便の違い

黒い便は、胃・十二指腸など上部消化管からの出血でみられやすく、赤い血便は、大腸・直腸・肛門など下部消化管からの出血でみられやすい傾向があります【5】。

ただし、出血量や腸の動きによって見え方が変わることもあります。赤黒い便、暗赤色便、鮮血便、便潜血陽性などがある場合は、大腸の病気が関係することもあるため、必要に応じて大腸カメラも検討します。

血便や赤黒い便について詳しく知りたい方は、血便の原因と検査についてのページもあわせてご覧ください。

 

十二指腸潰瘍とは?

十二指腸潰瘍とは、胃のすぐ先にある十二指腸の粘膜が深く傷つき、えぐれた状態になる病気です。

発症には、以下が深く関わります。

  • ピロリ菌感染(潰瘍の重要な原因)【1】【3】

  • 痛み止め(NSAIDs)や低用量アスピリンなど薬剤【1】

  • 喫煙、ストレス、体調不良などが重なることも

潰瘍が深くなると、出血して黒い便が出ることがあります。また、まれに穿孔といって十二指腸に穴が開くこともあり、強い腹痛や発熱を伴う場合は注意が必要です【1】【2】。

💡ピロリ菌陽性の場合は除菌が重要

ピロリ菌を除菌すると、潰瘍の再発は大きく減少し、成功後の年間再発率は概ね1〜2%台と報告されています【2】。

また、ピロリ除菌は胃がんリスクを下げることも示されています(ただしゼロにはなりません)【6】。

▶十二指腸潰瘍について詳しく知りたい方は、十二指腸潰瘍の原因・症状・治療法のページもご覧ください。

 

症例紹介|50代男性「黒い便が出た」

症状

  • 2日前から黒い便が続き、計3回確認

  • 強い腹痛はなし

 

診察

診察では、便の色や回数、腹痛の有無、ふらつき、冷や汗、動悸、吐血、内服薬、痛み止めや血液をサラサラにする薬の使用、ピロリ菌感染の有無などを確認しました。

黒い便で考える主な鑑別疾患は以下です。

  • 胃潰瘍
  • 十二指腸潰瘍
  • 出血性胃炎
  • 胃がん
  • 食道静脈瘤
  • 小腸出血
  • 鉄剤や薬剤による便色変化

今回の方は黒い便が複数回続いていたため、上部消化管出血の可能性を考え、胃カメラで確認する方針としました。

 

検査

胃カメラでは、十二指腸潰瘍を認め、今回の黒い便の原因と診断しました

青丸で囲まれた領域が十二指腸潰瘍になります。 観察時には出血は止まっていましたが、矢印部分の黒ずんだ部分が出血をした後にみられる変化です。

無痛胃カメラ(内視鏡)で診断した十二指腸潰瘍|池袋上田胃腸クリニック

また胃にはピロリ菌による萎縮性胃炎を認め、今回の潰瘍の原因と考えました。

無痛胃カメラ(内視鏡)で診断した萎縮性胃炎|池袋上田胃腸クリニック

 

今回の治療

出血がすでに止まっており、全身状態が安定している場合は、まず薬で治療します【1】。

① 胃酸をしっかり抑える薬(PPIなど)

胃酸を抑えて粘膜の回復を促します。消化性潰瘍治療の中心です【1】。

② 粘膜保護薬

粘膜の防御を助け、治癒を後押しします(症状・所見により調整)。

今回も①+②を組み合わせて治療を行いました。

 

経過

  • 2週間後の再診時:黒い便は消失、症状も落ち着く

  • ピロリ菌除菌:抗菌薬+胃酸抑制薬を1週間内服

  • 除菌判定:内服終了後、1か月後に呼気検査で除菌判定を行い陰性化を確認。【3】

  • ピロリ菌除菌後も胃がんのリスクは残るため、定期的な胃カメラで経過観察継続中【6】

 

黒い便が出たときに受診すべき目安

黒い便が出たときは、次のような症状があるかを確認してください。

早めの受診をおすすめする状態

  • 黒い便が何度も続く
  • 黒くねっとりした便が出る
  • 便のにおいがいつもより強い
  • みぞおちの痛み、胃痛、吐き気がある
  • 貧血を指摘された
  • 痛み止め、低用量アスピリン、血液をサラサラにする薬を飲んでいる
  • ピロリ菌感染を指摘されたことがある

救急受診も検討すべき状態

    • めまい、ふらつきが強い
    • 冷や汗が出る
    • 動悸、息切れがある
    • 吐血した
    • コーヒー残渣様の嘔吐がある
  • 強い腹痛がある
  • 顔色が悪い、立っていられない

上部消化管出血が疑われる場合は、全身状態を確認したうえで、早期に内視鏡検査を行うことが重要とされています【6】。症状が強い場合は、無理に外来受診を待たず、救急受診も検討してください。

黒い便が続く方へ

黒い便は、出血が止まって一時的に症状が落ち着いているだけのこともあります。胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃がんなどを見逃さないためにも、便の色が気になる方は早めにご相談ください。

👉 WEB予約はこちらから

📞 お電話でのお問い合わせ:03-5953-5903

院長からのコメント

黒い便は、「一度だけだったから大丈夫」「痛みがないから問題ない」と見過ごされやすい症状です。

しかし、胃や十二指腸からの出血は、出血が一時的に止まっているだけで、原因となる潰瘍や病変が残っていることがあります。

胃カメラは、胃・十二指腸の状態を直接確認できる検査です。出血の原因が潰瘍なのか、胃炎なのか、腫瘍性病変なのかを確認し、必要な治療方針を立てるうえで重要です。

当院では、初めて胃カメラを受ける方や検査に不安がある方にも、できるだけ負担が少なく検査を受けていただけるよう、鎮静剤を使用した無痛胃カメラにも対応しています。

「黒い便が出たけれど、受診すべきか迷う」という段階でも構いません。自己判断で様子を見すぎず、お気軽にご相談ください。

 

池袋上田胃腸クリニックでは、黒い便に対して当日中に検査・診断できる体制を整えています。

📞 お電話でのお問い合わせ:03-5953-5903

 

よくある質問FAQ

Q1. 黒い便が1回だけでも受診した方がいいですか?

A. 1回でも、上部消化管出血(胃・十二指腸など)の可能性があります。食事や薬の心当たりがない、タール状でにおいが強い、めまいを伴う場合は早めに相談をおすすめします【4】【5】。

 

Q2. 鉄剤や胃腸薬で便が黒くなることはありますか?

A. はい。鉄剤、ビスマス製剤、活性炭、黒い食品などで便が黒く見えることがあります【4】。ただし見た目だけで出血との区別は難しいため、気になる場合は医療機関で確認しましょう【4】。

 

Q3. 黒い便(タール便)と赤い血便は何が違うの?

A. 一般に、黒い便は胃・十二指腸など「上部消化管」由来の出血で起こりやすく、赤い血便は大腸・直腸・肛門など「下部」由来が多いです【4】。

 

Q4. 痛みがなく元気でも、黒い便は危険ですか?

A. はい。出血が少量でも続けば貧血になることがあります。症状が軽くても原因精査(血液検査・内視鏡)が重要です【5】。

 

Q5. 市販の胃薬で様子を見ても大丈夫?

A. 一時的に楽になっても、潰瘍や腫瘍の出血を否定できません。黒い便が出た場合は、自己判断よりも原因確認を優先しましょう【5】。

 

Q6. どれくらい急いで胃カメラを受けるべきですか?

A. 上部消化管出血が疑われる場合、一般に24時間以内の内視鏡が推奨されます(全身状態の安定化が前提)【5】。めまい・ふらつき・吐血がある場合はより緊急性が高い可能性があります【5】。

 

Q7. 胃カメラが怖いのですが、鎮静剤は使えますか?

A. 可能です(適応や体調により医師が判断)。不安が強い方は、予約時や診察時にご相談ください。

 

Q8. 血液検査だけで、出血の有無は分かりますか?

A. 貧血の有無は参考になりますが、出血源(潰瘍・がんなど)までは特定できません。原因を確認するには内視鏡が重要です【5】。

 

Q9. 十二指腸潰瘍はピロリ除菌で再発しにくくなりますか?

A. はい。除菌成功後、潰瘍再発は大きく減少し、大規模研究でも年間再発率が低いことが示されています【2】。ただしNSAIDsなどがあると再発リスクが上がるため、薬剤調整も大切です【1】。

 

Q10. ピロリ菌を除菌すれば胃がんの心配はゼロになりますか?

A. ゼロにはなりません。除菌は胃がんリスクを下げることが示されていますが【6】、萎縮の程度などによっては経過観察(胃カメラ)が重要になります【6】。

まとめ

  • 黒い便(タール便)は上部消化管出血のサインになり得る【4】

  • 原因は胃・十二指腸潰瘍、胃炎、腫瘍、小腸出血など幅広い

  • 食事・薬で黒くなることもあるが、見た目だけで区別は難しい【4】

  • 出血が疑われる場合、早めの血液検査+胃カメラが重要【5】

  • ピロリ菌陽性なら除菌で再発を大きく減らせる【2】【3】

  • ただし除菌後も、リスクに応じて胃カメラでのフォローが大切【6】

黒い便が続く方へ

黒い便は、出血が一時的に止まっていても、原因となる潰瘍や病変が残っていることがあります。胃・十二指腸の病気を見逃さないためにも、黒い便が続く方、便の色が気になる方は早めにご相談ください。

WEB予約はこちら

📞 お電話でのお問い合わせ:03-5953-5903

関連ページ

参考文献

【1】Kamada T, et al. Evidence-based clinical practice guidelines for peptic ulcer disease 2020. (JSGE)
【2】Miwa H, et al. Recurrent peptic ulcers in patients following successful Helicobacter pylori eradication: a multicenter study of 4940 patients. Helicobacter. 2004.
【3】Kato M, et al. Guidelines for the management of Helicobacter pylori infection in Japan: 2016 Revised Edition. Helicobacter. 2019.
【4】MedlinePlus. Black or tarry stools.
【5】Barkun AN, et al. Management of Nonvariceal Upper Gastrointestinal Bleeding. 2019.
【6】Sugano K. Effect of Helicobacter pylori eradication on the incidence of gastric cancer: systematic review and meta-analysis. 2019.

医師紹介

東海林英典(しょうじ ひでのり)院長

📍経歴

国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。

胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。

令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。

内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。

  • 日本内科学会認定医
  • 日本消化器病学会専門医

🩺 診療にあたっての想い

「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、お気軽にご相談ください。

アクセス

〒1710014
東京都豊島区池袋2丁目66-10  

上田胃腸クリニック(池袋駅 北口から徒歩5分)

  • JR「池袋」北改札 → 左へ → 20b出口から地上へ
  • 文化通りを直進、「スーパーホテル」「まいばすけっと」を左手に通過
  • その先の十字路を越え、左手4軒目が当院です(迷ったら 03-5953-5903)

▶お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903

▶WEB予約は【こちら】

文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)

 

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