【要注意】下腹部の鈍痛が急に“激痛”へ…原因は「大腸憩室炎の穿孔(腹膜炎)」だった|50代男性の実例
「下腹部がなんとなく痛い」「数日様子を見たら、急に耐えられない激痛になった」——
こうした経過の腹痛は、単なる胃腸炎ではなく、腸に穴が開く“緊急疾患”が隠れていることがあります。
その代表が大腸憩室炎の穿孔(せんこう)による腹膜炎です。
穿孔まで進むと、点滴や薬では追いつかず、緊急手術が必要になることもあります。
この記事では、実際の治療例をもとに「症状」「見分け方」「検査」「治療」「早期受診の重要性」を、専門医の東海林院長が患者さんにもわかりやすく解説します。
下腹部痛でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
▶池袋上田胃腸クリニックではWEB予約・電話予約を受け付けています。同様の症状でお悩みの方はぜひご相談ください。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
実際の治療例|50代男性「3日前からの腹痛が急激に悪化」
症状
3日前から下腹部に鈍痛。
治るかなと思い様子を見ていたところ、本日朝から急激に悪化。
動くだけで強い激痛があるとのことで当院を受診。
診察
下腹部痛が急に強くなる場合、次のような病気を区別する必要があります。
下腹部痛で考える主な鑑別
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大腸憩室炎(穿孔・膿瘍を含む)
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急性虫垂炎(右下腹部が中心)
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感染性腸炎
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虚血性腸炎
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腸閉塞
- 血栓などによる血管障害
- 尿管結石
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炎症性腸疾患(クローン病など)
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(※女性の場合)卵巣・卵管の病気 など
症状だけでの鑑別が非常に難しく、正しく状態を把握し、治療方針を立てるため血液検査と腹部エコーを行いました。
検査
①血液検査
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白血球やCRPなど、炎症の程度を確認➡炎症反応の強い上昇あり。
②腹部エコー(超音波)
- 腸管や尿管、血管などの原因となりうる臓器の状態を確認➡大腸のS状結腸に憩室炎と穿孔(腸管が破れて穴が開いた状態)を認めました。
<実際の内視鏡画像>
腸管の周囲に炎症による浮腫と炎症を起こして腫脹した憩室(黄色部分)と、
憩室の根元部分には穿孔を示唆する白点(矢印)を認め、大腸憩室炎+穿孔と診断しました。
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▶エコー検査|実際の流れや検査で分かる病気の詳細がご確認いただけます
「大腸憩室炎の穿孔」とは
憩室炎とは?
大腸の壁にできた小さな袋(憩室)に便が詰まったり細菌感染を起こしたりして、炎症が起こる病気です。
軽症なら内服抗菌薬や食事調整で改善することもありますが、炎症が強いと合併症を起こします。
穿孔とは?
炎症が進行して腸の壁が耐えられなくなると、憩室が破れて“穴があく(穿孔)”ことがあります。
腸の中の内容物や細菌が腹腔内に漏れると、腹膜炎になり、緊急治療(入院・点滴抗菌薬・ドレナージ・手術)が必要になります。
なぜ命に関わることがあるの?
腹膜炎が進むと、全身に炎症が波及し、敗血症(重い感染)に至ることがあるためです。重症度によっては集中治療が必要になります。
📌ポイント:“最初は鈍痛”でも、途中から一気に悪化することがあります。
➡「痛みが強くなってきた」「熱が出てきた」は、早めの受診サインです。
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▶大腸憩室炎について専門医の院長によるより詳しい説明はこちら
治療
今回の患者さんは大腸憩室炎の穿孔による腹膜炎の状態で、緊急性が高い状態でした。
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腹膜炎として高次医療機関(外科)へ緊急紹介
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受け入れ先で手術治療となりましたが、幸い命に別状はなく退院後は通常通りの生活を送られています。
院長からのコメント
憩室炎はよくある病気ですが、“外来で通院治療できるケース”と“手術も含めた緊急治療が必要なケース”がはっきり分かれます。
今回のように、数日の鈍痛が急に激痛へ変わるときは、穿孔や腹膜炎の可能性があり、スピード勝負です。
逆に、炎症が初期の段階で受診できれば、外来で治療できることも多いです。
「我慢できるから大丈夫」ではなく、気になる痛みがある時は出来るだけ早めに医療機関への受診をお勧めします。
お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
よくある質問
Q2. 下腹部の鈍痛だけなら様子見でもいい?
A. 軽い痛みでも、強くなる/発熱が出る/食欲が落ちる場合は早めの受診をおすすめします。重症化のサインを見逃さないことが重要です。
Q3. 憩室炎は何がきっかけで起こりますか?
A. 便の停滞や腸内細菌の影響などが関係します。生活習慣や加齢で憩室が増えることもあります。
Q4. 憩室炎は外来治療だけで治りますか?
A. 軽症・合併症なしなら外来治療で改善することがあります。一方、穿孔や膿瘍など合併症があると手術や入院治療が必要です。
Q5. 穿孔していたら、必ず手術ですか?
A. 状態によります。局所の小さな穿孔で落ち着いている場合は保存的治療の選択肢もありますが、腹膜炎が強い場合は手術が必要になることがあります。
Q6. エコーでも大腸憩室炎はわかりますか?
A.一般的にはエコー検査では指摘できないことも多いと言われていますが、 当院では腸管エコー検査に熟練した技師が担当するため、ほとんどの場合指摘可能です。
Q7. 憩室炎と虫垂炎は症状が似ますか?
A. 似ることがあります。右下腹部中心なら虫垂炎も鑑別が必要です。画像検査で見分けます。
Q8. 痛みが治まったら受診しなくていい?
A. 一時的に落ち着いても、内部で炎症が進んでいることがあります。特に繰り返す痛みの場合は受診をお勧めします。
Q9. 大腸カメラは必要ですか?
A. 急性期が落ち着いたあとに、必要に応じて大腸内視鏡で他の病気(腫瘍など)を確認することが望ましいです。
Q10. 再発を防ぐ方法はありますか?
A. 体調と腸の状態に合わせて、食生活・便通管理などを整えることが大切です。再発を繰り返す場合は手術による腸管切除を行うこともあります。
まとめ
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下腹部の痛みが鈍痛→突然の激痛に変わったら要注意
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大腸憩室炎は初期なら外来治療で済むこともある一方、悪化すると穿孔→腹膜炎→手術が必要になる
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「痛みが強くなる」「発熱」「お腹が硬い」「歩くと響く」は緊急のサインです。早めの受診・救急相談を
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関連ページ
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胃痛・腹痛外来|胃痛や腹痛を起こす原因や必要な検査について専門医の院長が解説
参考文献
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Sartelli M, et al. 2020 update of the WSES guidelines for the management of acute colonic diverticulitis in the emergency setting. World J Emerg Surg. 2020.
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Hall J, et al. ASCRS Clinical Practice Guidelines for the Treatment of Left-Sided Colonic Diverticulitis. Dis Colon Rectum. 2020.
-
Peery AF, et al. AGA Clinical Practice Update on Medical Management of Colonic Diverticulitis. Gastroenterology. 2021.
-
DeStigter KK, Keating DP. Imaging Update: Acute Colonic Diverticulitis(CTの位置づけ). Clin Colon Rectal Surg. 2009
-
NICE guideline NG147. Diverticular disease: diagnosis and management(CTの推奨など). 2019
医師紹介
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、池袋上田胃腸クリニックまでお気軽にご相談ください。
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文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
