【治療実例】8mmでも進行がんだった―「小さいから様子見」と言われた直腸ポリープが手術になった50代男性
「以前の大腸カメラでポリープがあると言われたけど、“小さいから取らなくていい”と言われてそのまま…」
このような経験がある方は、少なくありません。
多くの大腸ポリープはゆっくり変化しますが、形(とくに“くぼみ”や表面の崩れ)によっては、小さくてもがんが隠れていることがあります。
今回は、直腸の8mmの病変が内視鏡で進行がんと判断され、手術で根治に至った50代男性の実例をもとに、「なぜ様子見が危険なことがあるのか」を消化器専門医の東海林院長がわかりやすく解説します。
大腸ポリープを指摘された方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
この記事でわかること
- 8mm程度の小さなポリープでも、がんが深く入り込んでいることがある理由
- ポリープの大きさだけでは危険性を判断できない理由
- 内視鏡で注意する「陥凹」「表面不整」「発赤」とは何か
- NBI拡大観察で何を確認しているのか
- 内視鏡治療で取れるがんと、手術が必要ながんの違い
- 大腸ポリープを指摘された後の受診の目安
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※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
小さな大腸ポリープでも注意が必要な主な理由
1.ポリープの危険性は大きさだけでは決まらない
一般的には、ポリープが大きくなるほど、がんを含む可能性は高くなります。
ただし、一部には小さい段階から粘膜の下へ深く入り込むタイプがあります。特に、平らな病変や中心がくぼんだ病変では、直径が1cm未満でも慎重な評価が必要です。
2.中心がくぼんだ「陥凹型病変」がある
一般的な大腸ポリープは、腸の内側へ盛り上がるように成長します。
一方、中央がくぼんだ「陥凹型」の病変は、横方向に大きくなる前に、腸壁の深い方向へ入り込むことがあります。そのため、見た目が小さくても、内視鏡治療だけでは十分に治せない状態になっていることがあります。
3.表面や血管の乱れが、がんの深さを示すことがある
内視鏡検査では、単にポリープの直径を測るだけではありません。
- 表面が滑らかか、崩れているか
- 中央にくぼみがあるか
- 赤みや出血があるか
- 粘膜の模様が保たれているか
- 血管の太さや走り方が乱れていないか
- 病変が硬く、空気を入れても形が変わらないか
などを観察し、良性ポリープか、早期がんか、深く入り込んだがんかを推定します。
関連ページ:
▶ 大腸がんの症状|血便・便が細い・お腹の張りについて
▶ 無症状でも見つかる大腸がんについて
実際の治療例|50代男性「以前に大腸カメラで直腸ポリープを指摘されている」
症状
-
3年ほど前の大腸カメラ(大腸内視鏡)で直腸にポリープを指摘
-
当時「小さいので取らなくていい」と説明され、切除せず経過観察
-
今回「状態が心配」とのことで、当院での大腸内視鏡検査を希望し来院
検査
大腸内視鏡を行うと、直腸に8mm大のポリープを認めました。

- 表面の形が崩れている
- 中心に発赤調の陥凹部(くぼみ)がある
➡通常のポリープではなく直腸がんを疑う所見です。

さらに、NBIモードに切り替えで拡大観察すると、構造と血管の乱れが明確で、サイズは小さいものの“進行がん”を疑う所見と判断しました。
関連ページ
▶無痛大腸カメラ|実際の検査の流れや鎮静剤とオリジナル低痛挿入による無痛大腸カメラの詳細がご確認いただけます
治療
大腸がんは、
-
早期がん:内視鏡治療(EMR/ESDなど)で根治できることが多い
-
進行がん:リンパ節転移リスクを考え、手術で病変+周囲リンパ節を切除する必要が出てくる
という大きな違いがあります。【5】
今回の病変は内視鏡所見から手術適応と判断し、対応可能な施設へご紹介。腹腔鏡手術で切除を行いました。
術後の病理診断でもstageⅠの進行がん相当でしたが、手術により根治となりました。
なぜ、その場でポリープを取らなかったのですか?
深い浸潤が疑われる病変を内視鏡だけで切除しても、リンパ節転移の可能性を評価・治療できません。また、不完全切除や病理評価が難しくなることもあります。そのため、内視鏡所見から手術が必要と判断した場合は、無理に切除せず、適切な治療施設へつなぐことが重要です。
直腸がん(大腸がん)とは
大腸がんの多くは、ポリープ(腺腫など)から時間をかけてがん化していくと考えられています。
そのため、見つかったポリープを適切に切除することは、大腸がん予防につながることが大規模研究で示されています。【1】【2】
一方で注意したいのが、今回のように
-
1cm未満でも
-
見た目(陥凹・表面崩れ)によっては
-
すでに深く入り込んだがん(進行がん相当)
が存在しうる点です。
「小さい=安全」とは限らず、“形”の評価が極めて重要です。【4】
大腸ポリープを指摘された方の受診の目安
症状がなくても再検査を検討した方がよいケース
- 大腸ポリープを指摘されたまま切除していない
- 最後の大腸カメラから数年が経過している
- 経過観察の時期を過ぎている
- 以前の検査結果や病理結果がよく分からない
- ポリープの大きさや形について説明を受けていない
- 大腸ポリープや大腸がんの家族歴がある
- 40歳以上で一度も大腸カメラを受けたことがない
院長からのコメント
ポリープは「放っておいても大丈夫」と感じやすい一方で、切除しておけば防げた可能性が高い大腸がんが一定数あります。【1】【2】
もちろん、すべての小さな病変が危険というわけではありません。ただ、今回のように“小さいのに進行がん”が紛れていることもあるため、ポイントは次の2つです。
-
サイズよりも「形」(陥凹・表面不整・発赤・硬さ);NBIモードや拡大観察を行うことが重要。
-
指摘されたら、放置せず「いつ・どうするか」を決める(切除 or 適切な間隔で再検)
「昔言われたポリープが気になる」だけでも、受診の十分な理由になります。
💡池袋上田胃腸クリニックでは無痛大腸カメラを行っております。お悩みの方はぜひご相談ください。
📞 お電話でのお問い合わせ:03-5953-5903
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◆当院の大腸カメラの特徴◆
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鎮静剤や独自の低痛挿入法による苦しくない無痛内視鏡検査
-
高解像度スコープで小さな病変も発見
-
土日対応、事前診察は原則不要
- 池袋駅徒歩5分でアクセス良好
よくある質問
Q. 「小さいポリープなら取らなくていい」と言われました。本当に大丈夫ですか?
A. 多くは緊急性が高くない一方で、形(陥凹・表面不整など)によっては小さくてもがんが疑われます。サイズだけで判断せず、内視鏡画像・所見をもとに「切除か、経過観察か」を決めることが重要です【4】。
Q. ポリープを取ると大腸がんは予防できますか?
A. はい。腺腫性ポリープなどを内視鏡で切除することで、大腸がんの発生や死亡が減ることが大規模研究で示されています【1】【2】。
Q. なぜ8mmでも進行がんになることがあるのですか?
A. すべての病変が「大きくなってから深くなる」とは限らず、陥凹(くぼみ)を伴うタイプなどは小さくても深く入り込むことがあります。NBI拡大などで危険所見を評価します【4】。
Q. 直腸のポリープは症状が出ますか?
A. 早期ほど無症状が多いです。進行すると血便、便が細い、残便感、貧血などが出ることがありますが、症状だけでは判断できません。
Q. NBIって何ですか?
A. 内視鏡の光を特殊な波長にして、粘膜表面の模様や血管を見やすくする機能です。拡大観察と組み合わせ、良性か悪性か、深く入り込んでいないかを推定します【4】。
Q. 内視鏡で取れるがんと、手術が必要ながんの違いは?
A. 一般に、粘膜内〜浅い範囲にとどまる早期がんは内視鏡で根治を目指せます。深く浸潤してリンパ節転移リスクが高い場合は、リンパ節郭清を伴う手術が検討されます【5】。
Q. ポリープ切除は痛いですか?
A.ポリープの切除は痛みは全くありません。また大腸カメラ(大腸内視鏡)による苦痛は鎮静剤や挿入法の工夫で無痛状態で受けることも可能です。
Q. ポリープを取った後は、どれくらいの間隔で大腸カメラが必要ですか?
A. 取り切ったポリープの数・大きさ・病理で変わります。一般にガイドラインに基づいて間隔を決めます【3】。具体的な年数は結果説明時にご案内します。
Q. 以前の病院での内視鏡画像がなくても受診できますか?
A. 受診できます。可能であれば以前の結果(所見用紙や画像)があると比較できて有用ですが、なくても現在の状態を評価して方針を提案します。
Q. 「ポリープ経過観察中」で今すぐ受診すべきサインはありますか?
A. 血便、黒い便、貧血症状、体重減少、便が急に細い、腹痛が続く等があれば早めの受診が安全です。症状がなくても、指摘から年数が経っている場合は再評価をおすすめします。
まとめ
-
直腸ポリープは「小さい=安全」ではない
-
陥凹(くぼみ)・表面不整・発赤は要注意所見
-
NBI拡大などで、がん・深い浸潤の可能性を評価する【4】
-
ポリープ切除は、大腸がんの発生や死亡を減らすことが示されている【1】【2】
-
進行がんが疑われる場合は、**手術(リンパ節郭清)**が必要になる【5】
-
「昔のポリープが気になる」は、受診すべき理由です
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関連ページ
無症状のまま見つかる大腸がんについては、以下のページでも詳しく解説しています。
大腸カメラ(内視鏡について)はこちらからご確認頂けます
その他の関連ページ
参考文献
【1】New England Journal of Medicine: Zauber AG, et al. Colonoscopic Polypectomy and Long-Term Prevention of Colorectal-Cancer Deaths. 2012.
【2】PubMed: Winawer SJ, et al. Prevention of colorectal cancer by colonoscopic polypectomy (National Polyp Study). 1993.
【3】American Gastroenterological Association: U.S. Multi-Society Task Force. Follow-up after colonoscopy and polypectomy (2020).
【4】Kobayashi S, et al. Diagnostic yield of the Japan NBI Expert Team (JNET) classification… 2019.
【5】Japanese Society for Cancer of the Colon and Rectum: JSCCR Guidelines for the Treatment of Colorectal Cancer(2019/2024/2022).
医師紹介・アクセス・診療時間
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「検査はつらい、怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、“苦痛の少ない内視鏡検査(無痛胃カメラ・無痛大腸カメラ)” を心がけています。
初めての方や検査に不安がある方でも、「ここで受けてよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、池袋上田胃腸クリニックまでお気軽にご相談ください。
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文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
