【実際の治療例】胸の痛みの原因は心臓ではなかった|当院で判明した逆流性食道炎による胸痛とその治療
この記事はこのような方におすすめです
- 胸の中央あたりの痛みが続いている
- 循環器内科で心臓は問題ないと言われた
- 胸やけ、酸っぱいものが上がる感じ、げっぷもある
- 食後や横になったときに胸の違和感が出やすい
- 池袋周辺で胃カメラを相談したい
「胸が痛い」と感じると、多くの方がまず心臓の病気を心配されると思います。
もちろん、胸の痛みでは心筋梗塞・狭心症・大動脈解離・肺塞栓症など、緊急性の高い病気を最初に考える必要があります。
突然の強い痛み、冷や汗、息苦しさ、左腕・背中・あごへの痛み、意識が遠のく感じなどがある場合は、消化器内科ではなく救急受診が優先です。
一方で、循環器内科で心電図や心エコーに異常がないと言われたあとも胸の痛みが続く場合、原因が食道や胃にあることもあります。
特に、胃酸が食道へ逆流して炎症を起こす逆流性食道炎では、胸やけだけでなく、胸の中央の痛み、みぞおちの痛み、のどの違和感、咳、背中への違和感として出ることがあります[1][2]。
今回は、循環器内科では異常が見つからず、当院の胃カメラで逆流性食道炎が判明した実際の治療例をもとに、胸の痛みと消化器の関係をわかりやすく解説します。
胸の痛みでお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
池袋上田胃腸クリニックでは、胸やけ・胃痛・みぞおちの痛み・のどの違和感・胸の痛みなど、食道や胃が関係する可能性のある症状について診察を行っています。
胃カメラは、経鼻・経口・鎮静剤使用など、患者さんの不安や反射の強さに合わせて方法を調整しています。
胸の痛みを起こす主な原因
胸の痛みは、胸の中にある臓器だけでなく、食道・胃・筋肉・神経など、さまざまな原因で起こります。
代表的には、以下のような原因を考えます。
- 心臓の病気:狭心症、心筋梗塞、心膜炎など
- 大血管の病気:大動脈解離など
- 肺の病気:肺塞栓症、気胸、肺炎、胸膜炎など
- 食道・胃の病気:逆流性食道炎、食道けいれん、食道潰瘍、胃潰瘍、十二指腸潰瘍など
- 筋肉・肋骨・神経の痛み:肋間神経痛、筋肉痛、肋軟骨炎など
- 機能性の痛み:検査で大きな異常がないものの、食道の知覚過敏などで痛みを感じる状態
胸痛の原因を自己判断することは危険です。特に初めての胸痛、強い胸痛、運動で悪化する胸痛は、まず心臓や肺の病気を確認する必要があります。
一方で、循環器内科で異常がない場合や、食後・横になったとき・前かがみの姿勢で症状が出やすい場合は、逆流性食道炎など消化器疾患が関係していることがあります。
胸やけ・酸っぱいものが上がる感じがある方は、こちらもご参照ください。
逆流性食道炎で胸が痛くなる理由
逆流性食道炎とは、胃酸や胃の内容物が食道へ逆流し、食道粘膜に炎症を起こす病気です[1][2]。
食道は胃と違い、強い酸に長時間さらされることを前提にした臓器ではありません。そのため、胃酸が繰り返し逆流すると、食道の粘膜が刺激され、胸やけ・酸っぱいものが上がる感じ・げっぷ・のどの違和感・咳などが起こります。
また、食道は胸の中央を通っているため、食道の炎症や刺激が胸の中央の痛みとして感じられることがあります。これが「心臓が痛いのではないか」と感じる理由のひとつです。
逆流性食道炎を悪化させやすい要因には、以下があります。
- 脂っこい食事
- 食べすぎ
- 食後すぐ横になる習慣
- アルコール、コーヒー、炭酸飲料
- 喫煙
- 肥満
- 前かがみ姿勢
- 睡眠不足やストレス
- 食道裂孔ヘルニア
ただし、胸痛の原因が逆流性食道炎かどうかは、症状だけで断定できません。必要に応じて胃カメラで食道・胃・十二指腸の状態を確認します。
実際の治療例|「3か月前から胸の痛みが続いている」
【症状】
3か月ほど前から断続的に胸の中央部に痛みを感じていたとのこと。
心臓の病気を疑い循環器内科を受診。心電図・心エコーともに異常は認められませんでした。
循環器の医師から「食道の病気かもしれない」と勧められ、当院を受診されました。
【診察】
診察では、以下のような胸痛を起こす消化器疾患を鑑別に挙げました。
-
逆流性食道炎
-
食道けいれん(びまん性食道けいれん)
-
食道潰瘍
-
食道裂孔ヘルニア
-
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
-
機能性胸痛(機能性ディスペプシアの一種)
診断をつけるため胃カメラ(上部消化管内視鏡)を施行。
【胃カメラ】
胃カメラでは食道下部に炎症を認め、逆流性食道炎と診断しました。
心臓に異常がなかった胸痛の原因は、この食道炎によるものと考えられました。
■実際の胃カメラの画像■
胃と食道のつなぎ目に胃酸の逆流による炎症(黄色部分)を認め逆流性食道炎と診断しました。この炎症により背中の痛みが起こっていたと考えられます。
鎮静剤での無痛胃カメラや実際の検査の流れについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
【治療】
治療は、胃酸分泌を抑える薬であるPPIを中心に開始しました。
逆流性食道炎の治療では、胃酸による食道粘膜への刺激を減らし、炎症を改善させることが重要です。PPIは、GERD治療で広く用いられる薬剤です[2]。
今回の方は、治療開始後1〜2週間ほどで胸の痛みが消失しました。その後、3か月間の内服治療を行い、再発なく改善しました。
治療では薬だけでなく、以下の生活習慣もあわせて確認しました。
- 食後すぐ横にならない
- 夕食を食べすぎない
- 就寝前2〜3時間の飲食を控える
- 脂っこい食事、アルコール、コーヒーを摂りすぎない
- 前かがみ姿勢や腹部を圧迫する服装に注意する
- 体重増加がある場合は減量も検討する
胸痛が改善しても、自己判断で薬を中止すると再発することがあります。症状の経過や内視鏡所見に応じて、内服期間や再診のタイミングを調整します。
受診の目安
胸の痛みでは、まず緊急性の判断が大切です。
救急受診を考えるべき症状
以下のような症状がある場合は、逆流性食道炎と決めつけず、救急要請や救急外来の受診を優先してください[4]。
- 突然の強い胸痛
- 胸が締め付けられる、圧迫されるような痛み
- 冷や汗、吐き気、息苦しさを伴う
- 左腕、肩、背中、首、あごに痛みが広がる
- 意識が遠のく、ふらつく
消化器内科で相談した方がよい症状
一方で、循環器内科で異常がないと言われたあとも、以下のような症状が続く場合は、消化器内科での相談をおすすめします。
- 胸の中央部の痛みが続く
- 胸やけがある
- 酸っぱいものが上がる感じがある
- げっぷが増えた
- 食後や横になったときに胸の違和感が出る
- のどの違和感、咳、声がれを伴う
- 胃薬を飲んでも症状を繰り返す
- 飲み込みにくさ、体重減少、黒い便がある
特に、飲み込みにくさ、体重減少、吐血、黒色便、貧血などを伴う場合は、食道や胃の重大な病気が隠れていることもあるため、早めの検査が必要です。
院長からのコメント
「胸の痛み=心臓」と思われがちですが、食道の炎症による痛みも非常に多いです。
循環器で異常がなかった場合、胃カメラで食道の状態を確認することが大切です。
池袋上田胃腸クリニックでは、鎮静下で眠っている間に胃カメラを行うことができるため、不安や痛みが少なく検査が可能です。
池袋上田胃腸クリニックではWEB予約・電話予約を受け付けています。
池袋周辺で、胸の痛みでお困りの方は、お力になれますのでお気軽にご相談ください。
お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903
当院の胃カメラの特徴
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ご自身に合わせた鎮静剤やスコープ調整で苦しくない内視鏡検査
-
オリンパス製最新システム+高解像度スコープで小さな病変も早期発見
- 土日対応、事前診察は原則不要
よくある質問(FAQ)
Q1. 胸の痛みがあっても心臓が原因ではないことはありますか?
A. はい、あります。胸の痛みは心臓の病気だけでなく、逆流性食道炎、食道けいれん、胃潰瘍、肋間神経痛、筋肉痛などでも起こります。ただし、胸痛ではまず心臓や肺など緊急性の高い病気を除外することが大切です。
Q2. 逆流性食道炎で胸が痛くなるのはなぜですか?
A. 胃酸が食道に逆流すると、食道の粘膜が刺激されて炎症を起こします。食道は胸の中央を通っているため、その刺激が胸の中央の痛みとして感じられることがあります。
Q3. 胸やけがなくても逆流性食道炎のことはありますか?
A. あります。逆流性食道炎では胸やけが典型的ですが、胸痛、のどの違和感、咳、げっぷ、みぞおちの痛みなどが中心になる方もいます。症状だけで判断せず、必要に応じて胃カメラで確認します。
Q4. 循環器内科で異常なしと言われた胸痛は、胃カメラを受けた方がよいですか?
A. 胸痛が続いている、胸やけや胃酸の逆流感がある、食後や横になると悪化する、胃薬で一時的に良くなるといった場合は、胃カメラを検討することがあります。食道炎、食道潰瘍、食道がん、胃潰瘍などを確認できます。
Q5. 胸の痛みで救急受診した方がよい症状はありますか?
A. 突然の強い胸痛、締め付けられる痛み、冷や汗、息苦しさ、左腕・背中・首・あごへの痛み、意識が遠のく感じがある場合は救急受診を優先してください。消化器の症状と似ていても、心臓の病気が隠れていることがあります。
Q6. 逆流性食道炎の治療ではどのような薬を使いますか?
A. 胃酸分泌を抑えるPPIやP-CABなどを使うことが多いです。症状や内視鏡所見に応じて、胃の動きを整える薬や粘膜を保護する薬を組み合わせることもあります。
Q7. 薬を飲めば逆流性食道炎は治りますか?
A. 薬で改善する方は多いですが、食後すぐ横になる、食べすぎ、飲酒、喫煙、体重増加などが続くと再発しやすくなります。薬物治療と生活習慣の見直しを合わせて行うことが大切です。
Q8. 胃カメラは苦しいですか?
A. 当院では、経鼻内視鏡、経口内視鏡、鎮静剤使用などを患者さんの状態に合わせて選択しています。反射が強い方や不安が強い方には、鎮静剤を使って眠っているような状態で検査を受けていただくことも可能です。
Q9. 逆流性食道炎を放置するとどうなりますか?
A. 症状が長引くと、食道の炎症が続いたり、食道潰瘍、狭窄、バレット食道などにつながることがあります。また、食道がんなど別の病気が隠れている場合もあるため、症状が続く場合は検査が大切です。
Q10. 池袋上田胃腸クリニックでは胸の痛みの相談はできますか?
A. はい。まず緊急性の高い心臓・肺の病気が疑われる場合は救急受診が優先ですが、循環器で異常がないと言われた胸痛、胸やけ、胃酸の逆流感、みぞおちの痛み、のどの違和感などは当院でご相談いただけます。
まとめ
-
胸の痛みの原因は心臓だけでなく、食道の炎症(逆流性食道炎)でも起こる
-
循環器で異常がない場合は、胃カメラによる消化器精査が重要
-
早期診断で薬物治療により改善が期待できる
池袋上田胃腸クリニックでは、胸やけ・胸の痛み・みぞおちの痛み・のどの違和感など、食道や胃が関係する症状について診療を行っています。循環器で異常がないと言われたものの胸の痛みが続く方は、一度ご相談ください。
📞 お電話でのお問い合わせ:03-5953-5903
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
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医師紹介
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、池袋上田胃腸クリニックまでお気軽にご相談ください。
アクセス
〒1710014
東京都豊島区池袋2丁目66-10
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▶WEB予約は【こちら】
文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
参考文献
- 日本消化器病学会. 胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021.
- Katz PO, Dunbar KB, Schnoll-Sussman FH, Greer KB, Yadlapati R, Spechler SJ. ACG Clinical Guideline for the Diagnosis and Management of Gastroesophageal Reflux Disease. Am J Gastroenterol. 2022;117(1):27-56.
- Fass R, Shibli F, Tawil J. Diagnosis and Management of Functional Chest Pain in the Rome IV Era. J Neurogastroenterol Motil. 2019;25(4):487-498.
- American Heart Association. Warning Signs of a Heart Attack.
