【実際の治療例】急な腹痛・下痢・発熱…原因は病原性大腸菌?|実例でわかる受診の目安
「2日前から急にお腹が痛い」「下痢と熱も出てきた」
このような症状が続くと、「家で様子を見るのか」、「病院を受診した方がいいのか」、判断が難しいものです。
今回ご紹介するのは、腹痛・下痢・発熱が続き、病原性大腸菌(下痢原性大腸菌)による腸炎と診断された実例です。
受診のタイミングや検査・治療の流れをわかりやすくまとめました。
▶池袋上田胃腸クリニックではWEB予約・電話予約を受け付けています。同様の症状でお悩みの方はぜひご相談ください。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
実際の治療例|20代女性「腹痛・下痢・発熱が一気に悪化」
【症状】
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2日前の夜から腹痛が出現
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翌日:下痢・発熱(38℃前後)
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自宅で様子を見るも改善せず
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食欲低下、脱水気味でつらい状態に
感染性腸炎では、これらの症状が短期間で一気に悪化することがよくあります。
【診察】
診察では腹部の圧痛を確認し、次のような疾患を鑑別に挙げました。
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感染性腸炎(ウイルス性・細菌性)
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虚血性腸炎
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炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)
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盲腸炎(虫垂炎)
正確な診断をつけ治療方針を立てるため、血液検査・腹部エコーで状態を確認しました。
【検査】
① 血液検査
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CRP上昇(炎症反応)
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白血球数増加→ 細菌性腸炎を示唆
② 腹部エコー
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大腸全体の壁の肥厚(炎症像)
→ 細菌性腸炎の典型所見で、病原性大腸菌を疑う所見
ご本人から数日前にユッケを食べたとのこともあり、検査結果と合わせて病原性大腸菌による感染性腸炎と考えました。
※後日便培養から病原性大腸菌(下痢原性大腸菌)を検出 し、 確定診断となりました。
このようにエコー検査は腸炎の状態や重症度評価にも非常に有用です【1】。
■実際のエコー画像■
【病原性大腸菌とは】
病原性大腸菌(下痢原性大腸菌)は、通常の大腸菌とは異なり、腸粘膜に炎症を起こす毒素や付着因子を持つ細菌です。
これにより、
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腸の粘膜が傷つく
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水分吸収が低下し水様性下痢が起こる
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腸の炎症で腹痛・発熱が出る
といった症状が現れます。
原因(どこで感染する?)
病原性大腸菌の感染は、以下が主な原因です【1】【2】。
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加熱不十分な肉(特に牛肉)
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汚染水(井戸水・生水)
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カット野菜・加熱しない食品
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飲食店や家庭での調理過程の衛生管理不足
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包丁・まな板の二次汚染
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暑い季節(菌が増えやすい)
特に、同じまな板で生肉→野菜と続けて調理する「二次汚染」も非常に多い感染原因です。
【治療】
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病原性大腸菌に有効な抗生剤を開始
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脱水改善のための補液
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整腸剤併用
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高タンパク・高脂肪の食事は控えて胃腸を安静に
治療開始後、5日ほどで症状はほぼ改善しました。
院長からのコメント
腹痛・下痢・発熱がそろう場合は、ウイルス性よりも細菌性腸炎の可能性が高く、適切な抗生剤治療が必要になるケースもあります。
エコー検査は被ばくがなく、その場で腸の炎症程度を把握できるため、腸炎の鑑別に非常に役立つため、当院では積極的に行っております。
▶関連ページ:エコー検査|実際の流れや検査で分かる病気の詳細がご確認いただけます
受診の目安(この症状があれば相談を)
次のような症状がある場合は、早めの受診をおすすめします。
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38℃以上の発熱が続く
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水様性下痢が1日3回以上/翌日も続く
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強い腹痛・下痢・発熱がセットで出る
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血便が出る
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脱水(尿が減る・口が乾く・ふらつく)
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市販薬を飲んでも改善しない
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食事や水分が取れない
「ただの食あたり」と思って様子を見ると悪化することがあるため、症状が続くときは早めに医療機関へご相談ください。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 細菌性腸炎とウイルス性腸炎の違いは?
A1. 細菌性は症状が強く、発熱・腹痛が出やすい点が特徴です【1】。
Q2. 病原性大腸菌は市販薬で治りますか?
A2. 市販の下痢止めでは逆に悪化の可能性があり、医療機関で処方される抗生剤が必要なことが多いです。
Q3. 感染経路は?
A3. 生肉・加熱不十分な食品・汚染水などが代表です【2】。
Q4. 家族にうつりますか?
A4. 接触やトイレを介した感染が起こることがあります。
Q5. どのくらいで治りますか?
A5. 軽症で3〜5日、症状が強い場合は1週間前後です。
Q6. エコーで腸炎は本当にわかるの?
A6. 腸壁の肥厚や炎症所見が評価でき、非常に有用です【1】。
Q7. 便培養は必要?
A7. 病原性細菌を特定し治療方針を決めるため重要です。
Q8. 食事はどうすれば良い?
A8. 治るまでは刺激物や脂質の多い食事は避け、消化の良いものを。
Q9. 再発しますか?
A9. 基本的にはしませんが、食品管理が不十分だと再感染は起こり得ます。
Q10. 受診の目安は?
A10. 24時間以上続く強い腹痛・発熱・水様下痢は受診を推奨します。
まとめ
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急な腹痛・下痢・発熱は細菌性腸炎の可能性が高い
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血液検査で炎症、エコーで腸の炎症像が確認できる
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病原性大腸菌は便培養で確定
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抗生剤治療で多くは5日ほどで改善
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強い症状が続くときは早めの受診が大切
お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903
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医師紹介
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、お気軽にご相談ください。
アクセス
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東京都豊島区池袋2丁目66-10
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参考文献
【1】Yamashita S, et al. Ultrasonography in infectious colitis. J Med Ultrasonics.
【2】日本食品衛生学会:下痢原性大腸菌ガイドライン
【3】厚生労働省:細菌性食中毒の原因菌
文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
