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【実際の治療例】みぞおち→右下腹へ痛みが移動…放置は危険?エコーで見抜く急性虫垂炎

[2026.02.04]

「みぞおちが急に痛くなった」

「胃炎かな…と様子を見ていたら、どんどん痛みが強くなった」

こうした腹痛は、胃の病気とは限らず、実は急性虫垂炎(いわゆる盲腸)が隠れていることがあります。

虫垂炎は早期に見つけて治療できれば、重症化(穿孔・腹膜炎)を防げる病気です【1】。

今回は、当院(池袋上田胃腸クリニック)で診断・治療を行った20代女性の実例をもとに、症状・診察・検査・治療の流れを専門医の東海林院長がわかりやすくご紹介します。

 

同様の腹痛でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。

▶池袋上田胃腸クリニックではWEB予約・電話予約を受け付けています。ぜひご相談ください。

WEB予約はこちら 03-5953-5903

※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。

 

症例|20代女性「急に発症したみぞおちの痛み→右下腹部痛」

症状

前日夜から、突然みぞおちの痛みが出現。

「そのうち治るかも」と様子を見ていましたが、痛みが強くなってきたため来院されました。

来院時には、みぞおちの痛みに加えて右下腹部の痛みも出てきていました。

 

診察

触診で右下腹部に強い圧痛(押すと強く痛む)があり、痛みの経過として

  • みぞおち周辺から始まり

  • 右下腹に痛みが移ってきた 

という流れが見られました。

この経過は虫垂炎でよくみられるパターンの一つでありますが【1】、みぞおち痛〜右下腹痛は、虫垂炎以外でも起こります。

診察では以下も同時に考え、診断を確定させるため血液検査腹部エコー検査を行いました。

  • 胃炎/急性胃腸炎

  • 胆石・胆のう炎

  • 尿管結石、腎盂腎炎

  • 腸炎、憩室炎

  • (女性)卵巣出血・卵巣嚢腫茎捻転、骨盤内感染症、子宮外妊娠 など

 

検査

【検査①:血液検査】

炎症反応(白血球、CRPなど)を確認し、重症度の見立てに役立てます【1】。

➡今回は軽度の炎症反応を認めました。

【検査②:腹部エコー】


虫垂が8.8㎜大に腫大し(黄色矢印部分)、急性虫垂炎と診断しました。

一般的に虫垂の太さ(径)は6mmがひとつの目安として使われますが、太さだけでなく周囲の炎症所見などを総合して判断します【5】【6】。

 

💡当院では最短当日に検査がお受け頂けますので、お気軽にお問い合わせください。

 

急性虫垂炎(盲腸)とは:なぜ「みぞおち」から始まる?

急性虫垂炎は、右下腹にある「虫垂」に炎症が起きる病気です。

原因としては、虫垂の出口が詰まる(便のかたまり=糞石など)ことで炎症が起きるケースがよくあります【1】。

虫垂炎がやっかいなのは、痛みの始まり方が“胃の痛み”に似ることがある点です。

発症初期は内臓の痛みとしてみぞおち付近の違和感・痛みとして感じ、炎症が進むと腹膜が刺激され、右下腹のはっきりした痛みに変わっていくことがあります【1】。

移動する痛みは急性虫垂炎かも|池袋上田胃腸クリニック

治療:抗生剤で治るケース/手術が必要なケース

今回の患者さんは

  • エコーで穿孔(穴が開く)を示す所見は乏しい

  • 血液検査でも炎症が軽症

と判断できたため、抗生剤点滴で炎症を抑える方針としました(外来での経過観察を含め、状態に応じて安全な範囲で実施)。

翌日の再診では痛みが大きく軽減し、炎症も改善傾向。数日間の抗生剤治療を継続し、痛みの改善血液検査・エコーでの鎮静化を確認して、いったん治療終了としました。

💡ただし:保存的治療には「再燃(ぶり返し)」があり得ます

抗生剤で一旦落ち着く方がいる一方で、研究では一定割合で再発し、後日手術に至ることが報告されています。

例)抗生剤治療後、1年で約3割、5年で約4割が再発を経験したという報告があります【3】。

また、CODA試験では抗生剤群の約3割が90日以内に手術となっています【2】。

そのため当院では、保存的治療を選ぶ場合も

  • 痛みが引かない/悪化する

  • 糞石が疑われる(再燃・合併症リスクが上がる可能性)【2】

  • 穿孔や腹膜炎が疑われる

などがあれば、速やかに高次医療機関と連携し、手術対応へ切り替えます【1】。

💡手術が優先されることが多いケース

  • 強い腹膜刺激症状(跳ねる痛み、板状硬など)

  • 高熱、全身状態不良

  • 画像で穿孔・膿瘍が疑われる

  • 痛みが急速に悪化 

などの場合、緊急手術が必要になることがあります【1】。

院長からのコメント

虫垂炎は、初期にみぞおちの痛みとして始まり、右下腹に移ってくる経過を取ることがあるため、最初は「胃炎かな?」と考えてしまいがちです【1】。

腹部エコーや血液検査で早期に診断できることが多く、早く見つかれば今回のように重症化する前に治療を開始できます。

一方で、腹痛は自己判断が難しく、放置すると穿孔・腹膜炎に進展する危険もあります【1】。

「みぞおちの痛みが強くなってきた」「右下腹に移ってきた」「歩くと響く」などがあれば、早めにご相談ください。

👉 WEB予約はこちらから

📞 お電話でのお問い合わせ:03-5953-5903

※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。

よくある質問(FAQ)

Q. みぞおちの痛みは胃の病気だと思っていいですか?

A. 必ずしも胃とは限りません。虫垂炎は初期にみぞおち付近の痛みで始まることがあります【1】。

 

Q. みぞおちの痛みが右下腹に移ったら、虫垂炎の可能性が高いですか?

A. 典型例のひとつです【1】。右下腹の強い圧痛がある場合は早めの受診が安全です。

 

Q. 発熱がなくても虫垂炎はありますか?

A. はい。早期や軽症では熱がはっきりしないこともあります【1】。

 

Q. 吐き気や食欲不振だけでも虫垂炎のことはありますか?

A. はい。腹痛+吐き気、食欲低下は虫垂炎でもよくみられます【1】。

 

Q. エコーだけで虫垂炎と診断できますか?

A. 多くは可能です。虫垂の腫大(例:6mm以上を目安)や周囲の炎症所見を総合して判断します【5】【6】。見えにくい場合はCTを検討します【1】。

 

Q. 虫垂炎は薬(抗生剤)で治りますか?

A. 軽症の「合併症のない虫垂炎」では抗生剤で改善することがあります【1】。ただし一定割合で再燃し、後日手術が必要になることがあります【2】【3】。

 

Q. 抗生剤で治した場合、再燃はどれくらいありますか?

A. 報告に幅はありますが、例として抗生剤治療後に1年で約3割、5年で約4割が再発した報告があります【3】。

 

Q. 糞石(便のかたまり)があると何が問題ですか?

A. 抗生剤でうまくいかず手術に至る割合や合併症リスクが高い可能性が示されています【2】。

 

Q. すぐ救急に行った方がいい症状は?

A. 強い腹痛で動けない/痛みが急速に悪化/高熱/意識がぼんやり/お腹が硬い/嘔吐が止まらない等は、早急な評価が必要です【1】。

 

Q. 妊娠中でも同じ対応ですか?

A. 妊娠の有無で鑑別や検査選択が変わることがあります。まずは安全確認のため、早めにかかりつけの産科へご相談ください【1】。

まとめ

  • 急性虫垂炎は、初期にみぞおちの痛みで始まり、右下腹部痛へ移動することがあります【1】。

  • 「胃炎だと思って様子見」で悪化することもあるため、痛みが強くなる/移動する場合は注意が必要です。

  • 当院では腹部エコー+血液検査で早期診断が可能です【1】【5】。

  • 軽症なら抗生剤で改善することもありますが、一定割合で再燃し、後日手術が必要になることがあります【2】【3】。

  • 放置すると穿孔・腹膜炎の危険があるため、迷ったら早めの受診が安全です【1】。

症状チェックリスト(当てはまる方はご相談ください)

✅ 急にみぞおちが痛み出した
✅ 胃炎かと思ったが、どんどん痛みが強くなってきた
✅ 痛みが右下腹部に移動してきた
✅ 吐き気・食欲不振・微熱がある

池袋上田胃腸クリニックでは、虫垂炎に対して当日中に検査・診断できる体制を整えています。ぜひご相談ください。

お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903

※来院時間や当日の状況によっては翌日以降の検査となる場合もあります

関連ページ

参考文献

【1】Di Saverio S, et al. Diagnosis and treatment of acute appendicitis: 2020 update of the WSES Jerusalem guidelines. World Journal of Emergency Surgery. 2020.
【2】CODA Collaborative. A randomized trial comparing antibiotics with appendectomy for appendicitis. N Engl J Med. 2020.
【3】Salminen P, et al. Five-Year Follow-up of Antibiotic Therapy for Uncomplicated Acute Appendicitis in the APPAC Randomized Clinical Trial. JAMA. 2018.
【4】Harnoss JC, et al. Antibiotics Versus Surgical Therapy for Uncomplicated Appendicitis: Systematic Review and Meta-analysis. Ann Surg. 2017.
【5】The Radiology Assistant. Appendicitis – US findings. 2020.
【6】Orscheln ES, Trout AT. Appendiceal diameter: CT versus sonographic measurements. Pediatr Radiol. 2016.

医師紹介

東海林英典(しょうじ ひでのり)院長

📍経歴

国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。

胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。

令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。

内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。

  • 日本内科学会認定医
  • 日本消化器病学会専門医

🩺 診療にあたっての想い

「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、お気軽にご相談ください。

アクセス

1710014
東京都豊島区池袋2丁目66-10  

上田胃腸クリニック

JR 池袋駅 北口の地上出口より徒歩5分。

(北改札口を出たら左へ、突き当たり右側の階段20bから地上へ)

お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903

WEB予約は【こちら

 

文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)

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