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【お腹がパンパンでつらい】ガスだまりの原因は?―大腸カメラで重症疾患なし、機能性のガス貯留だった40代女性

[2025.10.12]

「お腹がパンパンに張る」「ガスで仕事に集中できない」

──そんなお悩みは珍しくありません。

今回は、触診でガスを確認し、腹部エコーと大腸カメラで重い病気を除外、そのうえで機能性のガス貯留と考え治療した40代女性の実例をご紹介します。

池袋上田胃腸クリニックでは鎮静剤を用いた“無痛”内視鏡に対応。WEB予約・電話予約いずれも可能です。

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症例|40代女性「ガスが溜まってお腹がはって困っている」

【症状】

学生時代からガスが溜まりお腹が張る状態を度々繰り返していましたが、ここ最近は頻度が増え張りも強くなったとのことで来院されました。

 

 【診察】

触診では鼓音を認め腸管内ガス貯留が示唆され、原因として以下が考えられました。

分類 疾患名 特徴・ポイント
消化管の通過障害系 大腸がん・小腸腫瘍 ガスや便が通りにくくなり、張りと便秘を伴う。体重減少・血便を伴えば要注意。
  イレウス(腸閉塞) 強い腹部膨満・嘔吐・排便排ガス停止を伴う。緊急対応が必要。
炎症・感染系 潰瘍性大腸炎/クローン病 血便や粘液便、腹痛を伴い、慢性的にガスが溜まる。
  感染性腸炎(カンピロバクター・ノロなど) 発熱・下痢・腹痛を伴う一過性の膨満。
機能性ガス貯留 過敏性腸症候群(IBS) ガス・腹痛・便通異常(下痢型・便秘型)。ストレス関連が多い。
  機能性ディスペプシア 胃の動きの低下による上腹部の張り・もたれ感。
代謝・内分泌系 甲状腺機能低下症 腸の動きが鈍くなり、便秘と腹部膨満を生じる。
  糖尿病性腸管運動障害 自律神経障害により腸蠕動低下。慢性的な張りを訴える。
腹水・腫瘍性疾患 肝硬変/腹膜播種/卵巣腫瘍 腹水による物理的な膨満。体重増加や下肢浮腫を伴う。
その他 便秘症 最も頻度が高く、慢性膨満の主要原因。
  空気嚥下症(嚥気症) 無意識の空気嚥下によるガス貯留。心理的要因が関与。
 
【検査】

器質的疾患(がん・炎症・閉塞)や代謝・内分泌系の病変のチェックのため、血液検査・大腸内視鏡(大腸カメラ)や腹部エコーを行いました。

  • 血液検査:代謝内分泌疾患などは認めず
  • 腹部エコー:腹水や腫瘍など認めず、多量の大腸ガスを確認

  • 大腸内視鏡(大腸カメラ):閉塞・狭窄・炎症・腫瘍など異常なし

以上より、機能性のガス貯留を考えました。

■実際の内視鏡画像■
無痛大腸カメラ(内視鏡)では正常の状態でした|池袋上田胃腸クリニック

大腸内視鏡(大腸カメラ)の実際の画像です。 炎症やガンなどの異常はなく、問題ない状態でした。

 

【機能性ガス貯留とは?】

器質的疾患(がん・狭窄・炎症性腸疾患など)を除外したうえで、腸の運動機能低下腸内細菌バランスなどが関与するガス貯留です。

機能性腹部膨満は、過敏性腸症候群(IBS)や機能性ディスペプシアと症状が重なることがあり、食事内容(発酵性炭水化物=フォドマップ)やストレスの影響を受けやすいことが知られています【1–4】。

 

【治療:運動機能改善薬+漢方+整腸剤+食事指導

腸の働き・腸内細菌のバランスを改善するような投薬と食事指導を行いました。

  • 腸の運動機能改善薬漢方薬

    • 作用機序が異なるため相乗効果を期待【1,3】

  • 整腸剤

    • 腸内細菌バランスを整えてガス・膨満を軽減【2,4】

  • 食事指導

    • ガス産生が多い豆類・一部の野菜・乳糖などを控える(低フォドマップ食)

    • 食物繊維と水分は便通に合わせて量と種類を調整(不溶性のみ過多は悪化要因に)【2】

    • ゆっくり噛む/炭酸・早食い・空気嚥下を避ける

    • 就寝前2–3時間は食べない、適度な運動も推奨

📊 ガスだまりを悪化・改善させる要因の整理

悪化させる要因

改善させる要因

FODMAPの多い食品(玉ねぎ・にんにく・豆類など)

発酵食品の適量摂取

炭酸飲料・空気の飲み込み(早食い・ストロー使用)

食物繊維の適正摂取(特に水溶性食物繊維)

早食い・不規則な食事リズム

適度な運動(ウォーキング・腹式呼吸など)

ストレス・緊張・睡眠不足

十分な睡眠とリラックス時間の確保

💡ポイント:
「悪化要因」は腸の動きを鈍らせたりガス産生を増やす一方、「改善要因」は腸内環境と蠕動運動を整える方向に働きます。

 

【経過:10日で軽快傾向、1か月で頻度・程度が大幅改善】

しばらくはあまり変化がなく張りが気になる状態が続きましたが、10日ほどすると徐々に張り感が減ってきて1か月症状の程度・頻度とも有意に改善

症状に対してのストレスもかなり減少した状態となりました。

現在はご本人希望により予防的な継続内服を続けています。

今回のように機能性の症状については整腸剤や漢方が有効なことが多く、いずれも副作用の出現頻度が比較的少ないため、症状の改善後も予防的に飲んでいただくこともあります。

まとめ/受診の目安

  • エコー・内視鏡で重症疾患なし→機能性のガス貯留

  • 運動機能改善薬+漢方+整腸剤+食事で10日〜1か月で改善

  • お腹の張りが持続・悪化する場合、体重減少、腹痛、血便などを伴う場合は早めの受診と内視鏡評価を推奨【1,3】

池袋上田胃腸クリニックではWEB予約・電話予約を受け付けています。同様の症状でお悩みの方はぜひご相談ください。

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※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。

よくある質問(FAQ)

Q1. ガスだまりは放置しても大丈夫ですか?

A. 改善することもありますが、体重減少・血便・持続痛がある場合は早期受診を。がんや腸閉塞などを除外する必要があります【1】。

Q2. 大腸カメラは必ず必要ですか?

A. 症状経過や身体所見・画像で器質的疾患が疑われる場合は推奨されます。一度重大疾患を除外しておくと、機能性としての治療を行うことが出来ます【1,3】。

Q3. 整腸剤やプロバイオティクスは効果がありますか?

A. 便通・膨満の改善に一定の改善効果がありますが、菌種・製剤で効果が異なります。数週間単位で反応を見て調整します【2,4】。

Q4. 食事は何から見直せば良いですか?

A. まずはガス産生の多い食品を減らすゆっくり噛む炭酸・人工甘味料を避ける低FODMAPの考え方が参考になります【2】。

Q5. どのタイミングで受診すべきですか?

A. 症状が2週間以上続いたり・悪化する時、強い張りや痛み、嘔吐・発熱・血便、体重減少、家族に大腸がんがいる場合は、早めの受診と内視鏡を検討します【1,3】。

 

Q6. 運動は効果がありますか?

A. 腸管の蠕動促進・ストレス軽減に有用です。無理のない有酸素運動を継続すると改善を助けます【3】。

 

医師紹介

東海林英典(しょうじ ひでのり)院長

📍経歴

国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。

胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。

令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。

内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。

  • 日本内科学会認定医
  • 日本消化器病学会専門医

🩺 診療にあたっての想い

「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、お気軽にご相談ください。

アクセス

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東京都豊島区池袋2丁目66-10  

上田胃腸クリニック(池袋駅 北口から徒歩5分)

  • JR「池袋」北改札 → 左へ → 20b出口から地上へ
  • 文化通りを直進、「スーパーホテル」「まいばすけっと」を左手に通過
  • その先の十字路を越え、左手4軒目が当院です(迷ったら 03-5953-5903

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参考文献(本文内番号と対応)

  1. Lacy BE, et al. ACG Clinical Guideline: Management of Irritable Bowel Syndrome. Am J Gastroenterol.(IBS/腹部膨満・警告症状と除外すべき疾患の整理)

  2. Staudacher HM, et al. Mechanisms and efficacy of a low FODMAP diet. Gut.(低FODMAPと膨満・ガスの改善)

  3. Drossman DA. Functional GI Disorders概説(機能性消化管障害の診断・治療フレーム)

  4. Ford AC, et al. Efficacy of probiotics in IBS: systematic reviews/meta-analyses.(整腸剤/プロバイオティクスの効果)

※院内ガイドライン・日本消化器関連学会の推奨も適宜参照。

関連ページ

文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)

 

 

 

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