「IBSだから」は危険?お腹の張りが1か月で悪化…大腸カメラで“大腸がん狭窄”が見つかった実例
「5年前にIBS(過敏性腸症候群)と言われてから、薬で落ち着いていたのに…最近、お腹の張りが強くなってきた」
こうしたいつもと違う悪化”は、IBSの増悪で説明できることもあります。
ただし、一方で、別の病気が隠れているサインのこともあり、注意が必要です。
今回は、IBSとして長く安定していた腹部膨満(お腹の張り)が1か月で悪化し、最終的に大腸がんによる狭窄が見つかったケースをもとに、受診の目安と検査の考え方をわかりやすくまとめます。
過敏性腸症候群の増悪やお腹の張りでお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
▶池袋上田胃腸クリニックではWEB予約・電話予約を受け付けています。同様の症状でお悩みの方はぜひご相談ください。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
実際の治療例|40代女性「お腹の張りが悪化した」
症状
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以前から腹部膨満(お腹の張り)があり、約5年前にIBSと診断
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その後は投薬で安定
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1か月ほど前から腹部膨満が悪化
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いつもの薬を調整しても改善が乏しく、当院へ相談
IBSは波がある病気ですが、「薬で改善なし」「何となく今までと違う」ときは、一旦きちんと検査して評価する必要があります【3】。
診察
腹部膨満が悪化したとき、診察では以下を意識します。
よくある原因(IBSの増悪を含む)
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便秘の悪化(硬い便・排便回数低下)
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食事(炭水化物・乳製品・食物繊維の取り方の変化)
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ストレス・睡眠不足
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腸内細菌バランスの変化 など
見逃したくない原因(要チェック)
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大腸がん/大腸ポリープによる“狭窄(通り道が狭くなる)”
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炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
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感染性腸炎
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腸閉塞(イレウス)
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婦人科疾患(※女性の場合:卵巣腫瘍など)
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肝疾患や腹水 など
特に、
✅ 症状が急に変わった
✅ 薬が効かなくなった
✅ 便が細い/出にくい/残便感が強い
✅ 体重減少、貧血、血便、発熱 …などがあれば、“IBS以外”の評価が必要です【3】。
この方は、最終の大腸内視鏡が5年前であり、「本当にIBSの悪化だけなのか?」を確認するため、
当院で大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を実施しました。
実際の内視鏡画像
S状結腸に出血を伴う隆起性病変を認め、生検にて大腸がんと診断しました。
この大腸がんにより大腸の内腔が狭窄し(腸管が狭くなっている状態)、便やガスがスムーズに流れず、お腹の張り(膨満感)が出ていた状態でした。
関連ページ
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治療
狭窄を伴う進行がんで入院・手術が必要な状態のため、高次医療機関へ紹介。
紹介先で外科手術が行われ、術後の最終結果はステージⅢA。
その後、術後補助化学療法(再発予防の抗がん剤治療)が実施され、現在も再発なく生活されています
「大腸がんによる狭窄」とは
大腸がんは、腸の内側(粘膜)から発生し、進行すると腫瘍が大きくなって腸の通り道(内腔)を狭くします。これが狭窄です。
狭窄が起こす症状
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お腹が張る(ガスがたまる)
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便秘が増える/下剤が効きにくい
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便が細くなる
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腹痛、吐き気(進むと腸閉塞に近い状態)
「便秘がち」「昔から張りやすい」という方ほど、“いつもの延長”に見えて受診が遅れやすいのが注意点です。
また、一般的に大腸がんは早期は無症状のことも多いため、症状だけで安心はできません。だからこそ、年齢やリスクに応じた大腸カメラ検査(スクリーニング)が重要です【2】。
院長からのコメント
IBSはとても多い病気で、薬や生活調整でうまく付き合える方も多いです【3】。
ただし、IBSと診断されていても 「別の病気にならない」わけではありません。
特に今回のように、
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症状の質が変わった
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悪化のスピードが速い
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薬が効かない
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最後の大腸カメラから年数が経っている
こうしたときは、“IBSの悪化”と決めつけずに大腸内視鏡で確認することが、結果的にいちばん安全です。
池袋上田胃腸クリニックでは、症状と既往歴を丁寧に整理し、必要な方に適切な検査をご提案します。
心配な変化があれば、早めにご相談ください。
お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
よくある質問(FAQ)
Q. IBSと診断されていれば、大腸がんの心配は少ないですか?
A. いいえ。IBSと診断されていても、大腸がんを含む別の病気が後から起こる可能性はあります。特に症状が変化したときは再評価が大切です【3】。
Q. 「お腹の張り」だけでも大腸カメラ(内視鏡)は必要ですか?
A. 年齢、症状の変化、便通異常の程度、貧血や体重減少などの所見によって必要性は変わりますが、2週間以上症状が続く際には大腸カメラを検討します。
Q. IBSの薬が急に効かなくなることはありますか?
A. IBS自体の波で効きにくく感じることもありますが、別の病気(狭窄、炎症など)が重なっている場合もあります。症状の質が変わったら検査を考える必要があります【3】。
Q. 大腸がんの「狭窄」って何が起きている状態なのですか?
A. 腫瘍が大きくなって腸の通り道が狭くなり、便やガスが通りにくくなる状態です。お腹の張りや便秘が目立つことがあります。
Q. 便が細くなった気がします。危険ですか?
A. 体質や便の硬さでも細く見えることはありますが、狭窄が原因のこともあります。2週間以上続く際には一度相談してください。
Q. 大腸がん検診(便潜血)で陰性なら安心?
A. 便潜血検査は有用ですが万能ではありません。症状がある場合は、検診結果に関わらず大腸カメラを検討します【2】。
Q. 大腸カメラはどのくらいの間隔で受ければいいですか?
A. 年齢、家族歴、過去のポリープの有無などで変わりますが、症状が出た場合は間隔に関係なく評価が必要です。
Q. 大腸がんステージ3Aだと、治療はどうなりますか?
A. 一般的には手術で切除したうえで、再発リスクを下げる目的で術後補助化学療法を行うことが推奨されます【1】。
Q. 過敏性腸症候群(IBS)の診断はどうやってつけるの?
A. IBSは症状に加え、他に病気がないかを検査で除外することで診断をつけます。
▶詳細は【専門医の東海林院長による過敏性腸症候群の解説】でご確認ください。
Q. 「いつもと違う悪化」の目安は?
A. ①急に悪化した、②薬が効かない、③便秘・下痢の質が変わった、④体重減少・貧血・血便などを伴う、⑤2週間以上症状が続く――こうした場合は早めに受診し、検査を検討しましょう【2】【3】。
まとめ
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IBSで安定していた症状でも、悪化したら要注意
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「薬が効かない」「症状の質が変わった」は再評価サイン
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腹部膨満の原因は多彩。中には大腸がん狭窄のように見逃せない病気もある
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ステージIII大腸がんでは、一般に手術+術後補助化学療法が検討される【1】
池袋上田胃腸クリニックでは、最短で当日に大腸カメラ検査ができる体制を整えています。
お腹の張りが続く/薬が効かない方はぜひご相談ください。
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※来院時間や当日の状況によっては翌日以降の検査となる場合もあります
関連ページ
参考文献(本文の【番号】と対応)
【1】大腸癌研究会(JSCCR)『大腸癌治療ガイドライン 医師用 2024年版』:StageⅢ大腸癌に術後補助化学療法が推奨される記載。
【2】U.S. Preventive Services Task Force (USPSTF). Recommendation: Colorectal Cancer: Screening(2021)— 45〜75歳のスクリーニング推奨。
【3】日本消化器病学会『機能性消化管疾患診療ガイドライン2020―過敏性腸症候群(IBS)』:Rome IV基準など診断の標準化に言及。
【4】Lacy BE, et al. ACG Clinical Guideline: Management of Irritable Bowel Syndrome. Am J Gastroenterol. 2021.
医師紹介
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
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「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、池袋上田胃腸クリニックまでお気軽にご相談ください。
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文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
