「IBSだから」は危険?お腹の張りが1か月で悪化…大腸カメラで“大腸がん狭窄”が見つかった実例
この記事でわかること
- IBS治療中でも再検査を考えた方がよい症状の変化
- お腹の張りが悪化する主な原因
- 大腸がんによる「狭窄」とはどのような状態か
- 実際にIBS治療中の患者さんから大腸がんが見つかった経過
- 大腸カメラを検討する受診の目安
「5年前にIBS(過敏性腸症候群)と言われてから、薬で落ち着いていたのに…最近、お腹の張りが強くなってきた」
こうしたいつもと違う悪化”は、IBSの増悪で説明できることもあります。
ただし、一方で、別の病気が隠れているサインのこともあり、注意が必要です。
今回は、IBSとして長く安定していた腹部膨満(お腹の張り)が1か月で悪化し、最終的に大腸がんによる狭窄が見つかったケースをもとに、専門医の東海林院長が受診の目安と検査の考え方をわかりやすくまとめます。
過敏性腸症候群の増悪やお腹の張りでお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
お腹の張りが悪化する主な原因
お腹の張りはIBSだけで起こる症状ではありません。
特に、これまで安定していた症状が急に変わった場合には、原因を改めて確認する必要があります。
1.過敏性腸症候群(IBS)の症状変化
IBSでは腸の運動や知覚が過敏になることで、腹痛、便秘、下痢、お腹の張りなどが繰り返されます。
ストレス、睡眠、食事、生活環境などによって症状が強くなることもあります。【2】【3】
▶ 過敏性腸症候群(IBS)の症状・検査・治療について詳しくはこちら
2.便秘
便が大腸内に長くとどまると、便とともにガスも排出しにくくなり、お腹の張りが強くなることがあります。
ただし、以前はなかった便秘が出てきた、急に悪化した、便が細くなったという場合は、便秘だけと決めつけないことが大切です。
3.食事や腸内発酵
乳製品、小麦、一部の果物や豆類など、腸内で発酵しやすい食品によってガスが増え、お腹が張ることがあります。
ただし、今まで問題なく食べていたのに症状が急に強くなった場合には、食事だけが原因とは限りません。
4.炎症性腸疾患・感染性腸炎
潰瘍性大腸炎やクローン病、感染性腸炎などでも腹部膨満、腹痛、下痢、血便などが起こることがあります。
5.大腸がん・大腸ポリープによる狭窄
大腸の腫瘍が大きくなると、腸の通り道が狭くなり、便やガスが流れにくくなることがあります。
その結果、
- お腹が張る
- ガスがたまる
- 便秘になる
- 便が細くなる
- 残便感が出る
- 腹痛が出る
といった症状が起こることがあります。
大腸がんによる「狭窄」とは?
大腸がんは大腸の内側の粘膜から発生します。
がんが大きくなるにつれて腸の内側へ張り出すと、便やガスが通るスペースが狭くなる「狭窄」を起こすことがあります。
狭窄が進むと、便やガスがスムーズに流れなくなるため、お腹の張りや便秘が目立つようになります。
さらに進行すると腹痛、吐き気、嘔吐などが出て、腸閉塞に近い状態になることもあります。
特に今回のように「もともとお腹が張りやすい」「IBSと言われている」という方では、変化をいつもの症状と思ってしまうことがあります。
大切なのは症状があるかないかだけではなく、「以前と比べて変わったか」を見ることです。
実際の治療例|40代女性「お腹の張りが悪化した」
症状
-
以前から腹部膨満(お腹の張り)があり、約5年前にIBSと診断
-
その後は投薬で安定
-
1か月ほど前から腹部膨満が悪化
-
いつもの薬を調整しても改善が乏しく、当院へ相談
IBSは波がある病気ですが、「薬で改善なし」「何となく今までと違う」ときは、一旦きちんと検査して評価する必要があります【3】。
診察
腹部膨満が悪化したとき、診察では以下を意識します。
よくある原因(IBSの増悪を含む)
-
便秘の悪化(硬い便・排便回数低下)
-
食事(炭水化物・乳製品・食物繊維の取り方の変化)
-
ストレス・睡眠不足
-
腸内細菌バランスの変化 など
見逃したくない原因(要チェック)
-
大腸がん/大腸ポリープによる“狭窄(通り道が狭くなる)”
-
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
-
感染性腸炎
-
腸閉塞(イレウス)
-
婦人科疾患(※女性の場合:卵巣腫瘍など)
-
肝疾患や腹水 など
特に、
✅ 症状が急に変わった
✅ 薬が効かなくなった
✅ 便が細い/出にくい/残便感が強い
✅ 体重減少、貧血、血便、発熱 …などがあれば、“IBS以外”の評価が必要です【3】。
この方は、最終の大腸内視鏡が5年前であり、「本当にIBSの悪化だけなのか?」を確認するため、
当院で大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を実施しました。
実際の内視鏡画像
S状結腸に出血を伴う隆起性病変を認め、生検にて大腸がんと診断しました。
この大腸がんにより大腸の内腔が狭窄し(腸管が狭くなっている状態)、便やガスがスムーズに流れず、お腹の張り(膨満感)が出ていた状態でした。
関連ページ
💡当院では最短当日に内視鏡検査がお受け頂けますので、お気軽にお問い合わせください。
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▶ WEB予約/▶ 電話相談:03-5953-5903
- 関連ページ:無痛大腸カメラ|実際の検査の流れや鎮静剤とオリジナル低痛挿入による無痛大腸カメラの詳細がご確認いただけます
治療
狭窄を伴う進行がんで入院・手術が必要な状態のため、高次医療機関へ紹介。
紹介先で外科手術が行われ、術後の最終結果はステージⅢA。
その後、術後補助化学療法(再発予防の抗がん剤治療)が実施され、現在も再発なく生活されています
今回の治療例からわかること
1.IBSと診断されていても別の病気は起こります
IBSと診断されているからといって、その後ずっとすべての腹部症状がIBSによるものとは限りません。
「診断名」よりも「症状が変化したかどうか」を見ることが重要です。
2.薬が効かなくなったことも重要な変化です
IBS自体の症状の波で薬が効きにくくなることもあります。
しかし、長期間効いていた治療が突然効かなくなった場合には、別の原因が加わっていないか再評価するきっかけになります。
3.お腹の張りだけでも大腸の狭窄が隠れていることがあります
大腸がんというと血便をイメージする方が多いですが、腫瘍によって腸が狭くなると、お腹の張りや便秘、便が細いといった症状が先に目立つことがあります。
4.便潜血が陰性でも症状があれば安心とは限りません
便潜血検査は大腸がん検診として非常に重要な検査ですが、すべての大腸がんを一度で見つけられる検査ではありません。
便潜血が陰性でも、血便、腹痛、お腹の張り、便通の変化など新しい症状がある場合には、次回の検診まで待つのではなく医療機関へ相談することが大切です。
受診の目安|IBS治療中でも様子を見すぎない方がよいケース
次のような場合は、「いつものIBS」と自己判断せず消化器内科へご相談ください。
- 今までと違うお腹の張りが続いている
- 短期間で症状が強くなった
- いつものIBS治療薬を使っても改善しない
- 便が以前より細くなった
- 便秘や下痢のパターンが変わった
- 血便がある
- 最後の大腸カメラから数年経っている
特に、お腹が急激に張る、強い腹痛や嘔吐がある、便もガスも出ないといった場合には腸閉塞の可能性があるため、通常の予約検査ではなく早めの医療機関受診が必要です。
東海林院長からのコメント
IBSはとても多い病気で、薬や生活調整でうまく付き合える方も多いです【3】。
ただし、IBSと診断されていても 「別の病気にならない」わけではありません。
特に今回のように、
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症状の質が変わった
-
悪化のスピードが速い
-
薬が効かない
-
最後の大腸カメラから年数が経っている
こうしたときは、“IBSの悪化”と決めつけずに大腸内視鏡で確認することが、結果的にいちばん安全です。
当院の大腸カメラの特徴
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鎮静剤や独自の低痛挿入法、大腸に合わせたカメラの選択で行う内視鏡検査
- 次世代内視鏡システム+高解像度スコープで小さな病変も早期発見
- 下剤の工夫による体に配慮した前処置
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土日対応、事前診察は原則不要
よくある質問(FAQ)
Q. IBSと診断されていれば、大腸がんの心配はありませんか?
A. IBSと診断されていても、その後に大腸がんなど別の病気が起こる可能性はあります。特に症状の出方が変わった、急に悪化した、これまでの治療が効かなくなった場合には再評価が大切です。【2】【3】
Q. IBSの薬が急に効かなくなった場合は受診した方がよいですか?
A. IBS自体の症状の波で効きにくくなることもありますが、炎症や大腸の狭窄など別の原因が加わっている場合もあります。これまで安定していた症状が変わった場合には一度ご相談ください。【2】【3】
Q. お腹の張りだけでも大腸がんのことはありますか?
A. あります。大腸がんが大きくなって腸の通り道が狭くなると、便やガスが流れにくくなり、お腹の張り、便秘、便が細いなどの症状が出ることがあります。ただし、お腹の張りの多くは大腸がん以外の原因でも起こります。
Q. 「大腸がんの狭窄」とはどういう状態ですか?
A. 大腸の中で腫瘍が大きくなり、便やガスが通るスペースが狭くなった状態です。進行すると便秘、腹部膨満、腹痛、吐き気などが起こり、さらに狭くなると腸閉塞につながることがあります。
Q. 便が細くなったら大腸がんですか?
A. 便の硬さや食事、便秘などでも細くなることがあるため、便が細いだけで大腸がんとは判断できません。ただし、以前と比べて明らかに細くなった状態が続く場合や、お腹の張り・血便・体重減少などを伴う場合には相談してください。
Q. 便潜血検査が陰性なら大腸がんではありませんか?
A. 便潜血検査は有用な検診ですが、陰性だから大腸がんを完全に否定できるわけではありません。血便、腹痛、便通変化などの症状が出た場合には、次回の検診を待たず医療機関を受診してください。【4】【5】
Q. 大腸カメラを5年前に受けて異常がなくても、もう一度受けることはありますか?
A. あります。検査間隔は年齢、家族歴、過去のポリープなどによって異なりますが、前回検査からの年数にかかわらず、新しい症状や明らかな症状変化がある場合には再検査を検討します。
Q. IBSと大腸がんは症状だけで見分けられますか?
A. 症状だけで完全に見分けることはできません。症状の経過、年齢、家族歴、血液検査などを確認し、必要に応じて大腸カメラなどで原因を調べます。
Q. お腹が張って便もガスも出ない場合はどうしたらよいですか?
A. 腸閉塞など緊急性のある病気の可能性があります。特に強い腹痛や嘔吐を伴う場合には、自宅で様子を見続けず速やかに医療機関を受診してください。
Q. IBSで通院中ですが、どんな変化があれば相談した方がよいですか?
A. 急に症状が悪化した、今まで効いていた薬が効かない、便通のパターンが変わった、血便・貧血・体重減少がある、以前とは明らかに違う症状が続く、といった場合はご相談ください。【2】【3】
まとめ
-
IBSで安定していた症状でも、悪化したら要注意
-
「薬が効かない」「症状の質が変わった」は再評価サイン
-
腹部膨満の原因は多彩。中には大腸がん狭窄のように見逃せない病気もある
-
ステージIII大腸がんでは、一般に手術+術後補助化学療法が検討される【1】
池袋上田胃腸クリニックでは、最短で当日に大腸カメラ検査ができる体制を整えています。
お腹の張りが続く/薬が効かない方はぜひご相談ください。
📞 お電話でのお問い合わせ:03-5953-5903
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
※来院時間や当日の状況によっては翌日以降の検査となる場合もあります
関連ページ
お腹の張りや便秘をきっかけに見つかる大腸がんについては、以下のページでも詳しくご紹介しています。
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医師紹介・アクセス・診療時間
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、池袋上田胃腸クリニックまでお気軽にご相談ください。
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東京都豊島区池袋2丁目66-10
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診療時間
| 診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
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休診日:金曜日午後・祝日
診療は完全予約制です。
▶お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903
▶WEB予約は【こちら】
文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
参考文献(本文の【番号】と対応)
【1】大腸癌研究会(JSCCR)『大腸癌治療ガイドライン 医師用 2024年版』:StageⅢ大腸癌に術後補助化学療法が推奨される記載。
【2】U.S. Preventive Services Task Force (USPSTF). Recommendation: Colorectal Cancer: Screening(2021)— 45〜75歳のスクリーニング推奨。
【3】日本消化器病学会『機能性消化管疾患診療ガイドライン2020―過敏性腸症候群(IBS)』:Rome IV基準など診断の標準化に言及。
【4】Lacy BE, et al. ACG Clinical Guideline: Management of Irritable Bowel Syndrome. Am J Gastroenterol. 2021.
