「腹部の張り+下痢」が1年以上…IBS(過敏性腸症候群)と思ったら潰瘍性大腸炎だった20代女性の実例
「お腹が張る」「下痢が続く」——
この2つが重なると、多くの方がストレスや過敏性腸症候群(IBS)を思い浮かべます。
実際、心身の負荷や生活リズムの乱れ、服薬の影響で便通が乱れることも珍しくありません。
ただし、2週間以上続く便通異常、あるいは薬を飲んでも改善しない場合は、IBS以外の病気(炎症性腸疾患など)が隠れていることがあります。
今回ご紹介するのは、まさに「IBSと言われていたけれど、実は潰瘍性大腸炎だった」20代女性のケースです。
お腹の張りや下痢でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。
▶池袋上田胃腸クリニックではWEB予約・電話予約を受け付けています。同様の症状でお悩みの方はぜひご相談ください。
※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。
実際の治療例|20代女性「腹部の張りと下痢」
症状
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既往:双極性障害で心療内科通院中
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1年ほど前から
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腹部の張り(膨満感)
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下痢
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「ストレスによるIBS」と言われ、IBS治療薬を使用するも改善なし
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不安が強くなり、当院(消化器内科)を受診
診察
腹部の張りと下痢は、原因が幅広い症状です。
診察では、症状の経過や便の回数・性状、夜間症状、発熱、体重減少、血便、内服薬、ストレス状況などを確認し、次のような病気を考えました。
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過敏性腸症候群(IBS)
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潰瘍性大腸炎/クローン病(炎症性腸疾患:IBD)
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感染性腸炎(細菌・寄生虫など)
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薬剤性(抗うつ薬・抗不安薬など含め、消化器症状の副作用は起こり得ます)
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甲状腺機能異常
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乳糖不耐・食事要因
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セリアック病(日本では頻度は高くありませんが0ではありません)
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大腸腫瘍(年齢的には低確率でも“ゼロではない”ため、経過が長い場合は除外が重要)
今回は「症状が1年と長い」「IBS治療で改善しない」という点から、器質的疾患(炎症・潰瘍・腫瘍など)を除外し、
正しく状態を把握し、治療方針を立てるため血液検査と大腸カメラ(内視鏡検査)を行いました。
検査
・血液検査
甲状腺機能の異常などの病変なし。
・大腸カメラ
大腸全体にびらん・発赤・浮腫といった炎症と炎症による白汁を認め、生検(組織採取検査)を施行。
画像所見と生検結果から潰瘍性大腸炎と診断しました。
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潰瘍性大腸炎とは
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症が起こり、下痢・腹痛・血便などを繰り返す病気です。
症状の強さや炎症の範囲は人によって異なり、軽症のうちは「なんとなくお腹が張る」「軟便が続く」程度で、IBSと紛らわしいこともあります。
治療の基本は、炎症を抑えて症状を落ち着かせ(寛解導入)、落ち着いた状態を維持する(寛解維持)ことです。
潰瘍性大腸炎の軽症〜中等症では5-ASA製剤が重要な治療の柱とされ、寛解導入・維持に有効とされています
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▶潰瘍性大腸炎について専門医の院長によるより詳しい説明はこちら
治療(5-ASAで寛解導入→寛解維持へ)
今回の患者さんには潰瘍性大腸炎と診断後に
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5-ASA製剤で治療開始
→ 症状は1週間ほどで落ち着き、現在は寛解維持療法を継続しています。
潰瘍性大腸炎は寛解・再燃を繰り返す病気なので、薬を続けることで寛解状態を維持することが大切です。
院長からのコメント
腹部の張りや下痢は、たしかにストレスや生活要因、服薬の影響でも起こり得ます。
ただし——
✅ 2週間以上続く
✅ “IBSの薬”で改善しない
✅ 夜中〜早朝に便意で起きる/体重減少/発熱/血便/貧血が疑われる
こうした場合は、IBSだけで片付けずに、潰瘍性大腸炎・クローン病などの炎症性腸疾患(IBD)を含めて確認することが大切です。
また、心療内科の薬は自己判断で中止せず、必ず主治医と相談しながら、消化器症状の原因を整理していきましょう。
💡当院ではWEB予約・電話予約を受け付けていますので、お気軽にご相談ください。
お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903
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よくある質問
Q1. IBS(過敏性腸症候群)と潰瘍性大腸炎はどう違う?
A. IBSは腸に“目に見える炎症”がない機能性の病気で、IBD(潰瘍性大腸炎など)は炎症が起こります。症状が似るため、長引く場合は検査で確認します。
Q2. 腹部の張りが主症状でも潰瘍性大腸炎のことはありますか?
A. あります。軽症では「張り」「軟便」「下痢が続く」程度で始まることもあります。
Q3. 下痢がどれくらい続いたら受診すべき?
A. 目安として2週間以上続く、または悪化傾向なら消化器内科へ。血便・発熱・体重減少があれば早めに受診してください。
Q4. ストレスによる下痢だと思うのですが、それでも検査が必要ですか?
A. ストレスで下痢は起こり得ますが、長引く場合はIBDなどを除外することが重要です。
Q5. 抗うつ薬・抗不安薬でお腹がゆるくなることは?
A. 起こり得ます。ただし“薬のせい”と決めつけず、経過や検査で原因を整理します(自己判断で中止しないでください)。
Q6. 大腸カメラは痛い・つらいイメージがあります…
A. 不安が強い方は、鎮静剤などによる無痛検査もお受け頂けます。ご心配な方は遠慮なくご相談ください
■当院の大腸カメラの特徴
・鎮静剤や独自の低痛挿入法による痛くない苦しくない内視鏡検査
・高解像度スコープで小さな病変も発見
・土日対応、事前診察は原則不要
Q7. 潰瘍性大腸炎は治りますか?
A. 完全に「治癒」と言い切るのは難しい一方で、治療で炎症を抑え、寛解(症状が落ち着いた状態)を長く維持することは十分可能です。
Q8. 5-ASAはずっと飲む必要がありますか?
A. 多くの場合、再燃予防のために寛解維持療法を続けます。安全性が比較的高い治療として位置づけられています。
Q9. 血便がなければ潰瘍性大腸炎ではない?
A. 血便が目立たない時期・タイプもあります。下痢が長引く場合は検討が必要です。
Q10.潰瘍性大腸炎の再燃を防ぐコツはありますか?
A. 処方薬の継続、自己中断しないこと、症状変化を早めに相談することが大切です。生活面(睡眠・食事)も整えましょう。
まとめ
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腹部の張り+下痢はIBSだけでなく、潰瘍性大腸炎などのIBDが隠れることがある
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2週間以上続く/薬で改善しない場合は、早めに消化器内科で評価
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大腸内視鏡で診断がつき、潰瘍性大腸炎なら5-ASAで寛解導入・維持が可能
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心療内科の薬の影響もあり得るが、自己判断で中止せず主治医と連携しながら原因を整理する
💡当院は池袋駅から徒歩5分程度でアクセス可能です。お気軽にご相談ください。
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参考文献
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Arasaradnam RP, et al. Guidelines for the investigation of chronic diarrhoea in adults. Gut. 2018.
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Rubin DT, et al. ACG Clinical Guideline: Ulcerative Colitis in Adults. Am J Gastroenterol. 2019.
-
Matsuoka K, et al. Evidence-based clinical practice guidelines for inflammatory bowel disease. J Gastroenterol. 2018.
-
Moran GW, et al. BSG IBD Guidelines for Adults: 2025. Gut. 2025.
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Lacy BE, et al. ACG Clinical Guideline: Management of Irritable Bowel Syndrome. Am J Gastroenterol. 2021.
医師紹介
東海林英典(しょうじ ひでのり)院長
📍経歴
国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。
胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。
令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。
内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。
- 日本内科学会認定医
- 日本消化器病学会専門医
🩺 診療にあたっての想い
「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、池袋上田胃腸クリニックまでお気軽にご相談ください。
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文責:東海林英典院長・神谷雄介理事長(消化器内科・内視鏡専門医)
