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「腹部の張り+下痢」が1年以上…IBS(過敏性腸症候群)と思ったら潰瘍性大腸炎だった20代女性の実例

[2026.01.06]

「お腹が張る」「下痢が続く」——

この2つが重なると、多くの方がストレスや過敏性腸症候群(IBS)を思い浮かべます。

実際、心身の負荷や生活リズムの乱れ、服薬の影響で便通が乱れることも珍しくありません。

ただし、2週間以上続く便通異常、あるいは薬を飲んでも改善しない場合は、IBS以外の病気(炎症性腸疾患など)が隠れていることがあります。

今回は、「IBSと言われていたけれど、実は潰瘍性大腸炎だった」20代女性のケースを専門医の院長が分かりやすく解説します。

お腹の張りや下痢でお困りの方がいらっしゃれば、このケースが受診のきっかけになれば幸いです。

 

💡本記事でお伝えしたいポイント

✅ 腹部の張りと下痢が続く場合、IBSだけでなく潰瘍性大腸炎などの大腸炎が隠れていることがあります。

✅ IBSは「腸に明らかな炎症や潰瘍がない」状態で診断されるため、長引く場合は検査で除外診断を行うことが大切です。

✅ 血便がなくても、潰瘍性大腸炎の初期や軽症例では下痢・軟便・お腹の張りが中心になることがあります。

✅ 2週間以上続く下痢、薬で改善しない下痢、夜間の便意、体重減少、発熱、血便、貧血がある場合は早めの受診をおすすめします。

✅ 潰瘍性大腸炎は、適切に診断して治療を始めることで、症状を落ち着かせた状態を維持できる可能性があります。

 

池袋上田胃腸クリニックでは、腹部の張り・下痢・血便・便通異常の診察、大腸カメラに対応しています。

「IBSと言われたが良くならない」「下痢が長引いて不安」「潰瘍性大腸炎が心配」という方はご相談ください。

WEB予約はこちら 03-5953-5903

腹部の張りと下痢を起こす主な原因

腹部の張りと下痢は、原因が幅広い症状です。特に「お腹が弱い体質」「ストレス」「IBS」と思って様子を見てしまう方も多いですが、長引く場合は原因を整理することが大切です。

主な原因 特徴 確認したいポイント
過敏性腸症候群(IBS) 腹痛、下痢、便秘、お腹の張りがストレスや緊張で悪化しやすい 炎症や腫瘍などの病気がないかを確認したうえで診断する
潰瘍性大腸炎 下痢、血便、粘液便、腹痛、便意の増加などを繰り返す 血便が目立たない時期でも、下痢や張りが続くことがある
感染性腸炎 急な下痢、腹痛、発熱、吐き気。食事や海外渡航がきっかけになることもある 症状の始まり方、発熱、周囲の感染、食事歴を確認する
薬剤性の下痢 抗菌薬、胃薬、糖尿病薬、精神科薬などで便通が変わることがある 服薬開始時期と症状の関係を確認する。自己判断で中止しない
甲状腺機能異常 下痢、体重減少、動悸、発汗、手の震えなどを伴うことがある 血液検査で確認する
大腸ポリープ・大腸がん 血便、便が細い、便秘と下痢を繰り返す、貧血、体重減少など 若い方では頻度は高くないが、長引く場合は除外が重要

潰瘍性大腸炎とIBSの違い

今回の症例で最終的に診断されたのは、潰瘍性大腸炎です。

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こる病気です。下痢、血便、粘液便、腹痛、便意が近い、残便感などが代表的ですが、症状の出方には個人差があります。

一方、IBS(過敏性腸症候群)は、腹痛や便通異常が続くものの、検査で明らかな炎症・潰瘍・腫瘍などが見つからない機能性の病気です。IBSそのものもつらい病気ですが、「IBSだと思っていたら、実は大腸に炎症があった」というケースもあります。

  IBS 潰瘍性大腸炎
病気の性質 腸の動きや知覚過敏などによる機能性疾患 大腸粘膜に炎症が起こる炎症性腸疾患
主な症状 腹痛、下痢、便秘、お腹の張り 下痢、血便、粘液便、腹痛、便意の増加
内視鏡所見 通常、明らかな炎症や潰瘍はない 発赤、びらん、浮腫、出血、潰瘍などが見られることがある
治療 生活調整、食事療法、整腸薬、IBS治療薬、漢方など 5-ASA製剤、必要に応じて坐剤・注腸・ステロイド・生物学的製剤など

実際の治療例|20代女性「腹部の張りと下痢」

症状

  • 既往:双極性障害で心療内科通院中

  • 1年ほど前から

    • 腹部の張り(膨満感)

    • 下痢

  • 「ストレスによるIBS」と言われ、IBS治療薬を使用するも改善なし

  • 不安が強くなり、当院(消化器内科)を受診

 

診察

腹部の張りと下痢は、原因が幅広い症状です。

診察では、症状の経過や便の回数・性状、夜間症状、発熱、体重減少、血便、内服薬、ストレス状況などを確認し、次のような病気を考えました。

  • 過敏性腸症候群(IBS)

  • 潰瘍性大腸炎/クローン病(炎症性腸疾患:IBD)

  • 感染性腸炎(細菌・寄生虫など)

  • 薬剤性(抗うつ薬・抗不安薬など含め、消化器症状の副作用は起こり得ます)

  • 甲状腺機能異常

  • 乳糖不耐・食事要因

  • セリアック病(日本では頻度は高くありませんが0ではありません)

  • 大腸腫瘍(年齢的には低確率でも“ゼロではない”ため、経過が長い場合は除外が重要)

今回は「症状が1年と長い」「IBS治療で改善しない」という点から、器質的疾患(炎症・潰瘍・腫瘍など)を除外し、

正しく状態を把握し、治療方針を立てるため血液検査と大腸カメラ(内視鏡検査)を行いました。

 

検査

血液検査

甲状腺機能の異常などの病変なし。

大腸カメラ

左)今回の患者さんの画像|右)正常な大腸の画像

大腸全体にびらん・発赤・浮腫といった炎症と炎症による白汁を認め、生検(組織採取検査)を施行。

画像所見と生検結果から潰瘍性大腸炎と診断しました。

関連ページ

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治療(5-ASAで寛解導入→寛解維持へ)

潰瘍性大腸炎の治療の基本は、炎症を抑えて症状を落ち着かせ(寛解導入)、落ち着いた状態を維持する(寛解維持)ことです。

潰瘍性大腸炎の軽症〜中等症では5-ASA製剤が重要な治療の柱とされ、寛解導入・維持に有効とされています

今回の患者さんには潰瘍性大腸炎と診断後に

  • 5-ASA製剤で治療開始
    → 症状は1週間ほどで落ち着き、現在は寛解維持療法を継続しています。

潰瘍性大腸炎は寛解・再燃を繰り返す病気なので、薬を続けることで寛解状態を維持することが大切です。

受診の目安

腹部の張りや下痢は一時的な胃腸炎やストレスでも起こります。ただし、以下に当てはまる場合は、消化器内科での相談をおすすめします。

早めの受診をおすすめするサイン
  • 下痢が2週間以上続く
  • 腹部の張りが続き、生活に支障がある
  • IBSの薬や整腸剤で改善しない
  • 血便、粘液便、黒い便がある
  • 夜間や早朝に便意で目が覚める
  • 発熱、体重減少、食欲低下がある
  • 貧血を指摘された
  • 便潜血検査で陽性だった
  • 家族に大腸がんや炎症性腸疾患の方がいる

院長からのコメント

腹部の張りや下痢は、日常的にもよく見られる症状です。

そのため、「ストレスのせい」「IBSだと思う」「体質だから仕方ない」と考えて、受診が遅れてしまうことがあります。

もちろん、実際にIBSやストレス、生活習慣が関係しているケースも多くあります。

しかし、今回のように症状が長く続く場合や、治療しても改善しない場合には、潰瘍性大腸炎などの大腸炎を確認することが大切です。

特に、下痢が続く、血便や粘液便がある、夜中に便意で起きる、体重が減る、貧血があるといった場合は、早めにご相談ください。

 

池袋上田胃腸クリニックではWEB予約・電話予約を受け付けています。

池袋周辺で、腹部の張りや下痢が気になるという方は、お力になれますのでお気軽にご相談ください。

お電話での予約・お問い合わせ:03-5953-5903

 

よくある質問

Q1. IBS(過敏性腸症候群)と潰瘍性大腸炎はどう違う?

A. IBSは腸に“目に見える炎症”がない機能性の病気で、IBD(潰瘍性大腸炎など)は炎症が起こります。症状が似るため、長引く場合は検査で確認します。

▶IBS(過敏性腸症候群)の詳細はこちら

▶潰瘍性大腸炎の詳細はこちら

Q2. 腹部の張りが主症状でも潰瘍性大腸炎のことはありますか?

A. あります。軽症では「張り」「軟便」「下痢が続く」程度で始まることもあります。

Q3. 下痢がどれくらい続いたら受診すべき?

A. 目安として2週間以上続く、または悪化傾向なら消化器内科へ。血便・発熱・体重減少があれば早めに受診してください。

Q4. ストレスによる下痢だと思うのですが、それでも検査が必要ですか?

A. ストレスで下痢は起こり得ますが、長引く場合はIBDなどを除外することが重要です。

Q5. 抗うつ薬・抗不安薬でお腹がゆるくなることは?

A. 起こり得ます。ただし“薬のせい”と決めつけず、経過や検査で原因を整理します(自己判断で中止しないでください)。

Q6. 大腸カメラは痛い・つらいイメージがあります…

A. 不安が強い方は、鎮静剤などによる無痛検査もお受け頂けます。ご心配な方は遠慮なくご相談ください

■当院の大腸カメラの特徴

・鎮静剤や独自の低痛挿入法による痛くない苦しくない内視鏡検査

・高解像度スコープで小さな病変も発見

・土日対応、事前診察は原則不要

WEB予約はこちら 03-5953-5903

Q7. 潰瘍性大腸炎は治りますか?

A. 完全に「治癒」と言い切るのは難しい一方で、治療で炎症を抑え、寛解(症状が落ち着いた状態)を長く維持することは十分可能です。

Q8. 5-ASAはずっと飲む必要がありますか?

A. 多くの場合、再燃予防のために寛解維持療法を続けます。安全性が比較的高い治療として位置づけられています。

Q9. 血便がなければ潰瘍性大腸炎ではない?

A. 血便が目立たない時期・タイプもあります。下痢が長引く場合は検討が必要です。

Q10.潰瘍性大腸炎の再燃を防ぐコツはありますか?

A. 処方薬の継続、自己中断しないこと、症状変化を早めに相談することが大切です。生活面(睡眠・食事)も整えましょう。

 

まとめ

  • 腹部の張りと下痢が続く場合、IBSだけでなく潰瘍性大腸炎などの大腸炎が隠れていることがあります。
  • IBS治療で改善しない、症状が長引く、血便・粘液便・夜間便意・体重減少がある場合は、消化器内科での確認が必要です。
  • 潰瘍性大腸炎は、大腸カメラと生検で診断することがあります。
  • 治療では5-ASA製剤などを用いて炎症を抑え、寛解状態を維持することを目指します。
  • 池袋周辺で長引く下痢や腹部膨満感にお悩みの方は、池袋上田胃腸クリニックへご相談ください。

 

💡当院は池袋駅から徒歩5分程度でアクセス可能です。お気軽にご相談ください。

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※ご予約がない方でも受付時間内に受診して頂ければ診察可能です。

 

関連ページ

参考文献

  1. Arasaradnam RP, et al. Guidelines for the investigation of chronic diarrhoea in adults. Gut. 2018. 

  2. Rubin DT, et al. ACG Clinical Guideline: Ulcerative Colitis in Adults. Am J Gastroenterol. 2019.

  3. Matsuoka K, et al. Evidence-based clinical practice guidelines for inflammatory bowel disease. J Gastroenterol. 2018.

  4. Moran GW, et al. BSG IBD Guidelines for Adults: 2025. Gut. 2025. 

  5. Lacy BE, et al. ACG Clinical Guideline: Management of Irritable Bowel Syndrome. Am J Gastroenterol. 2021.

医師紹介

東海林英典(しょうじ ひでのり)院長

📍経歴

国立東北大学医学部卒業後、消化器内科・内視鏡内科の道を歩み始め、日本屈指の胃腸・内視鏡専門病院の平塚胃腸病院にて消化器・胃腸疾患と内視鏡検査・治療に従事。

胃腸疾患の外来診療を行いながら、年間3000件弱の内視鏡検査、および在院中は早期がんの治療も含めのべ数千件の内視鏡手術を施行。

令和6年10月より上田胃腸クリニックの院長に就任。

内視鏡検査だけでなく、胃痛・腹痛・胸やけや便秘などの胃腸症状専門外来や、がんの予防・早期発見に力を入れ、診療を行っている。

  • 日本内科学会認定医
  • 日本消化器病学会専門医

🩺 診療にあたっての想い

「症状がつらい、病気が怖い…」そんな患者さんの気持ちに寄り添い、ご不安がある方でも、「ここを受診してよかった」と思っていただけるような診療を大切にしています。胃や腸のことで不安がある方は、池袋上田胃腸クリニックまでお気軽にご相談ください。

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